タマ湖を見下ろす
<<タマ湖・タラナキ滝周遊>>
2006年1月31日(火) その3
11:16「Lower Tama LakeとOld Waiham Hut」の分岐点を通過する。
この辺り一帯は湿地帯になっている。ザラザラとした火山礫の平原が広がっている。東方向に歩き始めてすぐに,ガイド頭が進行方向左手にある水たまりをストックで指しながら,
「ちょっと止まれ」
と私達に合図する。そして,真面目くさった顔をして,
「ここがタマ湖だよ・・・さあ帰ろう・・・」
と良いながら,今来た道をスタスタと帰り始める。もちろん,ジョークである。
平原を暫く進むと,登山道の勾配が少しきつくなる。そして,11:26に下タマ湖(Lower Tama Lake)を見下ろすプラトーの鞍部に到着する。標高1360メートルである。丁度,雲間が広がり,視界が良くなる。東側に衝立のように広がる山脈の山頂付近は雲の間に隠れている。北風に乗って,雲がざわざわと右から左へ流れている。眼下に下タマ湖の全景が見える。
「ここから先は少し時間が掛かるから,ここで食べ物を少し食べて下さい」
とガイド頭が私達に指示する。私たちは,プラトーから少し北タマ湖側に下りて,風を避けながら座り込む。私はランチボックスからネクタリンを1個取りだして齧り付く。北風が吹き付けて寒い。ここから先は防寒具を着て進むことにする。
11:46,出発。
ここからはガレた急坂になる。ガイド頭のすぐ後ろに酋長さんとドッジさんが続く。お二人が登り坂に特段弱いわけではないが,他の同行者がお二人より強かっただけかもしれない。最初は1列になってお二人の後につながったが,私は途中からジリジリし始めた。
ついに私は登山道から左手に外れて,歩きにくいガラ場をお二人に並行して歩き始める。それを見ていたガイド頭が,
「丘の上まで,先に登っても良いよ・・・」
と私に合図する。
「では!」
私は,これまで何となく,つっかえたような気分を一掃するために,一気に速度を上げて,ドンドンと急坂を登り始める。思い切り速度を上げるのは気分爽快である。するとすぐ後にフクロウとバーダーが私以上に凄い速度で,お二人を追い越して登り始める。
頂上に近付くと,踏み跡がますます不明瞭になってくる。そこでガイド頭が追いつくのを待つことにする。そして,12時丁度にガイド頭と一緒に丘の上に到着する。標高1465メートルである。ガイド頭は,私に,
「個々で待っていろ・・・」
という。そうこうしていると,次々にお二人を除くメンバーが次々に到着する。到着組は丘の上に立っている小さな棒杭の前で,記念写真を撮り合う。やがて,一行よりかなり遅れたお二人も到着する。ここで小休止する。丘の上から後ろを振り返ると下タマ湖が眼下に見えている。
12:13,小休止した後,歩き出す。ガイド頭が,
「お前,速いから,俺を引っ張って行け・・」
と冗談を言いながら,私のリュックを後ろから引っ張る。
ちょっとの時間でも,自分の全速力で歩ければ,もう満足である。私は,お御足の遅いお二人と同じ速度で歩いても全く気にならなくなる。ここからは,水平なプラトーが少続き,ついで,ゆるやかな丘を登る。そして,12:19,上タマ湖(Upper Lake)が見える丘の上に到着する。
丘の上には強い北風が吹いている。吹き曝しの丘の上は,とにかく寒い。私達は石を積んで囲っただけの素朴な風よけシェルターの中に入り込む。このシェルターは10人ほどがしゃがみ込むと一杯になってしまうほどの大きさしかない。
シェルターの中で昼食を摂る。眼下に上タマ湖が見下ろせる。素晴らしい景色である。たまたま,雲間から日が射してくる。途端にほんわかと暖かくなる。暖かくなると気分も大変良くなる。私は心の中で,
「こんな素晴らしい景色を堪能できるなんて,私は本当に恵まれているな」
と実感する。
