<塔ノ岳山頂の眺望>
チョッピリ微風・・でも暑い丹沢;塔ノ岳(今年32回目)
(単独山行)
2011年8月4日(木)
■今日こそ丹沢だ!
実は火曜日辺りから丹沢塔ノ岳に行こうと思っていた.
ところが,火曜日は少々雑務があって実行できない.そして,昨日の水曜日は,すんでのところで出掛ける所だったが,念のため有料の天気予報を見ると,塔ノ岳周辺は7時から9時頃まで雨とことである.7時頃1mm程度の雨が降り出し,8時からは6mm程度の降雨量になるという.大分迷ったが,せっかく丹沢に行くのに雨の中を歩くのもどうかと思うので,急遽止めた.
さらに私を悔しがらせたのは,6時過ぎに,再度,天気予報を見ると,雨マークが消えている.
「なんだ! そんなら丹沢へ出掛けていれば良かった・・」
こういうのを後の祭りというのだろう.
・・で,いよいよ今日である.天気予報は明け方に小雨,その後は曇.ならば,とにかく出掛けよう.幸いなことに,昨夜は21時頃就寝してから,今朝,3時半頃まで,目が覚めることもなかった.体調はまあまあ良さそうである.
何時ものように,朝食を済ませ,5時10分に家を出る.一時に比較すると夜が明けるのが大分遅くなっているが,それでも,辺りはすっかり明るくなっている.ただ,夜中の内に重く淀んだ空気が湿気を帯びていて,朝から少し蒸し暑い.
例により,小田原駅で駈けっこをして小田急電車に乗り換えて渋沢に到着する.
渋沢発大倉行1番バスの乗客はほんの5~6名.ご常連は韋駄天のTさんとSさんの2人だけ.お二人とも超快速組である.3人で車内で雑談.土曜日の懇親会のこと,Y川さんの掲示板が出来たことなど,お話をしている内に,バスは大倉に到着する.
<大倉バス停近くの黒門;路面はまあまあ乾いている>
■可愛い黒ネコ
韋駄天組のお二人は,バスが大倉に到着すると同時に,すぐに出発する.私は出来るだけ早く準備をして出発したいが,どうしてもモタモタして,結局,お二人より10分ほど遅い7時08分に大倉を歩き出す.大倉の気温は昨日の熱気が舗装道路に籠もっているためか27.2℃と高い.明け方雨が降っているはずだが,舗装道路の路面は乾いている.
昨日,サッカーの松田選手が突発的な心筋梗塞で意識不明のまま救急病院に運び込まれたというニュースを聞いたばかりである.私は何時もよりさらに慎重に,決してオーバーペースにならないように歩き出しに気をつける.
そろそろ登山口というところで,可愛いクロネコがノソノソと歩いている.大事に飼われているネコらしくて,人怖じしない.さっそくデジカメを取り出して,ネコの写真を撮りまくる.
「こんなところで道草をしていたら,リズムが狂うな・・」
と反省しながら・・・
<大倉付近の黒ネコ;可愛いけど尊仏山荘のネコの方がもっと可愛い>
■神社の参道のような雑事場ノ平
登山道に入ると,やっぱり路面に敷き詰められた石が濡れていて滑りやすい.私はなおも慎重に歩き続ける.そして,ハイドレーションシステムから15分ぐらいの間隔で,1口,2口の水分を補給する.
7時29分,観音茶屋を通過する.気温25.5℃.無風.前回(7月29日)登ったときに比較すると湿度はやや低いように思えるが,相変わらず蒸し暑い.ときどきアブが執拗に私の周辺を飛び回る.
「うるさいアブだな・・(アブや蚊が居ない)冬に早くならないかな・・」
などと思いながら歩き続ける.そのくせ冬になると,
「真っ暗で寒い朝,家を出るのは辛い・・早く夏にならないかな・・」
と思うくせに.
