<東海自然遊歩道から富士山を眺める>
[復刻版] 山梨と静岡の県境:思親山・長者ヶ岳・天子山縦走
(湘南カラビナ隊)
2006年1月12日(木)~13日(金)
<コースの概要>
■コース地図(2日間概要)
■プロフィールマップ(2日間概要)
第1日目:2006年1月12日(木):思親山ハイキング
<ハイキング地図(詳細)>
<プロフィールマップ(詳細)>
■コース概況:
JR井出駅→思親山→佐野清涼荘(泊)
水平歩行距離 11.3km
累積登攀高度 1065m
累積下降高度 813m
私達湘南カラビナ隊有志7名は,1泊2日で思親山・長者ヶ岳・天子山を縦走した。旅の途中に,手作りの山行ならではの色々な経験をする機会があり,参加者全員が大満足であった.
参加者は7名.
■JR身延線井出駅から歩き出す
9時40分,JR身延線井出駅に集合した私達は,駅前でストレッチを行った後,9時55分に歩き出した。駅前にたった1軒の雑貨屋に挨拶をして,登山計画書を預ける。愛想の良いおばさんが,親切に応対してくれる。
<JR井出駅に到着>
<駅近くに1軒だけ雑貨屋がある>
■八木沢の集落を通過
ここから東海道自然歩道を辿って思親山へ向かう積もりである。登山口から暫くは,急坂の林道を登る。舗装道路である。歩き始めてから約2.5kmで八木沢の集落に到着する。
源立寺の境内を抜けて,ほぼ林道と並行している山道に入る。何回も林道と抗さしながら,森林の中の林道をゆっくりと登る。
<八木沢の道祖神>
<八木沢の常照寺>
■東海道自然遊歩道を登る
なだらかな勾配の尾根道を辿りながら徐々に標高を上げていく。歩き始めてから5kmを過ぎた頃,標高約800mの見晴らしの良い峠に達する。ここで小休止して,軽く昼食を摂る。
さらになだらかな尾根道を進む。標高が高くなるにつれて残雪が多くなる。進行方向右手には,雲一つない富士山が見えている。強風で雪が吹き飛ばされるためか富士山には殆ど雪がない。昨年の夏に,モンブラン登頂の体力強化のために,2回も登った富士山の「剣が峰」が良く見える。
<伸びやかな尾根道を行く>
<富士山が良く見える>
■思親山山頂
13時頃,思親山の山頂に到着する。灌木に囲まれた広場が山頂である。道標とベンチが設置されている。ここで,ゆっくりと休憩を取ることにする。お湯を沸かして,コーヒー,紅茶,スープなどのお好みを楽しむ。
山頂を出発する前に集合写真を撮ることにする。丁度そのとき,作業服を着た3人の男性が山頂にやってくる。
「シャッターを押しましょう」
と親切に声を掛けてくる。
雑談を始めると,
「皆さん,今日,佐野青山荘にお泊まりの神奈川の方ですか?」
と聞いてくる。話を伺うとこの3人の方は南部町役場の職員である。
「実は,青山荘のボイラーが故障していて,今,修理しているところです。もう治っていると思います・・・・もし,暖房が寒いようでしたら隣の診療所の建物でユックリしてください・・」
と話し出す。どうやら,私達が宿泊を申し込んだので,施設の点検をしていたらしい。
<思親山山頂>
<思親山山頂で昼食>
■佐野清涼荘へ
山頂から佐野へ下る山道の所々に,かなり残雪のある急斜面がある。アイゼンを履く程ではないが,足下に注意しながら下る。やがて,長いトラバース道を通過して,茶畑が広がる佐野の集落に入る。茶畑の中の道を下り始めると,下から私達を見ていた雑貨屋の主人が,
「佐野青山荘はあっちですよ」
と大きな身振りで教えてくれる。まるで,私達の到着を集落上げて歓迎してくれているように思えてくる。
佐野青山荘は,小学校の跡地に作った施設のようである。広い広場の片隅に平屋建ての建物が建っている。あらかじめ連絡していた到着時間より,私達が1時間ほど早く着いてしまったので,玄関の鍵が閉まっている。私達は建物の前の広場で日向ぼっこをしながらストレッチをする。
