<勝上嶽展望台からの眺望>
新春の鎌倉:山ノ内から天園ハイキングコースを歩く
(単独散策)
2012年1月9日(月・成人の日) 晴
<散策地図>
<山ノ内から建長寺へ>
■青空に映える紅葉
何時ものように,早朝3時30分に起床する.天気は良さそうだ.
「・・・よお~しっ! 丹沢へ行くぞ・・」
と,一瞬,その気になったが,今朝はどうしてもやらなければならない野暮用があって,出掛けるわけにはいかない.
ならば仕方がない.サッサとヤボ用を済ませてしまい,久々に鎌倉の天園でも一回りしてくるか.私は,早々に野暮用を手抜きで済ませて,とにかく出掛けることにする.
鎌倉の山を彷徨くだけなので,特段の準備も要らない.私はナップザックだけを持って,10時28分に,バス停鎌倉中央公園入口から歩き出す.
どうせ1人で散策するのだから,歩くコースは適当でよい.とにかく,まずは山之内配水池を目指して,丸山の山頂を目指して歩き始める.山頂にあるバス停山の上ロータリーに到着する.もうすぐ大船行のバス,ポニー号が到着するらしく,数名の乗客が待っている.
私も,ついつい予定を変更して,バスに乗って大船へ行こうかなと,気持ちがふらつくが,バスで大船へ出たのでは,サッパリ歩いたことにならないので,すんでのところで大船行を思いとどまる.そして,尾根沿いのバス通りを歩いて,山ノ内にあるレストラン「ブランブルグ」の手前で左折,そしてすぐに右折して,山ノ内配水池裏手の道に入る.
今日は快晴.眩しい青空が一杯に広がっている.ここからJR北鎌倉までの尾根道が,何とも素敵な散策路である.青空に生える紅葉を眺めながら,お気に入りの散策路を辿る.
<紅葉が残る山ノ内の散策路>
■山ノ内展望台
10時46分,山ノ内展望台に到着する.
ここへ来ると,四季を通じて,何かしらの花が楽しめるが,さすがに寒を迎えたこの時期に咲いている花は見当たらない.ただ,前方には,六国見山の美しい山並みが見えている.
私は何時ものように,ここから六国見山の勇姿をデジカメに収める.
<山ノ内から六国見山を望む>
■北鎌倉
尾根道を辿って瓜ヶ谷に下る.
桜の古木が道の真ん中に並んでいる自動車道に出る.その途端,狭い道をすれ違う自動車に悩まされる.そして,怖い思いをして漸く鎌倉街道に突き当たる.鎌倉街道を横断,三叉路のすぐ側にあるコンビニに立ち寄る.
レジに居られる奥さんから,
「今年も,どこか海外の山へ行かれるんですか?」
と聞かれる.
「そうですね・・・できればどこか海外の山に行きたいと思っています・・」
と曖昧な返事をする.この返事,私の本音である.一般のツアー会社で募集しているコースならばどこでも行けるだけの体力はあるつもりだが,先立つものがそう簡単に調達できないのが弱みである.
「ご主人は,お元気ですか・・・」
と伺いたかったが,ご主人が難病と闘病しているのを知っているので,何となく聞きそびれる.数年前までは,とても元気だったのに・・・・
コンビニで,オニギリを2個購入してから,北鎌倉駅前を経由して建長寺に向かう.
閑静な山ノ内の散策路と違って,北か薪等から先は,もの凄い人数の観光客でごった返している.円覚寺前の踏切で,上り下りの電車が相次いで走ってくるので,随分と待たされる.電車が着く度に,観光客がドッと下車する.下車した客がさばけないうちに次の電車が到着する.
■建長寺
今日はオーソドックスなコースで天園を一回りしようかなと思い始める.そこで,建長寺へ向かう沢山の観光客の後に付いて,もそもそと歩き続けて,11時25分に建長寺山門に到着する.