7時45分,雑事場ノ平を通過する.大きな杉が道の両側に立ち並んでいる.まるでどこかの神社の参道のような尾根道である.尾根道の東側の谷から,ほんの微かだが風が吹き上げてくる.身の回りのベトベト空気をほんの少しだけ取り除いてくれる.それでも気持ちがよい. 枝の間からまぶしい太陽の光がこぼれている.久々に見る明るい太陽である.
■夏雲に覆われた富士山
見晴茶屋を通過して,大倉尾根最初の急坂に差し掛かる.勢いよく繁茂した木の枝が頭上を覆っていて,薄暗い緑陰の谷間のように見える.何時もならば,坂の上に1人,2人の登山者の後ろ姿が見えることが多いが,今日は全く私一人だけ.理由は分からないが何となく拍子抜けがした感じがする.マイペースで遅からず早からずの速度で登り続ける.
8時05分,一本松.気温22.5℃.
8時22分,大倉を歩き出してから,1時間14分経過した所で,ようやく駒止茶屋を通過する.春や秋の調子の良いときに比較すれば,10分ほど余計に時間が掛かっているが,前回は1時間22分も掛かったので,前回に比較すれば幾分マシということだろう.
堀山の尾根に差し掛かる.南東の方向から,ときどき微風が吹き抜ける.気温23.2℃.辺りには,モクモクとした夏らしい雲が一面に沸き上がっている.富士山の周辺にも夏雲が巻き付いていて,残念ながら富士山は見えない.幾分涼しく感じる尾根道を過ぎて,8時42分に堀山の家を通過する.気温23.2℃.
■萱場平
いよいよ大倉尾根の核心部を登り始める.
歩き出しをユックリとしていたので,暑さにもかかわらず疲労感は全くない.登る気十分である.少しでもリズムを乱すと,途端に苦しくなるので,終始,登る速度を抑えて,疲労しないように細心の注意をして登り続ける.私の前後には誰も居ないので,テンポを乱されることもない.蒸し暑いがそれでも気分良く登り続ける.どこからともなく,ハトの啼き声が聞こえてくる.そして,私の生まれ故郷,信州では,カナカナゼミと呼んでいるセミの鳴き声が,幾分もの悲しい感じで聞こえてくる.
9時02分,萱場平を通過する.気温23.6℃.誰も居ないので静まりかえっている.
■花立山荘
のんびりと萱場平を通過してから階段道になる.単調な登り坂が続き飽きてくる所である.何となく登り続け,後7分坂に辿り着く.頭上を覆う木の枝がなくなり,太陽の強い日射しを直接受けるようになる.振り返ると渋沢の町並みが良く見えている.気温22.2℃. 後7分坂を,8分掛けて登る.9時27分,花立山荘に到着.気温は少し上がって24.7℃.今日は平日なのに,丁度今,花立山荘の営業が開始する.坂の上に「氷」の旗が取り付けられる.大倉を歩き出してから,花立山荘までの所要時間は2時間20分,春や秋の気温が良いときに比較すると20分ほど余計に掛かっている.
何時もならば,後7分坂で,下ってくる韋駄天のSさんとすれ違うはずだが,今日はSさんも遅れているようである.
花立山に向かう.下界の視界は開けているが,相変わらず富士山は夏雲の中である.それでも,折角なので,周囲の写真を撮りながら登り続ける.
9時36分,花立山を通過する.下ってくるSさんとすれ違う.
9時44分,金冷シ通過.
<韋駄天のSさんが下る>
■塔ノ岳山頂
金冷シの手前で,韋駄天のTさんとすれ違う.土曜日の再会を確認してお別れする.
路傍のあちこちで,ホタルブクロが咲いている.道草をして花の写真を撮りながら,相変わらずのマイペースで登り続ける.
10時丁度に塔ノ岳山頂に無事到着する.気温24.0℃.南東の微風が吹いている.涼しい.山頂には先客が1人.
まずは型どおり周辺の写真を一通り撮る.そして,山頂のベンチに座って,汗が引くのを待つ.
