<今日の営業部長>
鹿・ネコ・小鳥の丹沢:塔ノ岳
(今年度第24回)
(単独山行)
2008年5月12日(月) 曇
■登るのは今日しかない
この所,毎日,妙な天気が続いている.つい先日,真夏のように暑い日が続いたかと思うと,この頃は一転して,まるで冬に戻ったかのような寒い日が続いている.しかも,この所,随分雨の日が多い.
サンデー毎日の私は,半ばふてくされ気味に,毎日,山に行けない欲求不満をため込んでいる.天気予報を眺めていると,この先,ますます悪天候の毎日が続くようである.しかも悪いことに,南の海上に台風2号とやらが発生して,明日辺りから日本列島の南海上を北北東に進むようである.
そうなると,塔ノ岳に登る日は,雨が降らない今日しかない.毎月315円支払っている某社の天気予報によると,今日は,9時頃から12時頃まで,つかの間の晴が期待されるという.
「・・ならば・・行くぞ・・・」
ということで,早朝,4時過ぎに,一旦,起床する・・・が,寒い.それに,どうも体調がそれ程良くない.何となく身体が重たい感じがする.再び,寝床に潜り込んで,どうしようかと迷い出す.しかし,5月7日に塔ノ岳に登ったのを最後に,今日までろくな山に登っていない.そこで,意を決し,塔ノ岳に出掛けることにした.
■体調が思わしくない
この所,精神的に後期高齢者ショックに陥っている.ならば,少しでも交通費が安いルートで登山口まで辿り着こうと思って,藤沢から丹沢・大山周遊キップを使って,何時ものように,7時28分に渋沢駅に到着する.同じバスには,10名足らずの登山者が乗車している.例のローギヤー氏も乗っている.
ストレッチ体操をサッサと済ませ,ローギヤー氏がトイレに行っている間に,大倉を歩き出す.丁度,7時34分である.ローギヤー氏より,少し先に歩き出したのは,途中で,私が彼を追い越して,また花立山荘付近で,彼に追い越されるのが煩わしかったからである.
もう一人,見覚えのある老人を見掛ける.2ヶ月ほど前に,私に「丹沢を舐めるな」と説教した口うるさい方である.この老人,彼方此方見回しながら,話し相手を物色しているようである.私は,下を向いたまま,この老人から遠ざかる.
昨日まで雨が降っていたにもかかわらず,登山口までの舗装道路は,すっかり乾いている.この分だと,今日の登山道は案外歩きやすいかなと思った.しかし,登山口を過ぎて,杉林の中の石を敷き詰めた場所に来ると,雨でビッショリと濡れたままの石が滑って,とても歩きにくい.それに,歩き出してからも,身体が少し重く感じる.今日は無理は絶対にしないぞと念じながら,登り続ける.
やっぱり,少し間を空けると,体力が下がるなと実感する.
■ベテランと間違えられる
8時06分に雑事場ノ平を通過する.ここから見晴茶屋までの平らな尾根道は,新緑に覆われていて,歩いていても,とても気分が良い.
東側の谷から,ツツドリの啼き声が,「ホゥ,ホゥ・・」と木霊しながら聞こえてくる.いくら寒くても,こんなところに,初夏の息吹が感じられる.
私は,山の師匠,サンダーウエスト氏の教えを思い起こしながら,歩行姿勢に細心の注意を払って,見晴山荘から続く急坂を登り続ける.そして,一本松を過ぎて,平坦な尾根道に出る.
尾根道に出た所にベンチがある.3人組の中年女性がベンチに座って,休憩を取っている.私は,軽く会釈をして,通過しようとする.すると,3人の内のお一人が私に会釈する.私はお愛想に,
「・・2番バスですか・・?」
と挨拶する.
「・・いえ,私達地元の人間で・・・自家用車で来て,7時頃から登り始めました.貴方は・・・」
「2番バスで来ました・・・7時40分頃から登り始めました」
「随分お早いですね・・・ヒョッとして,1500回登られた方ですか・・・」
「いえ,いえ,違います.私はせいぜい年に40~50回しか登っていませんよ」
■次々にご常連とすれ違う
駒止茶屋手前の急坂を喘ぐようにして登る,そして,8時35分に駒止茶屋を通過する. 大倉を歩き出したのが,7時34分だったので,駒止茶屋まで,1時間01分掛かったことになる.わずか1分のオーバーとはいえ,この1分は大きい.ここで1分遅延したのでは,山頂までに,数分遅れることになる.到底,2時間15分では登れないなと観念する.そして,所要時間はあくまで結果である・・肝心なのは納得できる登山ができたかどうかだと自分を言い聞かせる.
駒止茶屋から先の尾根道に差し掛かる.天気予報が当たれば,そろそろ晴れてきても良さそうな時間だが,相変わらず雨雲が立ち込めている.期待していた富士山は当然雲の中である.