案内所で,鎌倉市の福寿手帳を差し出して,拝観料なしで境内に入れて貰う.久々に拝観する威風堂々の大寺院である.改めて新鮮な気持ちで拝観する.
<建長寺境内>
<半僧坊への階段>
■勝上嶽展望台
境内を奥に進む.回春院前を通過して山道を辿って真っ直ぐ十王岩に出ようかとも思ったが,待てよ・・今日はオーソドックスなルートを通ると決めたばかりではないかと自分を叱責する.
ついでに,勝上嶽展望台まで階段が何段あるか,改めて数えてみようと思い立つ.
「ひとつ,ふたつ,・・・今,何時だ・・・」
で途中で訳が分からなくなるが,半僧坊までが247段.半僧坊から勝上嶽展望台までが155段,合計402段のようである.ただ,何を以て階段と定義するかによって,数段の誤差があるのはやむを得ない.
半僧坊の近くにある富士見台に立ち寄るが,茫洋とした薄雲に富士山は隠れていて良く見えない.
11時45分,勝上嶽展望台に到着する.400段の階段を一気に登るとさすがに疲れる.展望台で数分休憩を取る.
今日は休日.結構,ハイカーが多いようである.入れ替わり立ち替わりハイカーが展望台に立ち寄っている.
<勝上嶽展望台から建長寺を見る>
<天園ハイキングコース>
■十王岩展望台と薬師如来
11時40分に勝上嶽展望台を出発する.ときどきハイカーとすれ違いながら,11時55分に十王岩を通過する.ここからの眺望をデジカメで撮ろうかとも思ったが,ここからの風景は何時も撮っているので,今回は省略.
次々にハイカーとすれ違いながら,崖の上に安置されている四国大窪寺薬師如来像を下から拝んで通過する.
<十王岩展望台>
<四国大窪寺薬師如来>
■疲れ果てたハイカー
切岸近くを歩いていると,道端で休んでいる男性が居る.
私は軽く会釈をして,通過しようとする.すると,この男性が私に話しかけてくる.
「ここから先に坂道がありますか・・?」
私は質問の意味が良く分からず戸惑う.
「あの・・坂道って,登り坂のことですか,それとも下り坂?」
「もう登り坂はないですよね・・ここまで登ってきたら草臥れちゃって・・」
「どちらから登られたんですか?」
「鎌倉駅から・・・」
私には,まだ事情が分からない.
「鎌倉駅って・・・瑞泉寺からですか,それとも建長寺から?」
「あっちからです・・」
と言いながら,彼は大平山の方を指さす.
これで私にも,事情がやっと分かった.
「そうでしたか・・それなら,ここから先,建長寺まで殆ど下り坂だけです・・」
私が立ち去ろうとすると,なおも,
「ときどき,ここへ来られるんですか・・」
と話しかけてくる.そして,彼は,若い頃,丹沢の塔ノ岳に十数回登ったことがあり,その頃は丈夫だったと自慢する.
「たった十数回!? それだけ!」
私は,正直なところ,たった十数回で自慢できるとは・・と呆れるが,口には出さない.
「そうでしたか・・・では,お気を付けて・・・」
と挨拶して,立ち去る.
■大平山広場で昼食
12時17分,大平山岩塊の頂上に到着する.もの凄い人出である.
私もこの辺りで食事をしようかと思う.そこで,ゴルフ場フェンスの近くの芝生に座り込んで,先ほどコンビニで購入したオニギリをナップザックから取り出す.
何時もなら,上空からトンビが食料を狙っているが,どういう訳か,今日は沢山のハイカーが食事をしているのに,1羽のトンビも現れない.不思議なこともあるものだ.
食事を終えてボンヤリしていると,いきなり,
「FHさん・・」
と声を掛けられる.山旅スクール5期のmakoさんである.
数分,makoさんと立ち話をする.
makoさんの話によると,クラツリの山旅スクール(?)の皆さんが,今,大平山に向かっているはずだとのこと.
