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<最初の尾根から眺めた絶景>
ノルウェー紀行;第8日目;ガルホビッケン登頂(1);スピタストゥレーンを出発
(アルパインツアー)
2013年8月19日(月)~8月30日(金)
第8日目;2013年8月25日(土):ガルホビッケン山登頂 晴
<コース地図>
※この地図は筆者が作成したもので,アルパインツアー社とは関係がありません.
地図の正確さは保証しかねます.
<プロフィールマップ>
<スピタストゥレーンの朝食>
■夜中に何回も目が覚める
まだ,どうも,夜中に良く眠れないので,3時頃目が覚めてしまう.自宅に居るときは夜中に問い冷肉ことなど滅多にないが,今夜は目が覚めたと同時にトイレに行きたくなる.それは良いとしても,トイレから戻って,再びベッドに横になるが,目が覚めてしまい,とても眠れたものではない.とはいえ,3時頃からノコノコと,その辺を徘徊するわけにも行かないので,ベッドの中でジッと我慢の子である.
その内に,良くしたもので,何時の間にかウトウトと寝てしまう.
5時頃,再び目が覚める,周りの部屋からザワザワと雑音が聞こえてくる.ウトウトしている間に,随分と下らない夢を見ていたような気がするが,目覚めると同時にどんな夢を見たのか全部忘れてしまう.
6時頃,同室のKSさんも目が覚めたようなので,一緒に起床する.そして,身の回りの整理や,今日の登山に背負っていくリュックの中味などの整理をする.
今日は雪渓歩きがあるというので,今回のツアーで初めてスパッツを着用することに決める.
■あちゃ~ぁ!…ミルクがミルクコーヒーになっちゃった
荷物の整理をしているときに,KSさんが私に話しかける.
「ああ,そうそう…実はテルモスのことですが…」
私は何事かなと,多少ビックリする.
「実は,FHさんのテルモスの希望欄に「ミルク」って書いてありましたが,「ミルクコーヒー」の間違いではないですか…昨夜,FHさんに確かめようと思ったんですが,もうお休みになっていたので,ツアーリーダーのKYさんと相談して,「ミルクコーヒー」に変えておきました.それで良かったでしょうか…」
私は内心でビックリ,唖然とする.正直な所,
“やんぬる哉.わざわざ余計なことを…”
と思ったが,お二人が私にとって良かれと思ってしてくれたこと.私は内心ではガッカリしたものの,
「ミルクコーヒーで良かったです.どうも有り難う」
とお礼を言う.
内心では,“私が年寄りだからといって,必要以上にケアして貰いたくないよ.この私でも,つい数年前までは現役.何回も,仕事や学会発表で外国へ出かけていますよ.日常会話や論文発表ぐらいは英語できるよ,何でミルクとミルクコーヒーを間違えるのよ…”
でも,まあ,ツアーでは何時も控えめにしているので,このオイボレは頼りないなと思われたな…まあ自業自得だ.
”仕方がない.今日のランチも,バサバサパン主食で我慢するか”
■賑やかな食堂
7時20分頃,本館の食堂へ移動する.
食堂は沢山の観光客で混雑している.私たちはそれぞれ適当な所に座って,朝食を摂る.そして,例によってランチパックを自分で用意する.
<食堂は沢山の観光客で混雑している>
■今日のランチ
バイキング形式の朝食を写真に撮っても,毎日ほぼ同じだから面白くない.ブログに載せるのも省略しよう.ただ,ランチは短時間に食べにくいボソボソなパンは無しにして,いっそのこと,煎餅のようにパリパリしたもの(名前が分からない),野菜,果物,ゆで卵,ハム,チーズなどをビニール袋に詰め込む(下の写真の左).これに,ご厚意溢れるミルクコーヒーがあればまあ何とかなるぞ…
<私のランチ>
<いよいよ出発>
■ストレッチを終えて出発
8時10分,登山の準備を整えて,集合場所の本館前に移動する.集合時間5分前である.
三々五々,時間前に全員が揃う.ツアーリーダーから,
「ストレッチの音頭を取りたい人,居ませんか…」
と一同に問いかける.誰も居ない.
「では…」
ということで,ツアーリーダーの音頭で,主として下半身に重点を置いたストレッチを行う.
定刻,8時30分に,私たちはガルホビッケン山頂を目指して,スピタストゥレーン小屋を出発する.例によって,前の方には女性群,後ろの男性群が固まっている.勿論私も後ろの方にくっついて歩く.後ろの方が気楽で有り難い.
歩き出して直ぐに橋を渡って川の右岸に向かう.
<スピタストゥレーンから歩き出す>
■牧場の中の急な登り坂
橋を渡ると,いきなり急勾配の登り坂になる.でも,かなりユックリとしてペースで登っているので,私は内心で,
”まあ,このペースならなんとか付いて行けそうだな”
と安心する.
辺り一面が牧場のようである.
急な斜面の中で,沢山のヤギがノンビリと草を食(は)んでいる.これはもうハイジの世界である.
<牧場の中の登山道を登る>
■最初の休憩
8時58分,最初の休憩を取る.気温は10℃.ジッとしていると一寸寒い.
眼下には私たちが宿泊しているスピターストゥレーン小屋群が見下ろせる.素晴らしい見晴である.
休憩を終えて,9時13分に歩き出す.
<最初の休憩> <眼下にスピタストゥレーン小屋群が見下ろせる>
■いよいよ急坂だ
歩き出して直ぐに,登山道は右手に大きくカーブして,次第に傾斜が急な登り坂になっていく.
あらかじめ,地形図を見ながら,今日のコースはちょっと手強そうである.水平距離は大倉尾根より短いが,累積登攀高度は大倉から丹沢山へ登る程度あるようだ.登る先に見えている山道の傾斜はかなりきついが,まあ,あの程度ならば,私にも登れそうだと密かに安堵している.
