中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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やっぱり北アルプスはいいな:弓折岳・笠ヶ岳縦走(11・最終回)

2009年09月09日 01時00分00秒 | 北アルプス

                     <鏡平の朝>

    やっぱり北アルプスはいいな:弓折岳・笠ヶ岳縦走(11・最終回)
               (白馬館北アルプス総合案内所)
          2009年8月22日(土)~24日(月)

<エピローグ:天空の楽園>

 こうして,3日間にわたる弓折岳・笠ヶ岳縦走の旅は終わった.特に,笠ヶ岳への登頂は,私にとって,積年の念願であった.これまで,数え切れないほど,北アルプスを訪れていたが,そのたびに西の空に聳えている笠ヶ岳を,憧れの眼(まなこ)で眺めていた.そして,何時かはこの素敵な山へ登りたいなと思い続けてきた.
 いざ笠ヶ岳に登ってみると,予想通りに厳しくきつい山だった.特に長い笠新道の下りは緊張の連続で手こずった.
 幸いなことに,山行中の3日間は,晴天に恵まれた.私は決して雨男ではないが,3日間も山中に居れば,1日ぐらいは雨になるし,早朝いくら晴れていても,昼頃から曇ることが多かった.それに,今回は無風に近い絶好の状態であった.こんなに長時間,天空の楽園とも言える稜線歩きを楽めたことも,過去にはなかったような気がする.
 それにしても,北アルプスは,やっぱり素晴らしい.北アルプスといわず,日本の山は素本当に素晴らしいなとつくづく実感する.
 私には乏しい経験しかないが,これまで海外の山にもいくつか登っている.海外の山も,それぞれ特徴があって素晴らしい.ただ,経験を積むにつれて,日本の山には,海外の山にない魅力があることを再発見している.
 その素晴らしさの第1は,山麓を彩る素晴らしい緑である.私は植物のことは全く知らないが,次のような印象を持っている.
 東南アジアの植物は,見事な濃緑で,いかにも猛々しい.
 ヨーロッパやアメリカの緑も実に素晴らしいが,何となく単調である.総じて海外の花は,黄色といえば真っ黄色,赤といえば真っ赤,日本の山で見かける淡くて中間色の花は,外国ではあまり見かけないようである.
 素晴らしさの第2は,ここ数年,飛躍的に整備され始めた日本の山小屋である.
 ここ数年の間に,綺麗に整備された山小屋が増えたような気がする.山小屋の簡易水洗にトイレも随分と増えた.
 食事も良い.私の経験した海外の山小屋はそれほど多くないが,乏しい経験の範囲で言えば,総じて日本の山小屋の食事は,海外の山小屋に比較して豪華である.
 日本の山小屋の接客マナーは,外国の山小屋に比較して,何ら遜色もなく,素晴らしい.
 特に売店はとても充実している.それに,国によっては,外国人と分かると,値段をふっかけてくるところもある.日本の山小屋では,one price only,明朗会計である.これは素特筆すべきことである.
 ただ唯一,日本の山小屋の欠点,それも極めて重大な欠点は,混みすぎることである.
 私の知る限りでは,海外の山小屋で,布団1枚に2人も寝るなどという超過密な詰め込みに出会ったことはない.もともと登山人口が多い日本ではやむを得ないことだと分かってはいるが,海外の観光客を山に迎え入れるには,何としても改善しなければならないことだと思う.

 昨年(2008年)は,夏の長期間,ペルーの旅を楽しんでいたので,北アルプスはご無沙汰してしまった.今回は2年ぶりの北アルプスの旅であった.
 「やっぱり,北アルプスは良いな・・」
というのが率直な印象である.

<要約とラップタイム>

 以下は,今回の弓折岳・笠ヶ岳縦走の要約とラップタイムである.特にラップタイムは,これから笠ヶ岳を訪れようとする方々への参考データとして提供したい.多分,このラップは,速くも遅くもない標準的な時間ではないかと推察される.
 ただし,このデータは,天候がよいこと,数名のパーティで足並みが揃っていることが前提条件である.
 なお,今回は,ガイドの指示で,約30分おきに5分ほど休憩時間を取っていた.つまり1ピッチ30分である.私の知る限りでは,1ピッチ1時間程度で10分ほどの休憩を取る山行が多かったので,30分という短さは初めての経験である.逆にヨーロッパアルプスの登山では,殆ど休憩なしで登り続けることが多かったような気がする.
 1ピッチをどの程度の時間にするかについては,多分,いろいろな意見があるだろう.また,それぞれの取り方に長所と短所があると思うので,一概にどんなピッチが良いかを判断することはできないだろう.

