中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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歩いて巡る中山道中六十九宿(第9回);第2日目(5);垂木坂・砥川を下る

2013年08月16日 05時29分23秒 | 中山道六十九宿

                                    <国道142号線に合流>

[修正版]歩いて巡る中山道中六十九宿(第9回);第2日目(5);垂木坂・砥川を下る
            (五十三次洛遊会)
        2010年9月11日(土)~13日(月)

※本稿の初出は2010年12月31日である.
 初稿の地図の差し替え,本文の加除修正を行った.

第2日目:2010年9月12日(土)
 (つづき)

<ルート地図>


※再掲


<垂木坂を下る>

■茶屋本陣跡
 西餅屋跡で早めの昼食を終える.そして,茶屋跡を軽く一回りしてみる.夏草が繁茂する空き地の端に行くと,往時の建物の基礎と思われる石が残っている.案内板によると.ここには茶屋本陣があったようである.
 幕末の頃,高島藩は水戸天狗勢の進入を阻止するために,西餅屋茶屋を焼き払って,樋橋村の砥沢口の陣をはる松本藩に合流したという.
 ここを訪れるまで,私はそんな出来事があったとは知らなかったが,動乱期の歴史の一端を新鮮な気持ちで垣間見ることができた.

<茶屋本陣跡>

■西餅屋一里塚
 11時58分,私達は西餅屋跡から歩き出す.
 国道142号線を横切って,再び野趣豊かな旧中山道に入る.すぐに,江戸日本橋から53里目の西餅屋一里塚跡を通過する.進行方向右側の土手を少し登ったところに,「一里塚」と刻字した立派な石塔が立っている.

<一里塚の石塔> 

■馬捨場跡
 大きくカーブする国道142号線を短く結ぶようにして旧中山道の道は続く.相変わらず鬱蒼とした木立の中の道である.所々に苔むした石塔が置かれている長い下り坂である.この辺りの坂を垂木坂というらしい.
  12時18分,私達は国道142号線の擁壁の上に到着する.擁壁沿いに下って,国道142号線に合流する.ここからは,ひたすら舗装道路を歩くことになる.国道142号線と合流する辺りが馬捨場跡である.すぐ近くに林道入口があるが,木柵で進入できないようになっている.

<鬱蒼とした木立の中を行く>

<水戸浪士塚>

■フヨーライト鉱業
 12時30分,国道142号線から右折して枝道に入る.案内書によれば,この分岐点付近に香炉岩があるはずだが,どれが香炉岩か良く分からないうちに通過してしまう.緩やかな下り坂が右へ大きくカーブする.このカーブに沿うようにフヨーライト鉱業という会社の大きな建物が建っている.
 フヨーライト鉱業が何を採掘している会社か良く分からないが,そのまま建物の前を通過する.道路はさらにカーブして,国道142号線のガード下を潜り抜ける.

<大きな工場の前を通過する>

■フヨ-ライトって何?
 資料4には,同社の案内があり,その中で「フヨーライトは,長野県下諏訪町和田峠付近で採掘された黒曜石を焼成・発泡して生産される良質のパーライト製品です.当社は原料黒曜石の採掘から製品加工まで一貫生産しております.」という説明がある.
 もともと私の専攻は資源工学であった,もっともほとんど全て忘れたが…でも,パーライト(Perlite)ぐらいは知っている,
 「ああ,そうか! ここはパーライト製品を作る会社だったのか」
と後になって合点.
 なお,念のため,資料5から,パーライトの記事を引用しておこう.「
パーライト とは、火山岩として産出されるパーライト原石や珪藻土等を高温で熱処理してできる人工発泡体である.ガラス質の岩石中に含まれる構造水がガス化して発泡する.「真珠石」とも呼ばれる.pH値は中性を示し耐火性,耐薬品性,断熱性に優れかつ多孔質,軽量である.黒曜石系パーライトは排水性向上,わずかではあるが附着水はミネラル水となり,イオン交換性能(根腐れ防止効果)も認められる.」とのこと.
 これ以上は冗長になるので,この辺りで引用はやめるが,パーライトは園芸でも使われているようである.


■山の神一之御柱
 ガードを潜り抜けると,公園風の広場に出る.広場に入ってすぐの所に太くて長い丸太が置いてある.丸太の頭に「山の神一之御柱」と書いた立て札がある.
 多分,下諏訪神社のお祭りと関係あるのだろうと思うが詳細は分からない.
 
