<塔ノ岳山頂からの眺望(10:00頃)>
強風と極寒の丹沢:塔ノ岳(第61回)
(単独山行)
2008年12月26日(金)
■とにかく寒い
出発時間の5時10分,真っ暗で,とにかく寒い.正直な所,なぜこんな寒い日に出掛けるのか,自分で自分のことが理解できない,私は,なぜ,今,塔ノ岳に向かおうとしているのか.自分でも不思議だが,とにかく,私は,寒くて真っ暗な道を最寄りの駅へ急いだ.もう求道者のような心境である.
冬至を過ぎたとはいえ,この所,ますます夜明けが遅くなっている.真っ暗な中,強風がびゅーびゅーと吹き荒れている.
何時ものルートで,小田急相模大野で小田原行の急行電車に乗り換える.今朝に限って,電車が3分ほど遅延する.渋沢発大倉行バスの発車時間ギリギリに飛び乗る.
2番バスには,この時期にしては,かなり沢山の登山客が乗っている.冬休みになったためか,若い学生の乗客が目立つ.
■ぼんやりと登り続ける
大倉を7時36分に歩き出す.強い風が吹いているので寒い.それでも登山口から杉林の中に入ると,ゴウゴウと唸るように聞こえていた風もぴたりと止んで,ポカンとするほど静かになる.
どういう訳か,バスにあれほど沢山乗客が居たのに,今,私の前後には,全く登山者の姿がない.一体,どこに行ってしまったんだろうと訝る.
それが切っ掛けになって,歩いている内に,いろいろなことが頭の中に去来する・・・今年は色々なことがあったな~ぁ・・・
今年は親族,親戚から2人が,向こうの世に旅立った.尊仏山荘に修行僧の筆耕が飾られている.そこには,真ん中に大きな字で“空”と書いてある.その脇に,
「森羅万象“空”より生じ“空”に帰す」
と書き添えてある.
“なるほど!”
そういえば,義兄は自分では自分があの世に旅だったことを知らずに旅立っていった.生物の身体は10大元素プラス諸々の元素が寄せ集まってできている.これらの元素は全て宇宙創生以後できたものである.つまり空から生まれたものである・・・・
こんなことを,柄にもなく考えながら,自動運転のような状態で,無意識のまま,歩き続ける.
<尊仏山荘に飾られている修行僧の字>
■ごうごうと風音が凄い
突然,ゴウゴウというもの凄い風の音に,「はっ」と我に返る.雑事場ノ平の尾根である.私は,ビックリして,ノートを取りだして,到着時間を記入する.そういえば,丹沢ベース辺りから,通過時間を記録した記憶がない.「しまった・・!」と思って,ノートを見ると,何のことはない.無意識のうちに,ちゃんと通過時間を記録している.不思議なこともあるものだと,自分で自分のことを不思議に思っている.
見晴茶屋を通過して,急な登り坂に入る.進行方向左側,つまり西側に立ち並ぶ木々が,強風を受けて,ゴウゴウと大きな音を立てて激しく揺れている.揺れ動く立木を見ながら,また,宮沢賢治の童話に出てくるシーンを連想する.
相変わらず,私の前後には人影がない.登山道の両側には,霜柱がビッシリと立っている.
絶え間なく吹き付ける風が,私の速く歩こうという意欲を阻害する.強風が私の体温を奪うので,歩いていても,全く汗が出ない.
■凍てつく登山道
強風に晒されながら,殆ど何も考えずに歩き続けて,8時38分に駒止茶屋を通過する.大倉を歩き始めてから,1時間02分,経過している.1時間を2分オーバーしている.このことから,私が何も考えずに歩いたときの,駒止茶屋までの標準所要時間は,1時間02分だなと,再確認する.
<寒そうな日陰の斜面:山頂直下(9:52頃)>
■寒空の富士山
堀山の尾根に出る.富士山が良く見えている.積雪が舞い上がっているのか,山頂付近に雲が棚引いている.如何にも寒そうな風景である.ここで,数枚の写真を撮る.
8時38分,小草平を通過する.相変わらず雪が舞い上がる富士山が見えている.
<堀山の尾根からの富士山(9:12頃)>
■萱場平
その後,何となく急坂をブラブラと登って,9時12分に萱場平に到着する.この辺りは,稜線の陰になるので,風もそれ程強く吹いていない.ここで,ご常連のYさんとすれ違う.相変わらず2本ストックを上手に使って,走り下っていく.