■第1日目 8月22日(土)
  晴

[要約]

 スーパーあずさ新宿7:00発松本行に乗車.松本着9時42分.参加者11名(男性4名,女性7名).
 専用車で新穂高温泉へ.ここから歩き出し.
 晴天.周囲の風景が良く見えた.
 猛烈な暑さの中,苦労して,夕方,鏡平山荘に到着.随分とバテた.
 山荘は大混雑.夕食が19時30分と遅くなる.
 布団1枚に2人寝ることとなる.

[ラップタイム]

 7:00   新宿 発
  ∥    (スーパーあずさ1号)
 9:42  松本 着
 9:50   〃 発
  ∥    (専用車:アルピコ)
10:26  風穴の里
10:36  (休憩)
  ∥
11:33  新穂高温泉バスターミナル着
======================================
12:04  新穂高温泉 発(1100m)
  ↓
12:33  1265m地点
12:37  (休憩)
  ↓
13:02  1390m地点
13:07  (休憩)
  ↓
13:14  笠新道登山口分岐(1370m)
  ↓
13:25  わさび平(1435m)
13:35  (休憩)
  ↓
13:52  林道終点(ここから登山道)
  ↓
14:07  1540m地点
14:12  (休憩)
  ↓
14:40  1705m地点
14:45  (休憩)
  ↓
14:54  1745m地点(川を渡る)
  ↓
15:03  秩父谷(1780m)
15:11  (休憩)
  ↓
15:51  イタドリヶ谷(1925m)
15:57  (休憩)
  ↓
16:20  ししうどヶ原(2060m)
16:26  (休憩)
  ↓
16:57  2190m地点
17:03  (休憩)
  ↓
17:20  鏡平(2280m)
17:24  (休憩)
  ↓
17:27  鏡平山荘 着(2280m)
19:30  夕食

■第2日目 8月23日(日) 晴

[要約]

 早朝4時に起床.朝食の順番待ちをして,何とか最初の組で朝食を済ませる.
 出発までの時間,近くの池に行って,日の出を待つ.槍・穂高の全景が見える.今日も晴天.
 5時51分に鏡平山荘を出発.弓折岳,抜戸岳の上り下りを通過して,昼過ぎに笠ヶ岳山荘に到着.
 山荘にリュックを置いて,空身で笠ヶ岳山頂を往復する.
 終日,快晴で四方八方の山々が良く見えた.特に槍ヶ岳,穂高連峰の山々が手に取るようだった.
 午後は食堂で,同行者と雑談.100名山を達成した女性,現在98座目,99座目の方も居られる.
 14時30分から夕食.
 山荘は凄く混雑,1枚の布団に2人が寝る.
 高度障害が出たのか,熟睡できず.

[ラップタイム]

 4:00  起床
 4:20  朝食
 5:51  出発(2283m)
  ↓
 6:19  弓折中段(2435m)
 6:24  (休憩)
  ↓
 6:49  双六分岐(2560m)
 6:55  (休憩)
  ↓
 7:03  弓折岳山頂(2600m)
 7:07  (休憩)
  ↓
 7:25  大ノマ乗越(2460m)
 7:30  (休憩)
  ↓
 7:56  2590m地点(展望がよい)
 8:01  (休憩)
  ↓
 8:22  大ノマ岳山頂(2660m)
 8:29  (休憩)
  ↓
 9:03  秩父平下の平地(2523m)
 9:08  (休憩)
  ↓
 9:17  秩父平
  ↓
 9:31  稜線に出る(2640m)
 9:35  (休憩)
  ↓
 9:50  2730m地点(見晴らしがよい)
10:28  (昼食)
  ↓
10:55  分岐
  ↓    <往路>
11:02  弓折岳山頂(2830m)
11:05  (休憩)
  ↓    <復路>
11:10  分岐
  ↓
11:23  2755m地点
11:30  (休憩)
  ↓
11:37  2770m地点
11:39  (写真撮影タイム)
  ↓
12:09  2730m地点
12:16  (休憩)
  ↓
12:45  笠ヶ岳山荘 着(2283m)
12:59    〃   発
  ↓    <往路>
13:15  笠ヶ岳山頂 着(2897m)
13:30    〃   発
  ↓    <復路>
13:45  笠ヶ岳山荘 着
16:30  夕食

■第3日目  8月24日(月) 晴

[要約]

 まんじりともしないまま,4時に起床.冷たい廊下に並んで朝食の順番を待つ.寒い.
 明るくなり始めた5時24分に出発.下りの安全を確保するために,ストックを使用する.
 長い登り返しの後,抜戸岳手前の分岐から長い急坂を下り続ける.標高差実に1500メートル.岩石が重なる急坂を慎重に下山し続ける.とにかく長くて辛い下り坂である. 11時丁度に笠新道登山口に下山.わき水でのどを潤す.
 新穂高温泉バスターミナルから専用車に乗って,奥飛騨温泉郷で入浴.厳選掛流しとのこと.入浴は実に心地よい.着の身着のままの下着,ズボンを着替える.髭を剃って,気分良し.
 途中,道の駅風穴の里で休憩して,15時54分に松本駅に到着.松本16時58分発新宿行スーパーあずさ28号に乗車,八王子から横浜線,京浜東北線,東海道本線を乗り継いで,21時少し前に帰宅する.
 やっぱり,北アルプスの山々は素晴らしいなと実感する.

