<新緑の鍋割山稜>
新緑の中,歩き足りない感じの丹沢:塔ノ岳(今年24回目)
(単独山行)
2014年5月20日(火) 晴
■急遽,塔ノ岳へ
平素は毎週水曜日と土曜日に塔ノ岳に登るようにしているが,明日水曜日(5月21日)はどうやら雨のようである.雨の中,トボトボと登山するのは,若い頃ならいざ知らず,今の私は気が進まない.それならば,どうせサンデー毎日の身なので,もともと曜日など気にすることはない.そこで,私は慣例を外して今日火曜日に塔ノ岳を往復することにする.
何時ものように,4時10分に自宅から出発する.もう外は明るくなっているので,早朝の出発も全く苦にならない.まずは大船駅までの2キロメートル余りの下り坂を歩く.
小田原で小田急線新宿行急行電車に乗り換えるが,まだ朝が早い時間なので電車は空いている.何時ものように電車の車窓から富士山と矢倉岳が重なるところをデジカメに収めるが,肝心の富士山に霞が掛かっていて,うっすらとしか見えない.案の定,私のデジカメでは富士山は撮せないようである.
渋沢発大倉行1番バスは,平日にしては随分と混雑している.ただ,常連はYKさん,YUさん,MMさん,AKさんなどごく僅かである.
7時06分,たまたま居合わせたYUさん,MMさんと3人一緒でに大倉から歩き出す.
■見晴階段
歩き出してすぐに,今日は湿気はそれほどでもないが,かなり気温が高いことに気が付く.
YUさんの歩行速度は,私には少し速すぎるなと思いながらも,まあ,何とか付いて行ける程度の速度だったので,暫くの間は雑談をしながら,ご一緒することにする.先頭はYUさんである.
たまたま路傍の鼻のことが話題になる.その成り行きで,MMさんから,
「(FHさんの)ブログを見ていますよ…でも,花の名前は書いていないね.もっとも(FHさんは)花は苦手だからね…」
と図星なことを言われてしまう.
ご指摘を受けるまでもなく,私は花は綺麗だから大好きだが,花の名前を覚えるのがとても苦手である.どうして花の名前が覚えられないのか自分でも分からないが,覚えられないものは覚えられない…と.この頃は開き直っている.
丹沢ベースを過ぎるあたりから,YUさんとの2人旅になる.引きつづき2人で雑談しながら登り続ける.話題はSTAP細胞のこと,登山の時のストックに使い方など多岐にわたる.
10時49分,見晴山荘に到着する.大倉を歩き出してからの所要時間は45分.私の経済速度より2~3分速い.今日の気温がやや高いこともあって,額から汗が流れ出そうになっている.
“これはダメだ…速すぎる!”
私は,ここから先は歩行速度を落として歩こうと決める.そこでYUさんにお断りして,私は後からユックリ登ることにする.
何時ものように見晴階段を見上げた写真を撮る.
まだ,この時点ではYUさんの後ろ姿がすぐ目の前に見えているが,私がこの坂を3分の2ほど登った頃には,YUさんはもう坂を登り切ってしまい,私の視界から消えていく.
<見晴階段を登る>
■うっすらとした富士山
9時05分,やっと一本松を通過する.大倉を歩き出してからの所要時間は59分.私の体力がもっとも充実していた頃なら,そろそろ駒止階段を登り切るラップだ.でも今ではやっと一本松.
8時08分,一本松上の平坦な道を歩いているときに,下ってくるYZさんとすれ違う.
やがて,駒止階段に差し掛かる.毎度のことながら,駒止階段を登るのはシンドイ.ここで無理をすると,花立階段辺りでバテてしまうので,とにかく無理をせずに登り続ける.
8時19分,やっと駒止茶屋に到着する.大倉を歩き出してから1時間13分経過している.
堀山の尾根道に差し掛かる.完全な一人旅.山の知人と一緒に登るのは実に楽しいが,一人旅もまた楽しいものである.緑陰の尾根道を勝手気ままな歩調でノンビリと歩くのも良いものである.
やがて富士山が良く見える場所に到着する.春霞を通して極うっすらと富士山が見えるような見えないような…
“よお~しっ…! このウッすら富士山を写真に撮るぞ…”
私は立ち止まって愛用のバカカメラを構える.そして色々と条件を変えながら数枚の写真を撮ってみる.
その結果,何とか肉眼で見た富士山と同じように撮れたのが下の写真である.
残雪で真っ白な富士山が,注意してみないと気が付かないほど,ごくボンヤリと見えてる.
私が写真を撮っている間,足許の谷間からウグイスやツツドリの啼き声が聞こえてくる.