<佐野青陵荘>
■佐野清涼荘の夜
ややあって,ライトバンが広場に入ってきた。人の良さそうなおばさんが2人降りてくる。この施設を管理している皆さんである。一緒に建物の中に入る。中は外観から想像していたよりも,ずっと広い。
玄関を入って左手には男女別の風呂と宿泊部屋,玄関の正面には洗面所とトイレ,右手には15~16畳ほどの宿泊部屋が2部屋,移動壁で仕切られている。その奥には大きな台所兼食堂がついている。
台所には流し台3カ所,ガスレンジ3カ所,電子レンジ,各種食器,どえらく大きな電気釜など,ありとあらゆる道具が完備している。ガス,水道は使い放題。これで,1泊の料金が,たった1,500円。それに寝具一式(マットレス,敷き布団,毛布,掛け布団,枕)使用料が500円。合計2,000円で済んだ。
各自,自分で用意してきた気儘な夕食を楽しんだ。
<気ままな夕食>
<佐野清涼荘の風呂>
第2日目:1月13日(金)。長者ヶ岳・天子ヶ岳縦走
<登山地図(詳細)>
<プロフィールマップ(詳細)>
■コース概況:
コース:佐野登山口→上佐野分岐→長者ヶ岳(往復)→上佐野分岐→天子ヶ岳→白糸の滝
水平歩行距離 14.1km
累積登攀高度 1297m
累積下降高度 1207m
■深い森の中を歩く
あいにくの曇り空である。
6時頃起床する。すぐに,食堂で思い思いの朝食を摂る。何人かの方が差し入れてくれたインスタントみそ汁が美味しい。私はアジフライと「うどん」で朝食を済ませる。
7時頃,佐野清涼荘を出発する。
暫くの間,集落の中央を通る舗装道路に沿って北へ進む。この道は,1日3往復の村営バスが通る目抜き通りである。道路の両側には,パラパラと民家が散在している。佐野川を渡って,山裾を回り込むようにして登山道に入る。この辺りには檜の国有林が広がっている。丁度,伐採が進んでいる。谷間の登山道を登っていくと,前方から人の声が聞こえてくる。やがて,この人達に追いつく。先頭を歩いていた私は,挨拶をしながら,どちらから来たかと伺ってみる。
「福島から来たんダ・・・木材の伐採に来たんだよ。で,あんた達は,これから山サ,登るうんケ・・」
と聞いてくる。
深い谷間に急傾斜の登山道が続く。谷間の右岸左岸を縫うように進む。途中まで,伐採作業のために臨時に設けられた登山道を登る。ゆっくりとしたピッチで,着実に高度を稼ぐ。
途中に「天者名水」という水飲み場があるはずだが,枯れているようで見当たらない。
標高が上がるにつれて,日の当たらない北傾斜のトラバース道に,残雪が目立つようになる。ザレた斜面が所々で崩落している。長い木道が次々に表れる。雪を被った木道は,とても滑りやすくなっている。かなり長い間,緩い勾配の道路が続く。滑りやすい登山道を慎重に歩き続ける。
1030mピークを過ぎると急な下り坂のジグザグ道になる。北斜面なので,5cmほどの積雪がある。軽アイゼンを履いた方が良いかなと一瞬迷うが,道の斜面に木の枝が沢山あるので,これらに掴まりながら,慎重に降りれば問題なさそうなので,ノーアイゼンのまま進む。
標高差で30mほど下ると,再び緩傾斜のトラバース道になる。
気が付くと,昨日の思親山に始まり,これまで,市役所の方や伐採作業をする方には合ったものの,登山者には全く出会っていない。今,私達が登っている道は新雪に覆われている。ただ,動物の足跡が延々と続いている。ときどき黒い色の排泄物がある。この排泄物の形を見るとウサギではない。貂だろうか。私達は貂の足跡に導かれるようにして,ときどき荒れて道筋が不明瞭になる山道を進む。
