<花立山からの眺望>
炎暑の丹沢:リハビリの塔ノ岳;ずるずると山頂まで(今年37回目)
(登り途中までK大N氏に同行;下り単独)
2012年8月4日(土) 晴後一時雨
■やっと山行のお許しが出た
昨日(8月3日),私は眼の定期検診のために自宅近くのホームドクターの診察を受けた.右眼の白内障手術を受けてから7月9日に受け手からほぼ4週間,左目の手術から10日目である.今のところ経過は良好で,まだ,視力が安定する1~2ヶ月は経過していないが,現在,裸眼視力は右眼1.2,左目0.9である.
手術を受けた眼科医からは,術後1ヶ月経ったら通常の運動はOK,2ヶ月後から海外旅行,運動もOKと言われている.でもそうなると,山登りを趣味としている私にとっては,その間に,体力がドンドン失われてしまうので,折角,白内障の手術をしたのに,今度は体力がなくなって,山登りどころではなくなる.そうなると,何のための白内障手術だったか分からなくなる.
「・・・これでは,私,ブロイラーになっちゃいますよ・・・」
とホームドクターに訴える.
「要するに眼を埃やゴミが多いところから保護するためなんです・・・熱射病に気を付けてドンドン歩いて下さい・・」
と嬉しいことを言われる.
早速,診断を受けた翌日の今日,丁度,土曜日なので,晴れて塔ノ岳へ出掛けることにする.
小学校高学年の頃から,ずっとメガネを使用していた私には,メガネなしで外を歩けるのは,正に夢のようなことである.とはいえ,日頃からメガネを使い続けていたので,裸眼のままでは,眼の保護ができないような気がしていささか不安である.そこで,大船の100円ショップで購入した度の入っていないUVカットメガネを使用する.
5時10分,何時もの時間に家を出発する.勿論,夜はすっかり明けている.辺りには,暖かい空気が,もわ~kつと漂っている.今日もまた猛暑の一日になりそうである.西の空には,上弦の月か,下弦の月か良く分からないが,西の空にほぼまん丸な月が輝いている.
自宅近くのモノレール駅に到着する.顔見知りの常連客が数人,それに山歩きの格好をした人が数名,私と同じように,モノレールの初電を待っている.山の中腹にあるモノレール駅からは,藤沢の町並みと富士山が良く見えている.早速,富士山の写真を撮る.
<モノレール駅から富士山を望む>
■富士山と矢倉岳
小田原でJRから小田急線に乗り換える.今日は休日ダイア.走る必要はない.階段2段跳び力走をする必要がない.これが実に嬉しいのである.私は悠々と乗り換える.勿論,まだ朝が早いので電車は空いている.
今日は富士山が良く見えているので,富士山と矢倉岳がうまく重なる所を写真に撮りたい.電車が新松田に近付く頃,左右に離れていた二つの山がだんだんと近付いてくる.
丁度ここだと思った瞬間にシャッターを押すが,デジカメの哀れさで,ほんのコンマ何秒だけシャッターが遅延する.その間に,二階建ての民家の軒先が,二つの山を裂け分けるように写ってしまう.でも,まあ,重なり写真はこんなものかと思って諦める.
でも,朝の内,こんなに良く見えるときは,得てして雲が湧いてきて,肝心の堀山の家を通る頃には見えないのではないかと,今から心配である.
<富士山と矢倉岳が重なる>
■バス停大倉から歩き出す
渋沢発大倉行の1番バスは,土曜日なので混雑している.当然のことながら私は座れない.
辺りを見回すと,編集長のY川さん,三度笠のY内さん,カメラマンのM丸さん,K大Nさん,丹沢ウッズさん,ホッシーさんなどのご常連が乗車している.韋駄天のTさん,三角髭のTさんなど韋駄天組の方々や土曜日のマドンナさんなど,はどなたも居られないのがちょっと寂しい.
バスの車内で,丹沢ウッズさんと立ち話.今日は塔ノ岳,丹沢山を経由して,橋本まで走っていくそうである.もの凄い!
でも,ウッズさんの話によると,駆けっこのベテランになると,1日に塔ノ岳を10往復ぐらいするとのこと.全く呆れるばかりの凄さである.
