<花立山荘>
熱中症を気にして花立山荘でリタイア;丹沢;塔ノ岳(今年40回目)
(単独山行)
2014年8月20日(水) 晴・猛暑
■今朝は何時になく蒸し暑い
何時もの通り,早朝3時に起床する.早朝から何だかヤケに蒸し暑い感じがするが,今日は水曜日,定例の塔ノ岳へ出掛ける日である.
4時10分,自宅を出発,大船駅へ向かう.
自宅を出た途端,“モワ~”とする湿気と,何時もとは違う蒸し暑さを感じる.
もう夏至を過ぎてから2ヶ月,外は真っ暗である.東の空には靄で滲んだ三日月が光っている.
“どうも,今日はヤケに蒸し暑そうだな…”
私は何となくイヤな予感があったが,何時もの通り東海道本線下り一番電車に乗車する.
小田原駅で小田急電車に乗り換える.ホームの階段を登っているときに.今日の体調は決して悪くないなと感じる.この体調なら塔ノ岳往復は問題ないなと判断する.
今日の天気は上々である.小田急電車の車窓から矢倉岳と富士山がとても良く見えている.私はご機嫌で,矢倉岳と富士山が重なる瞬間をカメラに納める.ただ気になるのは,富士山の山麓に雲が棚引いていることである.
<富士山と矢倉岳>
■こりゃあ~ダメだ…
渋沢発大倉行1番バスは,今日が平日なことを勘案しても,かなり空いている.乗り合わせた常連は,韋駄天のNMさん,TGさん,TDさん,久々のTZさん,Iwiさんだけ.
バスは7時02分に大倉に到着する.
7時08分,TGさん,TZさんと一緒に,バス停大倉から歩き出す.歩き出して間もなく先頭のTGさんとの距離が開きはじめ,登山口に到着する頃にはTGさんとの距離は数十メートル以上に開いてしまう.
歩き出してすぐに,今日の気温が随分と蒸し暑いことに気がつく.丹沢ベースを過ぎる頃から,完全な一人旅になる.
私は熱中症になることだけは,何としても避けたいので,ハイドレーションシステムから意識的に水を一口,二口と補給しながら,登り続ける.そして,流れるような汗をかかないように,何時もより歩行速度をかなり落として歩くよう心掛けるが,それでも汗が吹き出てくる.
“こりゃ~ぁ…マズイナ! 桑原桑原…今日は途中で登るのを止めて引き返そう”
と決心する.
“じゃあ~…今日の目標は小草平かな”
私は小草平で下山することに決める.
■見晴階段
7時51分,見晴茶屋を通過する.
大倉からの所要時間は43分.今日はダメだダメだと思っている割には,ここまでのラップはそれほど悪くはない.
見晴階段に差し掛かる.大倉尾根最初の難所である.恒例の定点観測の写真を撮る.2~3人の登山者の後ろ姿が見える.
私は自分のリズムを崩さないように,ユックリ,ユックリと登るが,相変わらずの蒸し暑さで,体中が火照っている.
“やっぱりダメだ…いくらペースを落としても,汗が噴き出てくる”
私は,小草平辺りで下山しようと改めて思いながら,登り続ける.
<見晴階段>
■一本松上のベンチ
見晴階段を登り切って,モミジ坂に差し掛かる.正直,シンドイ….ペースを落として歩いているが,吹き出る汗が止まらない.
8時07分,ようやく一本松を通過する.すでに大倉から歩き出して丁度1時間が経過している.実にノンビリしたペースである.
一本松のベンチを通過する.沢山の登山客が休憩を取っている.
ベンチに座っている登山客の中に,ご常連のMTさんが居られる.
<一本松上のベンチ>
■堀山の尾根道
やがて駒止階段に差し掛かる.
ユックリ,ユックリ,階段を登る.お二人の男性が私と前後しながら階段を登っている.
8時27分,駒止階段を登り切って,漸く駒止茶屋に到着する.大倉からの所要時間は実に1時間20分.今年の最低記録である.でも,この蒸し暑さではどうしようもない.
堀山の尾根道に入る.微風すら吹かないので,蒸し暑いままである.
やがて富士山が良く見える場所に到着する.小田急の電車の中で見たときと違って,随分と雲が湧いている.雲の中に富士山がボンヤリと見えているだけである.私は,それでも,定点観測用として富士山の写真を撮る.
<大倉の尾根道からの富士山>
■小草平
8時49分,やっと小草平に到着する.今日は平日.堀山の家はお休みである.
今日の私は,ここを終点にしたいなと思っている.
ベンチにドッカリと腰を下ろす.何時も山頂までノンストップで登っているので,ここのベンチに腰を下ろすのは,多分,今年になって初めてのことかと思う.
私がベンチに腰を下ろしてほどなく,MTさんが小草平を通過していく.
たまたま私に前後して歩いてこられた2人の男性と雑談をしながら休憩を取る.
9時06分頃,2番バスで来られたFTさんが,小草平に到着する.
「私,今日はここでオシマイにしますよ…」
とFTさんに話しているうちに,どうせだから花立山荘まで登ろうかという気持ちになる.
