<紅葉の鍋割り山稜>
霧の中の紅葉・でも,まだまだヒルにご用心の丹沢;塔ノ岳(今年41回目)
(単独山行)
2011年10月10日(月) 体育の日 曇
■まだまだヒルにご用心
久々の塔ノ岳詣でである.
5時10分に家を出発.辺りは真っ暗.夜半に降った雨で路面は濡れている.天気予報では8時頃から晴れる筈である.でも,雨だとイヤだなと一抹の不安を抱きながら近くの駅へ急ぐ.
渋沢発大倉行1番バスは,連休最終日とあって混雑している.韋駄天のTさん,Sさん,K大Nさんなどご常連の顔が見える.
バスが大倉に到着すると,例によって韋駄天組はすぐに登山を開始する.
登山開始直前の韋駄天のTさんと雑談する.
「・・・今日は少し気温が高いけれども,随分と凌ぎやすくなりましたね...」
「もう,ヒルも居ないでしょうね・・・」
「・・つい2~3日前に,ヒルに取り付かれたという人が居ましたよ・・・まだ油断できません」
と韋駄天のTさんが教えてくれる.
■一面に濃い霧
同じバスに乗っていた大半の登山客は,すでに歩き出している.若い人は凄い速度でドンドンと先へ行ってしまう.
私は何時ものようにストレッチをしてから,7時10分,常連の中では,多分,一番最後に歩き出す.
天気予報では,7時過ぎから晴になるはずだが,辺り一面は随分と深い霧に覆われている.
<山麓の大倉も霧の中>
■K大Nさん
大倉の気温は,すでに24.1℃を指している.この時期にしては随分と暑い.それに,この辺りでも深夜に雨が降ったらしく,路面はベタベタに濡れていて,湿度も高そうである.熱射病の心配はそれほど高くないが,余りよい起床条件ではない.無理は禁物と自分に言い聞かせながら,7時14分に登山道に入る.
丹沢ベース手前で,一足先に歩き出したK大Nさんに追い付く.
「この辺りはまだヒルが居るようなので,立ち止まらずに先へ行かせて貰います・・」
と挨拶してから,丹沢ベース付近の狭い道を一気に通過する.
■観音茶屋
7時30分,観音茶屋の前を通過する.
もう茶屋は開店している.先週,日曜日,ここで三角髭のTさんの塔ノ岳登頂1500回記念パーティが開催された.そのとき,この茶屋の主人と顔見知りになっている.私は,
「先日,大変お世話になりました.今日は立ちよらずに真っ直ぐ登ります・・」
と挨拶する.ご主人はニッコリしながら,
「気をつけて行ってらっしゃい・・」
と見送ってくれる.
やがて石を敷き詰めたジグザグの登り坂になる.石が滑って歩くにくい.私の前を行く男性は山道に馴れていないらしく,私以上に往生している.
「滑りやすくて,歩きにくいですね・・・」
と挨拶して先に行かせて貰う.
■富士山は見えない
7時47分,見晴茶屋を通過して,大倉尾根最初の急坂に差し掛かる.今日の私の体調はそれほど悪くはないが,足許が滑りやすいので,歩行速度はかなりユックリである.安全第一で焦らずに登るように自分に言い聞かせ,はやる気持ち押さえる(これがなかなか難しい).
今日は,湿度が高くて,しかも無風である.結構蒸し暑い.
一本松の手前で,長身の男性に追い抜かれる.凄い人だなと思っていると,一本松上の休憩所で座り込んでしまう.私は肩すかしを食ったような,目標を失ったような,寂しい気分になる.
8時16分,ようやく駒止茶屋を通過する.大倉を歩き出してから,1時間06分経過している.今の体調ならば,もう2~3分速く歩きたいところだが,今日の気象条件や路面状況を考えると,まあこんなもんだろう.
堀山の尾根に入る.
相変わらず濃い霧に覆われている.視界はせいぜい30メートルほど.もちろん富士山は見えない.それでも,私は霧ばかりの風景をデジカメに収める.肝心の富士山の辺りは真っ白にしか写らないのに・・・・写真を撮りながら,
「バカだな・・・オレは・・」
と自分の滑稽さに苦笑する.でも,霧も綺麗だなとも思っている.
