<三つ石付近の紅葉>
浅間連峰周遊:第2日目(2):強風吹き荒れる浅間山で紅葉を楽しむ
(丹沢塔ノ岳常連)
2013年10月8日(火)~10日(木)
第2日目;2013年10月9日(水) 曇・強風
<ルート概念図>
※再掲
<草すべり分岐へ>
■火山館を出発
休憩を終えて,8時47分に火山館を出発する.
火山館の脇に鎮座する浅間神社で,登山の無事を祈りつつ,湯の平を目指して,やや急な登り坂を登り続ける.やがて坂道の勾配が緩くなる.辺りは,深い唐松と雑木の森に変わる.これまで,この辺りでカモシカに会ったことがあるので,
「ひょっとしたら,カモシカに会えるかもしれませんよ…」
と同行の皆さんに注意を促すが,今回はカモシカが現れる気配がない.
標高が少し上がったせいか.辺り一面にかなり濃い霧が湧き始める.
<火山館を出発して深い森に入る>
■草すべり分岐
8時50分,草すべり分岐に到着する.
これから順調に登山できれば,この草すべり分岐から,トーミノ頭を抜けて車坂峠に抜ける予定である.しかし,順調でなければ,往路を引き返して,再び火山館へ戻るつもりである.
今はともかく直進して,次のJバンド分岐を目指すことにする.
<草すべり分岐>
■霧の中の紅葉
草すべり分岐を過ぎると,背の低いカラマツの森になる.
見頃には一寸早いが,紅葉したカラマツがとても美しい.ただ残念なのは霧がますます深くなり,先ほどまで見えていた外輪山が全く見えなくなってしまった.
地元出身の私としては,ここから眺める外輪山の美しさを是非見て貰いたかった.それが叶わないのが極めて残念である.
途中で下山してくる女性とすれ違う.
「上の方はどんな様子ですか?」
とこの女性に伺う.
「とにかく強い風で…私は前掛山分岐で引き返しましたが,息子は前掛山山頂まで登るといってました…」
<草すべり分岐を過ぎると紅葉が美しくなる>
<強風吹き荒れる賽の河原>
■Jバンド分岐
美しい紅葉の中を登り続けて,9時10分にJバンド分岐を通過する.
霧がますます深くなるが,このコースはシッカリとした一本道なので,迷う心配はないのが幸いである.
Jバンドを過ぎると,登山道の勾配が次第に急になる.浅間山はコニーデ式火山である.したがって,山麓から山腹に向かうにつれて,登山道の勾配がますます急になる.強い風も吹いている.
勾配が急になるにつれて,同行者のお一人の歩行速度が遅くなり始める.
<Jバンド分岐>
■賽の河原;コリャア~ダメだ!
賽の河原を登り始める.
そのとき1人の男性が下山してくる.先ほどの女性の息子さんだと直ぐ分かる.
「さきほどお母さんに会いましたよ…どこまで登られましたか」
と伺う.
「前掛山山頂まで登りましたが,とにかく風が強くて大変でした…」
私は遅れ始めた人と一緒に歩く.先頭を行く3人との距離が離れ始める.もう最悪.コリャダメダ.
3人は,ときどき振り返るが,余り待つ気配はなく.ますます距離が離れるばかりである.
“これではグループ行動ではなくなる…”
私はグループを2班に分けて行動しようと思う.浅間山の登山経験のあるTBさんに先行する3人のガイドをして貰う.そして,私は遅れ始めた方と一緒に行動し,適当な所で火山館に引き返す.そして,3人と火山館で落ち合う.その後は浅間山荘まで一緒に下山する,浅間山荘から車坂峠まではタクシー相乗りで移動するというシナリオである.
「ちょっと待って下さあ~い…!」
と3人を呼び止める.
3人が立ち止まる(下の写真).
私は自分の考えを説明して,火山館で落ち合うことにする.
9時22分,先行3人のパーティはTBさんをリーダーにして,再び歩き出す.
<ここで二つのグループに分ける>
■再びJバンド分岐へ
私たち2人は,後ろからユックリ登る積もりである.ところが,同行の方が,
「ここから先はおなじようなものでしょう.天気も良くないので戻りましょう…」
と言う.私にも特段の異論はない.
「では,ここから下山しましょう.時間があるから登り下りが殆どない三つ石か天狗の路地にでも行って,3人の下山を待ちましょう」
私たち2人は,浅間山のガレ場に入る前に,早々と撤退して,往路を戻る.そして,9時47分に,再びJバンド分岐に戻る.
<Jバンド分岐付近の紅葉>
<三つ石へ>
■湯の平の紅葉
Jバンド分岐で,私は少々迷う.勿論,このまま火山館に戻ったのでは,いくら何でも早すぎる.そこで,Jバンド分岐から三つ石方面でも少し散策しようか,それとも,一旦,火山館に戻って,リュックを火山館に預けて,近くの天狗の路地にでも行こう.
“まあ,ここはひとまず三つ石方面を散策しよう.そして,もし先発の3人が戻ってから,時間があったら天狗の路地を散策しよう”
と頭の中で計画を立てる.
「ちょっと,Jバンドの方に行ってみましょう.足,大丈夫ですか」
と一緒の方に伺う.
「(そんなに急坂がなければ)大丈夫ですよ」
とのことなので,分岐で左折して三つ石方面に向かう.
分岐から森の中の素晴らしい散策路に入る.辺り一面が紅葉である.