私より少し先を登っているFTさんが,
「…(ここまで来れば)風が吹いていますよ…」
と私を勇気付ける.
■萱場平
とにかく今日は蒸し暑い.
いくらゆっくり登っても涼しくならないので,汗が止めどもなく流れ出る.流れるような汗をかきながら登り続けるのは私の主義主張に反している.
“こんなにあせびっしょりになるなんて,しょうがないナ…”
と思いながら,9時10分に萱場平を通過する.萱場平には人影がなく静まり返っている.
何時ものように,萱場平の写真を撮る.
<萱場平>
■グレープフルーツの男性に促されて…
その後も惰性でノソノソと登り続ける.
階段道が終わってガレ場に入るところで,下山してくるNMさんとすれ違う.何時もならば後7分坂(花立階段)の途中ですれ違うのに…
9時35分,ようやく後7分坂のとっかかりに到着する.坂を見上げて,正直なところ,
“ヤレヤレ…こんな階段登のイヤだな…”
と思う.
“まあ,…ここで一休みだ.”
何時もなら大倉から塔ノ岳山頂まで,途中で休もうなどと,全く考えたことのない私だが,今日は何時になく消極的である.
“どうしよう…このままここから下山しちゃおうか…”
と迷っていると,先ほどから私と前後して登ってきた男性が,私に追い付く.
「私,大きなグレープフルーツ,持ってます.花立山荘で一緒に食べましょう…」
と誘ってくれる.
“グレープフルーツか…なるほど! 山で食べたら美味しそうだな…”
食べ物に卑しい私は,ついつい花立山荘まで登る気になる.そして,9時45分,この男性に引きずられるようにして後7分坂を登りはじめる.
坂をもう少しで登りきる頃,花立山荘の「氷」の幟旗が見え始める.今日は平日なのにどうやら花立山荘は開店しているようである.
「氷」の幟旗に吸い寄せられるようにして,後7分坂を10分掛けて登り,9時55分に花立山荘に到着する.9時55分と言えば,何時もならとっくに塔ノ岳山頂に到着している時間である.
<花立山荘の氷の幟旗>
■グレープフルーツ
花立山荘のベンチに座って休憩.
男性から,グレープフルーツを半分頂戴する.蒸し暑くて汗ばんだところで食べるグレープフルーツは実に美味しい.正直なところ,これまで食べたことのあるグレープフルーツの中で一番美味しく感じる.この男性に感謝!!!
“これから山へ行くときは,オレもグレープフルーツを持って行こう…”
塔ノ岳のご常連に紹介したいと思って,この奇特な男性の写真を撮らせて貰う.勿論,ブログへの掲載を快諾して貰うが…,でも,不特定の方々も見ようと思えば見る事の出来るブログには,やっぱりお顔だけはトリミングさせてもらうことにする.
この男性,湘南台近くにお住まいとのことである,ご常連のTGさん,TZさんのお住まいの近くである.
「途中で裸で登っている方に会いましたよ…」
と男性が言う.私は直感的に,
“多分,TZさんだろう…”
と連想する.
しばらくすると,噂していたTZさんが,花立山荘前に到着する.
私は,TZさんに,
「私,今日はここから下山します」
とお断りする.
<グレープフルーツを頂戴した男性>
■花立山荘の氷水
暑いときは,やっぱり,氷水である.
グレープフルーツの男性と一緒に花立山荘に入る.
塔ノ岳の山頂に近いところに位置しているので,これまで私は花立山荘には殆ど立ち寄ったことがない.したがって,花立山荘の氷水を食べるのは初めての経験である.
花立山荘では何種類かの氷水が食べられる.メロンにするかそれとも…と迷うが,結局イチゴに落ち着く.
二人で,
「うまい,うまい,…」
を連発しながら食べる.
すると,近くに座っていた男性が,私たちにつられて氷水を注文する.
食べながら山荘の女将に,
「平日なのに,今日は開店しているんですね…」
と伺う.
「今日はボッカをしたので,ついでに開店しているんです…」
とのこと.
氷水を飲みながら,ノンビリ外を見ていると,三角髭のTDさんが下山してくる.私は,挨拶のつもりで,
「TDさん…」
と声を掛ける.
するとTDさんが,わざわざ山荘の窓まで引き返してくれる.私,恐縮.
「どうですか…一緒に氷水は…」
TDさんは,ニッコリ笑いながら,
「いや,いや…」
とボデーランゲージでお返事してから,後7分坂を下りていく.
<花立山荘の氷水>
■のんびり,そして大急ぎで下山
10時22分,男性とお別れして,私は後7分坂を下り始める.階段を3分の1ほど下ったところで,暑さがすっかり飛んでしまい,体調も快適なことに気がつく.氷水のお陰で体温も疲れもぶっ飛んだんだろう.
私は階段の途中で立ち止まって,
“やっぱり,塔ノ岳山頂まで行こうか…今から登り返しても11時頃には間違いなく山頂に投薬できるぞ…”
と散々迷う.でも,今から山頂に行ったのでは,帰宅するのが16時を廻ってしまう.16時からは別の予定があるので,やっぱりこれから山頂は無理だ.
