<長閑な雰囲気の台地を行く>
北アルプス;燕岳から常念岳(6);第2日目(4);大天井岳まら常念小屋まで
(アルパインツアー)
2011年8月19日(金)~21日(日)
第2日目:2011年8月20日(土) (つづき)
<大天荘を出発>
■長閑な台地
雨の中,大天荘から眺望が全くない大天井岳山頂を往復した私たちは,11時50分に大天荘を出発する.心なしか雨足が少し強くなり,一段と寒くなる.雨が強くなると,最早,ノートを取り出して記録することも,デジカメで辺りの写真を撮ることも,ままならなくなる.
12時を過ぎると,晴れていれば長閑で眺望が良いに決まっている台地が続く.その後も,傾斜の緩やかな下り坂が続く.
<12時40分,案内標識の前を通過する>
■雨の中最初の休憩
12時40分,常念小屋と大天井岳の方向を示す案内杭の前を通過する.この案内杭のすぐ先のなだらかなトラバース道で10分ほど休憩.
どこの旅行社のチームか分からないが,休憩を取っている私たちを追い越していく.このチームとは,先ほどからお互いに追い越したり追い越されたりを繰り返している.
寒い.
折角の休憩だが,何もする気にならない.
■雨が強まり眺望はゼロ
休憩を終えて再び歩き出す.相変わらず気勢が上がらない.
雨は容赦なく私の眼鏡を濡らす.手袋をしたままの手で,眼鏡のレンズを拭いて,曇りを取り除くが,ほんの数秒で本も木阿弥になる.前にも同じことを書いたが,雨の中,ワイパーのない自動車を運転するようなものだ.
足許が良く見えないので,雨足が早まるに従って,私の歩行速度は遅くなる.しかも足許が良く見えないので,ふらついたり,よろけたりする.旨く歩けないので,悔しいったらありゃしない!
でも,誰を恨むわけにも行かないので,トボトボとマイペースで安全を確かめながら歩くしかない.
「下山したら,コンタクトレンズを使用することも考えよう・・・」
そんなことを考えながら,必死に歩き続ける.
そのうちに鞍部を越えて,なだらかな登り坂になる.
13時16分,標高2664メートル地点,「常念岳・大天井岳」と書いてある案内標識の側で休憩を取る.
■下り坂の先に常念小屋
5分ほど休憩を取ってから歩き出す.
雨でベタベタになったプロフィールマップを見ると,すぐ先から,標高差100メー津ほどのやや長い下り坂になる.ジグザグの礫混じりの登山道である.
今日の宿泊地である常念小屋まであと僅か.雨の中とは言え,あと僅かで小屋に着くとなると元気も出てくる.
下り坂を過ぎると,進行方向右手の少し低い所に常念岳小屋が見え始める.
<雨の中常念小屋が見える>
<常念小屋>
■雨の中のストレッチ
14時46分,何とか常念小屋に到着する.
ツアーリーダーのH野さんが,宿泊手続きが終えるまで,玄関先の露天のベンチで,かなり長い間,待たされる.この雨なのに,常念小屋はかなり混雑しているようである.
待っている間に,M山リーダーが音頭を取ってクールダウンのストレッチを行う.
「今日は長い稜線歩行だったので,足を中心にストレッチをしましょう・・」
と音頭を取る.
かなり強い雨の中,雨合羽を着たまま,かなり念入りにストレッチをする.
とても惨めな気分である.
■男性だけの小さな部屋
やっと,宿泊手続きが終わる.
そそくさと小屋の中に入る.玄関は私たちがストレッチをしている間に,先に入ったグループが居て大混雑である.
小屋の係員から,1人1枚ずつ,少し大きなビニール袋が手渡される.
「濡れているものは,全部,この袋に入れて,部屋まで持参して下さい・・・」
と注意を受ける.
私たちは軽登山靴,雨具などを,まるで“ごった煮”のように,ビニール袋にとにかく詰め込む.
玄関付近の板の間は,もうビショビショ.係員がモップで忙しなく拭いている.
大きな箱の中からスリッパを出して履く.
「アルパインツアーの男性の方,こちらです・・・」
と案内を受けて,ギシギシと階段を登る.2階すぐ左手の4.5畳ほどの部屋が私たち男性の部屋である.
この小さな部屋に6枚の敷き布団と,12個のシュラフと枕が置いてある.どうやらこの狭い部屋の定員は12名らしい.つまり,1枚の敷布団の上に,2個のシュラフを敷いて寝るということである.
幸いなことに(?),今日は悪天候,かなりの宿泊予約のキャンセルがあったようである.そのために定員の半分,6人の男性で,この1部屋を専有することができる.ラッキーである・・・とは言っても,部屋には4枚の敷布団しか敷けない.結局,2枚の敷き布団に3人が寝ることになる.しかも,この小さな部屋にリュック,濡れたもの一式を入れたビニール袋を持ち込むと,足の踏み場もないほど窮屈である.