<今日の萱場平(9:12頃)>
昨日は暖かかったのだろうか,萱場平は泥濘だったに違いない.辺りには無数の足跡が残っている.ただ,今日はメチャメチャに寒いので,足跡の凸凹がそのまま固く凍り付いている.
■ご常連のTさん
花立山荘が近付く.吹き曝しの長い階段に差し掛かると,強風が容赦なく吹き付ける.冬晴れの天気とは裏腹に,体感温度は一段と寒くなる.9時32分に花立山荘を通過する.気温は一段と下がってくる.ここまでは,長袖シャツを肘までまくり上げていたが,露出している腕が,寒さで真っ赤になり始める.私はたくし上げていた袖を下ろし,手袋をはめる.
花立場に差し掛かる.海風が容赦なく吹き付ける.私は身を屈め,足元ばかり見ながら,登り続ける.花立場を登り切る頃,前方に人の気配を感じる.ご常連のTさんである.お互いに顔を合わせながら,
「暫くぶりですね・・・」
と挨拶する.私は,Tさんに質問する.
「・・・ところで,今年は何回ぐらい(塔ノ岳へ)登りましたか? 150回ぐらいですか・・・?」
「・・・いえいえ,今日で256回です・・・300回登ろうと思っていましたが,なかなか・・・」
と驚嘆の数字を上げる.続いて,
「・・今日はどのくらいの時間で登りましたか?」
と質問する.
「今日は意外に調子が良くて,1時間56分でした・・・」
私は,またもやビックリする.Tさんは,私とほぼ同い年である.Tさんに合う度に,私もまだまだ頑張らなければと,勇気づけられる.Tさんが,私に,
「今年は,今日で終わりですか・・・」
と質問する.
「もう,一度ぐらい,今年中に登りたいなと思っています・・・今日は今年61回目です」
「そうですか,私は31日まで登るつもりです・・」
<金冷シ付近の霜柱>
■ご常連のMさん
花立場を過ぎて,馬の背に差し掛かる.風はますます強くなり,ドッと吹き寄せるときは,身体ごと,谷間の方に持って行かれそうになる.風でふらつきながらも,吹き飛ばされないように細心の注意を払って歩き続ける.
9時46分に金冷シを通過する. そのとき,前方からご常連のMさんとすれ違う.
「・・・やあ,元気かい・・?」
とMさんが私に話しかける.
「・・・今日は随分と(下山が)早いですね」
「今日は,(尊仏山荘にはよらずに)とんぼ返りだよ」
Mさんが続ける.
「・・・今年は,今日で150回ほど登ったよ・・」
「それは大変ですね・・・2日に1回,必ず登るつもりでないと,なかなか150回は大変ですね・・・私は,今日でやっと61回.足元にも及びませんね・・・」
と答える.これ本音である.
■尊仏山荘
10時丁度に塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間24分と振るわない.まあ,こんな天気なので仕方がないなと諦める.
山頂には,猛烈な海風が吹きつけている.私が着ている着物が強風に煽られてパタパタと音を立てている.寒くてジッとしていられない.山頂からの写真を,手早く数枚撮して尊仏山荘に飛び込む.
今日の小屋番は,オーナーのHさんである.先客は3人.どうやらご常連ではなさそうである. 山頂の10時の気温は,マイナス8.4℃.
「今朝の気温はどのくらいでしたか・・?」
とHさんに伺う.
「・・朝はマイナス8.6℃.今と余り変わらないです・・・今日の気温は今年最低です」
300円也のお茶を飲みながら,四方山話をする.
「・・・先週,トドさんと一緒に登りましたよ.トドさん,3時間10分で登りましたよ・・」
「へえ~・・・随分と進歩しましたね.3時間10分なら立派なものですよ・・」
私は,例により,大倉発12時52分のバスに乗りたいと思っている.12時20分頃,帰り支度をする.
「・・今日が,今年,最後ですか・・?」
とHさんが私に質問する.
「・・まだ日があるので,もう一度は登ってきたいと思っています・・」
<営業部長は眠りネコ(10:26頃)>
■ユックリ下山
12時24分,そろそろ下山しようかなと思う.下りも寒そうなので,雨具を引っ張り出して羽織ってから,尊仏山荘を出発する.山荘を出て,ふと隣の小屋を見ると,窓際の日溜まりで,営業部長が気持ちよさそうに眠っている.
「あいつ,仕事をさぼって,気持ちよさそうに寝てやがる・・・まあ,可愛いから許してあげよう」
寒さに震えながら,下り始める.山頂直下の急坂を下っていると,大きな荷物を背負ったチャンピョンとすれ違う.