8時44分に堀山ノ家を通過する.ここから,ガレた岩稜地帯になる.この辺りは,バカ尾根を登っていて,一番面白い所だが,同時に,花立山荘までの長い坂道の始めでもある.登り始めると,すぐに太股から下を丸出しにしたまま,金時さんのようなご常連が,ストックを上手に使いながら下山してくる.私は,
「おや・・・今日は随分とお早いですね・・・」
と挨拶を交わす.この金時さん.明るくなると登られるらしくて,日が長くなるに連れて,お会いする場所が,だんだんと標高の低い所になってくる.
上空を覆う雲が,ときどき薄くなるらしくて,ほんの少し薄日が漏れているような気がする.でも,また直ぐに薄日も消えてしまう.
暫く登り続けると,黒染めの法衣をまとった修験者とすれ違う.軽く挨拶を交わす.
<今日の萱場平:多少泥濘があるが大したことはない.花立が雲の中>
■タフな凄い人
9時30分,花立山荘に到着する.歩き出してから,1時間56分経過している.せめて,1時間50分程度のラップで花立山荘まで登らなければ本調子とは言えない.これでは,山頂まで2時間20分を切ることは不可能だなと確信する.
花立山荘を通り過ぎると,辺りの空気が一変して,霧が深くなる.そして,体感温度が急に下がって,やけに寒くなり出す.露出している肌が赤くなり,手先が多少悴(かじか)んでくる.深い霧の中,疲労が蓄積しないように注意しながら,歩行速度を少し落として登り続ける.
花立場手前の坂道を登っていると,私より3才下のご常連が下ってくる.彼は私に,
「やあ・・今日は,元気ですか.今日は2分オーバーしちゃいましたよ」
と陽気に挨拶する.
「そうでしたか・・・2分縮めるって,本当に大変ですよね・・」
私は実感を込めて返事をする.
■塔ノ岳山頂
9時44分に金冷シを通過する.通過後,最初の長い坂を登っていると,前方から三角髭のご常連が降りてくる.彼は半袖の腕を指しながら,
「やあ,今日は・・・山頂は.バカに寒いですよ・・これではダメ」
と私に挨拶する.この方も,バカ尾根を2時間程度で登ってしまう強者である.
今日は,登っている途中で,次々とご常連に会うことができた.ご常連達と何気ない会話を一言交わすだけで,私は十分にハッピーな気分になる.
9時58分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.所要時間は,2時間24分と振るわない.
山頂は濃い霧に覆われていて,視界が殆どない.とにかく寒い,どうやら,外で休憩を取っている人は居ないようである.霧の景色など写真に撮っても何も写らないに決まっているが,儀式として,数枚の写真を撮る.
<尊仏山荘:鹿とネコ>
■尊仏山荘にて
尊仏山荘の入口近くで,雌の鹿が1頭,何かを漁っている.鹿は害獣だというが,白い尾が何とも愛らしい.
鹿を避けて,尊仏山荘に入る.
今日の小屋番はオーナーのHさんである.早速,山荘の寒暖計で気温を見る.今日,10時少し前の塔ノ岳山頂の気温は,+7.4℃.やはり,この時期にしては寒い.
ご常連のカメラマン氏と女性1人が先客である.
「天気予報を見ていれば,登るのは今日しかないと思った人が多いんだろう・・・」
とカメラマン氏が笑う.私が,
「先日,教えて貰った白い花,何て言いましたっけ・・・あれ写真に撮りましたよ」とカメラマン氏に報告する.
「ああ,キクザキイチゲね・・・貴方のブログに出ていましたね・・」
私は,カメラマン氏が,私のヘボ・ブログを見て頂いていることを知り,大変,恐縮する.
これを切っ掛けに,色違いの花が,丹沢山辺りにあることや,トリカブトの話など,花のことを色々と教えて頂いたが,私にはなかなか覚えられない.
暫くして,カメラマン氏は,丹沢方面に出掛けていく.
小屋番のHさんが,
「この間,山旅スクールの皆さん.2回止まられましたよ・・・2回ともガイドはホワイトさんでしたよ・・・昨日,日曜日は雪が降ったので,引き返して来ましたよ・・・」
「えっ・・雪でしたか.そうと知っていれば登ってきたのに・・10センチ,15センチ・・」
「いえいえ,ほんの1~2センチも内ほどです」
私は「なんだ,それっぽっち・・」と期待はずれ.続いてHさんが,
「・・flower-hillさんは,山旅スクールの上客だって言っていましたよ・・」
と嬉しいことを言う.実際には,この頃,ほとんど山旅スクールをご無沙汰しているのだが・・・
10時30分頃,入れ替わるように,ご常連のAさんが,山荘に入ってくる.3番バスで来たという.私の到着時間から逆算すると,Aさんも2時間少々で登ってきたことになる.
「下の方で,Nさんに会ったよ・・・彼,2番バスに乗っていたようだよ・・」
Nさんは,お馴染み「K大のNさん」である.私も2番バスに乗っていたので,ビックリする.
「あれ・・私も2番バスだったけど,Nさんに会わなかったですよ・・・」
「多分,トイレにでも行っていたんでしょう」
と小屋番のHさん.
