ウイルヘルム山登頂記:プロローグ(1)
魅惑のパプアニューギニアを旅して
2007年2月10日(土)~17日(土)
<ウイルヘルム山の登頂を終えて>
■8日間の旅
この度,flower-hillは,2月10日(土)から8日間のパプアニューギニア(以下略してPNG)への旅を終えて,17日(土)に,無事,帰国した。
成田を夜出発したニューギニア航空の飛行機は,翌,11日(日)朝に,灼熱の太陽が照りつけるPNGの首都,ポートモレスビーに到着した。そこから国内線に乗り継いでマウントハーゲンへ,そして悪路に悩まされながら,オセアニアの最高峰,ウイルヘルム山(標高4,508m)を目指した。
ウイルヘルム山の登頂は,予想に違わず大変きつかった。しかし,それだけに登頂に成功した達成感は何ともいえないほど素晴らしかった。
<柵の向こうは飛行機を見に来た群衆が群がっている:マウントハーゲン空港にて>
■原始と現代の混在
PNGに到着してから帰国するまで,幾度となく予想外のハプニングに出くわした。ときには驚き,呆れ,抱腹絶倒し,彼らの不気味さに身が縮んだ。
山行は泥濘と高度障害に悩まされて過酷であった。しかし,ほぼ1週間にわたり,現地の人々と親密に触れ合えたのは望外の幸いであった。
PNGには約800の種族が群雄割拠している。それぞれの種族が固有の文化と言語を持っている国である。お互いの価値観が違えば,些細なことでも大事件になってしまう。そこで,万一,事件があったときに,仲裁と,護衛のために,マウントハーゲンから登山口までの往復には,小銃を持った警察官が,私達の車に同乗した。
<私達の乗った車を覗き込む人々>
■ゆったりとした生活
沿道には沢山の人々が何となく歩いている。市場らしいところには,沢山の人集りができている。縦穴住居風の粗末な小屋が建ち並ぶ。それでも至る所に教会が建っている。南洋特有のけばけばしいほどの緑豊かな台地が広がっている。ここは赤道直下。粗末な(?)食べ物とはいえ,豊かである。大地ととけ込んだような木々の緑陰で,人々は貧しいながらも,ノンビリ,ゆったりと生活を送っている。建物や着物は,素材は粗末かもしれないが,個性豊かで,すばらしく芸術性が高いように見受けられる。彼らは実に感性豊かである。そして自分の家族や自然をとても大切にしている。
山岳地帯に入ると,のんびりと,日長一日,人々はその辺に座り込んで居る。座り込んだついでに,自分の前に少しばかりの野菜や食料品を並べて売っている。売れれば幸い。売れなくて元々,売れなければ自分で食べてしまうんだろうと想像する。
■親日的な人々
PNGは英連邦に属する国である。数百の言語があるが,公用語は英語である。従って,私達が接する原住民は,訛りがひどいものの,全員,英語を話す。そのために,PNG滞在中に,いろいろな人と会話を交わすことができた。少し親しくなり始めると,彼らの口から,オーストラリア,アメリカなどに対する不信感と,日本への親近感を吐露してくれる。彼らの言うことが本心なのかどうか良く分からないが,日本人の一人として,flower-hillも大変な安堵感を味わうことができた。
ガイド頭が,
「祖父がオーストラリアの奴隷となった・・・・今日と同じように,戦争中,日本軍のポーターをやっていたよ。日本が負けて残念だった・・・」
と呟く。それを聞いた私は何ともいえない気分になった。
<珍しい私達の廻りに沢山の人が集まる:ベティズロッジにて>
■席巻する日本車
大都会のポートモレスビーでは,交通渋滞にはならないものの,さすがに沢山の自動車が走っている。信号機も3カ所に設置されているという。しかし,地方都市のマウントハーゲンに行くと,走っているのはトラックとリムジンだけ。信号などない。乗用車や二輪車は全く見かけい。何処へ行っても,殆ど全ての自動車が日本製の中古車である。その80パーセント程度はTOYOTAのようである。その他に,ISUZU,MITSUBISHIの車を見かける。トラックの後には,誇らしげにTOYOTA,ISUZUなどと書いてある。
日本の何処かの幼稚園で使われていたと思われるボロボロの中古車の運転手が,鼻を膨らませながら,
「この車,丈夫で良いよ・・」
と誇らしげである。
■どっちが幸せ?
今回の旅は,これまでflower-hillが経験した海外旅行の中では,最も刺激的,かつ,魅力に満ちた旅であった。
文明の発展とは一体何んだろうか?
大地にとけ込むように生活している彼らは,先進国の尺度で見れば,確かに極貧のレベルであろう。しかし,家族や親しい人達と一緒になって,毎日,のんびりとハイキングをしたり,井戸端会議をしたりしながら,何の屈託もなく,ゆっくりとした時間の中で暮らす彼らの方が,メタボリックシンドローム,子供殺し,サギ・・・に眉をひそめて,セカセカと暮らしている私達よりも,ずっと幸福ではないかと考えてしまう。彼らは実に家族を大切にしている。
■嫁1人はブタ50頭の価値
ただ,ここでは,一夫多妻制である。奥さん1人の価値はブタ50頭と同じである。50頭のブタが調達できれば,妻を娶ることができる。さらに50頭あれば3人目の妻も娶れる。ブタさえ調達できれば,何人でも妻を娶ることができる。私達から見れば,何とも不思議な制度である。私達のチーフガイドは,現在,1人の妻と2人の子持ちである。彼は,近々,50頭のブタが用意できるので,2人目の妻を迎えるようである。彼と話し込んでいる内に,何となく違和感は残るものの,家族を,とても大切にしていることが良く分かる。
ここでは,北朝鮮やイラクのことよりも,ブタ50頭の方が身近な関心事である。そして,私の人生観も,今回の旅で,大きく変わってしまいそうである。
次回から,このショッキングな旅の一部始終を,順次,このブログで披露することにしたい。
(つづく)
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お待ちしておりました、、、。
熱帯地域への長旅?!たいへんおつかれさまでした。
今からしばらく(数週間?)は、「flower-hillさんの「ぱぷあにゅーぎにあ山旅紀行」!楽しみに拝読させていただきます・・・
(あまり喋りすぎないよう、コメント付けすぎないよう静かに、おとなしく品行方正に・・・)
当ブログにお越し頂き光栄に存じます。
この紀行が終えるのに,何回掛かるか分かりませんが,どうぞ宜しくお願いします。
ドンドンとコメントをして下さい。