今日の所要時間は2時間52分.相変わらず鈍足だが,前回よりは幾分改善されている.
<山頂で見掛けたホタルブクロ>
■尊仏山荘で四方山話
10時05分頃,尊仏山荘に入る.小屋番はオーナーのHさん.ネコは姿を隠して出てこない.先客は居ない.
300円也のお茶を所望.
「今日の1番バスはガラ空きだったそうですね・・」
とHさん.これを皮切りに,2人で他愛もない雑談を始める.
小屋の窓から外を見ていても,続いて登山者が登ってくる気配はない.
「暇でしょうがないですね・・」
とHさんが愚痴る.
もっとも,Hさんによると,一昨日の1番バスは20人も乗客が居て,結構賑わったとのこと.そして,昨日もそこそこの来客があったという.どうして,今日,登山客が少ないのか良く分からない.
「今日は幾分涼しいんでしょうか・・でも2時間55分も掛かっちゃいました・・」
と報告する.
「暑いときだから仕方がないですよ・・・このところ,暑いので,韋駄天のTさんも,9時30分過ぎに山荘に到着していますよ・・」
とのこと.秋になるのが待ち遠しい.
Hさんから,ご常連のY川さんが管理人をしている『旅と山と健康の掲示板』No.28を見せて貰う.昨日,Y川さんから届けられた最新版である.拝見して私は大変驚き戸惑う.というのも巻頭の1~2ページに,私の拙いモンブラン,メンヒ,ワスカランなどの絵が満載である.何とも気恥ずかしい.
これを切っ掛けに,Hさんと山談義が始まる.
「ところで,もう,外国の山に随分いかれたんでしょう・・?」
「ええ・・まあ・・アルパインツアー社の出している海抜4000メートル以上の山の殆どは行きました.残っているのは中国と,ネパールのトレッキングだけです.残っているのは余り行きたくない所ばかりです.正直な所,これからどこへ行こうかと迷っています・・・」
「今年はツールドモンブランでしたか?」
「はい.やっぱりヨーロッパアルプスには惹かれて・・でも,トレッキングは山を遠くから見ているだけで,登頂のような感激はないですね・・それにバカ尾根よりも,ずっと楽でしたよ・・ただ3日間連続して歩きますが・・」
「外国の山は良いでしょうね?」
「確かに素晴らしいけれども,逆に日本の北や南アルプスの良さも良く分かりますよ」
これを切っ掛けに,南アルプスの笊ヶ岳,寸又三山,黒法師岳,北アルプスの有明山,丹沢の大杉山などの話で盛り上がる.
ついでに山旅スクールのサンダーウエストガイドのこと,同5期のノシイカさんが,尊仏山荘に来てとても賑やかだったことなどの話を聞く.Hさんが言う.
「私,有名な登山家の○○さんと姓が一緒,それに別の登山家△△さんと名が一緒なの・・だから,結構,山には強いんです・・って冗談を言っていましたよ・・」
「いや・・本当に強いんです.モンブランに行ったとき,私はノシイカさんに置いて行かれ,
『ノシイカさん待って~ぇ・・』
と叫んじゃいましたよ.でも,彼女,無情にも先へドンドン行っちゃいましたよ・・」
「それはそうと,トドさんは現れないですね・・」
「まあ,その内に登ってくるかも知れませんね・・」
と曖昧な返事しかできない.
話が転じてネコのことになる.尊仏山荘のミー君の記事を書いた雑誌『Neko Mon』が,いよいよ発売になる.
「新しい雑誌が送られてきましたよ・・・それが送付先が『尊仏山荘ミー君』になっていましたよ」
とHさんが苦笑する.
ネコのことから,つい2~3年前まで,塔ノ岳に登ってきていたネコ好きのSさんのことが話題になる.Sさんご自身が,闘病生活をしていたようである.先日,Sさんから,Hさんに,
「・・ネコ,元気ですか」
という電話があったそうである.
