ウイルヘルム山登頂記(22):ロロアタ島で休息(1)
マウントハーゲンからポートモレスビーへ移動
2007年2月10日(土)~17日(日)
第7日目 2007年2月16日(金)(つづき)
■気持ちの良い寝覚め
ウイルヘルム山の登頂を終えた私達は,昨日,再びマウントハーゲン市内にあるマウントハーゲンホテルへ戻った。そして,久しぶりに寝心地の良いベッドで快眠した。夜中に大雨が降っていた。ザアザアと屋根に吹きつける雨音が聞こえていた。眠りながら,いろいろな夢を見たような気がするが,どんな夢を見たのか思い出せない。
今日は,ポートモレスビーを経由して,近くのリゾート,ロロアタ島へ渡る予定である。私達は今回のツアーの大目的であるウイルヘルム山への登頂に成功しているので,これからは大変気分良く,ロロアタ島での休日が過ごせそうである。
6時25分にモーニングコールの電話がある。そして,7時丁度から朝食である。例によって,プールサイドの芝生での食事である。私は,メインディッシュとして,サニーサイドアップを注文する。何となく1エッグの積もりだったが,出てきたのは2エッグであった。「まあ・・・いいか」で2個とも食べてしまう。それに野菜サラダと大きなソーセージ,ハムが付いている。明らかにカロリーオーバーであろう。
■人集りのマウントハーゲン空港
朝食後,一旦部屋に戻り,7時30分にバゲージダウン。その後,暫くの間,貯まっていたメモ帳の整理を続ける。
8時25分,集合時間5分前に,集合場所のホテルのロビーへ行く。ロビーには,もう大部分の仲間が集まっている。玄関前の広場には,例のお土産屋が店を開いている。
<ホテル前の青空市場にて:右から2人目が元気なケイ>
8時30分,珍しく定刻に,私達が乗車するリムジンが到着する。すぐに乗車,8時37分,ホテルを出発する。
外に出ると,泥と人混みの世界である。ホテルの中とは隔絶した世界である。沢山の人がスーパーマーケットや青空市場に集まっている。私達を乗せたリムジンは人混みをかき分けるようにして進む。遠くの山々の頂上付近には雲が厚く垂れ込めている。リムジンは,都会と原始が混ざり合った不可思議な空間を移動している。
<朝のマウントハーゲン中心街:水溜まりと群衆>
そして,8時50分にマウントハーゲン空港に到着する。空港は沢山の人で混雑している。その混雑ぶりに圧倒される。リムジンを降りると,すぐに物売り達が私達の廻りに寄ってくる。
「ソロモンと離れないように,すぐ後に着いて進んでください・・・」
とケイが大声で私達に注意する。
私達は緊張しながら,ソロモンの後に続く。そして,搭乗手続きが済むまで,待合室で一緒に集まって待っているように指示される。待合室は大変な混雑である。子供を膝に抱いた女性,年輩の男,若い人達,多種多様な人達が混ざり合っている。私は開いている椅子を探して座る。私達は何時飛ぶか分からない飛行機をひたすら待つ。滑走路の方から飛行機のプロペラの音や,ヘリコプターの音が聞こえてくる。
■手書きの搭乗券
ケイが搭乗券を配る。搭乗券の情報は,すべて手書きである。搭乗券を貰ってから,また暫くの間,待合室で何時になるか分からない搭乗開始時間まで待ちつづける。仲間の1人が,たまたま自分の前にいる可愛い赤ん坊をあやしている。どこの国へ行っても,赤ん坊は可愛いものである。
<空港待合室の掲示>
9時58分,漸く搭乗開始になる。一つしかない搭乗ゲートには沢山の人が詰めかけている。ここでは,一列に並ぶようなことはしない。ゲートに沢山に人が一度に押し寄せている。押し合いへし合いになるかと覚悟していたら,案外すんなりと搭乗ゲートに辿り着く。
実は,沢山の人達の大半は飛行機に搭乗する人ではなく,ただ空港へ見物に来ている人達のようである。要するに暇つぶしのために空港へ遊びに来ているのである。
<混雑する待合室:大半の人達は暇つぶしの見物人である>
搭乗に際して,セキュリティチェックは全くない。
搭乗口で係員に搭乗券を差し出すと,手許の座席表と照合して,ボールペンでチェックする。そして,半券を千切ることなしに,そのまま搭乗券を私に返却する。あっけなく,そのまま歩いて飛行機に向かう。私の座席は8F。進行方向向かって右の窓側である。何故か機内の座席にはBの列(row)はない。A列の次はC列になっている。
■ポートモレスビーに到着,ソロモンがいない!