<堀山の尾根道からうつすら富士山を望む>
■萱場平
8時19分,ようやく小草平に到着する.小草平のベンチで男性が休憩を取っている.男性に軽く会釈をして,小草平を通過する.
今日は気温が高いので,小草平から花立山荘まで,何時ものように所要時間40分で登るのは無理である.そこで,今日は45分ほど掛けてユックリ登ることにする.
私の前後には登山客の姿は全くない.そのため追い越したり追い越されたりする外乱がないのでセルフコントロールがしやすい.
ノンビリと登る.
何時の間にか,汗も引く.
次第に気分的にゆとりが出てくる.すると周囲の緑陰の美しさに心が惹かれるようになる.
“そう!…ゆとりだ! 大事なのは心のゆとりなんだ!”
改めて,ゆとりを持って登山を楽しむことが大切なんだと気が付く.
8時59分,ようやく萱場平に到着する.萱場平には人の気配はなく静まり返っている.木道の間に生えているアザミが随分と大きくなっているのを見極めてから萱場平を通過する.
<萱場平>
■ツツジが見頃
引きつづき花立山荘に向けて急坂を登り続ける.
路傍の所々に自生するツツジが見頃を迎えている.つい先ほど,同行していたMMさんから,
「ツツジには沢山の沢山の種類があるよ…」
と教えて頂いたばかりである.雄蕊だか雌蕊だか利いた途端に忘れたが,ツツジの種類によって本数(枚数?)が違うようである.そんなヤヤコシイ話は私には余りよく分からないし,とても覚えられない.だからここでは単に「ツツジ」ということにしておこう.
名前はともかく花の紫色と廻りの新緑とのコントラストが実に素晴らしい.
坂道の途中で,下山してくる若い二人連れとすれ違う.お互いに挨拶.お二人は尊仏山荘に宿泊したという.私が,
「…ネコに会いましたか?」
と聞いてみる.
「はい…! 白いネコに会いました.」
「えっ! 白い猫ですか!」
どうやら華伊達美弥雄さん(みゃ~君のこと)の他に,白い猫が尊仏山荘に住み着きそうな感じである.は安伊達宮尾さんも御年15歳のご高齢である.この白い猫が尊仏山荘の2代目猫になるんだろうか?
<ツツジが見頃>
■花立山荘
9時12分,あともう少しで後7分坂に差し掛かるところで,下山してくる韋駄天のNMさんとすれ違う.何時もなら後7分坂を3分の2ほど登ったところですれ違うので.それだけ今日の私は遅いということになる.
後7分坂をちょうと7分掛けて登って,9時21分に花立山荘に到着する.山荘前のベンチでは数名の登山客が休憩を取っている.富士山は何時の間にか,雲の中に隠れてしまい全く見えなくなっている.
大倉からの所要時間は2時間15分.これはいくら何でも時間の掛かりすぎである.でも,そのためか疲労感は全くなく,体調は快適そのものである.また,小草平(堀山の家)からの所要時間は43分.当初予定の45分との誤差はマイナス2分.
引きつづき坂道を登り続けて,9時30分に花立山を通過する.
富士山は見えないが,鍋割山稜の新緑が実に美しい.
<新緑が美しい鍋割山稜>
■塔ノ岳山頂
9時36分,金冷シを通過する.花立山荘からの所要時間は15分.まあ私の標準時間だ.ここから先,塔ノ岳山頂までは,3箇所の階段を登るだけ,ぐっと気が楽になる.
私は早春の気配が残る木々を眺めながら,ユックリと登る.今日は,これまでユックリと登ってきたので,汗もかいていないし,疲労感も全くない.それに気温は暑くも寒くもない.全くの一人登山なので,気を遣う同行者もいない.勝手気ままである.だから,実に気分爽快.正にルンルン気分である.
そんなわけでノソノソの登って,9時52分に塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は,ちょっと余計に掛かって2時間46分.まあ,ユックリと登ったので、こんな所か.山頂の気温はかなり高く19℃.
ふと塔ノ岳山頂を見回すと,どこか見覚えのある男性がこちらを見ている.そう! リンカーンと聖徳太子を足して2で割って,そこに尊仏山荘の山ネコ「みゃ~」を薫製にして粉末にしたものを振りかけたような感じの男性である.眼が少々悪い私は,もっとこの男性に近付かないとどなたかが分からない.
手を振りながら男性に近付くと、ご常連のIIさんである(妙な印象を書いてしまい失礼!).
「やあ…,こんにちは」
と言いながらIIさんが陣取っているベンチの隣に座り込む.暑くも寒くもなく,とても居心地が良い.私は尊仏山荘に入るのを止めて,このベンチで持参したオニギリを食べる,
せっかく外で食事をしているが,残念ながら雲が湧いていて,富士山だけでなく遠くの山々は全く見えない.