10時50分,花立山荘を通過する.ここまで下ると,山頂とは別天地のように,寒さも弱まる.正直な所,ホッとする.
その後は,ときどき時計を見ながら,12時45分頃,大倉に到着するように,歩く速度を調節する.
11時09分,戸沢分岐を通過する.戸沢分岐から200メートルほど下った所で,同じバスに乗り合わせた大学生数名のパーティとすれ違う.
「あれ・・・もう塔ノ岳山頂まで行って来られたんですか・・?」
と不思議そうな顔をする.不思議なのは私の方である.いくら足が遅いと言っても,歩き出してから,もう3時間半も経っている.それなのに,まだ,駒止茶屋とは!
「山頂はまだ先ですか・・?」
と私に質問する.
予定通り,12時45分,大倉に下山する.
[ラップタイム]
7:36 大倉歩き出し
7:40 登山口
7:49 丹沢ベース
7:56 観音茶屋
8:00 分岐
8:09 雑事場ノ平
8:11 見晴茶屋
8:25 一本松
8:38 駒止茶屋
8:47 堀山
8:35 堀山ノ家
9:10 戸沢分岐
9:12 萱場平
9:32 花立山荘
9:46 金冷シ
10:00 塔ノ岳山頂 着
===============================
10:26 塔ノ岳 発(-8.4℃)
10:39 金冷シ
10:50 花立山荘
11:07 萱場平
11:09 戸沢分岐
11:24 堀山ノ家
11:34 堀山
11:42 駒止茶屋
11:56 一本松
12:08 見晴茶屋
12:10 雑事場ノ平
12:19 分岐
12:23 観音茶屋
12:29 丹沢ベース
12:38 登山口
12:45 大倉 着
[山行記録]
■登攀・下降高度 1201m
■水平移動距離 7.0km(片道)
■登攀所要時間
大倉発 7:36
塔ノ岳山頂着 10:00
(所要時間) 2時間24分(2.40h)
登攀速度 1,201m/2.40h=500.4m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:26
大倉着 12:26
(所要時間) 2時間19分(2.31)
下降速度
1,201m/2.31h=519.9m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1f31b277fc8793bff86aa7b6422a31e8
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/e1ff4ce61d819aa158a3bc8a1fe2da26
強風と極寒の丹沢:塔ノ岳(第61回)
(単独山行)
2008年12月26日(金)
■とにかく寒い
出発時間の5時10分,真っ暗で,とにかく寒い.正直な所,なぜこんな寒い日に出掛けるのか,自分で自分のことが理解できない,私は,なぜ,今,塔ノ岳に向かおうとしているのか.自分でも不思議だが,とにかく,私は,寒くて真っ暗な道を最寄りの駅へ急いだ.もう求道者のような心境である.
冬至を過ぎたとはいえ,この所,ますます夜明けが遅くなっている.真っ暗な中,強風がびゅーびゅーと吹き荒れている.
何時ものルートで,小田急相模大野で小田原行の急行電車に乗り換える.今朝に限って,電車が3分ほど遅延する.渋沢発大倉行バスの発車時間ギリギリに飛び乗る.
2番バスには,この時期にしては,かなり沢山の登山客が乗っている.冬休みになったためか,若い学生の乗客が目立つ.
■ぼんやりと登り続ける
大倉を7時36分に歩き出す.強い風が吹いているので寒い.それでも登山口から杉林の中に入ると,ゴウゴウと唸るように聞こえていた風もぴたりと止んで,ポカンとするほど静かになる.
どういう訳か,バスにあれほど沢山乗客が居たのに,今,私の前後には,全く登山者の姿がない.一体,どこに行ってしまったんだろうと訝る.
それが切っ掛けになって,歩いている内に,いろいろなことが頭の中に去来する・・・今年は色々なことがあったな~ぁ・・・
今年は親族,親戚から2人が,向こうの世に旅立った.尊仏山荘に修行僧の筆耕が飾られている.そこには,真ん中に大きな字で“空”と書いてある.その脇に,
「森羅万象“空”より生じ“空”に帰す」
と書き添えてある.
“なるほど!”
そういえば,義兄は自分では自分があの世に旅だったことを知らずに旅立っていった.生物の身体は10大元素プラス諸々の元素が寄せ集まってできている.これらの元素は全て宇宙創生以後できたものである.つまり空から生まれたものである・・・・
こんなことを,柄にもなく考えながら,自動運転のような状態で,無意識のまま,歩き続ける.