バスは7時丁度に大倉に到着する.臨時バスが出たらしく.7時05分に次のバスが到着する.
7時05分,Y川さんと一緒に,大倉から歩き出す.勿論,超スローペースである.正直なところ,今日は堀山の家でコーヒーでも飲んでから,下山しようかとも思っている.
「・・・今度の『尾根の瓦版』,大分好評のようですよ・・・」
とY川さんから伺う.瓦版の執筆者の1人として,私も好評なのが嬉しい.
■もうジャイアンに追い越される
7時40分,観音茶屋を通過する.私たちの前後に沢山の登山客が登っている.
そろそろ雑事場ノ平に近付く頃,後ろから人の気配がするので,振り返ってみる.すると,次のバスで来られたというジャイアンさんが私たちに追い付く.
「なんだ,1番バスも2番バスも差がないですね・・・」
とK大Nさんが,分かったような分からないような感想を言う.
「どうぞ,どうぞ,・・・先へ行って下さい」
「では・・お先に・・」
でジャイアンさんは,瞬く間に私たちから遠ざかる.
■見晴階段
2人で雑談をしながら歩いていると,克董窯付近で,K大Nさんが追い付いてくる.そこで,ここからは,K大Nさんと一緒に,相変わらずのスローペースで登山を続ける.気温は26℃.風もなく随分と蒸し暑い.ただ,この所,雨が降っていないので,路面がすかり乾ききっているので,山ヒルにである可能性はほとんどなさそうである.
7時54分,見晴山荘を通過する.山荘前でホッシーさんが休憩を取っている.
すぐに見晴階段に差し掛かる.
階段の上を見るとウンザリする.熱射病になるのが恐いので,超ユックリの速度で登り続ける.
<見晴階段>
■超ユックリペースで駒止茶屋を通過
8時13分,ようやく一本松を通過する.
一本松のすぐ上のベンチで,K大Nさんが給水のために休憩するというので,ここから私の一人旅が始まる.
8時29分,漸く駒止茶屋に到着する.大倉を歩き出してから,もう1時間25分も経過している.超スローペースだがリハビリ中の私は,
「これで良いのだ・・・」
と満足している.とにかくこうして歩けているんだから,これ以上望むのは欲張りすぎだと思っている.
<緑陰を行く;堀山の尾根道>
■堀山の尾根からは富士山が見えない
ほどなく堀山の尾根に入る.この辺りは,見事な樹木に囲まれた心地よい散策路である.
富士山が良く見える場所に到着する.先ほどまで麓まで見えていた富士山は,もう沸き上がる雲に遮られて見えなくなっている.残念.
<高曇りで富士山は見えない>
■夏草が繁茂する萱場平
8時47分,堀山の家に到着する.まだ時間が早いのか,堀山の家は閉まったまま.
もし,開店していたら,ここでコーヒーでも飲みながら,これから先へ行くか,それとも,ここから下山するか考えようと思っていた.でも,開店していないのならば是非もない.もう暫く体調と相談しながら登り続けることにする.
気温は25℃.暑い.私は,平素,流れるような汗をかかずに登ることをモットーにしているが,これほど気温が高いと,ジッとしていても,汗が滲んでくる.塔ノ岳に1ヶ月のブランクがある私は,それこそ随分と自分の体調を気にしながら,ゆっくり,ゆっくりと登り続ける.
9時06分,ようやく戸沢分岐を通過する.ここまで来ても,特に疲労感はない.もし,少しでも疲れたなと感じたら,即座に下山するつもりだったが,どうやら体調は良さそうなので,そのまま登り続ける.
萱場平で,何時ものように定点観測の写真を撮る.
ここは無風.ムッとする暑さである.
<萱場平>
■ジージーとセミの鳴き声が聞こえる
萱場平から花立山荘までの急坂を,ユックリ登り続ける.どうやら体力は大丈夫のようである.所要時間がどんなに掛かっても,こうして登れるだけで,今の私は嬉しい.
やがて,後7分坂に差し掛かる.
つい先ほど私を追い抜いていった男性が,階段の下でフウフウ言いながら休憩を取っている.
