<雨の中の稜線歩き>
北アルプス;燕岳から常念岳(5);第2日目(3);燕山荘から大天井岳へ
(アルパインツアー)
2011年8月19日(金)~21日(日)
第2日目:2011年8月20日(土) (つづき)
※本文中のボールペン画は,2002年に同じルートを歩いたとき,
現場で画いたものである.
今回の山行では,終日雨で,殆ど視界がなかったので,参考ま
でに古いボールペン画を掲載する.
<燕山荘から大天荘へ>
■蛙岩
7時09分に燕山荘を出発した私たちは,雨が降りしきる中を,まずは大天井岳を目指して歩き出す.幸いなことに風はほとんど吹いていない.雨の上に風が吹いていたら,それこそ目も当てられない.
燕岳から大天井岳までの稜線ルートには,幾つもの上り下りがあるが,まずはほぼ水平に近い緩やかな下り坂が続く.晴れていれば,圧巻の北アルプスの眺望を楽しみながら歩ける所だが,今日は雨雲に遮られて,全く何も見えない.
雨の中を歩いているのでは,意気消沈して,気温を測る気にもなれないが,雨具を着ていることもあって蒸し暑い.こんな雨具は早く脱ぎ捨てて,涼しい格好で歩きたいなと思うが,この雨ではそうもいかない.こんな高所で,衣類を濡らしたら,それこそ命取りになりかねないからである.
歩き出してから約30分.雨粒で煙る前方に奇怪な形をした大きな岩が幾つも見え始める.私は自分が作成したプロフィールマップを見て,この岩塊の中に,最初の目標である蛙岩が有ることを確信する.
7時47分,ついに岩塊の核心部にある蛙岩を通過する.大きな岩塊が登山道を挟むように屹立している.まさに奇っ怪な自然である.
8時06分,標高2675メートル付近で10分ほど休憩を取る.
<蛙岩から振り返ると燕岳が見える> <蛙岩を通過する>
<<蛙岩> <蛙岩の案内標識>
■大下り
蛙岩を通過すると,またなだらかな下りになる.蛙岩から標高差で約20メートルほど下ってから,今度はなだらかな登り坂になる.
今回のツアーは,ユックリとしたペースで歩いてくれるので,年配者の私でも,十分に余力を蓄えたまま歩けるので大助かりである.
8時20分,緩やかな登り坂を登り切って,高い所に到着する.ここから標高差約200メートルを一気に下る「大下り」が始まる.北ア遭対協が立てた目印の案内杭がある.
晴れていれば,ここから目の前に大きく聳える威風堂々の大天井岳が見えるはずだが,残念ながら,今日は雲の中.
長い下り坂を,一気に下り始める.
下りと聞いて,少々緊張するが,つづら折りの登山道は,細かい礫と砂のところが大半で,ガレ場は殆どないので,極めて歩きやすい.雨粒が眼鏡に付着してしまい,足許がとても見にくくて往生するが,それほど危険な下り坂ではないので,何とか一行の歩行速度に合わせて歩くことができる・・・と言うより,快調である.
登山道の両側にはコマクサが群生している.
<大下り手前からの展望>
<大下りから大天井岳を見上げる>
■為右衛門岩
大下りを過ぎると,今度はやや急な勾配の登り坂になる.結構長い登り坂である.大下りの鞍部から,標高差約100メートルほど登ると,再び岩稜地帯に入る.地図で確かめると為右衛門岩のようである.
■平坦な場所で休憩
岩稜地帯を過ぎると,なだらかなトラバース道になる.相変わらず雨が降っていて,見通しは殆ど利かない.
9時06分,道路脇(標高2650m)で,今日2度目の休憩を取る.
相変わらず雨が降っている.
<標高2650m地点で休憩>
■喜作レリーフ
10分の休憩を終えて,再び歩き出す.小さなアップダウンが連続する.そして,10時丁度,標高2686メートル地点で,3度目の小休止,5分.
再び歩き出してすぐに,かなり急な下り坂になる.岩稜のヤセ尾根である.前方にはV字型に切れた鞍部が見えている.反対側の崖下に喜作レリーフが見えている.
一同,急な岩稜を慎重に下る.そして,10時12分,無事鞍部を通過する.
<標高2686m地点で小休止>
<喜作レリーフ手前の急な下り坂にさしかかる>
<喜作レリーフ>
<喜作レリーフ> <切通分岐点>
■切通岩
喜作レリーフの前を通過すると,急な階段道になる.9年前に同じ所を通っているはずだが,ここが階段道だという記憶がない.多分忘れているんだろうと思うが,ひょっとしたら岩稜を登るルートだったかも知れない.まあ,どうでもいいが・・・
喜作レリーフから,およそ8分で切通岩を通過する.ここで,槍ヶ岳方面に向かう喜作新道と分岐する.
