<甘えるミー君>
丹沢:ネコと戯れる塔ノ岳(今年38回目)
(単独山行)
2009年8月17日(月)
■大倉バス停
8月も中旬になると,随分と夜が明けるのが遅くなってきた.4時に起床するが,まだ外は暗い.今日も天気が良さそうである.一昨日,故郷の小諸を往復した疲労が多少残っているものの,暫く塔ノ岳から遠ざかっていたので,今日こそ塔ノ岳へ出かけようと思い立つ.
渋沢発大倉行1番バスに飛び乗る.平日にもかかわらず,座席の8割方が埋まるほどの登山客が乗車する.2000回登頂を達成した門馬さん,韋駄天のTさん,ネコのSさん他,ご常連が揃っている.
私の後ろの関には,山旅スクール10期の女性が乗っている.名前は忘れたが,先方は私の名前を知っている.今更聞くのも気まずいので,そのまま知っている振りをする.アウンサンスーチーさんに良く似た楚々とした方である.
「今度,北岳へ登るので,足慣らしに来ました・・」
とのことである.
7時少し前に大倉に到着する.例によって韋駄天のTさんは,すぐに歩き出す.続いて門馬さんも出発.私は例によって,モタモタ.ネコのSさんとお喋りをしながら登山の準備をする.
「・・・今日は,(尊仏山荘の小屋番は)Hさんですね・・」
「じゃあ・・ネコには会えないかな?」
「いつも,後ろの小屋に居ますよ・・呼べば出てきますよ・・」
「では,Sさんがネコを呼ぶまで,尊仏山荘に居ますよ」
「ブログ見ましたよ.そういえば,すり減った靴,どうしました.あの日は地面が濡れていたんで大変だったでしょう」
「何でもないところで滑るので大変でしたよ.靴底が破れたので,あの靴で丹沢の登るのはヤメにしました」
2000回の門馬さんが,私に,
「そろそろ,出発しよう」
とボデーランゲージと一緒に誘ってくれる.ただ,私はまだ出発の準備ができていない.
「すみません・・私は跡からゆっくり登っていきます・・」
■早々とネコ談義
7時06分に歩き出す.
もう,ネコのSさんも,先に歩き出している.1番バスに乗っていた乗客の中では,一番最後に近い出発である.どうして,こうも出だしの段取りが悪いんだろうと情けなくなる.
前回(37回目)は,靴底がすり減った靴の代わりに,今日はきちんとした軽登山靴を履いている.今日の登山道は良く乾いていて歩きやすい.さすがに軽登山靴は,今まで履いていたボロ靴に比較すると,随分と歩きやすい.
手元の寒暖計を見ると,登山口付近の気温が,すでに25℃もある.湿度は幾分低いので,先週あたりに比較すれば,歩きやすい・・・が,やっぱり蒸し暑くて敵わない.
昨日,偶然,読んだ「堀山の家」のホームページで,先週木曜日に,登山中の女性が熱中症で動けなくなり,救助されたという記事を読んだばかりである.私も熱中症にならないように気を付けなければと,改めて自戒している.
「とにかく,無理をしないでユックリ歩こう!」
私は,自分自身に,繰り返し,繰り返し呼びかけながら登り続ける.
自分の前に人が居ると,どうしても追い越したくなる.また,後ろから人が近づくと,追い抜かれないように,速く歩きたくなる.そんなことをしていたら,確かに登山の所要時間は短くなるが,それだけ疲労したり怪我をする原因にもなりかねない.
私は,登山は自分との戦いだなと,最近,つくづく実感するようになっている.
克董窯付近で,先発していたネコのSさんに追いつく.暫くの間,ネコ談義をしながら一緒に歩く.
「妹の家で,あなたのブログ見ましたよ・・ネコが迷惑そうな顔をしていましたね・・」
「あの顔が何とも言えず可愛いですね・・」
「そう..あれは,おとなしいですね.気だてが良いんですよ」
「一昨日,田舎へ帰って,親戚のネコの写真を撮ってきたんですが,やっぱり,塔のネコが一番良いですね・・」
<久々の富士山:堀山の尾根から望む>
■久々に富士山が見える
8時14分に駒止茶屋を通過する.大倉を歩き出してから,1時間08分も経っている.