やがて急勾配のジグザク道が続くようになる。雪の下がザレていて滑りやすい。当初予想していたより随分と長い道のりである。やがて,前方に稜線が見えるようになる。落石を起こさないように注意しながら,喘ぐように急坂を登り詰める。そして,長者ヶ岳と天子ヶ岳を結ぶ稜線の鞍部,上佐野分岐に出る。
稜線に出ると,人の踏み跡が見えるようになる。案内板が建っている。案内板の下に注意書きが貼り付けてある。この注意書きには,「冬期には,山梨県側の登山道は危険なので熟達者以外は下山しないこと」と書いてある。私達は熟達者ではないが,注意書きを知らずに,この道を登ってきたことになる。
<急傾斜のジグザグ道が連続する>
<峠の案内板>
■長者ヶ岳山頂で昼食
峠で小休止後,長者ヶ岳を目指す。稜線に残雪があるものの,これまでの道に比較すると,とても歩きやすい。相変わらず曇天だが雨は降っていない。林を通して右手を見ると,山頂に傘雲が巻き付いた富士山が黒いシルエットのように見える。
やや急な坂を登ると,気持ちの良いなだらかな尾根道が続く。そして最後の坂道を登り詰めると広々とした天子ヶ岳山頂に到着する。山頂にはベンチが2組ある。充分時間があるので,ここで昼食とティータイムを摂ることにする。
水を出し合って,お湯を沸かす。ベンチを囲んで,楽しく語り合う。コーヒー,紅茶,各種スープなど出し合いながら楽しむ。
<長者ヶ岳山頂からの富士山>
<広々とした天子ヶ岳山頂>
<天子ヶ岳山頂で昼食>
■天子ヶ岳山頂
昼食後,往路を引き返す。平易な下り坂なので,足下に注意しながらも,かなり速い速度で,上佐野峠まで下る。ここで一呼吸置いて,「これから坂道を登るぞ」と自分に言い聞かせる。
ここから天子ヶ岳山頂までは,岩稜沿いのやや急なジグザグ道が続く。坂道を,20分余り,一気に登ると天子ヶ岳南峰に到着する。途中,天子ヶ岳北峰を通過したはずだが,北峰の位置は不明瞭である。
<天子ヶ岳山頂>
■天子ヶ岳から一気に下る
山頂を少し下ると「展望台」という標識がある。展望台からは,目の前の富士山が良く見える。眼下には広大な山麓が広がっている。高曇りの空を背景にして,傘雲を被った富士山が黒く霞んで見える。
天子ヶ岳山頂の標識を入れて集合写真を撮り合う。
天子ヶ岳山頂から,暫くの間は,なだらかな稜線沿いの道が続く。残雪もほとんどなく快適である。しかし,なだらかな道もすぐ終わりになる。それから先はかなり急なザレ道になる。残雪がザレた路面を覆っている。かなり滑りやすいジグザグ道が暫くの間続く。一歩一歩注意しながら慎重に下る。
■白山神社
やがて,登山道は林の中を下るようになる。視界がなく不気味な急坂の連続である。雨で流されたのだろうか,道路は荒れている。ウンザリするほど長い道である。
やがて,林を抜け出て富士山が良く見える展望台に到着する。えぐられた登山道の縁に生えている枯れススキを通して大きな富士山が見える。ここから先の登山道は,やや緩傾斜になったが,相変わらずのザレ道で滑りやすい。道幅は随分と広くなっいるが,雨水に流されていて荒れている。山頂から約1時間ほど下ったところで,林道に飛び出る。ここは,登山道と林道が交差する十字路である。
呼吸を整えるために小休止する。折からトラック1台が林道を下ってくる。再び登山道に入る。ここからは,林の中を,だらだらとした単調な道が続く。かなり長い道のりである。ウンザリするほど下ると,広い林道と交差する。ここに「天子ヶ岳登山口」と書いた案内板が建っている。さらに下ると右手に白山神社が見えてくる。そして佐折地区の集落に出る。
<白山神社>
■バス停白糸滝
