<塔ノ岳山頂直下で>
大盛況の丹沢:塔ノ岳(今年24回目)
(単独山行)
2009年5月9日(土)
■この所,雨の日ばかり
天気予報によれば,5月の連休は,連日晴天の筈だったが,後半になって天候が怪しくなってきた.5月4日(月),このブログに掲載したように,山旅スクール5・10期の方々と三浦アルプスを縦走した日までは天気が良かったが,その翌日,5月5日(火)から8日(金)までの4日間は,ずっと雨の日が続いた.私は天を仰いで,
「丹沢へ行きたいよ~ぉ・・・お天気を何とかして・・・」
と嘆いてばかりの毎日だった.
まあ,そうは言っても,雨の中,毎日のように鎌倉市内を2時間程度は歩いていたが・・・
5月9日(土),漸く晴.私はなんの躊躇もなく,5時10分に家を出て,丹沢へ向かった.平素は,人混みを避けるために,土日は丹沢に近付かないようにしているのだが,今回ばかりは背に腹を変えられない.
■丹沢の「森光子さん」,M馬さん
大船から小田原経由で小田急線渋沢駅に到着する.渋沢行の1番バスは沢山の登山客で満員である.私がバスの席に座って間もなく,下り電車に乗っていた登山者の方々が,ドサッと乗り込んでくる.ご常連のM馬さんが私の隣に座る.
M馬さんは,席に座ると直ぐにメモ帳を取りだして,同じバスに乗車したご常連の名前をメモする.
「・・今日は,10名乗っているな・・・もっとも前の方の席は良く見えないんで,もっと居るかもしれないな・・・」
さすがに,M馬さんは皆さんのお顔と名前を良くご存じである.私が存じ上げている方々は,せいぜい4~5名である.私はMさんに,話しかける.
「ここ何日か雨で登りませんでした・・・M馬さんはどうされましたか」
「お陰で,2回ほど登れなくて損したよ」
間もなく,塔ノ岳登頂2000回になるM馬さんにとっても,ここ数日の雨は気に障ることだったようである.それにしても通算2000回とは! 正に丹沢の「森光子」さんである.
バスが大倉に到着すると,ご常連のT口さんは,例によりサッサと出発する.その後,私がストレッチをしている間に,Mさん,K大Nさんが次々に出発する.
私は,お馴染みさんより少し遅れて,7時06分に歩き出す.
■随分と暑くなった
昨日までの長雨のため,登山道はやや濡れているが,まあまあ登りやすい状態である.歩き始めて直ぐにK大Nさんに追いつく.K大Nさんはご年輩の女性と一緒である.私は挨拶をして先に行かせて貰う.
杉林の中の道を進む.今日は土曜日.平日と違って,若い方々が沢山登っている.若い人の間に,サラリーマン風の男性も結構多い.
今日は気温が高いが,登山道周辺の緑が一段と爽やかに深くなっている.まだ,蚊やアブが出ていないので,今が登山に一番良い季節かもしれない.
7時2分,観音茶屋を通過する.ジメジメとした登山道が杉林の中に続く.大きくジグザグを繰り返す雑事場ノ平の手前で,先に大倉を出発したカメラマンのMさんの後ろ姿が見え出す.そして,7時32分,見晴茶屋を通過して,最初の急坂のところで,先に行かせて貰う.
一本松付近の紅葉坂は,すっかり新緑に覆われている.私は深呼吸をしながら,満ち足りた気分で登りつづける.
駒止茶屋手前で,喘ぎながら止まりそうになっている老人夫婦を追い越す.男性が話しかけてくる.
「皆さん,随分,早く登って行かれますね・・」
「ええ,まあ,はあ・・どうぞお気を付けて・・」
私は返答に窮しながら追い抜く.私は心の中で,
「たまにしか登らないで,平素,登山で苦労している俺様と比較するなんて・・冗談じゃない・・・」
と悪態をついている.
8時05分に駒止茶屋を通過する.大倉を出発してから59分経っている.僅か1分とはいえ,ここまでの所要時間が1時間を切っているので,今日の体調はまあまあのようである.ただ今日は気温がかなり高いので,花立山荘までの坂道は,汗をかかないように意識的に速度を落とさなければダメだなと,自分に念を押す.
「今日は,まあ,(大倉から塔ノ岳山頂まで)2時間20分前後が目標かな」
と自分なりに今日の目標値を設定する.
■汗が流れないように注意して
堀山の尾根からは,相変わらず富士山が良く見えている.例によって,少々時間をとって富士山の写真を撮る.つい先日,4月30日に,ここを通過したときには,枯れ枝の向こうに富士山が見えていたが,今日は若葉の向こうに富士山が見えている.
8時13分に堀山を通過する.ここからなだらかな下り坂になる.私は一気に歩行速度を上げる.自家用車で来られたと思われる方々を追い越す.その勢いで,堀山ノ家手前の坂道を登り始める.すると前方にM馬さんの後ろ姿が見え出す.
