素朴な味わいの野草「ホソバオケラ」。佐渡オケラとも呼ばれ、江戸期に中国から伝えられた。蚊遣りに使われ、京都のオケラ祭りでも有名である。
(2020年秋 箱根)
学名:Atractylodes lancea (Thunb.)DC.
科名:キク科 用部:根茎
生薬名:蒼朮
用途:利水・健胃
代表的な漢方薬:五苓散、当帰芍薬散
説明文:
中国華中東部に自生する多年生草本。江戸時代中期に、ホソバオケラの苗が渡来し、奈良地方を中心にして栽培され、佐渡でも栽培されていたことから、サドオケラの別名もある。日本では江戸時代に、焚蒼(たきそう)といって、根茎に火をつけて煙を部屋に出させることで、梅雨時に衣服や和本などのカビや蚊などの虫害を防ぐことが行われていた。根茎を乾燥した生薬、蒼朮は、主として漢方処方用薬で、消化器、皮下の水分代謝不全の改善、健胃、利尿、発汗、鎮静の効があり、健胃消化薬、止瀉整腸薬、利尿薬、鎮暈薬、保健強壮薬、鎮痛薬とみなされる処方及びその他の処方に比較的高頻度で配合されている。
薬草の詩:(「ホソバオケラ」の近縁種「オケラ」の収載文を転載したものです。)
あまり目立たない植物ですが、漢方原料としてはよく用いられるものです。また山菜としても有名ですが、私はまだ食べた事はありません。昔、この根をいぶしてカビ防止や蚊取りなどに使ったと本に書いてあるように、庶民の生活にとけ込んだ薬草といえます。京都、祇園の「おけら祭」、八坂神社の「おけら火」は有名ですね。 (正)