<尊仏山荘に飾られている修行僧の字>
■ごうごうと風音が凄い
突然,ゴウゴウというもの凄い風の音に,「はっ」と我に返る.雑事場ノ平の尾根である.私は,ビックリして,ノートを取りだして,到着時間を記入する.そういえば,丹沢ベース辺りから,通過時間を記録した記憶がない.「しまった・・!」と思って,ノートを見ると,何のことはない.無意識のうちに,ちゃんと通過時間を記録している.不思議なこともあるものだと,自分で自分のことを不思議に思っている.
見晴茶屋を通過して,急な登り坂に入る.進行方向左側,つまり西側に立ち並ぶ木々が,強風を受けて,ゴウゴウと大きな音を立てて激しく揺れている.揺れ動く立木を見ながら,また,宮沢賢治の童話に出てくるシーンを連想する.
相変わらず,私の前後には人影がない.登山道の両側には,霜柱がビッシリと立っている.
絶え間なく吹き付ける風が,私の速く歩こうという意欲を阻害する.強風が私の体温を奪うので,歩いていても,全く汗が出ない.
■凍てつく登山道
強風に晒されながら,殆ど何も考えずに歩き続けて,8時38分に駒止茶屋を通過する.大倉を歩き始めてから,1時間02分,経過している.1時間を2分オーバーしている.このことから,私が何も考えずに歩いたときの,駒止茶屋までの標準所要時間は,1時間02分だなと,再確認する.
<寒そうな日陰の斜面:山頂直下(9:52頃)>
■寒空の富士山
堀山の尾根に出る.富士山が良く見えている.積雪が舞い上がっているのか,山頂付近に雲が棚引いている.如何にも寒そうな風景である.ここで,数枚の写真を撮る.
8時38分,小草平を通過する.相変わらず雪が舞い上がる富士山が見えている.
<堀山の尾根からの富士山(9:12頃)>
■萱場平
その後,何となく急坂をブラブラと登って,9時12分に萱場平に到着する.この辺りは,稜線の陰になるので,風もそれ程強く吹いていない.ここで,ご常連のYさんとすれ違う.相変わらず2本ストックを上手に使って,走り下っていく.
<今日の萱場平(9:12頃)>
昨日は暖かかったのだろうか,萱場平は泥濘だったに違いない.辺りには無数の足跡が残っている.ただ,今日はメチャメチャに寒いので,足跡の凸凹がそのまま固く凍り付いている.
■ご常連のTさん
花立山荘が近付く.吹き曝しの長い階段に差し掛かると,強風が容赦なく吹き付ける.冬晴れの天気とは裏腹に,体感温度は一段と寒くなる.9時32分に花立山荘を通過する.気温は一段と下がってくる.ここまでは,長袖シャツを肘までまくり上げていたが,露出している腕が,寒さで真っ赤になり始める.私はたくし上げていた袖を下ろし,手袋をはめる.
花立場に差し掛かる.海風が容赦なく吹き付ける.私は身を屈め,足元ばかり見ながら,登り続ける.花立場を登り切る頃,前方に人の気配を感じる.ご常連のTさんである.お互いに顔を合わせながら,
「暫くぶりですね・・・」
と挨拶する.私は,Tさんに質問する.
「・・・ところで,今年は何回ぐらい(塔ノ岳へ)登りましたか? 150回ぐらいですか・・・?」
「・・・いえいえ,今日で256回です・・・300回登ろうと思っていましたが,なかなか・・・」
と驚嘆の数字を上げる.続いて,
「・・今日はどのくらいの時間で登りましたか?」
と質問する.
「今日は意外に調子が良くて,1時間56分でした・・・」
私は,またもやビックリする.Tさんは,私とほぼ同い年である.Tさんに合う度に,私もまだまだ頑張らなければと,勇気づけられる.Tさんが,私に,
「今年は,今日で終わりですか・・・」
と質問する.
「もう,一度ぐらい,今年中に登りたいなと思っています・・・今日は今年61回目です」
「そうですか,私は31日まで登るつもりです・・」
<金冷シ付近の霜柱>
■ご常連のMさん
花立場を過ぎて,馬の背に差し掛かる.風はますます強くなり,ドッと吹き寄せるときは,身体ごと,谷間の方に持って行かれそうになる.風でふらつきながらも,吹き飛ばされないように細心の注意を払って歩き続ける.
9時46分に金冷シを通過する. そのとき,前方からご常連のMさんとすれ違う.
