<花立山から塔ノ岳を望む>
公園を散策する気持ちで登る丹沢:塔ノ岳(今年36回目)
(単独山行)
2013年7月17日(水) 雨後曇一時晴後雨
■鎌倉丸山を下る
連日の猛暑も昨日辺りから幾分和らいだようである.
今日は水曜日,何か特別なことがなければ丹沢行と決めている日である.何時ものように3時半頃起床する.弱い雨が降っているようである.天気予報を調べると,この雨も間もなく止みそうである.日中は曇,夕方から雨になるようである.
“雨が降っているな,出掛けるのを止めようかな,でも,涼しそうなので,やっぱり出掛けようかな”
と,優柔不断な私は結構迷う.
4時になる.
“まあ,いいや…とにかく出掛けよう.もし雨がひどかったら山派止めて小田原城趾でも一回りして帰ろう…”
ということで,丹沢行を決心する.
幸いなことに,何時もより今朝は幾分涼しい.
“…ならば,大船駅まで歩いて行こう”
夏至を過ぎて1ヶ月ほど経過している.その間,少しずつ夜明けの時間が遅くなっている.空が曇っていることもあって,4時10分に家を出るときには,まだ空は薄暗い.住宅地の道路は,昨日の熱がアスファルトに残っているらしく,気温は23℃もある.
大船5時10分発熱海行の電車に乗車する.下りの初電である.何時も乗車している電車より30分余り早い電車である.この電車で行けば,小田原駅での階段2段跳び乗換は悠々と回避することができる.それだけでなく,渋沢発大倉行1番バスに“1番乗り”である.
だれも居ないバス停でボンヤリとバスを待つ.5~6分すると,常連のHさんがニッコリと姿を現す.その内にTDさん,NMさん,STさん,MTさんの常連がバス停に到着する.
結局,1番バスに乗車した乗客は,私を含めて顔見知りの常連6人だけ.多分,今朝方の雨で,出掛けるのを見合わせた方が沢山居られるんだろう.
■ご常連さんと一緒に登り始める
STさん,NMさんのお二人は,バスが大倉に到着すると直ぐに登山を開始する.残りの4人は,何となくモタモタとしていて,7時05分,一緒に大倉から歩き出す.特に一緒に行こうと声を掛けたわけではなく,全くの偶然で一緒に歩き始めただけ.それでも,暫くの間は雑談しながら一緒に登り続ける.
丹沢ベース付近の路面は幾分濡れていて,山ヒルに出会いそうな気配を感じるが,ヒルに取り付かれないように,なるべく登山道の真ん中を歩くように注意する.私たちはMTさんを先頭にして,1列になって歩き続けるが,途中からHさんが遅れ出す.
今日は湿度が高い.それに無風なので空気が淀んでいる.手許の温度計では気温は24℃程度なので,それほど暑くはないはずだが,どうも蒸し暑い感じがしてならない.
7時46分,見晴山荘を通過する.そして,直ぐに見晴階段に差し掛かる.ここで,定点観測用の写真を1枚撮影する.今日の見晴階段は登山者の後ろ姿も全くなく,閑散としている.私は,
“ちょっと登る速度が私には速いかな”
と思ったが,まあ,まあ,自分の経済速度の範囲なので,汗をかきながらMTさんの後ろについていく.
<人影がない見晴階段>
■堀山の尾根からの富士山
8時04分,一本松を通過する.
一本松上のベンチを通過したところで,2本ストックを鳥の羽のように持って下山してくるYZさんとすれ違う.
やがて,駒止階段に差し掛かる頃,先頭を歩いていたMTさんが,
「私,Hさんを待っていますので,お先にどうぞ…」
と後ろに回る.成り行きで私が先頭になりTDさんと一緒に登り続ける.
8時11分,下山してくるKSさんとすれ違う.例によって.
「やあ,やあ,…」
と握手して挨拶する.
「今日は,ついさっきNMさんとSTさんと会っただけで,あと誰にも会わないですよ」
とKSさんが言う.
「今日,1番バスに乗っていたのは,顔見知りの常連6人だけでしたよ…」
やがて,駒止階段に差し掛かる.何時ものことながら,この階段はなかなかの厳しい登りである.私は,一旦,体中の力を抜いて“リラックス,リラックス”「と自分の身体に言い聞かせる.
自重しながら駒止階段を登って,8時17分に駒止茶屋を通過する.気温は22℃.あまり高くはないが,全く風がないので,体感的にはやっぱり蒸し暑い.大倉から駒止茶屋までの所要時間は1時間12分.この時期としては,まあ,こんなものだろう.
堀山の尾根道に入る.ここから暫く,はほぼ平坦な道が続く.微風が海の方から吹いている.富士山が良く見える場所に到着する.雲間に富士山の裾野だけが,うっすらと見えている.
