鎌倉アルプス散策(3)(完)
(鎌っこ倉ぶ)
2006年11月18日(土)
(つづき)
■貝吹き地蔵
山頂付近のゴルフ場脇広場で,すこし遅い昼食を摂ってから,峠の茶屋方向へ向かう。峠には2軒の茶屋がある。その近くの岩峰に登って眺望を楽しむ。天気は上々だが,気温が高いためか,遠くが霞んでいる。富士山も見えない。岩塊には三毛猫が1匹,柔い日差しを背中に受けながら,じっと座り込んでいる。
<峠の三毛猫>
ここから,定番の天園ハイキングコースを瑞泉寺の方へ向かう。なだらかな起伏のある尾根道を東へ向かう。二つの尾根に分岐するところから南へ延びる尾根を歩き続ける。しばらく進むと登山道は尾根越えて瑞泉寺側の谷に沿ったトラバース道になる。ここで獅子舞からの登山道と合流する。暫くはのどかな散策道が続く。大きな楠(だと思う)が数本並んでいる場所を通り過ぎると天台山の尾根を乗り越える。ここから急な下り坂になる。鬱蒼とした樹ボクに被われていて暗い谷である。
下り坂が始まるとすぐ左手に「貝吹き地蔵」が安置されている。1333年,新田義貞の鎌倉攻めのときに,法条高時の首を新田に取られるのを防ぎたかった家来が,高時の首を抱えて山中を逃げ回ったときに,地蔵が現れて貝を吹きながら偏界一覧亭付近の谷間へ導いたという俗説がある(『かまくら子ども風土記』上巻,89ページ)。
■瑞泉寺裏山やぐら群
貝吹き地蔵のある暗い谷間を降りると再び平坦な散策路になる。良く見ないと見落としてしまうが,この辺りから胡桃山の谷間に向かう小径がある。この道を下ると「お塔の窪やぐら」があるが,今回は見学を省略した。なお,この「お塔の窪やぐら」の中には北条高時の供養塔といわれる五輪塔がある(三浦勝男『鎌倉の史跡』かまくら春秋社,230ページ)。
尾根道を進むと,やがて瑞泉寺裏山に差し掛かる。この辺りは亭ヶ沢(チンガサワ)と呼ばれる山腹で,沢山の「やぐら」が並んでいる。現在79穴の存在が確かめられているという(三浦『同上』228ページ)。
<瑞泉寺裏山やぐら群>
やがて瑞泉寺裏山にある偏界一覧亭の下に到着する。ハイキングコースと瑞泉寺境内の間には棘線の垣根があって中には入れないが,立木の間から偏界一覧亭が見える。偏界一覧亭は夢想国士が建てたといわれている(現在のものは近年作られたもの)。
偏界一覧亭のすぐ前に三叉路を進行方向左手に入ると,胡桃山山麓に北条一門の墓といわれる「北条首やぐら」がある。一同神妙な面もちで見学する。
再び天園ハイキングコースに戻り,瑞泉寺脇の登山道入口へ戻る。
■駅前でお茶
瑞泉寺付近まで戻ると沢山の観光客で賑わっている。鎌倉宮を経由して,清泉小学校の正門前を通り過ぎ,横浜国立大学付属小学校の校庭に沿って,鶴岡八幡宮の手前まで戻る。そこから裏道をクネクネと通り抜けて,大佛次郎邸跡,妙隆寺裏,宇津宮稲荷前を通り抜けて段葛を横切る。さらに裏道を通り抜けて,小町通へ出る。
駅前のルノアールでお茶をして,16時40頃解散。
<宇津宮稲荷>
[山行記録]
■累計高度差 約 250m
■歩行距離 約 8.5km
(おわり)
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