<森の中の素晴らしい散策路>
■見事に紅葉したカラマツ
やがて雑木林を抜けると,一面のカラマツの平原に出る.もし晴れていれば,向こうに第二外輪山の山が見える筈だが,濃い霧のために第二外輪山は全く見えない.でも,見頃には一寸早いとはいえ,黄金色に紅葉したカラマツは実に見事である.
どうせ時間はタップリある.私たちは,ゆっくり,ノンビリ,紅葉を楽しみながら,歩き続ける.
<カラマツの林の中の散策路>
■まるで黄金色の屏風
歩き進むにつれて黄金色に紅葉したカラマツがまるで屏風のように広がっているところに到着する.正に息を呑む美しさである.
実のところ,私個人は,先行の3人と浅間山に登りたかったが,やむを得ず引き返したが,ここのカラマツの紅葉を見ている内に,
“山頂ではなく三つ石に来て,良かったのかもしれない”
と思えるようになる.
<まるで屏風絵のように広がる紅葉のカラマツ>
■三つ石に到着
10時15分,私たちは三つ石に到着する.
冷たい横殴りの風が吹いている.三つ石の岩陰に隠れて,暫時,休憩を取る.
ここから少し先へ行くと,鋸岳に登るJバンドの急坂に突き当たる.勿論,Jバンドを登る積もりなどさらさらないが,ほんの少しだけ三つ石から先に行ってみることにする.
<三つ石に到着>
<自然の庭園を楽しむ>
■噴石の庭園
三つ石で休憩を取った後,三つ石から少し先へ行ってみる.
三つ石を過ぎると,大きな噴石がゴロゴロと転がっている石の庭園のような所が現れる.勿論,これらの石は全て浅間山の火口から飛んできた噴石である.私たちは,今,浅間山の第二外輪山の火口の中に居る.
素晴らしい風景に感動した同行の方が,
「人間が作った庭なんか,自然の庭にはとても敵わないね…」
と感想を漏らす.私も同じ様な意見である.
やがて,霧が薄れて,ときどき第二外輪山が霧の間に見え隠れする.素晴らしい風景である.こんな風景を先行の3人にも是非見せたかった.
<Jバンド手前の石の庭園>
■第二外輪山が見える
三つ石から往路を引き返す.勿論,紅葉を眺めながらのゆっくり歩行である.ときどき霧が晴れて,第二外輪山の岩肌が見える.これがまた実に綺麗である.
ときどき,美しい風景に見とれて,立ち止まる.
<霧の間に第二外輪山が見える>
■色鮮やかな火口原
辺りの紅葉があまりに美しいので,ついつい見とれてしまう.2人で,
「綺麗だね,見事だね…」
を繰り返しながら,牛のような歩みで,往路を戻る.
途中で,鳥の声のような,人の声のような物音がチラリと聞こえる.
「あれ…! 鳥かな? それともTBさんの声かな…」
と同行の方が言う.
私も,何か聞き覚えのある音だったような気がする.
暫くすると,また同じ音が聞こえてくる.
「TBさんだ…! TBさんに違いない」
と二人の意見が一致する.
「では,とにかくJバンド分岐まで行きましょう.3人と合流できるかもしれませんよ…」
ということで,TBさんらしい声を聞いてからは,余り道草をせずに往路を戻る.
<湯の平;美しい自然の庭園>
<草すべり分岐へ>
■Jバンド分岐で3人と合流
10時43分,Jバンド分岐に戻る.姿は見えないが,TBさんの話し声だけが,近くから聞こえてくる.
「やっぱり,TBさんだ.もうすぐ合流できますね」
待つほどもなく,3人がJバンドに現れる.
私たちがJバンドで待っていたので,3人は意外だなという顔をする.
「いえ…,ずっと向こうでTBさんの声が聞こえてきたので,真っ直ぐ戻ってきてお待ちしていたんですよ…」
3人の話を伺うと,樹林帯を過ぎてからは大変強い風が吹き荒れていて,まともに立っていられないので,前掛山分岐で登頂を諦めて下山したという.まあともかく無事で良かった.
それにしても,3人ともずぶ濡れになっている.
「雨が降ったんですか…?」
「いえ…雨ではないんですが,霧が吹き付けるんでびしょ濡れになっちゃいましたよ…」
とにかく,3人はひどい格好になっている.よほど風が強かったに違いない.
<Jバンド分岐で合流>
■草すべり分岐
Jバンド分岐からは全員一緒に下山し続ける.
樹林帯に入ると,風も穏やかになる.ただ,霧はますます深くなるようである.
11時04分,往路を辿って,再び草すべり分岐に到着する.ここで一休み.
私は,このまま一緒に火山館まで戻って,一休みした後,浅間山荘まで下山する積もりだったが,同行者の一部から,
「まだ時間は早いし,折角だから,当初予定通り,トーミノ頭経由で車坂に下山しましょう」
という意見が出る.
勿論,時間的には十二分に余裕があるが,私には二つの不安材料があると思っている.
第1は,先ほど浅間山麓でリタイアした女性の体力である.
第2は,トーミノ頭付近の風である.多分強風が吹き荒れているに違いない.
「トーミノ頭までは,ここから急な登り坂が連続しますよ.標高差が約350メートルあります.大丈夫ですか?」
と先ほどリタイアした女性に伺う.
「350メートルぐらいなら大丈夫ですよ」
との返事である.
トーミノ頭付近の強風が気になるが,途中で何か気掛かりがあったら,すぐに引き返すという条件で,消極的ながらトーミノ頭へ向かうことに決める.
<草すべり分岐>
(つづく)
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