定員の半分の6人ですら,こんな状態なのに,もし定員通りの12名も,この部屋に閉じ込められたら,一体どうなるんだろう.想像するだけでも恐ろしい.
■大混乱の乾燥室
さて,一応,居場所が確定したら,今度は濡れた雨具を乾燥させなければならない.
濡れた雨具を持って,1階の乾燥室へ行く.ところが,乾燥室は超満杯,ハンガーが内だけでなく,もう何処にも吊り下げるスペースもない.どうにもならないので,仕方なく,濡れた雨具を,またビニール袋に入れて自室へ持ち帰る.
もう,その辺りに放置してしたたり落ちる水滴だけでも取り除くしかやりようがない.
■寒い談話室
狭い部屋にジッとしていては息が詰まるので,同室の若い男性と一緒に1階の談話室に降りる.そして,1杯450円也のホットコーヒーを所望する.
二人でコーヒーを飲んでいると,同じグループの女性3人が現れる.そして同席.
女性から,何処で聞いたのか知らないが,私に,
「モンブランに登ったことがあるんですってね・・」
と話しかけられる.
それが切っ掛けで,いろいろとモンブランの経験を聞かれる.でも,私がモンブランに登ったのは,もうかれこれ5~6年前.今の私の体力では,モンブラン登頂は到底無理.年は取りたくないなと思う.
それでも,
「FHさんは,年齢よりずっと若く見える・・・」
と言われると,お世辞を分かっていても嬉しくなる.
その内にガイドの皆さんも集まり始める.遂に酒盛りが始まる.元NHKの気象予報キャスターのN山さんの話は面白い.
<常念小屋の夕食>
■ソソクサと夕食
17時30分から夕食である.
昼のオニギリが腹に残っているのか,あまり腹は空いていない.ご飯はおかわりすることもなく1杯で済ませる.ネーベンは焼き肉など.
30分ほどで夕食をソソクサと済ませる.
夕食後,また,暫くの間,談話室で雑談をしながら過ごす.
相変わらず,かなり強い雨が降り続いている.テレビで明日と気象予報を見る.明日もどうやら雨のようである.
20時頃就寝.
<第2日目のラップタイム>
4:39 燕山荘発
5:11 燕岳山頂(5:13発)
5:35 燕山荘着(朝食)
7:09 燕山荘発
7:47 蛙岩
8:07 標高2675m地点(8:17まで休憩)
9:06 標高2650m地点(9:11まで休憩)
10:00 標高2686m地点(10:05まで休憩)
10:57 大天荘(11:37まで昼食)
11:30 大天井岳山頂(11:35まで)
11:50 大天荘着
12:40 トラバース道(12:50まで休憩)
13:16 標高2664m地点(13:25まで休憩)
14:46 常念小屋着
17:43 夕食
20:00 就寝
[山行記録]
■水平歩行距離 11.8km
■累積登攀高度 773m
■累積下降高度 1399m
■所要時間(休憩時間を含む)
燕山荘 発 4:39
常念小屋 着 14:46
(所要時間) 10時間07分(10.1h)
水平歩行速度 11.8km/10.1h=1.17km/h
(つづく)
「日本の山旅;北アルプス」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/101db63d533f8bf508398029cfe7fbbf
「日本の山旅;北アルプス」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0d0a4f59dd5a8b77eb3fc92d5609cc77
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[編集後記]
2011年8月29日(月) 晴. 蒸し暑い
いろいろと山積している雑務を,ゴシャゴシャとやっている内に,瞬く間に午前中が過ぎ去る.全くイヤになるほど1日が短い.
そろそろ,某学会の資料にも全力投球しなければならないし,9月上旬で期限が切れる山岳保険の支払いもしなければならない.これも気をつけないと忘れそうである.その他,小さなことが一杯.
年を取ってくると,すぐに忘れるし,ウッカリの失敗も多くなる.そんなことにならないように,一生懸命,TO DO リストやスケジュール表に書き込むのだが,肝心のリストやスケジュール表を見るのを忘れてしまう.こうなると完全にアウト.
…で,午後は一休みして,鎌倉中央公園から大船方面を一回りしてこようかと思いながら昼食を摂る.
食事中にたまたまNHKのテレビを見ると,民主党代表選挙の中継をやっている.結局,決選投票で野田さんが新代表に選ばれるまで,テレビの釘付けになってしまう.野田さんは演説が上手だなと感心する.
ずるずると,15時30分過ぎまで,ずっとテレビの前で過ごしてしまう.
よほどのことがない限り,夕方は自宅で過ごしたい私は,もうこの時間になってから,改めて出掛ける気にならない.でも,運動不足でブロイラーになれ果てるのはもっと怖いが,やっぱり,今から外を彷徨く気持ちにはなれない.
「まあ,いいや・・・今日は外出するのを控えよう.その代わりに,天気が良さそうな明日,どこか少しは歩き甲斐のあるところに出掛けよう・・・・」
ダメだな・・私は.
(愚痴おわり)
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