<濃い霧の塔ノ岳山頂>
濃い霧の中を登る丹沢;塔ノ岳(今年47回目)
(単独山行)
2014年9月24日(水) 曇(山麓は晴)後一時雨
■1番バスが空いている
星空を眺めながら夜明けの山道を下って,大船駅に向かう.朝夕はすっかり涼しくなった…というよりは少し寒くなった.段々と,早朝に家を出るのが億劫になり始めるので,そろそろ前の晩から登山着に着替えたまま就寝する方が良いかなと思い始めている.
昨日は秋分の日だった.いよいよ今日から昼間の方が短くなる.蒸し暑いシーズンが終わるのは有り難いが,寒い冬が近付いているかと思うと淋しい気分になる.
何時ものように大船発5時10分の東海道本線下り初電に乗車する.随分と乗客が少ない.4人掛けの1ボックスを私一人で占有できるのは有り難いが,逆に少々淋しい.
小田原で小田急電車に乗り換える.車窓から矢倉岳と富士山を眺めるのが楽しみだが,今日は矢倉岳は良く見えているものの,富士山は雲に覆われていて全く見えない.
昨夜は,早々と21時頃,就寝したが,どういう訳か夜中に何回も目が覚めてしまい,今朝は少々寝不足気味で,身体が重い.小田原駅と渋沢駅の登り階段で息がハアハアしそうになる.
“こりゃあ~…今日は何もかもダメかな”
と思いながら,渋沢駅の大倉行バス停に到着する.
図らずもバス停に1番乗りだ.
1番バスは,この時期の平日にしても,バカに空いている.乗り合わせた乗客はせいぜい10名前後である.その内,常連はTGさん,TDさん,YUさん,MTさんだけ.乗り合わせた顔ぶれを眺めながら,
“この中では,オレが一番足が遅いな…”
と多少惨めな気分になる.
■大倉から歩き出す
7時02分,バス停大倉から歩き出す.
TDさんは二俣を登るとかで別行動.たまたま同じ時刻に歩き出したTGさんとほんの暫くご一緒する…が,ものの5分もしないうちに,とてもとてもTGさんと同じ速度では歩けないので,
「どうぞ,お先に…」
と惜別.またたくまにTGさんの後ろ姿が消えていく.
バス停大倉の気温は23℃.やや高いが,一時ほどのどうしようもない蒸し暑さの時期は,峠を越えている.気温はまあ,まあだが,今日は湿度が高いようである.
7時07分,登山道に入る.路面は良く乾いているので歩き易い.そして,今日は早々と一人旅が続く.ただ,相変わらず身体が幾分重たい感じが続いている.私は心の中で,
“無理はしないぞ…”
と思いながら,自分なりの速度で登り続ける.
7時27分,観音茶屋を通過する.気温20℃.大倉より少し気温が下がっている.
■見晴階段
7時46分,見晴茶屋を通過する.歩き出してから44分経過している.私の平均速度より2分ほど遅い到着である.
“まあ,誤差の内さ…”
と思いながら,見晴階段に差し掛かる.気温20℃.
階段の登り口で,階段を見上げた写真を撮る.今日は登山者の後ろ姿が全く見えない.こんなことは滅多にない.
この階段が大倉尾根の最初の難所である.ここで体力を消耗してしまうと,後がきつくなることは目に見えている.私は自制しながら極力ユックリと登り続けて,体力の温存に注意を集中する.
<見晴階段>
■駒止階段
見晴階段を登り切ってモミジ坂に差し掛かる.この坂道も結構長い.だれも追い越さず,だれにも追い越されずに,マイペースで登り続けて,8時03分にやっと一本松を通過する.
もう,大倉から歩き出してから1時間01分も掛かっている.数年前の私なら,駒止階段を半分ぐらい登っていてもおかしくない時間である.なんだかんだ言っていても加齢とともに体力は衰えるなと実感しながら,一本松を通過する.気温18℃.
一本松からの平坦道は,少し歩行速度を速める.そして,駒止階段に差し掛かる.
正直,この階段,シンドイ.
のたのたとだらしなく階段を登りはじめる.
このとき,前方からKSさんが降りてくる.
「ヤア,ヤア,…FHさん!」
で握手.
「今日の山頂は濃い霧でしたよ…」
KSさんに,何時ものように元気を貰って,8時16分に,やっと駒止茶屋を通過する.気温19℃.一本松より気温が少し高い.どうしてだろう?
大倉からの所要時間は1時間14分.相変わらず情けないラップである.
■堀山の尾根道
堀山の尾根道に差し掛かる.こぼれ日の平らな道を気持ちよく歩く.ホッとしたような実にすがすがしい気分になる.