営業部長のミー君が,珍しくストーブの前でジッとしている.写真を撮るが,なかなかカメラの方を向いてくれない.
■次々に登山客とすれ違う
10時35分に尊仏山荘を後にする.外に出ると,ガタガタするほど寒い.相変わらず霧が立ち込めている.対向する人も少ないので,スタスタと階段を降りる.
金冷シの手前で,下から登ってくるNさんとすれ違う.
「同じバスだったようですね・・・気が付かなくて失礼しました・・」
と挨拶して別れる.
花立場のコル付近で,雲の下に出る.上空は雲に覆われているが,下界の視界が一気に開ける.山肌の新緑がとても鮮やかに見えている.茂みの中で小鳥が盛んに花を啄んでいる.何という名前なのだろうか.
<忙しく蜜を舐める小鳥:動きが激しいのでブレた:花立場付近>
※小鳥の名前は分からない.
■花立山荘で雑談
11時01分,花立山荘に到着する.すると,登りの一本松上のベンチで会った3人組が休憩を取っている.目ざとく私を見付けた1人が,
「もう,山頂まで行って来たんですか・・・私達は,やっと,ここですよ・・」
と私に話しかける.ここで,10分ほど雑談をする.ついでにフランス製のチョコレートをご馳走になる.お三方の内,1人は100名山の内,80座ほど登ったというベテラン.Mロクに所属しているとのこと.下廊下,剣岳などに登ったことを自慢する.
「私も,度々,塔ノ岳に登っています・・・またお会いしましょう」
で,11時07分にお別れする.
<素晴らしい新緑:一本松付近>
■ゆっくり下山
花立山荘からの坂道を,だれか山旅スクールの人に会わないかなと思いながら下るが,あいにく,今日は誰も登ってきていないようである.
途中で,同じバスに乗っていたお説教好きの老人とすれ違う.まだ,こんな所を歩いているのかと,逆に私がビックリする.
戸沢分岐を過ぎて暫く下った所で,汗ビッショリの2人の中年女性に話しかけられる.
「花立山荘は未だですか・・・」
「はぁ・・まだちょっとありますね.でも,花立山荘まで辿り着けば,山頂までは割合楽ですよ・・」
と勇気づける.
それにしても,新緑が綺麗である.
私は,大倉発13時22分のバスに乗るつもりである.急いで下山しても仕方がないので,辺りのむせるような若葉を堪能しながら,ノンビリ,ユックリと下山し続ける.途中で,数名の登山客に追い越される.
13時12分,大倉に到着する.
<緑陰に魅せられて・・・ついついノンビリ>
■無事帰宅
その後,相模大野,藤沢を経由して,順調に帰宅する.
夕方からのテレビ,水戸黄門を見たことは言うまでもない.それに月曜日は,20時からも水戸黄門のテレビがある.両者を比較するのも面白い.
今度,天気が良い日は,多分,16日,金曜日.15日にストーンマジックの岩場講習を受けるが,もし疲労が貯まっていなければ,多分,16日も塔ノ岳に登っているだろう.
1週間,山に登らないと体力が落ちることを実感した一日であった.
[ラップタイム]
7:32 大倉歩き出し
7:38 登山口
7:52 丹沢ベース
7:53 観音茶屋
7:57 分岐
8:06 雑事場ノ平
8:08 見晴茶屋
8:22 一本松
8:35 駒止茶屋
8:46 堀山
8:52 堀山ノ家
9:08 戸沢分岐
9:10 萱場平
9:30 花立山荘
9:44 金冷シ
9:58 塔ノ岳山頂 着
==============================
10:35 塔ノ岳山頂 発(+7.4℃)
10:47 金冷シ
11:01 花立山荘(11:07まで登山客と雑談)
11:29 萱場平
11:31 戸沢分岐
11:48 堀山ノ家
11:58 堀山
12:07 駒止茶屋
12:22 一本松
12:37 見晴茶屋
12:39 雑事場ノ平
12:48 分岐
12:52 観音茶屋
12:57 丹沢ベース
13:06 登山口
13:12 大倉 着
[山行記録]
■登攀・下降高度 1201m
■水平移動距離 6.5km
■登攀所要時間
大倉発 7:34
塔ノ岳山頂着 9:58
(所要時間) 2時間24分(2.40h)
登攀速度 1,201m/2.40h=500.4m/h
■下降所要時間(雑談時間を含む)
塔ノ岳山頂発 10:35
大倉発 13:12
(所要時間) 2時間38分(2.63h)
下降速度 1,201m/2.63h=456.7m/h
(おわり)
前回(第23回目)の登頂記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/db6840b86cfe432005c02c94e9340e53
次回(第25回目)の登頂記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/3449a29a4c2274c63ad6670cb5f9fcbf
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コメント有り難うございました.
この頃は,天候不良で,なかなか思うように山行ができなくて困りましたね.
また,来週辺りにでも,塔ノ岳でお会いしましょう.