「初めて塔ノ岳に来たんですが,随分,階段が多いですね・・・これから先,まだ階段ですか?」
と汗を拭きながら,私に話しかけてくる.私は,
「もうひと頑張りで,花立山荘です・・・そこまで行けば大体80パーセント登ったことになりますよ・・・・」
後7分坂を登るのは確かに辛いが,特に慎重にゆっくりペースで体調を診ながら登り続ける.
9時57分,漸く花立山荘に到着する.大倉を歩き出してから,実に2時間55分も掛かっている・・・が,今回は“コレデイイノダ!”.
どうやら未だ先へ登れそうなので,そのまま登り続ける.
9時47分,華舘山山頂に到着する.残念ながら雲が沸き上がっていて見晴は全く利かないが,ここまで登ると涼しい風が吹いていて実に心地よい.
周囲の森から,ジージーとセミ(かな?)の啼き声が聞こえてくる.
進行方向左手に見える鍋割山稜の緑が実に美しい.
<緑豊かな鍋割山稜>
■ようやく塔ノ岳山頂に到着
9時53分,漸く金冷シを通過する.
10時頃,下山してくるジャイアンさんと,あれこれと雑談する.特にご常連さんのお一人の姿が,この頃見えないのを心配する.
長話をしている内に,後から来られたカメラマンのM丸さんに追い越される.
さらに,山頂直下で,下山してくる三度笠のY内さんとバッタリ.私の白内障の経緯などをご報告して,またまた雑談.
そんなことをしている内に,休憩が取れるので体力が回復する.そして,10時20分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は,実に3時間15分.ここ数年来の最低記録を更新する.でも,とにかくリハビリ中なのに無事に塔ノ岳山頂に到着できたので,本当のホッとする.毎回,所要時間を記録しているので,今回も,一応は記録し続けたが,正直なところ,所要時間などどうでも良いという心境である.
とにかく,山頂まで恙なく(言い回しが古いが・・),辿り着けたのが嬉しい.
山頂の気温は23.9℃.勿論,下界に比較すれば涼しいが,塔ノ岳山頂にしては随分と高温である.
山頂からの眺望を楽しみにしていたが,今日は雲が湧いていて冴えない.それでも,儀式として山頂からの写真をデジカメに収める.
<塔ノ岳山頂から富士山が見える方向を写す>
■尊仏山荘
山頂で一呼吸整えてから尊仏山荘に入る.小屋番はオーナーのHさんとW林さん.
1ヶ月ぶりの参上だが,何事もなかったかのように,ごく普通に300円也のお茶を所望する.先客は先ほど私を追い抜いたカメラマンのMさんと,若い青年お一人.
話題は,私の白内障手術のことになる.突然,この青年から話しかけられる.
「レーシックの手術を受けられたんですか・・・?」
「いえ,違いますよ.白内障です・・・」
そして,強度の近視で矯正視力が0.6と0.4しかなかったのに,手術直後に1.2と0.8に改善されたことをお話しする.
「では,女性の服の中まで見えるようになりましたね・・・」
と青年は意外なことを言い出す.
「勿論です・・・どこかの病院でX線係として雇って貰おうと思ってます・・」
と即答したものの,離している間に,“自分も年を取ったな”と考えさせられる.なぜなら,この青年のような粋な発想は,枯れきった私からは全く出てこないからである.
「皺が良く見えるようになっちゃったので,今度,オバチャマ達にお会いしたときに,ビックリするかも知れませんね」
「いや・・全く!」
そうこうしている内に,先ほどまでご一緒したK大Nさんが尊仏山荘に入ってくる.
若い人達がときどき山荘に入ってきて,何やらスタンプを押したり,バッジを購入していく.何かラリーでもやっているのかな?・・と思いながら,聞くのを忘れた.
帰りしなに,W林さんに,
「ネコ,元気ですか?」
と伺う.
「相変わらず元気ですよ・・・2階で昼寝していますよ・・・」
<尊仏山荘>
■アゲハチョウ
11時丁度に下山を開始する.何時の間にか,山頂は沢山の登山客で賑わっている.
下山口近くで,キアゲハが1匹,ひらひらと飛んでいる.たまたま地面に止まったので,急いで写真を撮る.これは儲けものである.写真を撮りながら,幼少の頃,昆虫を追いかけていたのを思い出す.