8時25分,富士山が良く見える場所に到着する.ところがモクモクとした雲が沢山湧き出ていて,富士山は全く見えない.でも儀式として見えない富士山の写真を撮る.
8時26分,堀山の標識を通過する.
<見えない富士山>
■小草平
8時29分,下山してくる2本ストックのYZさんとすれ違う.相変わらずYZさんは走っている.
8時34分,小草平に到着する.堀山の家は平日なので休業中.小草平のベンチには誰も居ない.辺りは静まり返っている.
大倉からの所要時間は1時間33分.随分ユックリペースだがやむを得ない.気温18℃.
休憩は取らずにそのまま登り続ける.
■萱場平
ここから花立山荘までの急坂を,今日は43分程度で登れればいいなと皮算用.
ただ相変わらず身体が重い感じが残っているので,慎重に登り続ける.途中,戸沢分岐手前で,後から登って凝られたYUさんが,私に追い付いたので,YUさんに先を譲る.YUさんは,
「そんならお先します…」
と私に挨拶して,私を追い越して行く.YUさんの後ろ姿は次第に遠のいていく.
8時54分,やっと萱場平に到着する.随分と遅いけれども,10時前には間違いなく塔ノ岳山頂に到着できると確信する.萱場平の気温は20℃.いつも不思議に思うのは,萱場平の気温が,小草平より2℃ほど何時も高いことである.
今日の萱場平は,だれも居ない.静まり返っている.例により定点観測の写真を撮る.
木道の間に繁茂するアザミが幾分元気がなくなってきたようである.
<萱場平>
■後七分坂
相変わらずの一人旅を続ける.その間に若い登山者に2~3人に追い抜かれる.スイスイと登って行く若い人の体力が羨ましい.
後七分坂の手前の大岩で,下山してくる韋駄天のNMさんとすれ違う.
「涼しくなりましたね…」
とNMさんが私に話しかける.一言二言挨拶を交わす.
ノソノソ登りだが,登り続けていれば,その内に高い所まで行けるさ…で,9時12分,後七分坂(花立階段)の登り口に到着する.ここで見えない富士山の写真を撮ってから,後七分坂を登り始める.
今日はシンドイので,とても7分では登れない,ユックリ,ユックリ登っていると,2番バスで来られたFTさんに,坂の途中で追い越される.物凄い速度だ.
「後七分坂という名前,変えないとダメですね…7分がプレッシャーになってシンドイです…」
とFTさんが言う.勿論「後七分坂」は一般には通用しない一部の常連の間だけの言葉だが…そうは言いながらFTさんは5~6分で後七分坂を登り切ったようである.
<後七分坂>
■花立山荘
9時21分,漸く花立山荘に到着する.後七分坂を9分掛けて登ったことになる.
大倉からの所要時間は2時間19分.いくら何でも遅すぎるなと思う.小草平からの所要時間は46分.こちらも今日の目標より3分遅い.花立山荘の気温は16℃.
不思議なことに,花立山荘から少し上から先には霧が掛かっている.花立山荘から下は見通しがよいのに,ちょっと先は濃い霧の中である.その霧の境目を,先ほど私を追い抜いたFTさんが登っている.
“遅いとはいえ,これで10時前には塔ノ岳山頂に悠々到着できるな…”
と確信する.
<花立山荘>
■塔ノ岳山頂
花立山荘から先はすぐに深い霧の中である.何時もは周囲の写真を撮りながら登るので,花立山荘から花立山山頂まで約10分かかるが,今日は証拠写真を1~2枚撮っただけなので.8分で花立山山頂を通過する.花立山山頂の気温は16℃.
9時35分,金冷シを通過.気温16℃と変わらず.
金冷シから先は,濃い霧の中を淡々と登って,9時50分に塔ノ岳山頂に到着する.山頂には更に深い霧が掛かっている.近くに建っている尊仏山荘すら霧に隠れて見えない.気温5℃.金冷シと10℃ほどの気温差がある.
大倉からの所要時間は2時間48分,花立山荘からは29分,金冷シからは15分である.ということは花立山荘から山頂までの所要時間は順調ということになる.
山頂には何人かの登山客が居るようだが,霧が深いので,何人居るかは正確には分からない.
<塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘
山頂は吹きさらし.冷たい風が吹いている.
このまま,すぐに下山しようかとも思ったが,たまには尊仏山荘に立ち寄ろうと思う.
尊仏山荘に入る.先客は常連のMTさん,NMさん,それに途中で私を追い越したYUさんとFTさん.小屋番はオーナーのHDさん.