私は残念無念の気持ちのまま,下山することにする.大倉発12時52分のバスに間に合えばいいなと思いながら…
11時25分,一本松上のベンチに到着する.
ここのベンチに腰掛けて昼食を摂る.蛇足ながら,この辺りは山ヒルの生息地なので,ベンチに腰を下ろすときには,山ヒルが居ないかどうか十分に注意する必要がある.
昼食を終えて,11時37分に一本松を通過する.
“あれ…急いで下山すれば,12時22分のバスに間に合うな…”
そんなに早く帰る必要はないが,間に合うとなれば,ついつい急ぎたくなる.
11時50分,見晴山荘を通過する.ここから大倉までは,一人旅を良いことにして猛スピードで歩き続けて,12時18分に大倉に到着する.
水場で大急ぎで靴底の泥を洗い流して,12時22分発のバスに乗車する.
■熱いコーヒー
渋沢から小田急線で小田原へ,東海道本線の電車に乗り継いで13時半過ぎに大船に到着する.
大船も勿論暑いが,心地よい海風が吹いている.気分が良い.それに,花立山荘から引き返してしまったので,何となく不完全燃焼のような気分である.
“…ま,ともかく熱いコーヒーでも飲もう…”
ということで,ルミネ1階の某コーヒーショップに入る.
220円也のホット.
“プロが入れるコーヒーは何でこんなに美味しいんだろう…”
と思いながら,コーヒーをノンビリと賞味する.人はこんな時間のことを「珠玉の時」と称するようである.
<某コーヒーショップの格安コーヒー>
■もう少し歩こで鎌倉中央公園へ
14時07分,某コーヒーショップを出る.もうバスに乗る気は全くない.私は駅から鎌倉中央公園清水塚口を目指して山登りをする積もりである,水平距離2キロメートル余り,累積標高約60メートルの登りである.これだけ歩いても,花立山荘から塔ノ岳山頂までの標高差には到底及ばないが,歩数だけは多分ずっと多くなるはずである.
駅前から,買い物客でごった返す中通りの商店街を抜ける.横須賀線の跨線橋を渡って,水道山の山麓を通り抜け,山崎から小川沿いの道を歩いて,14時51分,鎌倉中央公園山崎口に到着する.
園内の緑陰は海風が吹き抜けていて,とても涼しい.天国天国である.木陰でノンビリと涼を取りながら,園内を散策する.
ただ,塔ノ岳帰りなので,リュックと登山靴姿である.
“なんで登山の装備で公園を歩いているの…”
傍目から見たら妙な姿に見えるだろうな…
<鎌倉中央公園の涼しい緑陰を楽しむ>
■バス停鎌倉中央公園入口
時間があれば,このまま夕方まで公園で涼んでいたかったがそうもいかない.そろそろ家に戻らなければならない.
園内の下の池,上の池を経由して,今日最後の登り坂に向かう.この坂道を登りきったところが清水塚口,バス停鎌倉中央公園入口である.
<清水塚口に向かう最後の坂道>
■無事帰宅
鎌倉中央公園から先の経路は明らかにできないが,15時少し過ぎに無事帰宅する.
16時からは約束があるので,大急ぎでシャワーを浴びて,服装を整える.本当は風呂に入りたかったが…
でも,服装を変えると,まるで別人.ジェキルとハイドの違いだ.序でに頭の中のスイッチも「山モード」から「えせ研究者」に切り替える.ここから先のことは,このブログにはそぐわないので省略.
何だかんだいっても,本日の歩数は32,166歩.
塔ノ岳山頂までは行かなかったが,まあ,花立山荘まで行ったんだから,四捨五入して,今回も塔ノ岳登山の回数にカウントしておこう…ということで,今年の塔ノ岳登山回数は漸く40回になった.例年よりちょっとテンポが遅いようだが,自分の年令を考えれば,まあ,こんなところかもしれない.
…という訳で今日もまあまあの一日だったということにしておこう.
<ラップタイム>
7:08 大倉歩き出し
7:32 観音茶屋
7:51 見晴茶屋
8:27 駒止茶屋
8:49 堀山の家(9:06まで休憩)
9:38 花立階段登口(9:45まで休憩)
9:55 花立山荘着(10:22まで休憩)
11:03 堀山の家(31℃)
11:21 駒止茶屋
11:50 見晴茶屋
12:05 観音茶屋
12:18 大倉着
[山行記録]
■水平距離 5.2km(片道)
■累積登攀下降高度 1,017m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:08
花立山荘 着 9:55
(所要時間) 2 時間47分(2.78h)
水平歩行速度 5.2km/2.78h=1.87m/h
登攀速度 1,017m/2.78h=365.8m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
花立山荘発 10:22
大倉 着 12:18
(所要時間) 1時間56分(1.93h)
水平歩行速度 5.2km/1.98h=2.62km/h
下降速度 1,017m/1.98h=513.6m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/625cff5854ca95170f5e36c2f7f2d890
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8cc5996934105f5935faabc5d05eab45
※誤字脱字転換ミスご容赦
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