(第19話終わり)
<<タマ湖・タラナキ滝周遊>>
2006年1月31日(火) その3
11:16「Lower Tama LakeとOld Waiham Hut」の分岐点を通過する。
この辺り一帯は湿地帯になっている。ザラザラとした火山礫の平原が広がっている。東方向に歩き始めてすぐに,ガイド頭が進行方向左手にある水たまりをストックで指しながら,
「ちょっと止まれ」
と私達に合図する。そして,真面目くさった顔をして,
「ここがタマ湖だよ・・・さあ帰ろう・・・」
と良いながら,今来た道をスタスタと帰り始める。もちろん,ジョークである。
平原を暫く進むと,登山道の勾配が少しきつくなる。そして,11:26に下タマ湖(Lower Tama Lake)を見下ろすプラトーの鞍部に到着する。標高1360メートルである。丁度,雲間が広がり,視界が良くなる。東側に衝立のように広がる山脈の山頂付近は雲の間に隠れている。北風に乗って,雲がざわざわと右から左へ流れている。眼下に下タマ湖の全景が見える。
「ここから先は少し時間が掛かるから,ここで食べ物を少し食べて下さい」
とガイド頭が私達に指示する。私たちは,プラトーから少し北タマ湖側に下りて,風を避けながら座り込む。私はランチボックスからネクタリンを1個取りだして齧り付く。北風が吹き付けて寒い。ここから先は防寒具を着て進むことにする。
11:46,出発。
ここからはガレた急坂になる。ガイド頭のすぐ後ろに酋長さんとドッジさんが続く。お二人が登り坂に特段弱いわけではないが,他の同行者がお二人より強かっただけかもしれない。最初は1列になってお二人の後につながったが,私は途中からジリジリし始めた。
ついに私は登山道から左手に外れて,歩きにくいガラ場をお二人に並行して歩き始める。それを見ていたガイド頭が,
「丘の上まで,先に登っても良いよ・・・」
と私に合図する。
「では!」
私は,これまで何となく,つっかえたような気分を一掃するために,一気に速度を上げて,ドンドンと急坂を登り始める。思い切り速度を上げるのは気分爽快である。するとすぐ後にフクロウとバーダーが私以上に凄い速度で,お二人を追い越して登り始める。
頂上に近付くと,踏み跡がますます不明瞭になってくる。そこでガイド頭が追いつくのを待つことにする。そして,12時丁度にガイド頭と一緒に丘の上に到着する。標高1465メートルである。ガイド頭は,私に,
「個々で待っていろ・・・」
という。そうこうしていると,次々にお二人を除くメンバーが次々に到着する。到着組は丘の上に立っている小さな棒杭の前で,記念写真を撮り合う。やがて,一行よりかなり遅れたお二人も到着する。ここで小休止する。丘の上から後ろを振り返ると下タマ湖が眼下に見えている。
12:13,小休止した後,歩き出す。ガイド頭が,
「お前,速いから,俺を引っ張って行け・・」
と冗談を言いながら,私のリュックを後ろから引っ張る。
ちょっとの時間でも,自分の全速力で歩ければ,もう満足である。私は,お御足の遅いお二人と同じ速度で歩いても全く気にならなくなる。ここからは,水平なプラトーが少続き,ついで,ゆるやかな丘を登る。そして,12:19,上タマ湖(Upper Lake)が見える丘の上に到着する。
丘の上には強い北風が吹いている。吹き曝しの丘の上は,とにかく寒い。私達は石を積んで囲っただけの素朴な風よけシェルターの中に入り込む。このシェルターは10人ほどがしゃがみ込むと一杯になってしまうほどの大きさしかない。
シェルターの中で昼食を摂る。眼下に上タマ湖が見下ろせる。素晴らしい景色である。たまたま,雲間から日が射してくる。途端にほんわかと暖かくなる。暖かくなると気分も大変良くなる。私は心の中で,
「こんな素晴らしい景色を堪能できるなんて,私は本当に恵まれているな」
と実感する。
(第19話終わり)