この辺りの道路は地形図とかなり異なっているので,どちらの方向へ行くのかで多少迷う。全く自動車が通っていない広い舗装道路をテクテクと歩き続ける。どうやら「原」という集落らしい。ダラダラの坂道を登ると交差点に出る。そこにバス停の標識がある。地図手確かめるとバス停「立石」である。ここかバス停「白糸の滝」まで1km余り。15時00分発のバスには,まだ時間があるので,ついでに歩いてしまう。いざ歩いてみると単調な舗装道路は結構な道程に感じる。
<バス停白糸の滝>
■富士宮駅からJRで帰宅
バスに乗車したのは私達一行だけである。途中道路は渋滞している。私はいつの間にか居眠りをしていた。
15時40分に富士宮駅に到着する。
富士宮駅は,随分立派な駅に建て替えられている。16時01分発富士行の電車に乗る。1両だけの編成である。車内は高校生で一杯である。富士で三島行の電車に乗車,沼津で熱海行に,熱海で隣ホームに移動して東京行に乗り換える。乗換ばかりで何とも不便である。
私達湘南カラビナ隊の「思親山・長者ヶ岳・天子ヶ岳縦走」は成功裏に終わった。
<[ラップタイム>
第1日目;1月12日(木) 快晴
9:55 JR井川駅歩き出し
10:21 330mm地点(10:24まで衣服調整)
10:43 源立寺(標高400m)(10:45まで休憩)
11:05 自動車道を交差(490m)
11:09 再び自動車道に出る
11:10 山道に入る(460m)
11:46 655m地点(11:50まで休憩)
12:07 林道交差点(12;21まで休憩)
13:00 思親山山頂(1030m)( 13:57まで休憩)
14:27 佐野峠(900m)(14:36まで休憩)
15:30 佐野清涼荘に到着
第2日目;1月13日(金) 曇
7:04 佐野清涼荘歩き出し
7:22 栃広橋を渡る
7:26 登山道入口
7:53 570m地点(7:58まで休憩)
8:22 745mベンチ(8:30まで小休止)
9:23 1010m地点(9:30まで小休止)
10:34 上佐野峠(10:48まで休憩)
11:09 長者ヶ岳着(1336m)(11:37発)
11:52 上佐野峠(11:56まで小休止)
12:19 天子ヶ岳南峰着(1330m)
12:22 展望台着(12:27まで休憩)
12:30 再び天子ヶ岳山頂
13:46 林道に出る(13:55まで休憩)
14:14 登山道入口
14:19 白山神社前
14:48 バス停白糸の滝
=================================================
15:00 バス停白糸の滝発(富士急静岡バス)
15:40 富士宮 着
[ハイキング・登山記録]
第1日目 第2日目 合計
■水平歩行距離(km) 11.3 14.1 25.1
■累積登攀高度(m) 1065 1297 2362
■累積下降高度(m) 813 1207 2020
■所要時間
出発 9:55 7:04 ・・・・
到着 15:30 14:48 ・・・・
(所要時間) 5時間35分(5.58h) 7時間44分(7.73h) 13時間19分(13.32h)
水平歩行速度(km/h) 2.03 1.82 1.88
(おわり)
「伊豆・箱根・富士山の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/aad3d97bf60dde8720d231ff216b1e6a
「伊豆・箱根・富士山の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/2bb70fcef04b25116d59077bea3eaf5d
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