<右に大曲がりして勾配がきつくなる>
<岩稜と雪渓>
■岩稜帯に入る
9時30分頃から,岩稜地帯に入り込む.これまでハッキリと見えていた足跡も,見えるのが怪しくなり始める.
この辺りまで登ると,もう踏み跡もハッキリしなくなり,もっぱら現地ガイドの後を付けて登りつづける.結構,急な岩稜もあるので,復路の下りが大変だなと思いながら登り続ける.
<岩稜帯に入る>
■ありゃ~っ…! レモンティーだ!
9時51分,ややなだらかになった所で,2度目の休憩を取る.素晴らしい展望が開けている.
私はミルクコーヒーが入っているはずのテルモスを取り出す.コップにミルクコーヒーを注ぐ,
”ありゃ~っ!! 紅茶だ!”
ミルク入りコーヒーが,レモン入りの紅茶に化けている.これには驚いたが,
”まあ,何でも良いや…”
ということで,紅茶を美味しくいただく.
もっとも,疲労回復には,温かい紅茶が一番良いと,山学校のガイドから教わっていたので,ミルクが2回化けてレモン入り紅茶に化けても,別に文句はない.
<岩稜帯で2度目の休憩>
■雪渓の近くで3度目の休憩
やや急な岩稜帯を登り続ける,高度が増すにつれて,次第に残雪が見え始める.
10時45分,これまで前方に見えていた稜線にやっと辿り着く.辺りには雪渓が沢山残っている.
私たちは稜線に出た所で3度目の休憩を取る.
<稜線に出会った所で3度目の休憩を取る>
■雪渓を登る
休憩を終えて,10時55分に歩き始める.
11時02分,今日,最初の雪渓に取り付く.アイゼンなしでの長い雪渓歩きが始まる.結構,滑るので歩きにくいが,やっぱり夏山は,こんな雪渓がなければ面白くない.
久々に雪の感触を楽しみながら,雪渓を登り続ける.
<長い雪渓を登る>
■目の前のピークが遠い
雪渓を登りきって,ふたたび稜線歩きになる.勾配はそれほどきつくはないが,歩きにくい礫と岩の道が続く.目の前には雪渓を抱いたピークが見えているが,このピークが実際にはなかなか遠い.後ろの方で誰かが,
「あの山がガルホビッケンの山頂ですか…?」
と後ろに居るツアーリーダーに聞いている.
「まだまだ先ですよ…」
とツアーリーダーが素っ気なく返事をしている.
<小ピークを目指して>
<岩稜と氷河の展望を楽しむ>
■厳しい岩稜が続く
辛いなと思いながらも歩き続ける内に,何時の間にか,先ほど見えていた小ピークを通過する.そして,11時55分頃,約10分間,休憩を取る.
小ピークを過ぎて稜線沿いの岩稜を歩き続ける.少し下ったかと思うと,再び急な登りになる.
下の写真は12時19分に撮影したものである.厳しい岩稜の坂を登っている.日本の山と違って,人の手が加わっていないので,ところどころにある赤い「T」の字を頼りに,歩き易い所を自分で選んで歩かなければならない.
下の写真の左中央に赤い「T」の字が写っている.これが唯一の頼りである.
岩稜の登りはまだ良いが,ここを下る事を考えると,ちょっと憂鬱になる.
今日,これまでの道のりを見ても,とてもとても大倉尾根どころの話ではない.まだ,山頂は遠いのに,塔ノ岳に登ったときよりも,ずっと疲れた感じがする.
<長い岩稜の登りだ>
■岩稜のヤセ尾根
稜線の両側は鋭く切れている.ヤセ尾根の岩稜を這うようにして登り続ける.稜線から見下ろすと,両側とも氷河が流れている.
山頂は写真の左奥の方にある.
岩場の稜線歩きはスリルがあるが,同時に素晴らしい展望を味わうことができる.
<岩稜のヤセ尾根を行く>
■素晴らしい展望
ヤセ尾根から上の写真と反対側を見ると,雄大な氷河と,氷河を抱く山々が連なっているのが見える.日本の山では一寸見られない素晴らしい展望である.
足許が危険なので,ユックリ写真を撮っているわけにはいかないが,ときどき,ほんの2~3秒立ち止まって,写真を撮る.
<ヤセ尾根からの展望>
■岩稜で休憩
12時35分,急な岩稜の登り坂で,変な格好で,数分の休憩を取る.足場の悪い所を登るのは,歩く距離に比較して,随分と疲れるなと思いながら休憩を取る.
12時45分頃,再び歩き始める.
まだまだ先は長い.しんどいな.
<岩稜で休憩>
■遠くに山頂が見え出す
12時50分,小ピークの上で休憩を取る.
行く手の遙か先に,ガルホビッケンの山頂が見えている.
“ああ,遂に山頂が見える所まで来たか…”
とホッと気分になると同時に,
“まだ,まだ,先は長いなぁ~”
という率直な気持ちが交錯する.
気温は10℃.少し寒い.
<漸く山頂が見え出す>
■度々の雪渓
12時53分,休憩を終えて歩き出す.
小ピークの先は,距離は短いものの,岩稜が重なり合う急傾斜の下り坂である.かなり緊張した状態のまま岩の間を縫うようにして慎重に下る.
下り坂が終わると,何度目かの雪渓が待っている.今回の雪渓は比較的平坦なので,カメラを取り出して写真を撮る.
”夏の雪渓歩きは良いものだな…”
と思いながら,雪渓歩きを楽しむ.
雪渓の先はまた急坂の下りとなる.
ガルホビッケン山頂は,近いようで,まだまだ遠い.
<雪渓歩きを楽しむ>
(つづく)
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