<霧の堀山>
<富士山は霧の彼方>
■萱場平
堀山の手前で,また先ほどの男性に追い越される.おとなしくこの男性に道を譲る.
8時32分,堀山の家を通過する.するとこの男性が,またもや,小草平のベンチで休憩を取っている.
堀山の家の方が外に居られたら,挨拶をしていこうかと思っていたが,居られないのでそのまま通過する.
空気がムシムシするので,意識してマイペースで登り続ける.何人かの若者に追い越されるが,逆に何人かの方々を追い越させて貰う.
戸沢分岐手前で,またもや先ほどの男性に追い越される.
8時51分,ようやく萱場平に到着する.先ほどまでの濃い霧が少し晴れて,薄日が射している.先ほどの男性が,また,ベンチで腰を下ろして休憩を取っている.私は途中で休憩を取らないので,また,この男性の先を行くことになる.
<萱場平付近で一旦霧が晴れる>
■ご常連のKさん
萱場平の気温は15.3℃.前回登ったときは14.0℃だったので,今日の方が幾分高い.それだけでなく,湿度は今日の方がずっと高そうである.そんなこともあって,今日のラップは,どうしても遅くなる.
萱場平を過ぎて,急階段に差し掛かるところで,前方からご常連のKさんが降りてくる.
「やあ,やあ,暫く・・」
と相変わらず明るい調子で私に話しかける.
「・・・FHさんのブログ,見たいんだけど,アドレス教えてくれますか・・・」
とのこと,私は手帳の紙をちぎって,ブログの名称とアドレスを書いてお渡しする.そのかわりに,Kさんのメールアドレスも教えて貰う.
「Kさんの後ろ姿は,ときどきブログに掲載させていただいています・・・でも顔写真だけは載せないようにしています・・・・」
「ハ,ハ,ハ,・・・有名になっても困るものね・・・」
「今回も,後ろからの写真を載せますよ・・・」
と言いながらお別れする.
<Kさんが下る;どちらの方がKさんかは伏せておこう>
■小屋番のW田さん
後7分坂に差し掛かる頃,下ってくる尊仏山荘の小屋番,W田とすれ違う.山荘のネコ,ミー君を可愛がっているW田さんが不在では,今日はミー君に会うのは無理のようだ.
「・・ありゃ! もう下山ですか,じゃあ,ネコに会うのを諦めまずよ・・」
「大丈夫ですよ・・・今日は(小屋番の)W林さんが居ますので・・・」
W田さんは,山道になれた足取りで,軽々と坂道を下っていく.
<尊仏山荘のWさんが下る>
■後7分坂
また,霧が出始める.私の前後に登山者の姿が見えないので,乱れることなく自分のペースで登り続ける.
9時10分,ようやく後7分坂に到着する.大倉から歩き出して丁度2時間.私の標準時間では,花立山荘を通過する時間である.今日は後7分坂を登る時間だけ遅いことになる.
私は,少しラップを挽回しようかという気になる.
そこで,速度を少し早めて,後7分坂を6分で登る.9時16分に花立山荘を通過する.大倉からの所要時間は2時間06分.私の希望ラップより,6分ビハインドである.
後7分坂がもう少しで終わる頃,またあの男性が私を追い抜いていく.でも,またもや花立山荘のベンチにへたり込んでしまう.
前方から,韋駄天のSさんが下山してくる.相変わらず猛スピードである.
<花立山荘では,多くの登山客が休憩を取っている>
■霧の中の素晴らしい紅葉
濃い霧が立ちこめる中,花立山を通過する.気温13.7℃.この時期にしては,かなり高い.
馬ノ瀬に差し掛かると,色付き始めた紅葉が,霧の中で見え隠れする.霧と紅葉の調何とも言えない美しさである.こうなると,もうラップなど気にしていられない.辺りの紅葉を手当たり次第,デジカメに収める.
9時33分,金冷シを通過する.最初の坂道に差し掛かる.ここで,る韋駄天のTさんと丹沢ウッズさんのお二人とすれ違う.
「・・丹沢山の方に少し下ったところのツツジが見事に紅葉していますよ・・・紅葉を見ながら15分ぐらい昼寝でもしてきたらどうですか・・・」
と丹沢ウッズさんが言う.