写真で手間取ったが,また下山を開始する.手術で視力が回復しているので,足許がとても良く見える.これは感激! 安全に下山できるのが嬉しい.
<う~ん・・・美しいな>
■花立山荘を通過
山頂直下の階段で,登ってくる編集長のY川さんとすれ違う.今日は山頂まで来られたんだ.凄い!
また,暫く下り続けて,ホッシーさんとすれ違う.
11時29分,花立山荘を通過する.山荘前のベンチは登山客で満杯である.相模湾を見下ろす風景の中で,花立山荘の「氷」の昇り旗が鮮やかである.
<「氷」のコントラストが良いな>
■久々にチャンピョンとすれ違う
もうすぐ萱場平に到着する頃,大きなボンベを背負った人間ヘリコプターのチャンピョンとすれ違う.
「やあ・・やあ・・」
と挨拶を交わしたものの,チャンピョンの背負っている荷物の大きさに度肝を抜かれる.
<チャンプが登る>
■萱場平のアザミ
11時46分,萱場平に到着する.
木道の間で,冬の間,枯れていたアザミが,見違えるように大きく育っている.私は木道にしゃがみこんで,大きく育ったアザミの写真を撮る.
この元気そうなアザミから,精気を分けて貰ったような気分になる.
<萱場平のアザミから精気を貰う>
■森林浴を楽しみながら下山
12時03分,堀山の家に到着する.小草平のベンチは登山客で一杯である.
堀山の家で,コーヒーでも飲んで行こうかと思ったが,何となく気後れがしてしまい,そのまま通過する.その後,堀山の尾根水戸で森林浴を楽しみながら下山し続ける.
12時21分,予定通りの時間に大倉に到着する.
<大倉バス停近くにて・・・>
■ときならぬ雨
大倉13時38分発のバスに乗車する.何時もより少々遅い時間なので,結構沢山の登山客が乗車している.
バスが渋沢駅に到着する頃,雨が降り出す.
渋沢駅から小田急電車で小田原へ.JRの快速アクティに乗り換える.大船駅近くの踏切で安全確認とやらで,電車が数分遅延する.そのために,予定していた自宅近くを通るバスに間に合わなくなる.
大船駅に到着する頃,随分と激しい雨になる.バス待ちと雨を避けるために駅ビルのなかにあるコーヒー屋に入って,200円也のホットを賞味する.コーヒーを飲みながら,今日は無事山頂まで往復できて本当に良かったなと思う.来週からも無理をしないようにして,塔ノ岳詣でを続けようと思う.
強い雨の中,バスに乗り込む.リュックから折りたたみ傘を出す.あまり傘を濡らしたくないなと思いながら・・・
バスが発車して間もなく,急に雨が止んで,青空が見え出す.乗客の一人が,
「通り雨だったんですね・・・」
私は「通り雨か,素晴らしい日本語だな」と頻りに感心する.
帰宅してから,早速,風呂に入って,汗を流す.心地よい疲労感がある.
「やっぱり山は良いな・・・」
私はリハビリ登山ながら,塔ノ岳を往復できて大満足である.
<ラップタイム>
7:05 大倉歩き出し
7:40 観音茶屋
7:54 見晴茶屋
8:29 駒止茶屋
8:47 堀山の家
9:37 花立山荘
9:53 金冷シ
10:20 塔ノ岳山頂着(23.4℃)
11:00 〃 発
11:21 金冷シ
11:29 花立山荘
12:03 堀山の家
12:24 駒止茶屋
12:49 見晴茶屋
13:04 観音茶屋
13:21 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 10:20
(所要時間) 3時間15分(3.25h)
水平歩行速度 7.0km/3.25h=2.15km/h
登攀速度 1269m/3.25h=390.5m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 11:00
大倉 着 13:21
(所要時間) 2時間21分(2.35h)
水平歩行速度 7.0km/2.35h=2.98km/h
下降速度 1269m/2.35h=540.0m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/afbfaa2c4f1e27bdbb71fb1930d6b95b
「丹沢の山旅」の後の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/d6dcaa9571fed5a431b991b2baea2f37
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