 <公園風の広場>                                       <山の神一ノ御柱>

■史跡浪人塚と山の神神社
 12時45分,史跡浪人塚に到着する.近くにある案内板には次のような説明が書かれている.
 「1,864年(元治元年)10月20日に,この一帯で水戸の浪士武田耕雲斉たちが千余人と,松本,諏訪の連合千余人が戦った古戦場である.主要武器はきわめて初歩の大砲10門くらいづつと猟銃少しだけで,あとは弓,槍刀が主要武器として使われた.半日戦に娘子軍に10余,松本勢に4,諏訪勢に6柱の戦死者があり,浪士たちは,戦没者をここに埋めていったが,高島藩は塚を造って祀った.碑には,当時水戸に照会して得た6柱だけ刻まれている.明治維新を前に尊い人柱であった.」
 なお,資料1によると,「1864年(元治元年)3月,水戸天狗党は筑波山で挙兵,「尊王攘夷」を掲げ家老武田耕雲斉を総大将にして京へ上る途次,ここで幕命を受けた高島,松本両藩の陣と衝突,これを劇はする.この戦いで,水戸天狗党は15名の死者を出し,ここに葬った.その後,一党は敦賀で金沢藩に降伏し,400人が斬首となる.塚には桜が植樹され,墓碑が建てられている.」
 私達は,浪人塚前で一休みする.私達一行の一部の方に疲労の色が見え始める.12時55分,休憩を終えて,浪人塚を出発する.
 再び国道142号線のガードを潜って,樋橋を渡る.そして,13時05分,山の神神社を通過する.
 
<浪人塚>                         <山の神自陣じゃ>

<下諏訪町に入る>

■祭りの準備
 山の神神社付近で,一旦,国道142号線に出るが,すぐに左折して,下諏訪町樋橋の聚落に到着する.聚落の中の静かな路地に入る.
 路地では,数名の住民が集まって.何か作業をしている.どうやら何かのお祭りの準備をしているようである.
 道路に沿って長い縄が張ってある.その縄に赤,緑,青,黄色など色々な色のテープをぶら下げている.そよ風に吹かれて,取り付けられたテープが揺れている.
 私のように大都会近郊の住宅地で,平素,ご近所とはほとんど没交渉のまま生活しているものにとっては,ご近所と和気あいあいでお祭りの準備をしているのがとても羨ましく感じる.

<祭りの準備>

■橘橋茶屋本陣跡
 聚落の一角に,大きな石柱が安置されている.傍らに立っている案内板によると,ここは下諏訪町文化財橘橋茶屋本陣跡である.
 「江戸時代初期に,中山道は五街道の一つに指定されて幹道になり,宿駅の整備が行われた.そのとき,下諏訪・和田両宿間,5里18丁(約22キロ)の峠路に立場茶屋として造られた一つがこの樋橋で,茶屋本陣小松嘉兵衛を中心に何軒かの茶屋ができた.本陣には御殿と呼ぶ小建築があって,文久元年11月6日には和宮様のお小休みがあった.元治元年11月には和田嶺合戦の戦場になるなど,交通の要地なるがゆえの事件はたくさんにあった.」

<橘橋茶屋本陣跡>

■南無阿弥陀仏
 再び国道142号線を横断して反対側の路地に入る.13時11分,南無阿弥陀仏付近で左に大きく曲がって,また国道142号線に合流する.

<南無阿弥陀仏>

■伊藤石材工業
 砥川沿いに国道142号線を暫くの間下る.そして,14時14分,伊藤石材工業の資材置き場の前を通過する.

<石材置場>

■湯のまち下諏訪の看板
 14時15分,中山道と刻字してある石塔の前を通過する.石塔の後ろには観音像と「湯のまち下諏訪」と書いてある大きな看板が立っている.

<下諏訪の看板>

■深沢橋
 14時21分,深沢橋を渡る.いよいよ下諏訪宿も,やっと視野に入り始める.

<深沢橋を渡る>
                                (つづく)

[参考資料]

資料1:今井金吾,1994,『新装版今昔中山道独案内』日本交通公社
資料2:『完全調査街道マップシリーズちゃんとあるける中山道六十七次』五街道ウォーク事務局
資料3:岸本豊,2007,『新版中山道69次を歩く』信濃毎日新聞社
資料4:http://www.fuyo-p.co.jp/seihin/fuyolight01.html
資料5:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88_(%E7%99%BA%E6%B3%A1%E4%BD%93)

[加除修正]
2013/8/16  地図の差し替えと本文の加除修正を行った.

「中山道中六十九宿巡り」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2ef7dca12e1cdff4782a34b65ae3eec7
「中山道中六十九宿巡り」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b2e28f767a7656658c0f1c4bdd2d1a76
「中山道六十九宿」の索引
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b0fff7ecf75b54c3f443aa58cfa9424e


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