[ラップタイム]

 4:00  起床
 5:00  朝食
 5:24  笠ヶ岳山荘 発
  ↓
 5:56  抜戸岩(2740m)
 6:01  (休憩)
  ↓
 6:43  抜戸岳方面分岐(2825m)
 6:50  (休憩)
  ↓
 7:27  2510m地点
 7:33  (休憩)
  ↓
 7:49  杓子平
  ↓
 8:24  2315m地点
 8:29  (休憩)
  ↓
 9:03  2090m地点
 9:08  (休憩)
  ↓
 9:32  1955m地点
 9:38  (休憩)
  ↓
10:13  1715m地点
10:38  (休憩)
  ↓
10:45  1520m地点
10:50  (休憩)
  ↓
11:00  笠新道登山口(1415m)
11:24  (休憩)
  ↓
12:11  新穂高バスターミナル着(1100m)
============================================
12:21  新穂高バスターミナル発
  ∥    (専用車:アルピコ)
12:43  奥飛騨温泉郷
14:30  (入浴・休憩)
  ∥
15:00  道の駅(風穴の里)
15;16  (休憩)
  ∥
15:54  JR松本駅 着
16:58  松本 発
  ∥    (中央本線:スーパーあずさ28号)
19:02  八王子 着

<山行記録>

■水平歩行距離
 1日目     8.7(km)
 2日目     8.0
 3日目     8.5
 (合 計)  25.2(km)

■累積登攀・下降高度
       登攀    下降
 1日目   1,261     81(m)
 2日目   1,056    535
 3日目     116     1,825
 (合 計) 2,433   2,441(m)

■所要時間(休憩時間込み)
 1日目  新穂高温泉 発  12:04
       鏡平山荘  着  17:27
    (所要時間) 5時間13分(5.21h)
 2日目 鏡平山荘  発   5:51
     笠ヶ岳山荘 着   13:45
      (所要時間) 7時間54分(7.90h)
 3日目 笠ヶ岳山荘 発  5:24
     新穂高温泉 着   12:11
  (所要時間) 6時間47分(6.78h)

■水平歩行速度
 1日目   8.7km/5.21h=1.67km/h
 2日目   8.0km/7.90h=1.01km/h
 3日目   8.5km/6.78h=1.25km/h

<エピローグはプロローグ>

 旅のエピローグは,新たな旅のプロローグでもある.
 私は体力の許す限り,山登りを続けたいと思っている.山から授かる感動は,私の日常生活にも,多大な恩恵を与えてくれる.
 自然に逆らわす,無理をせず,自然に畏怖の念を抱きつつ,控えめに山登りと続けたい.
 それが,今の私の率直な気持ちである.
 また,近々,北アルプスを訪れたいなと思っている.

                              (おわり)
「北アルプスの山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/933bf12d92f35f58fb39ef717eb4db4a
「北アルプスの山旅」の次回の記事
(なし)



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2 コメント

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お久しぶりです、諸澤です。 (諸澤洵)
2009-09-10 21:20:44
FHさん、お久しぶりです。いつもブログ、楽しく拝見しています。
「北鎌倉なま情報局」を運営している諸澤洵です。
最近ではHPはおそろかになり、
ブログ「季節(いま)を求めて」の方ばかりなのですが・・・。

今回の「弓折岳・笠ヶ岳縦走」楽しませてもらいました。
天候に恵まれたようで、よかったですね。

アルプスにはいつかは挑んでみたいものの、唯一の山友達がサラリーマン
なので休みが合わずに叶わずにいます。

しょうがないんで今年も一人で富士山に登ってきました。
富士山は唯一私が登れる3000m級の山なんですよ。鎌倉からも近いですし。

ブログに登山記を載せてありますので、よかったらご覧になってください。
いつかまた塔ノ岳でお会いできる日を楽しみにしています。
返信する
コメントありがとうございました (FH)
2009-09-11 05:10:13
諸澤洵さま

コメント,有り難うございました.

諸澤さんの富士山登山記,9月10日までの記事,全部読ませていただきました.

赤岩八号館は,私も何回か宿泊したことがあります.富士宮口から富士山に登るときは,まず8合目まで登って,そこからほぼ水平にトラバースして御殿場口に廻ります.すると,目の前に赤岩八号館があって楽に到着できます.

私の場合,残雪期を含めて何回も富士山に登っていますので,大馬鹿ということになりますね.イギリス人を連れて赤岩館に宿泊したこともあります.

また,丹沢でお目にかかれるのを楽しみにしています.
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