堀山からのなだらかな下りは,歩く速度を上げる.
<堀山からの富士山>
■萱場平
8時32分,堀山の家に到着する.気温は相変わらず22℃.小草平には誰も居ない.振り向くと先ほどまですぐ後ろに居られたTDさんの姿が見えない.多分,TDさんは堀山の家で給水休憩を取った後,何時もの調子で登ってこられるだろうから,早晩,私に追い付くだろうと思う.そこで,私はそのまま堀山の家を通過して登り続ける.今日はこの時期にしては気温が低いので,堀山の家から花立山荘まで約40分程度で登ることにする.
私の前後に登山者の姿はない.私は,“近くの公園を歩いているような気分でリラックス,リラックス”と念じながら,一定のリズムを保って登り続ける.
8時52分,萱場平に到着する.
雲が上空を覆っているが,太陽の熱気が堪っていて,萱場平全体が熱気でムンムンしている.辺りには人の気配はなく,静まり返っている.木道の間に繁茂するアザミがますます元気である.
森の中からウグイスの啼き声が聞こえてくる.
<萱場平>
■花立山荘
後ろを振り返ると,私から少し離れたところをTDさんが登っている.予想通り,何時の間にかTDさんが私に追い付いている.
9時03分,後7分坂(花立階段)に差し掛かる.これまで自重して歩いたせいか,あるいは気温が低いせいか分からないが,階段を案外調子よく登って,9時10分に花立山荘に到着する.今日は,後7分坂を,文字通り7分で登ったようである.大倉からの所要時間は2時間05分.堀山の家からは38分.結構良いペースである.最初の鈍足を途中から挽回している.
山荘前のベンチには人影はなく,辺りは静まり返っている.富士山の山麓と山頂は雲に覆われているが,中腹だけが良く見えている.
“富士山には,今日も沢山の登山客が殺到しているだろうな”
と想像しながら,花立山荘を通過する.
<花立山荘>
■花立山
花立山荘を通過した直後,下山してくるNMさんとすれ違う.何時も後7分坂を3分の2ほど登ったところですれ違っているので,今日はすれ違い場所が少し上に移動している.
今日は歩き出しで自重したこともあって,今のところ全く疲労感はない.
相変わらず私の直ぐ後にTDさんが居られる.
「どうぞお先に…」
と先を譲るが,今日はユックリ登るとのことで,TDさんも私と同じ速度で登り続ける.進行方向左手の視界が開ける.愛か笑う鍋割山稜の向こうに富士山が見えている.
<鍋割山稜の向こうに富士山が見える>
■可愛い鹿の親子
後ろに居られるTDさんが,
「FHさん…」
と私を呼び止める.TDさんが指さす方を見ると,草むらで鹿の親子が無心に草を食(は)んでいる.実に愛らしい風景である.
勿論,シカの食害がひどいことも聞いているが,この愛らしい姿を見ると,何とか人間とシカと共存できないかなと思う.
前方を見ると,塔ノ岳山頂がクッキリと見えている.
<可愛いシカの親子>
■STさんとツーショット
ユックリ登ってきたためか,何時もは花立山荘から10分掛けて登る花立山山頂までを9分で到着する.
この辺りで気候が一変して涼しくなる.微風ながら爽やか海風が吹き始める.何時も間にか噴き出す汗も無くなっている.
馬の背付近では,ジイジイという虫の鳴き声が四方から聞こえてくる.その越えに混じって,ホトトギスの啼き声も聞こえてくる.
9時29分,金冷シを通過する.
その後も順調はペースで登り続ける.
もうすぐ山頂というところで,下山してくるSTさんとバッタリ.1~2分立ち話.さすがのSTさんも土曜日は猛烈な暑さで山頂まで随分と時間が掛かったことが話題になる.
<山頂付近でバッタリ>
■塔ノ岳山頂
9時40分,TDさんと一緒に塔ノ岳山頂に到着する.相変わらず雲間の富士山が良く見えている.山頂には誰も居ない.山頂の気温は20℃.炎暑が続いた時期にしては涼しい.
大倉から山頂までの所要時間は2時間35分.涼しかったせいか,あるいは公園歩きモードに徹したせいか分からないが,私にとっては,まあ,まあ,こんな所かと思える時間で,無理なく山頂に到着することができた.
<塔ノ岳山頂から富士山を望む>
■尊仏山荘
山頂までご一緒したTDさんが,日高(ひったか)付近まで行ってみるとのことなので,私はTDさんとお別れして,尊仏山荘に入る.今日の小屋番はオーナーのHDさん.何時ものように300円也のお茶を所望する.
先客は常連2人,名前は失念.お二人は表尾根を経由して来られたという.暫くの間,山の話題を中心に雑談に興じる.
今日も一番バスの乗客の中では,私が一番早く尊仏山荘に到着したようである…と,いうことは今日も韋駄天組のTGさんは1番バスには乗っておられなかった.