「元気だけれども,もう12歳.早く登ってこないと,死んじゃいますよ・・」
と伝えたとのこと.
Sさんはリハビリして,また登ってくると言ってるようである.私もSさんと一緒に,また,ネコ談義をしたいなと思っている.
話題が転じて,Hさんから,雨山峠で女性の死体が見つかったという話を伺う.小さな新聞記事の切り抜きも見せて貰う.コースにもよるが,天山峠周辺の道は随分荒れていたように記憶している.事故なのだろうか.
「不思議なことに,捜索願が出ていないらしいんです・・」
とHさんが言う.
<チャンピョンとすれ違う>
■夏らしい空の下を下山
ふと気がつくと,もう11時近くになっている.大分長居してしまった.
「今日は暑くも寒くもなく,とても気持ちが良いですね・・」
とHさんが言う.私も何となくこのままここで涼んでいたいけれども,そうもいかない.そろそろ下山しようと思う.ついに,私が尊仏山荘にいる間には,だれも山荘に入ってこなかった.
10時56分に尊仏山荘を出発する.
山荘で,暫くの間,休憩を取っていたためか,先ほどまで暑いと思っていた山頂が,とても気持ちの良いところだと気がつく.こんな良い所を下山するのは勿体ないなとも思い始める.そんなわけで,後ろ髪を引かれるような思いで,名残惜しげにユックリと下山し続ける. 金冷シ手前の階段で,空身で登ってくるチャンピョンとすれ違う.
「おや,空身ですか・・?」
「そうなんです・・楽ですね」
続いて,顔見知りのご常連男性とすれ違う.
「山頂は涼しいですか・・?」
と私に聞く.
久々に夏らしい日である.いままでは霧ばかりで蒸し風呂のような彼我多かったが,同じ暑いにしても日射しの中を暑さは,何となくカラッとした感じがする.それだけ気分がよい.私はノンビリとこの暑いながらも夏らしい風情を楽しみながらユックリと下山しようか,それとも早く下山しようかと迷いながら下り続ける.途中,若い登山者を中心に数名とすれ違う.
12時49分,見晴山荘を通過する.ちょっと足を速めれば13時22分のバスに間に合いそうである.そこで宗旨替えをして急ぎ足になり,13時19分に大倉に到着する.
13時22分発のバスに間に合ったものの,節電対策とやらの電車のダイアのため,渋沢駅と小田原駅の接続が悪く,結局,大船に到着したのは14時55分.
大船駅前は,つい先ほどまで,かなり纏まった雨が降っていたらしくて,ベトベトに濡れている.
15時過ぎに無事帰宅.私の所にもO川さんからの手紙が届いている.中には『旅と山と健康の掲示板』No.28が同封されている.
<Y川さんから送られてきた掲示板;全部で8ページ>
<ラップタイム>
7:08 大倉歩き出し(27.2℃)
7:29 観音茶屋(24.5℃)
7:47 見晴茶屋
8:22 駒止茶屋(22.5℃)
8:41 堀山の家(23.0℃)
9:26 花立山荘(24.7℃)
9:43 金冷シ
10:00 塔ノ岳山頂着(23.0℃)
10:56 〃 発
11:24 花立山荘(10:28まで休憩)
12:06 堀山の家
12:22 駒止茶屋
12:49 見晴茶屋
13:02 観音茶屋
13:19 大倉 着(27.0℃)
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:08
塔ノ岳 着 10:00
(所要時間) 2時間52分(2.87h)
水平歩行速度 7.0km/2.87h=2.44km/h
登攀速度 1269m/2.87h=442.2m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:56
大倉 着 13:19
(所要時間) 2時間23分(2.38h)
水平歩行速度 7.0km/2.38h=2.94km/h
下降速度 1269m/2.38h=533.2m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/600f3f73f3710ac0d970f4cac8124503
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/f783e17b9bb484334c92e4d16f76a213
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