あれほど,ゆっくり登ろうと,自分に言い聞かせているのに,1時間を8分も超過していると,内心穏やかでなくなる.
「やっぱり,まだまだ悟っていないな・・」
と複雑な気持ちになる.
やがて,堀山の尾根道に入る.今日は東から西へ涼しい風が,そよそよと吹き抜けている.気温は23℃である.前方から,いつものように,ご常連のYさんが,2本ストックを持って,駆け下りてくる.
今日は珍しく富士山が良く見える.ただ,夏場の富士山なので,空中の水蒸気のために茫洋としている.それでも久々の富士山なので,何枚もの写真をデジカメに収める.
■炎暑の萱場平
8時33分に堀山の家を通過する.今日は月曜日なのに,珍しく営業している.
小草平からも,霞んではいるものの富士山が見えている.
私は努めて無心の状態で登り続けたいと思う.せっかく登山をして居るんだから,足元の石ころ,草木,土の匂い,風の音,鳥の声などを愛でながら登れば良いものを,それらをそっちのけにして,ついつい,余計な雑念で頭の中が一杯になった状態で登っている.ときどき,ハッと我に返るが,今度は「雑念をなくす」ことばかりに集中して,今度は「雑念」ばかりを考える.
そうこうしている内に,数名の登山客を追い越して,8時51分に萱場平を通過する.
今日は上天気.萱場平にむせるような日射しが照りつけている.辺りには誰も居ない.明るい萱場平が,不気味なほどに静まりかえっている.
■誰も居ない花立山荘
私の前後には誰も居ない.
萱場平を通過してから,私は呼吸が荒くなったり,汗が必要以上に噴きでないように留意しながら登り続ける.やがて,花立山荘手前の長い登り階段にさしかかる.この辺りから日陰が全くなくなる.太陽がまともに背中に当たるので,ジリジリと暑い.
私は「あともう少し,あともう少し・・」と自分に言い聞かせながら登る.そして,9時15分に花立山荘に到着する.辺りには全く人影がない.残念ながら富士山はわき上がる雲に覆われて全く見えない.
■女性を救った山荘管理人
7月14日(金),熱中症で重傷になった女性を背負って下山して救った山荘管理人の記事が,花立山荘の窓に貼り付けてあった.堀山の家のHPに記載されていた内容と同じものである.
■黄色い花
花立山荘を過ぎて,坂道をダラダラと登る.この辺りが一番シンドイ所である.花立山荘を過ぎた辺りに,黄色い花が群生している.後で尊仏山荘で確かめると「ハルマダケブキ」という舌を噛みそうな名前の花である.
あまりに綺麗なので,ここで暫く道草.綺麗な花の写真を何枚も撮る.
■見晴らしの良い花立場のコル
9時25分,花立場のコルに到着する.
今日は珍しく富士山や丹沢の山々が良く見えている.これから登る塔ノ岳も目の前に見えている.ここで,また,写真休憩.久々に堪能するまで写真を撮りまくる.
花立場の気温は22℃.大分高い.
■やっと塔ノ岳山頂
9時30分に金冷シを通過する.ここで韋駄天のTさんとすれ違う.
「・・・今日は暑くてダメ・・」
とTさんが愚痴る.私と同じバスに乗っていたのに,山頂まで2時間ほどで登って,尊仏山荘でコーヒーを賞味してから下山をする.そして,何時も,金冷シ付近で,私とすれ違うのだから凄い速度である.
Tさんは,今年10月頃,塔ノ岳登頂1000回を達成する予定だという.
9時44分に塔ノ岳山頂に到着する.今日の大倉から山頂までの所要時間は2時間38分.またまた最悪記録を更新した.最悪記録の更新は悔しいとは思うが,一方では安全第一に徹したのだからこれでいいのだという気持ちもあって複雑である.