8時05分に堀山ノ家を通過する.私の直ぐ前に居るM馬さんが,小草平のベンチで休憩を取っている間に,私はM馬さんに,挨拶をしてから,先に行かせて貰う.
急坂に差し掛かる.今日は気温が高いので,無理をしないように意識的に速度を調節しながら,登り続ける.
8時30分,戸沢分岐を通過する.戸沢から登ってきた若者がタッチの差で私の前になる.極度に疲労しているのか,その若者が私の前で止まりそうな足取りで,行く手を阻む.お陰で私の歩行リズムが狂う.彼は萱場平の入口で,地面にへたり込む.
萱場平で定番の定点観測用の写真を撮る.
<今日の萱場平>
■韋駄天三人衆
呼吸が「はあ,はあ」しないように,脂汗が流れ落ちないように十分気を付けながら,萱場平から先の急坂を登りつづける.ずると,今まで振り返っても見えなかったM馬さんが,後からヒタヒタと近付いてくるのが見え出す.
花立山荘手前の階段がそろそろ終わりに近付いた頃,例の韋駄天3人組が下山してくる.
「・・相変わらずお速いですね・・・」
「いや~・・なに・・・Tさんと金冷シですれ違いましたよ・・」
すると,Tさんは私より10分ほど速い速度で登っておられるようである.
花立山荘の手前で,M馬さんに先を譲る.そして,5~6メートル先を行くM馬さんが,先に花立山荘に到着する.
9時丁度に花立山荘を通過する.M馬さんはベンチで休憩を取って居られる.私は軽く会釈をして,そのまま先へ進む.やがて,露岩帯に出る.今日の花立場からの眺望は素晴らしい.富士山,南アルプスなどの山々が良く見えている.ただ,厳冬期に比較すると,霞が掛かっていて,幾分茫洋としている,私は,定点観測用の写真を数枚撮る.
■ご常連続々
9時13分,金冷シを通過する.最初の長い階段の中頃で,下ってくるTさんとすれ違う.
「・・・今日は暑いですね.山頂の気温が+13℃もありましたよ・・」
<Tさん:下からM馬さん他ご常連>
■漸く塔ノ岳山頂へ
9時25分,塔ノ岳山頂に到着する.山頂は風もなく穏やかである.所々に雲が湧いているが,富士山,南アルプス,丹沢の山々が綺麗に見えている.暫くの間,山頂からの眺望を写真に撮っていると,9時27分に,M馬さんが山頂に到着する.
今日の大倉から山頂までの所要時間は,2時間19分.駒止茶屋で予測した時間とピッタリ一致している.せめて,2時間15分を切りたいなという気持がなきにしもあらずだが,まずは安全第一である.とはいえ,今日の登攀平均速度は517m/時.目標値の500m/時を,僅かながら越えているので,まあ「良し」としておこう.
■オールスターキャストの尊仏山荘
尊仏山荘に入る.早速,山荘の温度計を見る.9時25分頃の山頂の気温は+13.8℃.かなり高温である.
今日は土曜日とあって,オーナーのHさん,Oさん他,オールスターキャストである.私は,朝,駅の売店で買った『神奈川新聞』をHさんに渡す.
「助かります.今日で3日間,新聞を見ていないんで・・・」
Hさんから,今日,山旅スクールのメンバーが大勢宿泊すると聞く.山旅スクールのスタンダードコースかな,それとも10期か11期? 暫く,山旅スクールを遠ざかっている私には良く分からないが,山小屋のノートに,「・・安全を祈念しています・・」というメモを残す.
そうこうしている内に,カメラマンのMさんが山荘に到着する.今日のMさんは16キログラムの荷物を背負っているという.そんなに重い荷物を背負って,良くまあ2時間30分を切る速度で登れるなと,密かに感心している.
折角,尊仏山荘に来たのだから,暫く振りに営業部長に会いたいなと思ったが,小屋番の皆さんが忙しそうなので,会わせてくれとは言いそびれる.
■ローギャー氏
私は,大倉12時15分発のバスに乗りたいなと思う.余り遅くなると,バスは大混雑になるからである.
9時49分に尊仏山荘を出て,下山を開始する.尊仏山荘に一寸寄っている間に,山頂で屯している登山者が随分と増えている.次から次へと登ってくる登山者と擦れ違いながら,マイペースで下山し続ける.
金冷シの手前で,私より30分後のバスで来られたローギャー氏と,お互いに挨拶しながらすれ違う.
<ローギャー氏:2時間30分程度で登られる>
■K大Nさんとネコ談義
10時02分,金冷シを通過する.
馬の背で,同じバスに乗っていたK大Nさんとすれ違う.先ほどは年輩のご婦人と一緒だったのにお一人である.
