中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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初夏の鎌倉:鎌倉近代美術館をノンビリと

2011年06月10日 00時18分21秒 | 鎌倉あれこれ

                                    <近代美術館の案内板>

           初夏の鎌倉:鎌倉近代美術館をノンビリと
             (一人でブラブラ歩き)
           2011年6月8日(水)
 曇後晴

<観光客で混雑する鎌倉>

■丹沢行きを諦める
 数日前から天気予報を眺めながら,今日(6月8日),丹沢塔ノ岳に行くつもりだった.ところが,前日,6月7日になって,天気予報が「明日は午前中雨」に変わってしまった.まことに不愉快である.しかし,雨の中,わざわざ山へ出掛けるほど山狂いではない.さっさと山行は諦める.
 何時ものように4時に起床する.梅雨時だから当たり前と言えば当たり前だが,小雨が降っている.昨日と同じように肌寒い.どうせ山行をしないなら,今日こそ,神奈川県立近代美術館の絵でも見に行こうかと思い立つ.
 雑事色々は慌ただしく午前中に済ませてしまう.そして,昼食もそこそこに,鎌倉中央公園入口からバスに乗車,鎌倉駅に向かう.幸いなことに,昼過ぎから,上空を覆っていた分厚い雨雲も掃き消され,薄日さえ射してくる.空が晴れるに従って,気温も昇りはじめて,少し蒸し暑くなる.

■ぶらぶらと鎌倉駅へ
 13時過ぎに鎌倉駅に到着する.
 さて,どこをどう回ろうかと迷う.まずはともあれ,鶴岡八幡宮境内にある神奈川県立近代美術館を見学しよう.その後,若宮大路にある島森書店の文房具売り場で,大きさB列本番の画用紙を数枚購入してから帰宅しようと思う.
 小町通りに入る.観光客や遠足の子供達で町通りは,さながらラッシュアワーの駅のように大混雑である.この混雑は,は鶴岡八幡宮辺りまで続いている.皆,天気が回復するのを待ちかねていたのだろう.
 「やっぱり,鎌倉は観光地.凄いものだ・・」
私は今更ながら鎌倉の集客力の凄さに驚かされる.

<混雑する鶴岡八幡宮境内>

まずは鶴岡八幡宮へ
 鶴岡八幡宮の境内も,沢山の観光客でごった返している.
 暫く,来ないうちに,源平池の蓮が盛り上がるように繁茂しているのでビックリ.池を取り囲む新緑がとても綺麗である.

<近代美術館から池を眺める>

<神奈川県立近代美術館>

■近代美術館に入る
 早速,県立近代美術館に入る.シニアーの観覧料は1人350円也(65歳以上).近代美術館の催し物は,『開館60周年近代の用がザ・ベスト.コレクション(The Best Collection: Modern Oil Painting)』である.私は,数週間前から,是非,開催期間中に見たいなと思い続けていた.
 窓口で,福寿手帳を提示して350円也を窓口で支払う.窓口の係員が,
 「・・今日は別館の方は閉館中です・・それに,震災の影響で葉山館の催し物が変更になっています・・」
と注意する.
 別館が閉館なのはちょっと残念だがやむを得ない.


■展覧会場を一回り
 建物の2階入口から展示場に入る.案外,多くの方々が入場している.展示してある絵を一枚一枚丁寧に見て回る.会場の係員から鉛筆を借りて,気になった絵のメモを取る.
 私が特に気になった名画は,以下の通りである.ムゾルフスキーではないが,気になった絵から,何か不思議な調べが聞こえてくるような気がし出す.もし,私が音楽家だったら,これらの絵を眺めながら,どんな曲を作るのだろうか?
 不思議な気分になる.




<気になる絵> 

■安藤伸太郎
(1861~1912)『日本の寺の内部』
 寺の内部の巨大な風景に圧倒される.凄い絵である.お宮参りの赤子,母親,おばあさんの3人が印象的.19世紀末期の様子が良く分かる.

■鹿子木孟郎(1874~1942)『牛』
 キャンバス一杯の親子の牛.実に可愛い.

■高村光太郎(1883~1956)『上高地風景』
 若々しい色調に感動.木々の間から高山が見えている構図に感心する.大胆なタッチに感服.

■萬鉄五郎(1885~1927)『日傘の裸婦』『田園風景』
 この画家の絵は,これまで何回も拝見しているが,何ともいえない迫力を感じている.

■川上涼花(1887~1971)『あざみ』 
一風変わった絵で印象に残る.正直な感想を言うと,この絵が名画と評価されるポイントが,私には今ひとつ良く分からない.

■久米民十郎(1893~1923)『Off England』
 これは凄い!
 何だか分からないが凄いインパクト.若くして夭折した作家のようである.

■岸田劉生(1891~1929)『野童女』『麗子立像』『近藤医学博士像』『初夏の麦畑と石垣』
 これらの絵は,もう,言うまでもない.特に『近藤医学博士像』は,近藤博士の人柄まで絵からにじみ出ているような気がしてくる.
 『初夏の麦畑と石垣』は,こういう変哲もない風景でも,立派な絵になることがわかりビックリする.




■梅原龍三郎(1888~1980)『椿』
 画面をはみ出すように描かれた椿に感動.

■和達知男(1900~1925)『眼鏡をかけた自画像』
 黒い両手のデフォルメが印象的.赤い帽子と机,それにハートのエースが目に焼き付く.

