<堀山の尾根からの富士山>
まるで初夏のような丹沢:塔ノ岳(今年19回目)
(単独山行)
2009年4月10日(金)
■塔ノ岳に出掛けるぞ!
今,鎌倉の桜が満開である.私は,毎日のように,せっせと鎌倉の桜見物に出掛けている.そんなこともあって,ここ1週間ほど塔ノ岳から遠ざかっている.そろそろ塔ノ岳に登りたいという気持が体中で疼いている.
今日(4月10日)は,相変わらず天気が良さそうである.鎌倉の桜も見たいが,今日は意を決し,塔ノ岳に出掛けることにする.
例によって,5時10分に家を出発する.春分の日前後は,毎日,毎日,目に見えて,日が長くなる.特に,夜が明けるのが,とても早くなっているように思える.まだ,太陽は上がっていないが,辺りはもうすっかり明るくなっている.それに,空気が,多少,ヒンヤリとしているものの,寒くも暑くもなく,歩いていても,とても気持が良い.こんな早朝の空気の吸っていると,たちまちの内に,気分が高揚してくる.よお~しっ・・行くぞ!
今日も,小田原経由で渋沢へ出てみることにする.大船発5時44分の小田原行湘南電車に乗車する.小田原で乗換を急いで,小田原6時23分発の小田急新宿行急行電車に飛び乗る.渋沢へ6時41分に到着する.そして,渋沢発6時47分大倉行一番バスに,悠々と間に合う.
これが,もし,藤沢から相模大野経由で渋沢へ出ると,同じ時間に大船を出ても,渋沢に到着するのが7時12分頃になってしまう.やっと,2番バスに間に合う時間である.この時間の差は大きい.ただ,相模大野経由の運賃が,小田原経由より数百円安くなる.従って,どちらの経路にするかは,大いに悩む所である.
一番バスには,Tさん,Mさん他,ご常連のお歴々が何人か乗って居られる.また,バスには,ほぼ座席が埋まるほど,沢山の登山客が乗車している.
<克董窯の桜> <堀山尾根付近の桜>
■体調は余り良くなさそうだ
バスは,6時51分に,バス停大倉に到着する.ご常連のTさんは,真っ先に飛びだすように,塔ノ岳を目指して歩き始める.私は型通りのストレッチを済ませて,7時01分に,大倉から歩き出す.1週間ぶりの塔ノ岳登頂なので,足が鈍っているかもしれない.私は無理をしないで歩こうと固く心に決める.
歩き出すと.心なしか身体が固く重いような気がする.気温が高いので,水分の補給に気を付けようと自分に言い聞かせる.そして,オーバーペースになって,脂汗が流れ出ないように注意しながら,慎重に歩き続ける.
登山口近くの杉林では,もう手入れ作業が始まっている.このところの間材伐採で,杉林は随分と明るくなった.今は新しい鹿除け網を設置する作業が,着々と進められている.
春ともなると,彼方此方の茂みの中から,小鳥たちの囀りが聞こえてくる.シジュウガラの仲間の声だろうか,「チッ,チッ,・・」という可愛い啼き声が絶えず聞こえてくる.それに,登山道を囲む木々の新緑が,とても新鮮で美しい.思わず深呼吸を繰り返す.
一本松を過ぎた頃から,同じバスに乗り合わせた登山客の姿は見えなくなる.もっとも,ご常連のTさんは,もうとっくに,もっと先を歩いているが,彼は私とは別世界の強者(もさ)である.
途中,何人かの登山者に道を譲って貰いながら登り続ける.そして,オーバーペースにならないように気を遣いながら,駒止茶屋前の急な階段を登る.
8時02分,駒止茶屋を通過する.残念ながら大倉からの所要時間は,1時間01分も掛かっている.僅か1分とはいえ,1時間を超えている.とはいえ,気温が高いのを意識して,随分と体力をセーブしながら登っている.だから,1分程度の超過は,仕方がないなと諦めがつく.これから先,気温が高いことを考慮しても,塔ノ岳山頂へは,2時間20分台の所要時間で到着できるなと確信する.