<塔ノ岳からの眺望>
■もうすぐシロヤシオが見頃になる
IIさんと雑談していると,見晴山荘までご一緒していたYUさんが,尊仏山荘から出てくる.そして,丹沢山方面に向かっている.
それを切っ掛けに,IIさんとシロヤシオのことが話題になる.
IIさんの話によると,
「…(尊仏山荘裏手の)シロヤシオの蕾が膨らんでいますよ…天気が良ければ3~4日中に咲きますよ…」
とのこと.楽しみなことを教えてくれる.
■3人揃って下山
ノンビリと雑談をしていると,間もなく,YUさんが戻ってくる.
10時15分,IIさん,YUさんと私の3人揃って,下山開始.速くも遅くもない速度で下山し続ける.途中,山頂付近と花立山付近で,朝同じバスに乗り合わせた常連とすれ違う.
今日は平日のためか,すれ違う登山者が少ないので,順調に下り続ける.
10時50分,萱場平に到着する.ここでYUさんが休憩を取るので先に行ってくれと言う.
「では,ユックリ下山しています…」
ということで,萱場平から先はIIさんと2人で下り続ける.
順調に下り続けて,11時26分,駒止茶屋を通過する.今度はIIさんが休憩を取るという.
“それでは…”
ということで,結局,1人旅の下りになる.
時計を見ると,どうやら大倉発12時22分のバスに間に合いそうである.私はバスの時間に合わせて下山速度を速めたり遅くしたりしながら,12時17分にバス停大倉に到着する.そして予定通り,12時22分発のバスに乗車する.
下り所要時間は,2時間02分.
■大船駅でコーヒーブレーク
渋沢駅から小田急下り電車に乗車する.小田原で東海道本線電車に乗り換えて,14時丁度に大船駅に到着する.
“折角の良い天気なのに,このまま,帰宅するのは,勿体ないな…”
私は,取りあえずは,駅構内のBecker'sに入り込む.そして五十三次洛遊会の知人から頂戴した50円の割引券を使わせて頂き,100ウン10円でホットコーフーを所望する.
<Becker'sのコーヒー>
■自宅までノンビリ歩きはじめる
コーヒーを飲んでいる内に,このままバスに乗って帰る気がしない.何となく歩き足りないような気がしている.
“今日はユックリ歩きすぎたかな…それで物足りない感じなのかな.”
私は,大船駅から自宅までの2キロメートルほどの登り道を歩いて帰ることにする.標高差約65メートル.
14時15分,大船駅から歩き出す.
まずは駅前の繁華街,中通りをブラブラ.沢山の買い物客で大変賑わっている.私は何も買わないが,売っている商品には興味がある.あちこちのお店をハシゴしながらジャストルッキング.
<大船中通りを歩く>
■鎌倉中央公園
中通りから山崎を経由して,鎌倉中央公園に入る.昼下がりの公園は人影まばらである. 私は公園の中の新緑や花を眺めながら,15時過ぎに無事帰宅する.
今日1日の累積歩数は約37,000歩余り.やっと“歩いたな…”という気分になる.
まだ日が高い.早速,着衣を洗濯する.もっとも汗は殆どかいていないので,夕方風呂に入るまで,着たままでも良かったが,帰宅後すぐ洗うのを習慣にしている.
毎週,何時も水曜日に塔ノ岳に登っているので,今日は一寸曜日の感覚がおかしくなっているが,好天に恵まれての楽しい山行であった.
そんなわけで,今日も良かった! 良かった!
<鎌倉中央公園上の池>
<ラップタイム>
7:06 大倉歩き出し
7:30 観音茶屋
7:49 見晴山荘
8:19 駒止茶屋
8:38 堀山の家
9:21 花立山荘
9:36 金冷シ
9:52 塔ノ岳山頂着(+19.0℃)
10:15 〃 発
10:26 金冷シ
10:38 花立山荘
11:26 駒止茶屋
11:43 見晴山荘
11:56 観音茶屋
12:17 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:06
塔ノ岳 着 9:52
(所要時間) 2 時間46分(2.77h)
水平歩行速度 7.0km/2.77h=2.52km/h
登攀速度 1,269m/2.77h=458.1m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:15
大倉 着 12:17
(所要時間) 2時間02分(2.03h)
水平歩行速度 7.0km/2.03h=3.44km/h
下降速度 1,269m/2.03h=635.1m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ee591c9d4d3287ff52d3d7b28d09e802
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5c464257d6b63011207802e15087eae2
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