水彩画『早朝のモンブラン』(40号)
(某展覧会作品より)
2012年5月18日(金)
2012年の某協会公募展に出品した3枚の水彩画の1枚が,この『早朝のモンブラン』である.
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私は山旅スクール5期の同窓生達5名で,2005年9月4日(日)から9月11日(日)まで,フランスのモンブラン山(標高4810m)登頂の旅に出掛けた.そのときの感激は,つい昨日のことのように思い出すことができるが,正に“光陰矢の如し”で,あれから,もう,7年の歳月が過ぎ去ろうとしている.
モンブラン山登頂は,素人の登山愛好家である私にとって,積年の念願であった.
モンブラン山に登りたいばっかりに,かれこれ2年ほど前から,岩登り,カラビナやアイゼン,ピッケルの使い方,カラビナの操作,冬の八ヶ岳や富士山登頂など,さまざまな準備を重ねた.
そして,遂に念願のモンブラン登頂に成功した.
モンブラン登頂後,シャモニーのホテル近くで,早朝,見上げたモンブランの美しさに感動した.
「ああ・・・オレも,あの輝くサミットに登れたのだ・・!」
こんな想いを抱きながら,現地でのスケッチを水彩画に仕上げた.元のスケッチを描いてから,もう7年も経っている.
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7年前の9月,私たちはシャモニーに到着する.
その翌日,モンブラン山登頂前に,メールドグラス氷河を歩くことになる.この氷河歩きは,身体を慣らす意味もあるが,同行して頂く現地ガイドによる実地テストも兼ねている.もしこのテストに合格できなければ,念願のモンブラン登頂もオシャカである.
シャモニーからモンタンベール行の電車に乗る.終点のモンタンベールから,標高差100数十メートルもある岸壁を下って,メールドグラス氷河に降り立つ.そして氷河を丸一日欠けて登り,対岸をまた100数十メートル登る.さらに岩場をトラバースして,ようやくグーベルグ小屋に1泊.
翌日は目の前に聳えるグランドジョラス(標高4208m)を眺めながらレジョ氷河からメールドグラス氷河に向けて下り続ける.クレパスを避けながらのスリルに満ちた楽しい旅である.
この1泊2日の旅で,現地ガイドのテストは終わる.
<断崖を登る>
<メールドグラス氷河を行く;クレパスを渡る>
9月6日(火),シャモニーからロープウェーでベルビュー駅へ.ここから電車に乗り継いで,ニーデグル駅へ.車窓からツールドモンブランのトレッキングルートが見える.気持ちよさそうな道である.
「いつか,あの道を歩いてみたい・・・」
このとき,私は強く思った(そして,昨年(2011年)夏,念願が叶ってツールドモンブランのトレッキングルートを一周した).
昼下がりにニーデグル駅(標高2742m)から,今日の宿泊地,テートルース小屋(標高3167m)まで登る.途中から長くて急峻な岩登りが連続する.現地ガイドとザイルパーティを組んで登り続ける.
翌,9月7日(水),グーテ小屋を出発した私たちは,途中,落石の危険があるクロワールの難所を通過して,10時少し過ぎにグーテ小屋に到着する.本来は,ここで一泊して,翌日,モンブラン山頂を目指すはずだったが,明日の天候が思わしくないので今日中に登ってしまおうということになる.
途中,エギューデグーテ,ドームデグーテ,バロー避難小屋,グランドボスを通過して,やっとの思いでモンブラン山頂(標高4803m)に到着する.途中,両側が鋭角に切り落ちているナイフエッジの稜線が続く.これが結構な急坂である.疲れ果てた私は,山頂に到着すると,ヘタヘタと座り込んでしまう.
<両側は1000mの急斜面,狭いヤセ尾根をガイドにザイルで確保して貰うFH.山頂はまだまだ先>
下りも難行苦行の連続だった.現地ガイドがザイルで確保してくれてはいるものの,ナイフエッジの氷河下りは,とても怖かった.
一般に,モンブラン山の登頂成功率は60パーセントと言われている.私たち5名の仲間でも,山頂まで登ったのは3名であった.たまたま平均登頂達成率と同じ数字になった.
<モンブラン山頂;氷河の一寸した広場になっている.もうヘトヘト>
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私は,あのときの感動を思い出しながら,この絵を画いた.どうも思うような色が出ないので,水で極々薄くした絵の具を何十回となく重ね塗りした.
この絵は,どなたでも山を画いたものと分かったらしい.
でも,ここで紹介した経緯が,この1枚の絵に十分込められているかとなると,はなはだ疑問である.この辺りをどうやって1枚の絵で表現できるかが,私の課題である.
例によって,“山猫ミャ~”型の4個の枠組みを使って,この絵の位置づけをしてみよう.
この絵の上手い下手は別にして,登山経験の有無に関係なく,この絵は山を画いていると分かる.したがって,この絵は第1象限に位置していると言えよう.
そうだとすると,今後私が努力すべき方向は,第3象限ということになる.そのために何を試みたら良いのだろうか.これが当面の私の課題である.
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今日は5月19日(土).
もう少しで,4時になる.今日も何とか天気が持ちそうである.
「・・・・ん,ならば.・・・塔ノ岳へでも出掛けるか・・・・」
今日は土曜日.あの小田原での“3分間駆けっこ”の忙(セワ)しない乗換もない.6分掛けてゆっくり小田急電車に乗り換えれば良い.でも,混雑する渋沢発大倉行の1番バスに乗れないかもしれないな・・・でも,まあ,いいか!
(おわり)
「セピア色の画集」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/de06544f6c643746bd2cffe98862911b
「セピア色の画集」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f0e6cf365bee5b35739e384559c8a507
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