<結構急な登り坂が続く>
■大天荘
大天井岳の北東の斜面をトラバースする道に入る.ゴツゴツとした大きな石と礫が連続する歩きにくい坂道がイヤになるほど続く.
前方に稜線が見えている.あそこまで行けば大天荘があるかもしれないと思いながら歩く.しかし,目指す稜線に来てみると,まだその先に稜線がある,
雨の中の歩行が,好い加減イヤになっているので,ほんの少しの見込み違いも,随分と意気消沈させてくれる.
それでも,11時30分に,何とか大天荘に到着する.
<大天荘に到着>
<大天井岳往復>
■寒さに震えながら昼食
寒冷前線が通過したためか,歩き出した頃に比較すると,気温が随分と下がっている.ジッとしていると寒くて仕方がない.
雨合羽を着たまま,大天荘の土間に入る.小屋の主と思われる方が,
「そんなところで立っていないで,板の間に上がりなさい・・」
と盛んに進めてくれるが,板の間に登るには雨具を脱ぎ,靴を脱がなければならない.濡れた雨具を脱いだり着たりはとても面倒.この思いは誰しも同じらしくて,土間に立ったまま,燕山荘で頂いた昼食を摂る.
弁当の包みの中には,重量感のあるオムスビ2個とシュウマイのようなもの,それに漬物が入っている.
オニギリはモッチリとしていて,一つ食べるだけで十分.結局,もう一つは残したまま,リュックに収める.
<寒さに震えながら昼食>
■大天井岳を往復
11時27分,カメラだけ持って,大天井岳山頂を目指す.エリアマップによれば,大天荘から大天井岳山頂までの所要時間は10分になっている.
登り始めると,目の前左手に大天井岳の山頂が煙る雨の中シルエットのように黒い色で聳えている.見た感じでは,とても10分では登れそうもない.足許は大きな石と礫でガラガラしていてとても歩きにくい.
それでも何とか登り続けて,11時34分に大天井岳山頂(標高2922m)に到着する.
大粒の雨が降り続いている,もちろん眺望は皆無.ただ,大天井岳の山頂に到着したというだけである.山頂で交代で記念写真を撮る.こんな時に,何時も要領が悪くて,結局,私が写真を撮ってもらったのが一番最後.
<大天井岳山頂;視界はほとんどなし>
■漸く大天荘に辿り着く
山頂にほんの5~6分板だけで下山開始.
雨足が強いので,雨粒が眼鏡に付着して,まるで足許が見えない.手で眼鏡のレンズを拭き取るが,すぐにまた見えなくなる.まるでワイパーが故障した自動車を運転するような気分である.
石と礫の下り坂は,ただでさえ苦手.私は遅れに遅れる.
11時50分,漸く大天荘に辿り着く.
丁度その頃,A藤夫妻が参加しているクラツリのグループが到着する.クラツリのグループは,大天荘で昼食だそうである.ツアーガイドが,一人ひとりから注文を聞いている.何となく羨ましい.
(つづく)
「日本の山旅;北アルプス」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0499bf7b1c015d9766535a52c29a5ce5
「日本の山旅:北アルプス」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8c7cda868460a3c0dda0320326563998
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[編集後記]
2011年8月28日(日) 曇
アッという間に,8月もあと僅か.歳月の過ぎ去るのは実に早いものである,もうすぐ,何となくもの悲しくて,寂しい秋である.
今日は久々のARENAオフミの定例会.山仲間達と会えるのが嬉しい.
JR.小田原駅で待ち合わせる.総勢10人.気心知れた仲間達である.私にとってARENAは貴重な存在である.
まずはバスで箱根園へ,ここからケーブルで箱根駒ヶ岳山頂駅へ.山頂は雲の中.山頂駅から箱根神社,神山,冠ヶ岳を経由して大涌谷谷まで散策した.軽いコースだが実に楽しかった.
大涌谷は観光客で大賑わいだった.大涌谷からバスを乗り継いで,小田原まで戻る.小田原でお茶をしてから,東海道本線で帰宅する(この記録は別途当ブログに掲載する予定).
久々に子ども達や孫が居ない日曜日である.老夫婦2人の夕食.ヤケに静か.
大して歩いたわけではないが,心地よい疲労感がある.今夜はよく眠れそうである.来週は火曜日か水曜日に塔ノ岳に登ろうかなと思っている.もっとも台風次第,お天気次第だが・・・
(愚痴おわり)