お茶を飲みながら,途中までご一緒していたMTさんが尊仏山荘に到着するのを待つ.
10時05分頃,日高まで行っていたTDさんが,戻ってくるのを窓越し見付ける.どうやら,TDさんは尊仏山荘には立ち寄らずに下山するらしい.
“じゃあ~…オレもそろそろ下山するかな”
<尊仏山荘の物置と仏像>
■美しいチョウチョウ
山頂近くの階段道を下る.途中で登ってくるMTさん,HさんとFTさんの3人とバッタリ会う.FTさんは2番場素手来られたようである.
10時24分,花立山付近で綺麗なチョウチョウを見付ける.アゲハチョウかな? チョウチョウの名前は良く分からないが,子どもの頃,追いかけた記憶のあるチョウチョウである.とにかく,何とも懐かしい感じがするので,写真を撮る.そう言えば,チョウチョウは,昔,テフテフと書いたな.
<美しいチョウチョウ>
■アレッ! 平日なのに…
10時28分,花立山荘を通過する.山荘の周囲には登山客の姿がチラホラ見掛ける.
花立山荘は休日だけ営業してるとばかり思っていたが,今日は平日なのに早々と営業している.後7分坂を登りきった所に「氷」と朱書きした幟が立っている.
<平日なのに営業している花立山荘>
■緑陰を下る.
TDさんと一緒に下り続ける.
10時09分,駒止茶屋に到着する.TDさんはここで昼食を摂られるというので,TDさんとは,ここでお別れする.その後は完全な一人旅.ノンビリと下り続ける.
高度が下がるにつれて蒸し暑くなり始める.真夏を連想させる緑陰の登山道が連続する.
“やっぱり,緑陰のそぞろ歩きは良いな”
<緑陰の登山道を行く>
■曲がったキュウリ
大倉からのバスの発車時間に合わせて,ノンビリと下り続ける.
12時頃,大倉の集落まで下山する.バス停近くの野菜無人スタンドで,6本100円のキュウリを見付ける.
“これは安くてうまそうだ…!”
私は,このキュウリを衝動買いする.最近,スーパーなどで販売されているキュウリは曲がっていないが,ここのキュウリは曲がっている.田舎育ちの私には曲がったキュウリが懐かしい.勿論,帰宅後,美味しく戴く.
<6本100円のキュウリ>
■大船Becker'sで一休み
予定通り,12時04分,バス停大倉に下山する.
12時22分発のバスに乗車する.駒止茶屋でお別れしたTDさんも,結局,同じバスに乗車する.バスは空いている.
渋沢,小田原で電車を乗り継いで,13時52分,大船に到着する.このまま帰宅するには,まだ,まだ,日が高すぎる.私は小腹が空いていたので,大船駅構内のBecker'sに立ち寄る.150円也と小さなバーバーとホットコーヒーを賞味しながら,ひと息入れる.
冷房が利いている店内に暫く過ごす内に,少々寒く感じる..それに汗でベタベタになった衣服が気持ち悪い.食事を終えると早々に店を出る.
<Becker's で一休み>
■結局ブラブラ歩きで帰宅
大船駅前の通りに出る.涼しい海風が吹いている.この海風に当たっている内に,このまままた冷房の利いているバスに乗る気がしなくなる.それに少々歩き足りない感じがする.そこで,私は大船駅から自宅のある丸山までブラブラ歩きを楽しむことにする.歩程約2.5キロメートル,標高差約70メートルのお散歩コースである.
途中,鎌倉中央公園を通り抜ける.公園内の人影は少なく,閑散としている.園内の緑陰を楽しみながら,14時50分頃,無事帰宅する.
今日も,無事に塔ノ岳を往復することができて,本当に良かった.
<鎌倉中央公園>
<ラップタイム>
7:05 歩き出し
7:29 観音茶屋
7:46 見晴山荘
8:17 駒止茶屋
8:32 堀山の家
9:10 花立山荘
9:23 金冷シ
9:40 塔ノ岳山頂着(20.0℃)
10:04 〃 発
10:16 金冷シ
10:28 花立山荘
10:54 堀山の家
11:09 駒止茶屋
11:31 見晴山荘
11:45 観音茶屋
12:04 大倉着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:05
塔ノ岳 着 9:40
(所要時間) 2時間35 分(2.58h)
水平歩行速度 7.0km/2.58=2.71km/h
登攀速度 1269m/2.82h=450.0m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
塔ノ岳 発 10:04
大倉 着 12:04
(所要時間) 2時間00分(2.00h)
水平歩行速度 7.0km/2.00h=3.50km/h
下降速度 1269m/2.00h=634.5m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/9a91be852233f4b1fb2c715efab34869
「丹沢の山旅」の次回の記事
(なし)