「・・・やあ,元気かい・・?」
とMさんが私に話しかける.
「・・・今日は随分と(下山が)早いですね」
「今日は,(尊仏山荘にはよらずに)とんぼ返りだよ」
Mさんが続ける.
「・・・今年は,今日で150回ほど登ったよ・・」
「それは大変ですね・・・2日に1回,必ず登るつもりでないと,なかなか150回は大変ですね・・・私は,今日でやっと61回.足元にも及びませんね・・・」
と答える.これ本音である.
■尊仏山荘
10時丁度に塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は2時間24分と振るわない.まあ,こんな天気なので仕方がないなと諦める.
山頂には,猛烈な海風が吹きつけている.私が着ている着物が強風に煽られてパタパタと音を立てている.寒くてジッとしていられない.山頂からの写真を,手早く数枚撮して尊仏山荘に飛び込む.
今日の小屋番は,オーナーのHさんである.先客は3人.どうやらご常連ではなさそうである. 山頂の10時の気温は,マイナス8.4℃.
「今朝の気温はどのくらいでしたか・・?」
とHさんに伺う.
「・・朝はマイナス8.6℃.今と余り変わらないです・・・今日の気温は今年最低です」
300円也のお茶を飲みながら,四方山話をする.
「・・・先週,トドさんと一緒に登りましたよ.トドさん,3時間10分で登りましたよ・・」
「へえ~・・・随分と進歩しましたね.3時間10分なら立派なものですよ・・」
私は,例により,大倉発12時52分のバスに乗りたいと思っている.12時20分頃,帰り支度をする.
「・・今日が,今年,最後ですか・・?」
とHさんが私に質問する.
「・・まだ日があるので,もう一度は登ってきたいと思っています・・」
<営業部長は眠りネコ(10:26頃)>
■ユックリ下山
12時24分,そろそろ下山しようかなと思う.下りも寒そうなので,雨具を引っ張り出して羽織ってから,尊仏山荘を出発する.山荘を出て,ふと隣の小屋を見ると,窓際の日溜まりで,営業部長が気持ちよさそうに眠っている.
「あいつ,仕事をさぼって,気持ちよさそうに寝てやがる・・・まあ,可愛いから許してあげよう」
寒さに震えながら,下り始める.山頂直下の急坂を下っていると,大きな荷物を背負ったチャンピョンとすれ違う.
10時50分,花立山荘を通過する.ここまで下ると,山頂とは別天地のように,寒さも弱まる.正直な所,ホッとする.
その後は,ときどき時計を見ながら,12時45分頃,大倉に到着するように,歩く速度を調節する.
11時09分,戸沢分岐を通過する.戸沢分岐から200メートルほど下った所で,同じバスに乗り合わせた大学生数名のパーティとすれ違う.
「あれ・・・もう塔ノ岳山頂まで行って来られたんですか・・?」
と不思議そうな顔をする.不思議なのは私の方である.いくら足が遅いと言っても,歩き出してから,もう3時間半も経っている.それなのに,まだ,駒止茶屋とは!
「山頂はまだ先ですか・・?」
と私に質問する.
予定通り,12時45分,大倉に下山する.
[ラップタイム]
7:36 大倉歩き出し
7:40 登山口
7:49 丹沢ベース
7:56 観音茶屋
8:00 分岐
8:09 雑事場ノ平
8:11 見晴茶屋
8:25 一本松
8:38 駒止茶屋
8:47 堀山
8:35 堀山ノ家
9:10 戸沢分岐
9:12 萱場平
9:32 花立山荘
9:46 金冷シ
10:00 塔ノ岳山頂 着
===============================
10:26 塔ノ岳 発(-8.4℃)
10:39 金冷シ
10:50 花立山荘
11:07 萱場平
11:09 戸沢分岐
11:24 堀山ノ家
11:34 堀山
11:42 駒止茶屋
11:56 一本松
12:08 見晴茶屋
12:10 雑事場ノ平
12:19 分岐
12:23 観音茶屋
12:29 丹沢ベース
12:38 登山口
12:45 大倉 着
[山行記録]
■登攀・下降高度 1201m
■水平移動距離 7.0km(片道)
■登攀所要時間
大倉発 7:36
塔ノ岳山頂着 10:00
(所要時間) 2時間24分(2.40h)
登攀速度 1,201m/2.40h=500.4m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:26
大倉着 12:26
(所要時間) 2時間19分(2.31)
下降速度
1,201m/2.31h=519.9m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/1f31b277fc8793bff86aa7b6422a31e8
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