…で,山ネコに「ミャ~」に会うのは諦める.
300円也のお茶を所望する.
そういえば,TGさんが居られないし,途中ですれ違った覚えもない・
「あれ…! TGさんは…?」
と伺うと,
「先ほど,出て行かれましたよ.今,トイレでしょう…」
9時55分頃,トイレを出たTGさんが尊仏山荘から下山開始される.
「だんだんと,登の二時間が掛かるようになっちゃって…」
と何となく愚痴る.それを聞いたMTさんが,
「(その歳で)山頂まで登ってくるだけでマシですよ…」
と,MTさんに,グサリと言われてしまう.
■単独で下山
私は大倉発12時22分のバスに乗りたいなと思う.
他の皆さんより一足早く,10時07分に下山開始.下りも完全一人旅である.私は自分の好みの速度で,時には速く時にはノンビリ下山し続ける.ときどき登って来る登山者とすれ違いながら…
12時27分,花立山荘を通過する.後七分坂を慎重に下る.ここで転倒したら百年目.年を取ってのケガは再起不能になる確率が高い.慎重にならないわけにはいかない.
10時39分,萱場平に到着する.
ふと前を見ると,すぐ前にTGさんが居られる.TGさんが,
「どうぞ先に行って下さい…私,12時22分のバスに間に合うようにユックリ下ります」
と言われるので,
“なんだか登りでTGさんに追い抜かれたときと,逆になったな…”
と思いながら,先に行かせてもらう.
高度が下がるにつれて気温が上がっていく.
花立山荘16℃,堀山の家17℃,堀山20℃,駒止yたや18℃,見晴茶屋20℃という具合である.
11時58分,バス停大倉に到着する.気温25℃.
“しまった! もう少し速く下山すれば11時52分のバスに間に合ったな…”
と一瞬思ったが,
“無理して早く帰って何するんだ…”
と,私の心の中に巣喰っているもう一人の私に意見されてしまう.
本日の下り所要時間は1時間51分.こちらは私の正常速度である.
■ベンチの日陰で昼寝をするネコ
バス停大倉の水洗い場で,靴に付着した泥を洗い流す.まだバスの時間までかなりの余裕がある.
バス乗り場のベンチにリュックを置いて,日向ぼっこをしながら待ち時間を過ごす.
ベンチの日陰では,近所のネコが気持ちよさそうに昼寝をしている.ネコの昼寝を邪魔する気はさらさらないが,余りに気持ちが良さそうなので,思わず写真を何枚か撮る.それにしても実に気持ちが良さそうである.
<バス停大倉の昼寝ネコ>
■14時半頃無事帰宅
大倉12時22分発渋沢行のバスに乗車する.乗り合わせた常連は,TGさんとYUさんのお二人.
バスは12時35分に渋沢駅に到着する.タッチの差で12時36分発の電車に間に合わない.すると小田原発13時04分特別快速高崎行にも間に合わない…ということで,大船でも自宅近くを通るバスの接続も悪くなる.
バス乗り場でバス待ちをしている間に,雨が降り出す.すぐ止むかと思ったら本降りのようなシトシト雨になる.
そんなことで,次のバスに乗車し,雨の中14時20分頃やっと帰宅する.
自宅でシャワーを浴びてから,近くの内科医を訪れる.1ヶ月に一度血圧などをチェックして貰っている.
今回も異常なしで良かった! 良かった!
<ラップタイム>
7:02 大倉歩き出し(23℃)
7:27 観音茶屋(20℃)
7:46 見晴茶屋(20℃)
8:16 駒止茶屋(19℃)
8:35 堀山の家(18℃)
9:21 花立山荘(18℃)
9:35 金冷シ(16℃)
9:50 塔ノ岳 着(5℃)
10:07 〃 発
10:19 金冷シ
10:27 花立山荘(15℃)
10:50 堀山の家
11:06 駒止茶屋(18℃)
11:25 見晴茶屋(20℃)
11:39 観音茶屋(22℃)
11:58 大倉着(25℃)
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1,269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:02
塔ノ岳 着 9:50
(所要時間) 2 時間48分(2.80h)
水平歩行速度 7.0km/2.80h=2.50km/h
登攀速度 1,269m/2.80h=453.2m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:07
大倉 着 11:58
(所要時間) 1時間51 分(1.85h)
水平歩行速度 7.0km/1.85h=3.78km/h
下降速度 1,269m/2.08h=685.9m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/cd380a5c299f114f5b380cb7f6f7537c
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5e54278235d4e678cea73b18b45c547d
※誤字脱字転換ミスご容赦
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