「おや,お一人ですか・・・?」
「彼女,付いていけないと言って,後からユックリ来ますよ・・彼女は×十才なんです・・」
「そうでしたか.・・で,今日は残念ながらミー君に会えなかったです」
「あれは営業部長だから,会うとホッとしますよね.なかなか気だてが良いネコなんで・・」
と,暫くネコ談義をして別れる.K大Nさんこそ「営業部長」というあだ名の名付け親である.
花立場を過ぎて下り坂に差し掛かる.そこで大きな荷物を背負って登ってくるチャンピョンとすれ違う.私の顔を見て,
「・・おや,ヤッパリ速いね・・・」
とお愛想を言う.
<K大Nさん:ネコ談義の後別れる>
■山旅スクールのノシイカさん
10時15分,花立山荘に到着する.ベンチには沢山の登山客が座っている.ふと見ると山旅スクール5期のノシイカさんが座っている.
「おや,まあ・・・FHさん.やっぱり登っておられたんですね・・」
と話しかけてくる.成り行きで,私もベンチに座って,5分ほど雑談をする.実は,ノシイカさんとは,この6月に某所にある標高4,167mの山に登ることになっている.お互いに体力を付けておきましょうと励まし合ってお別れする.
長い階段を下り終えて,露岩帯に入る.そのとき,下から見覚えのある中年女性,2人が登ってくる.名前は思い出せないが,山旅スクール6期の面々である.やあ,やあ久しぶりと挨拶し会う.
■山旅スクール11期の皆さん
10時55分,堀山ノ家を通過する.十数名の登山グループとすれ違う.どこのグループか分からないが,どうやら遠方から来られたようである.花立山荘で聞いた山旅スクールの面々と,一向にすれ違わない.多分,大倉尾根以外のルートを歩いているんだろうと思う.
11時10分,駒止茶屋を通過する.茶屋前の急な階段を下っていくと,また,十数名のグループとすれ違う.女性の数がかなり多い.私はグループに迷惑にならないように避けながらすれ違う.グループの一番最後に見覚えのある人が居る,はてな・・・と思っていると,彼が,
「あっ・・・FHさん.山旅スクールです」
と声を掛けてくる.どうやら11期の皆様のようである.先頭を行く付添のガイドが新顔の女性だったので,私も出合では,山旅スクールとは気が付かなかった.趣味人倶楽部でお馴染みのKさんと初顔合わせをする.今日は,尊仏山荘に宿泊し,明日,焼山に抜けるとのことである.今の私なら1日で十分歩ける距離だなと思いながらお別れする.
その後,時計を見ながら,目的のバスに合わせるように下山し続ける.
12時08分,大倉に到着する.登山靴に付いた泥を水洗いしていると,12時15分発のバスが到着する.M馬さん,ローギャー氏も同じバスに乗り込む.まだ,この時間だと,バスは十分に空いている.2人分の場所を占領して,ノンビリと帰路に就く.
■今日は休日だった!
小田原経由で,小田原13時04分発特別快速高崎行に乗車する.13時半頃,大船に到着する.乗り継ぎのバスの時間に間があるので,駅ビルの某コーヒー店に入り込んで,今日1杯目のコーヒーを味わう.熱いコーヒーを啜っている内に,心身の疲れが綺麗に回復する.
バスの出発時間の5分前にバス停に行く.待っている客が一人も居ない.
「おかしいな・・,あっ,・・・そうか!!」
今日は平日ではなかった.そそっかしい私は休日のダイアではなく,平日のダイアを見ていた.
私がバス停に到着するほんの3~4分前にバスが出たばかりだった.嗚呼!
[ラップタイム]
7:06 大倉歩き出し
7:25 観音茶屋
7:32 見晴茶屋
8:05 駒止茶屋
8:22 堀山ノ家
9:00 花立山荘
9:13 金冷シ
9:25 塔ノ岳山頂着
========================================
9:50 塔ノ岳山頂発(+13.8℃)
10:02 金冷シ
10:15 花立山荘(10:21まで雑談)
10:55 堀山ノ家
11:10 駒止茶屋
11:38 見晴茶屋
11:50 観音茶屋
12:08 大倉 着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1201m
■登攀所要時間
大倉 発 7:06
塔ノ岳山頂 着 9:25
(所要時間) 2時間19分(2.32h)
登攀速度 1201m/2.32h=517.7m/h
水平速度 7.0km/2.32h=3.01km/h
■下降所要時間(休憩時間込み)
塔ノ岳山頂 発 9:49
大倉 着 12:08
(所要時間) 2時間18分(2.30h)
下降速度 1201m/2.30h=522.2/h
水平速度 7.0km/2.30h=33.04km/h
(おわり)
[加除修正]
2009/5/11 写真追加.文章削除追加
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/7e8038d937d2546b3afd92d3cfc35a9c
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/b447a3c838709ec69eff8123d9116d8d
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