■堀山ノ家
今日は堀山の尾根から富士山が良く見えている.この辺りは平坦な所なので,思い切って飛ばして歩くが,見晴の良い所へ来ると,暫く立ち止まって,辺りの風景をデジカメに収める.
8時21分に堀山ノ家に到着する.小草平からも,相変わらず富士山が良く見えている.私はすかさず富士山の写真を撮る.丁度ベンチに居合わせた登山客から話しかけられる.彼は,昨夜,丹沢山荘に宿泊して,下山中とのことである.そのとき,ショートパンツ姿のご常連,Yさんが上の方から飛び降りるように現れる.Yさんはベンチに座って,飲み物を取りだして一口飲む.私が,
「・・今日の山頂の気温は何度ぐらいでしたか・・・」
とYさんに伺う.7℃ほどだったということである.
「今日は暑いですね.今でもショートパンツで丁度良いのに,これ以上暑くなると困りますね・・・」
とYさんが軽口を叩く.
<今日の萱場平:路面がほどよく乾いている>
■無駄な会話
8時39分に萱場平を通過する.誰も居ない.私は型通りの写真を撮る.
萱場平の地面は,程良く乾いているので,とても歩きやすい.私はそのまま萱場平を通過して,いよいよ花立山荘前の急坂に差し掛かる.
少し登った尾根道から,松の木の向こうに富士山が良く見える場所がある.ここで,立ち止まって富士山の写真を撮る.すると,近くに居合わせた男性が,
「もっと上に登ると,富士山が見事に見える場所がありますよ・・」
と私に教えてくれる.私は,彼が言っている所が,どこかが分からない.
「どの辺りですか・・・?」
「山頂の山小屋のある所ですよ・・・」
「あの・・・尊仏山荘のことですか・・」
「何といいましたかね・・名前は忘れましたが・・・」
私は,これ以上,会話をする気がなくなった.
私は,彼に適当に挨拶をして,また歩き続ける.心の中では,随分と無駄な時間を費やしたなと悲しくなる.
汗をかかないように注意しながら登り続けて,8時59分に花立山荘に到着する.今日の堀山ノ家から花立山荘までの所要時間は38分.私の理想から言えば1~2分余計である.でも,まあ,この気温では仕方がないなと妙な納得をする.
■富士山,南アルプスが素晴らしい
9時07分に花立場を通過する.疲れているときは,花立山荘から花立場まで10分ほど掛かるが,今日は8分で登っている.体力に余裕がある証拠である.
花立場から,富士山,南アルプスの山々が,とても良く見えている.これから先,秋が深まるまで,こんなに富士山が良く見える日は,殆どなくなる.私は今シーズンの見納めのつもりで,何枚かの写真を撮る.
9時11分に金冷シを通過する.ここまで来れば,どんなに早く歩いても,遅く歩いても,山頂までの所要時間にそれ程の違いは生じない.私は周囲の風景を十分堪能しながら歩き続ける.
1週間前までは,残雪が融けて,この辺りは凄い泥濘だったが,今日は程良く乾いている.道路の路肩に,1箇所,ほんの一寸残雪があるだけで,全くといって良いほど雪は残っていない.そろそろ,リュックにアイゼンを入れておかなくても良いかなと思う.同時に,もうすぐ夏のシーズンになるかと思うと,多少寂しい気分になる.
金冷シから最初の長い階段道を登っていると,同じバスに乗り合わせたご常連のTさんが,もう下山してくる.またお会いしましょうと挨拶を交わしてすれ違う.
9時26分,塔ノ岳に到着する.山頂には,ほとんど人気がない.
私は例によって,山頂からの眺望をデジカメに収める.
<塔ノ岳山頂から富士山と南アルプスを望む>
■誰も居ない尊仏山荘
尊仏山荘では改修工事が始まったらしくて,工事用のヤグラが組んである.
山荘の中に入る.先客は誰も居ない.今日の小屋番は,WさんとOさんである.山頂の9時30分頃の気温は+9.6℃.やっぱり暑い.
尊仏山荘のネコに会いたかったが,相変わらずのシーズンのためか留守である.