山旅スクールが天園ハイキングコース?
平易なハイキングコースで何を勉強するんだろう?
良く分からないが,もし会えるのならばあってみたいなと思ったが,すぐには現れそうもない.待っていても仕方がないので出掛けるとするか.
<ハイカーで賑わう大平山広場>
■峠の茶屋
12時51分,峠の茶屋に到着する.
茶屋に立ち寄るか,それとも通過するか迷うが,今年になってから,まだ一度も茶屋に顔を出していないので,ちょっとだけ立ち寄ることにする.
女店主が私の顔を見るなり,
「おや,暫く,いらっしゃい・・Eさんが居ますよ・・・」
「あれ,祝日なのに,(Eさんが)来られているんですか・・」
Eさんは,混雑する休日や祝日には,茶屋に現れない筈なのに,一寸不思議に思う.
何時もEさんが座っている席を見ると,3人のご常連と一緒に恒例の宴会をしている.
「やあ,Eさん.暫く振りです・・・・」
と挨拶して,Eさんの隣のテーブルに座る.
私は400円也の甘酒を賞味しながら,暫くの間,Eさんやお仲間達と雑談を楽しむ.楽しい時間である.
話題は,最近見掛けないご常連の消息のことになる.
この茶屋に35年も通い詰めているXさん(名前忘れた)によると,35年の間に,随分と沢山の方が,なくなったり,ここまで登ってこられなくなったりだという.35年とは長い年月である.其れはそうだろう.
つい1~2年前まで,GPSを持ち歩いていた甘縄の方は,まだ50歳代の若さで昨年暮れに肺がんで亡くなったという.これにはビックリ.
「そういえば,この頃,御年90歳の背の高い男性,見掛けないな・・・・」
「ああ,あの××さん・・・四国八十八箇所を2回廻ったという・・・」
その後,××さんの話が暫くつづく.
そのうちに,山登りの話になる.Xさんが,
「・・・昔,丹沢へ良く行っていたよ・・でも,もう×十歳近いのでダメだよ・・」
と弱音を吐く.それを聞いていたEさんが,私の方を向きながら,
「FHさんは,もうすぐ,(×+1)十歳だよ.でも,今でもしょっちゅうバカ尾根を登っているよ・・・」
と,急に話題を私の方に振り向ける.
「ええ~っ! (×+1)十歳! そんなに年配には見えないな・・・」
と嬉しいことを言ってくれる.
その後,Eさんの登山歴が話題になる.
もともと,Eさんは滅法足が速い方で,何回か私もEさんのお供をしたことがあるが,とても,とても付いて行けない.それに高いところでも平気な方である.ご一緒した山々のことが次々と話題になる.
「でも,よう,・・・この頃,不整脈がでるようになってからダメだよ・・・」
と愚痴る.
<峠の茶屋>
<峠の茶屋の甘酒>
<獅子舞から鶴岡八幡宮へ>
■獅子舞の谷を下る
成り行きで立ち寄った茶屋で,あっと言う間に1時間ほど費やしてしまう.
「・・もう,そろそろ失礼します・・また,登ってきますので宜しく」
とご常連に挨拶してから,13時40分に下山開始.
どこを通って下山しようかと迷うが,結局,獅子舞の谷を降りる.
紅葉が見頃な頃の獅子舞はハイカーで賑わっているが,今はハイカーの姿は殆どない.このところ,東京地方は延べ25日間も乾燥注意報が出っぱなしである.そのため,何時も泥んこの獅子舞の道も,一部を除いて,すっかり乾いている.
<静けさを取り戻した獅子舞の谷>
■整備工事が始まった永福寺跡
永福寺跡で瑞泉寺へ向かう道と合流する.とたんに観光客がどっと増えだす.
長い間,そのままになっていた永福寺跡の整備工事が始まっている.跡地の周囲には真新しい柵が漬けられている.境内では散策道路のようにみえる道作りが進んでいる.