■尊仏山荘でヒル談義
山頂からの風景写真を撮ってから,尊仏山荘に入る.今日の小屋番はオーナーのHさん.従って営業部長のミー君は,隣の小屋に避難している.
今日の山頂の気温は+21.5℃.やっぱり,随分と暑い.
先客は,2000回達成門馬さんだけ.2000回達成のときの写真を整理されている.
私はいつもの通り,300円也のお茶を所望する.
そのうちに,前回同様に,ヒル談義になる.
「・・・この間,テレビで昼時にヒルの番組やっていたよ.あれを見ると,丹沢至る所ヒルだらけで,丹沢へ来たら必ずヒルに食いつかれるような印象を受けるよ.俺は2000回も登っているのに,ヒルに食われたことなど1回もないよ・・・あれ見たら,丹沢へ来る人居なくなっちゃうよ・・センセーショナルに誇張している」
と憤慨する.私も全く同感である.
雑談をしていると,ネコのSさんが山荘に入ってくる.Hさんが,
「あれ・・随分早いですね・・」
と話しかける.確かにいつものSさんに比較すると,15分ほど早いご到着である.
<ネコを先頭に行進>
■ネコと戯れる
Sさんが,山荘の窓を開けて,隣の小屋に向かって,
「ミーや,,,出てお出で・・・」
と呼びかける.すると,隣の小屋の窓際にいたミー君が反応する.Sさんが出迎えに行く.そして,ミー君を先頭に,山荘へ戻ってくる.その二人行列がほほえましい.
ミー君がSさんに甘える.また,例によって,Sさんとミー君のツーショットを写真に収める.ついでに,別のご常連とのツーショットやミー君の仕草も写真に収める.
<Sさんに抱かれて安心しているるミー君>
<常連のH氏と,不安そうなミー君>
■ゆっくり下山する
そうこうしている内に,2番バスのご常連,このブログでは,いつもX氏で登場する方が山荘に入ってくる.
「随分,早いですね・・・」
「まあ・・今日は2時間25分程度だったかな・・・」
この暑い最中に,2時間25分とは,凄い速度である.
門馬さんが,
「そろそろ,先にゆっくり降りていますよ・・」
と言って,山荘を出発する.
私も,門馬さんから15分ほど遅い10時40分に,下山を開始する.
バスで乗り合わせたアウンサンスーチーさんに似た山旅スクール10期生の方とは会わずじまいである.どこへ消えてしまったのだろうか.
■チャンピョンが登る
途中でチャンピョンちとすれ違う.今日は丹沢山まで荷物を運ぶとのごと.仕事とはいえ,ご苦労なことである.
■最後は急いで下山
途中,X氏に教えて貰った場所で,葉っぱまで綺麗に残っているマルハダケグキの写真を撮りながら,ゆっくり慎重に下山する.途中,萱場平で,後から下山を開始したX氏に追いつかれる.ここから見晴山荘付近まで,X氏と一緒に下山する.
私は12時52分のバスに乗りたかったので,一人先を急ぐ.バスで再び門馬さんと一緒になる.
[ラップタイム]
7:06 大倉歩き出し
7:27 観音茶屋
7:41 見晴茶屋
8:14 駒止茶屋
8:33 堀山の家
9:15 花立山荘
9:30 金冷シ
9:44 塔ノ岳山頂着
==================================
10:40 塔ノ岳山頂発(+21.5℃)
10:52 金冷シ
11:04 花立山荘
11:39 堀山の家
11:57 駒止茶屋
12:23 見晴山荘
12:33 観音茶屋
12:46 大倉 着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1250m
■登攀所要時間
大倉 発 7:06
塔ノ岳山頂着 9:44
(所要時間) 2時間38分(2.63h)
登攀速度 1250m/2.63h=475.3m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:40
大倉 着 12:46
(所要時間) 2時間06分(2.10h)
下降速度 1250m/2.10h=504.0m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f718f3d64076a47d5d1588ba8c0d793e
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/e1d6b311be3e42fdda75718a960f1c9a
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