暫くの間,300円也のオレンジジュースを飲みながら,Wさんと雑談をする.私は,
「ああ・・そうだ! 忘れない内に,新聞をお渡しします・・」
と言って,今朝,湘南町屋駅で購入した『神奈川新聞』を,小屋番に手渡す.
「昨夜の秦野の事件,載っていますか・・?」
「ええ? 何かあったんですか・・?」
「いえ~ネ,一寸した傷害事件ですが・・」
「あれ・・気が付かなかったな・・」
Wさんは新聞を広げながら,
「まだ,載っていないようですね・・夕刊かな?」
神奈川新聞に夕刊があるかどうか,私は知らない.
<尊仏山荘の改修工事が始まった>
■チャンピョンとすれ違う
たまには早めに下山しようと思い立つ. 9時40分に尊仏山荘を出発する.山荘の外に出ると,さすがに寒く感じる.山頂には少しずつ登山客の姿が増えてきている.
金冷シの手前で,2番バスのご常連と,次々にすれ違う.
「・・あれ! 随分と速いですね・・2番バスでしたか・・」
と異口同音に私に話しかける.
「いえ,今日は1番バスですよ」
9時57分,花立場を通過する.下から40キログラムの重い荷物を背負ったチャンピョンが登ってくる.そして,階段に腰を下ろして,一息入れている.
「・・今日の荷物はガサが大きくて持ちにくいよ・・・中にキャベツが入っているよ」
と愚痴を言っている.
<チャンピョンの重い荷物>
■山旅スクールの☆△さん
10時05分,花立山荘を通過する.長い下り階段を慎重に降りる.そして,露岩帯に差し掛かる.次々に登ってくる登山客と擦れ違いながら下山を続ける.もう少しで萱場平に到着する頃,見覚えのある女性とすれ違う.山旅スクール6期の「☆△さん」である.
「やあ~・・・今日は! 暫く振りですね・・」
と挨拶を交わす.☆△さんが,
「・・1人で登って体力を付けようと思っています.もう少し速く登れるようになったら,皆さんと一緒に登りたいなと思ってます・・・それに1人で登っていると気楽ですね・・・」
私も同感である.
<花立山荘からの富士山>
■午前中に下山
10時42分,堀山ノ家を通過する.堀山の尾根道を歩いていると,あちこちに今が満開の豆桜(正式は名称は分からない)の木が見え隠れする.私はすかさずデジカメに収める.
随分,道草をしてしまったので,11時52分のバスに間に合わなくなりそうになる.そこで,見晴山荘付近から,思い切り飛ばして下山し続ける.そして,10時46分に大倉に到着する.
「やれ,やれ,・・・間に合った・・!」
と,ホッとしながら,登山後の後始末をする.
丁度,バスが到着したので,バス停に移動する.すると,ご常連のMさんが,両手を広げて,私を待っている.
「もう降りたの・・随分,速いね・・・」
バスに乗り合わせた登山客は,Mさんと私の2人だけ.
「・・・Tさんは,11時17分のバスの乗るといって,とんぼ返りをしているよ・・・折角,山に来ているのに,そんなに急いだら勿体ないよね・・」
とMさんが言う.
[ラップタイム]
7:01 大倉歩き出し
7:21 観音茶屋
7:36 見晴茶屋
8:02 駒止茶屋
8:21 堀山ノ家
8:37 戸沢分岐
8:59 花立山荘
9:11 金冷シ
9:26 塔ノ岳山頂着
========================================
9:40 塔ノ岳山頂発(+9.6℃)
9:52 金冷シ
10:05 花立山荘
10:28 戸沢分岐
10:59 駒止茶屋
11:23 見晴茶屋
11:32 観音茶屋
11:46 大倉 着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀・下降高度 1201m
■登攀所要時間
大倉発 7:01
塔ノ岳山頂着 9:26
(所要時間) 2時間25分(2.42h)
登攀速度 1201m/2.42h=496.3/h
水平速度 7.0km/2.42h=2.89km/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 9:40
大倉着 11:46
(所要時間) 2時間06分(2.10h)
下降速度 1201m/2.10h=571.9m/h
水平速度 7.0km/2.10h=3.3km/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1ba80cf9ffae6cd361f7b01f6ea5bcf2
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