■里見勝三(1895~1981)『花のある静物』
 刺激的な色使いにビックリ.ヘエ~ッと想いながら眺める.真似できないな~ぁ・・

■春山義雄(1894~1996)『湖のほとり』
 こちらの川岸,川,対岸,空が水平に区切られていて,それぞれが凄い色をしているのが印象に残る.

■福沢一郎(1898~1992)『よき料理人』
 変な所に椅子があって不合理だが,なんとなく惹かれる絵である.

■須田国太郎(1891~1961)『風景』
 実に綺麗.こう言う絵を,是非,真似て描いてみたい.

■差益祐三(1898~1928)『パストゥールのガード』
 20世紀初頭.チャップリンの映画『モダンタイムス』を連想しながら,こういう所が絵になるのだと感心しながら眺める.

小山敬三(1897~1987)『アルカンダラの橋』
 小諸にある小山敬三美術館でも同じような絵を見たような気がする.幾何学模様のような橋の絵に感動する.

■安井曾太郎(1888~1958)『青葉城』
 松の木の向こうに青葉城が見えている.その下に梅か桃の花が咲いている.

<ミュージアムショップと喫茶店>

■ミュージアムショップを一回り
 絵を見ている内に,瞬く間に時間が過ぎる.
 ついでにミュージアムショップを一回りする.せっかく立ち寄ったので,今回の展示資料を収録した画集を購入する. [購入した画集]  神奈川県立近代美術館(編);印象社(制作),2005,『神奈川県立近代美術館コレクション選絵画Ⅰ』神奈川県立近代美術館


■博物館の喫茶店で一休み
 ミュージアムショップを一回りした後,2階の喫茶室に入る.先客は2人だけ.
 喫茶室のテラスから,蓮が繁茂する池が良く見える. 400円也のコーヒーを所望する.窓外の風景を見下ろしながら,ややほろ苦いコーヒーを賞味する.テラスから鶴岡八幡宮の境内を見下ろしながら味わうコーヒーも,結構いいなと想いながら,勿体ないような時間を過ごす. コーヒーを左手に持ちながら,今買ったばかりの画集を眺める.


■迷い事
 一体,私は,何で,今,ここでコーヒーを飲んでいるんだろうか.ふと,不思議に思う.なぜ,近代美術館の絵を見る気になったのだろうか.そこが自分自身でも良くわからない.
 私の趣味の一つに,確かに水彩画を描くというのがある.でも,なぜ私は良い年をして,再び水彩画などを描く気になったんだろうか?
 寂しいから?
 いや,違う.山歩き,散策,パソコン弄りが多忙だし,子供達が孫を連れて入れ替わり立ち替わり尋ねてくるし,知人,友人とのお付き合いも結構頻繁に行っている.
 絵を描きたいから?
 そりゃ~・・当たり前だ.描きたいから描いているんだ.でも,なぜ描きたいんだ.そこが分からない.
 自分が絵を描く対象物に持っている思いが,画面の中で少しでもうまく表現できれば,本当に嬉しくなる.では,なぜ,嬉しくなるのか?
 そこんところが分からない.
 では,なぜ,お前は,苦労を重ねてまでして,自分の絵を展覧会に出品するんだね.
 そりゃ~・・・ご覧頂いた皆さんに,絵を通じて自分の思いが通じたときに喜びを感じるからさ.
 ん,なら・・要するにお前は沢山の方々からほめられたいのか.
 うんにゃ・・それはチト違うよ.
 ・・・と,だんだんと,自分がなぜここにいるのかが,訳が分からなくなるが,とにかく,できるだけ多くの機会に,沢山の名画に接して,何かを勉強したいなと思っていることだけは確かである.
 まあ,こんなことを堂々巡りしながら考えている内に,熱かったコーヒーも冷めてしまう.


<すごすごと帰宅>

■私は一体何をしているんだろう
 私がネコだったら,この辺りで,体中の毛をブルブルッと振り回して,前足を嘗めて顔を一拭きして,気を取り直すであろう.とにかく,久々にぼんやりと池を見下ろしながら至福の時を過ごした.
 美術館1階に降りる.1階の池の畔にあるベンチに座り込んで,暫くの間,緑陰の池を楽しむ.
 いつまでも美術館で燻っているわけにも行かないので,16時過ぎに美術館を出る.
 途端に雑踏する観光客の真っ直中に放り出されたような気分になる.私はできるだけ人混みを避けるようにして,鎌倉駅西口方面に向かう.そして,鎌倉市役所前17時30分発鎌倉中央公園行のバスに飛び乗る.
 バスに乗った途端に,今日,鎌倉まで出掛けた大事な目的の画用紙を買うのを忘れたのに気がつく.こういうのを「後の祭」と言うんだろうな.

■絵を描き始める
 北鎌倉に住む長女が孫娘を連れて,突然,来訪.特に用件はないようである.ただ,買い物ついでに立ち寄っただけ.でも,家の近くに身内が居るのは,やっぱり心強い.
 今日,せっかく,鎌倉駅まで出掛けたのに,画用紙を買い求めるのを忘れた.あと1枚しか残っていない画用紙を,お手製の画板に貼り付けて,イーゼルにセットする.お手製の大きな段ボールの画板は,大きいだけが取り柄.何となくグラグラするが,貧乏人の私には打って付け,我慢するしかない.
 描きたい素材は沢山あるが,どんなテーマの絵を最初に描き出すかで,ここ数日,迷いに迷っている.
 結局,今日の所は執筆開始には至らなかった.
                             (おわり)

「鎌倉あれこれ」の前回の記事
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