私は,
「願ってもないこと,是非,見に行こう・・・!」
と心に決める.
<馬ノ瀬の紅葉>
<馬ノ背の紅葉>
<丹沢ウッヅさんと韋駄天のTさん>
■塔ノ岳山頂
ときどき霧の合間から紅葉が美しい谷間が見え隠れする.
その度に足を止めて写真を撮りまくる.そんなことを繰り返して,9時49分,漸く塔ノ岳山頂に到着する.
大倉からの所要時間は2時間39分と遅いが,これは途中で立ち止まって写真を撮っていたからだと納得する.
山頂の気温は15.3℃.涼しい.
霧が立ちこめる山頂で,モタモタと写真を撮っていると,私の乗ったバスよりも遅いバスで来られたFさんが山頂に到着する.私とFさんの所要時間に30分も差があることになる.凄い人が居るものだと感心する.
Fさんと一緒に尊仏山荘に向かう.
<塔ノ岳山頂から富士山を望む>
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.数名の先客が居る.小屋番はオーナーのHさんと,W林さんである.とりあえずは,何時ものように300円也のお茶を所望する.
Fさんから,つい先日登られたという北穂高~南岳~氷河公園の写真を見せて貰う.素晴らしい風景である.今の私には.とても行けそうもないコースの写真である.何とも羨ましい.
暫く雑談をしていると.W林さんが,
「ネコ連れてきましょうか・・」
と私に話しかける.願ってもないことである.
W林さんが階段の途中で,ネコを呼ぶ.すると,ミー君が呼びかけに応じて,階段をスタスタと下りてくる.その仕草が実に可愛い.
ネコの写真を何枚か撮る.ネコと遊んでいるときに,K大Nさんが到着する.何時もより少し早いご到着である.K大Nさんはネコを見て,
「営業部長さんだ.元気そうだね・・」
という.
<尊仏山荘営業部長>
■キレット近くのツツジの紅葉
先ほど,韋駄天のTさんと,丹沢ウッズさんから伺った紅葉が気になるので,10時20分,尊仏山荘を出発して,丹沢山方面に,少し足を延ばす.
左右の紅葉を眺めながら,キレット手前まで急坂を下ってみる.
沢山のシロヤシオが紅葉している.一寸残念だが,少しくすんだ色に紅葉している.一昨日,浅間山で見た紅葉と,どうしても比較してしまう.
折角,ここまで下ったので,このまま丹沢山まで足を延ばそうかと思う.でも,今日は祝日で登山者が多い.下山が遅くなると,混雑するバスに乗らなければならない.それもイヤなので,今回はキレット手前で引き返すことにする.
10時38分,再び尊仏山荘の前まで引き返す.
もう一度,尊仏山荘に入ろうか,それともこのまま下ろうかと迷いながら,山荘の窓から中を覗くと,まだK大Nさんが居られる.
いきなり,
「・・・中に入らないの・・・」
と入口のベンチに座っている女性から声を掛けられる.誰かなと思って,振り返るとご常連の方である.ご常連に
「これから下山ですか・・・」
と伺う.ご常連は,
「いえ,やっと今,到着したばかりですよ・・・」
と苦笑する.
■バスの時間に合わせてユックリと下山
霧は段々と薄くなり始めたが,モクモクと沸き上がる雲が立ちこめていて,相変わらず見通しは良くない.それでも,雲間の紅葉が美しいので,何回も立ち止まって写真を撮る.その間,沢山の登山客に追い越される.
今日は,大倉発13時11分のバスに乗車するつもりである.時間はタップリある.私は周囲の風景を愛でながら,ユックリ,ユックリと下山し続ける.
10時57分,大きな荷物を背負って登ってくるチャンピョンとすれ違う.
さらに馬の背で,顔見知りのご常連(名前を忘れた)とすれ違う.
「・・・相変わらず快調ですね・・・」
と私に話しかける.私は自分がそれほど快調だとは思っていないが,
「はい・・お陰様で・・・」
と挨拶する.
今日は,遅くからの登山者がとても多い.次から次へと沢山の登山者とすれ違う.特に眼が付くのは,子ども連れの登山者がとても多いことである.それに,10代後半から20台前半の登山者が急増しているように思える.