工事現場に掲示されている図面を眺める.
<工事現場に掲示されている図面>
■大塔宮から荏柄天神へ
ここからは,定番通りのルートで,荏柄天神前,東御門,西御門を経由して,鶴岡八幡宮に到着する.
<大塔宮>
<荏柄天神>
<鶴岡八幡宮>
■鶴岡八幡宮
鶴岡八幡宮の境内は,参拝客で大変な混雑である.振袖姿の若い女性や,何となくしっくり来ない背広姿の若い男性が沢山居る.そういえば,今日は「成人の日」だった.
新成人の姿を見ている内に,今は,もう,口うるさい肝っ玉母さんになってしまった私の長女,次女が成人したときのことを,懐かしく思い出す.改めて,歳月が矢のように過ぎ去っていくことを実感する.
<大賑わいの鶴岡八幡宮>
■肉筆浮世絵のコレクション
裏手の鎌倉国宝館へ廻ってみる.
今,氏家浮世絵コレクション展をやっているようである.
「よお~しっ!・・・2~3日中に時間を取って,ユックリ見に来よう・・」
私は,次に鶴岡八幡宮を訪れる目標ができて嬉しくなる.
<コーヒーで打ち上げ>
■超混雑の小町通り界隈
鎌倉市内は観光客で一杯である.まるで東京駅の構内を歩いているようである.田舎者の私は,他の方とぶつかりそうになりながら,混雑する通りを歩くのが苦手である.なるべく空いている道を選びながら,14時46分,ようやく鎌倉駅まで辿り着く.
もともとは,鎌倉駅,銭洗弁天,葛原岡神社を経由して,出発点のバス停鎌倉中央公園入口まで歩くつもりだったが,ここから先,人混みの中を歩くのもウンザリである.そこで宗旨替えをして,鎌倉市役所前から路線バスに乗って,出発点まで戻ることにする.我ながら意思軟弱である.
■Becker'sで一息
そう決めると急に疲れが出てくる.鎌倉駅にある喫茶店Becker'sを覗いてみる.店内は混雑しているが,何とか座れそうである.そこで210円也のブレンドコーヒーを賞味しながら,暫くの間,休憩.
どういう訳か,同じBecker'sでも大船店では,コーヒー1杯が230円.たった20円の差とはいえ,何故,鎌倉の方が安いのか気になる.
本日の行き当たりばったりの散策は,1杯のコーヒーで,ジ・エンドとなる.
コーヒーを飲みながら,
「さあ~てっと! 帰宅したら水彩画を画き始めるぞ・・」
とやる気満々.
でも,帰宅してから,何となくテレビを見ている内に,そんなやる気も消失してしまう.
20時頃,
「こんなぐうたらで良いのかな・・」
と反省しながらも,眠くて仕方がないので,何もしないまま就寝である.
こうして,ぐうたらな今日一日も終わった.
<Becker'sの210円コーヒー>
<ラップタイム>
10:28 鎌倉中央公園入口歩き出し
10:40 日当公園
10:46 山ノ内展望台
10:48 スリーエフ(11:05まで買い物)
11:25 建長寺
11:39 半僧坊
11:45 勝上嶽展望台
11:55 十王岩
12:01 百八ヤグラ
12:17 大平山広場(12:47まで昼食)
12:51 峠の茶屋(13:40まで休憩)
14:05 永福寺跡
14:12 大塔宮
14:27 鶴岡八幡宮
14:46 鎌倉駅
[散策記録]
■水平歩行距離 10.3km
■累積登攀高度 285m
■累積下降高度 331m
■所要時間(休憩時間込み)
中央公園発 10:28
鎌倉駅 着 14:46
(所要時間) 4時間18分(4.30h)
水平歩行速度 10.3km/4.30h=2.40km/h
(おわり)
「鎌倉あれこれ」の前回の記事
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「鎌倉あれこれ」の次回の記事
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