10時23分,定刻より約10分遅れで私達を乗せた飛行機は出発する。英語で酸素マスクなどセキュリティ関係の説明がある。そして,10時27分,マウントハーゲン空港の滑走路を離陸する。すぐに眼下には山岳地帯が広がり始める。飛行機から見下ろすと,人跡が全く見当たらない山岳地帯が延々と続いている。そして大きく蛇行する川が次々に現れる。
10時49分,キャビンアテンダントが,乗客にアップルジュースとビスケットを配り始める。ビスケットはあまり甘くなくて,私好みである。機内を見回すと,私達日本人の他に,オーストラリア人,それに中国人らしい人達が混じっている。後は真っ黒な現地の人達だけである。
やがて,進行方向右手に,鋸の歯のように急峻な峰が連なる山脈が見えはじめる。素晴らしい山容である。手許に正確な地図がないので,何という山か分からないが,登ってみたいなと思う。
<鋸の歯のような峰が連なる山脈>
11時を過ぎた頃から,飛行機は次第に高度を下げ始める。機内の気圧が増してくる。次第に耳が痛くなる。その後,暫くの間は,耳の調子が悪いままになり苦労する。11時18分,飛行機は無事ポートモレスビー空港に着陸する。相変わらずノンビリとした雰囲気の空港である。11時24分,ディセンバーグ。地上の廊下を歩いて,空港の建物に入る。暑い!
それでも建物の中は,いくらか冷房が利いているので涼しい。預け入れた荷物がなかなか出てこない。11時37分,漸くバゲージクレイムを終わる。空港の建物から外へ出る。途端に沢山の人に取り囲まれる。ホテルの名前を書いた紙を持った人も何人かいる。しかし,私達を出迎えるはずのパラダイス観光のソロモンの姿が見えない。一体,彼は何処で何をしているんだろう・・・
仕方なく,ケイが逆にソロモンを探しに行く。ケイはうら若い女性なのに,何とも肝っ玉の据わった図太い心臓の持ち主である。男の猛者そっちのけである。ほとほと彼女の凄さに感心させられる。
■ロロアタ島行の船着場へ
11時40分,ようやくソロモンが現れる。ソロモンの後に続いて,沢山の人をかき分けながら,駐車場に向かう。そして,11時45分,漸くパラダイス観光のオンボロ幼稚園バスに乗車する。すぐに発車。
<使い古した元幼稚園バス>
私達を乗せたバスは,空港を出ると,すぐにのどかな郊外に出る。それ程立派とはいえないが,山岳地帯と比較すると随分立派な家が立ち並んでいる。相変わらず沢山の人達が何となく道端に屯している。
「・・・ここでは,仕事が無くてブラブラしている人が多いんです。だから,とても治安が悪いんですよ・・・」
とケイが説明する。明るい太陽のもと,緑豊かな台地を通り抜ける。
「この辺りはとても気温が高いので,ココナッツ,パイナップル,キュウリぐらいしか獲れないよ・・米も,麦も,バナナも育たないよ・・・」
とソロモンが説明しはじめる。
「・・・この辺りの人達の主食は米か麦。PNGでは獲れないので,外国から輸入しているよ・・・」
話によると,ポートモレスビー近くの食生活は,どうやらお隣のオーストラリアに似ているようである。
12時07分,ロロアタ島に向かう船の船着場に到着する。フェンスの入口を通って,船着場構内に入る。目の前には青い海が広がっている。天気がよいので素晴らしい風景である。お気には小さな島が幾つも横たわっている。どれが私達が渡るロロアタ島なのかは分からない。日が高く暑いが,心地よい海風が吹いている。波止場には小さな客船が停泊している。
(つづく)
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