登山をする若者は,皆,健康的で,傍目でも気持ちがよい.
12時49分,観音茶屋に到着する.もし,茶屋のご主人が居たら,バスを1本遅らせて,お汁粉でも賞味して帰ろうかと思ったが,幸いにも(?),奥の方で話し声が聞こえるが,店先には誰も居ない.私は抜き足差し足で観音茶屋を通過する.
そろそろバスの時間が気になるので,時計を見ながら歩く速度を調整する.
13時08分,当初計画通りの時間にバス停大倉に到着する.
下りの所要時間は,実に2時間30分.登りとほぼ同じ時間を掛けてユックリと下山したことになる.
幸いなことに,まだ時間が早いので,バスは空いている.渋沢と小田原の電車の接続が極めてスムーズだったので,15時前に,鎌倉の自宅に無事帰着する.
<チャンピョンが登る>
<後7分坂を次から次へと登山客が登ってくる>
<ラップタイム>
7:30 観音茶屋
7:47 見晴茶屋
8:32 堀山の家
9:16 花立山荘
9:33 金冷シ
9:49 塔ノ岳山頂着(15.3℃)
===================================
10:20 〃 発
10:27 キレット手前
10:38 塔ノ岳山頂
-----------------------------------
10:54 金冷シ
11:12 花立山荘
11:53 堀山の家
12:11 駒止茶屋
12:36 見晴茶屋
12:49 観音茶屋
13:08 大倉 着
14:57 帰着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:10
塔ノ岳 着 9:49
(所要時間) 2時間39分(2.65h)
水平歩行速度 7.0km/2.65h=2.64km/h
登攀速度 1269m/2.65h=478.9m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:38
大倉 着 13:38
(所要時間) 2時間30分(3.50h)
水平歩行速度 7.0km/2.50h=2.80km/h
下降速度 1269m/2.50h=507.6m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/dcb896a117f0b9c85cef42e58d03eed7
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/40e16cce1ae54a50caa789e9c8eb01d3
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[編集後記]
2001年10月12日(水)
瞬く間に10月も12日,中旬になる.
昨日(10月11日),郵便局に用事があったので,午後からブラブラと大船まで散策する.序でに大船駅前のヤマダ電機に立ち寄って,プリンターのインクとA4番のコピー用紙を購入する.そして,用事もないのにデジカメとパソコンの売り場をウロウロ.また,序でに同じビル6階にある1000円床屋で散髪をして貰う.3ヶ月振りの床屋である.
その内に草臥れてきたので,ノソノソと大船駅に向かって歩き出す.中通りの商店街に入ろうとするところで,いきなり,
「FHさん・・・」
と呼び止められる.元勤務先の知人である.駅前の喫茶店に入り込んで,小一時間雑談をして帰宅する.
すぐに夕食.その後も碌なことをしないうちに,夜になり,眠くなる.この忙しいのに,何という体たらく.
そして,20時過ぎにダウン.
気がついたら今朝である.
こうして貴重な一日が,瞬く間に潰れていく.
「お前さん・・・このままで良いのかネ・・・」
と,もう一人の私を頻りに責め立てる.
今朝は,3時半に起床する.少し寒いが,気分良くお目覚めである.
今日は五十三次洛遊会の皆さんと歩く予定の第11回中仙道六十九次の資料作りを最優先する積もりである.もちろん,ヤボ用がなければ,さっさと塔ノ岳に出掛けたいところだが・・・・
「オイ,オイ,・・・水彩画はほったらかしにするのかネ・・・・」
心の中のもう一人の私が,私にクレームする.困ったな!
ウン・・・でも,まあ,毎日,忙しくしているのも,考えようによっては,幸せなのかも知れないナ.何もすることがなくて,息しているだけではツマラナイな・・・・
明日(10月13日)はヤボ用で,多摩市の聖蹟桜ヶ丘.1日潰れる.明後日(10月14日)は五十三次洛遊会の皆さんの鎌倉案内.さらに一日置いて日曜日(10月16日)は山旅スクール5期の皆さんと鎌倉の朝夷奈切通散策・・・来週はもう一度信州へ行かなければならない・・・・
愚痴言っている暇はないな.だから愚痴はおわりにしよう.
(愚痴おわり)