<湯坂山の紅葉>
晩秋の箱根:浅間山・鷹巣山の紅葉を楽しむ
(山旅スクール5期同窓会定例会)
2011年11月20日(日) 快晴
<山行地図>
<湯坂道を登る>
■天気予報にヤキモキ
開催日の2日前(11月18日)までの天気予報では,今度の土日は雨とのご託宣.
「また雨か・・・」
私は天を仰いでため息をつきっぱなしであった.折角,皆が楽しみにしている月1回の例会が雨でお流れになりそうである.
でも,一方では,天気予報なんて当てになるものか.天気はどうせなるようにしかならないんだから・・・と,半ばやけっぱちな気分で,ハラハラしながら天気予報の推移を見守っていた.
そして,前日の朝,期待通り・・といっては叱られるかもしれないが,天気予報がガラリと変わって,
「明日の日曜日は,素晴らしい行楽日和になります・・・」
とイケシャーシャーと言っている.
明日の天気が晴れるのは有り難いが,今までの予報は一体何だったのかと,心底からあきれてしまう.
「オレは,これでも月額315円も払って有料の天気予報を見ているんだぞ・・もう少しシッカリ予報を出してくれ~ぃ・・・」
とよたりたくなる.
ま,それはともかく,天気予報が祟ったのか,今回の参加者は,たった4人.まあ,これも致し方ない.主催者側の私でさえ,仮病を使って休みたかったんだから・・・
それで,今回の参加者は,ノシイカさん,野菜漬物さん,ホッシーさん,それに私ことFH,男性1人,女性3人である.
箱根湯本駅に9時30分集合の予定だったが,全員が早く揃ったので,予定より早く,9時28分に,箱根湯本駅から歩き出す.
■湯坂道登山口
駅から裏道を通って,登山口へ向かう.裏道の途中にあったコンビニが何時の間にかなくなっている.
すぐに自動車の往来が激しい自動車路に合流する.やっとのことで横断歩道を渡り,自動車道路に沿って,暫く登り続ける.
9時42分,湯坂道登山口に到着する.登山口から登山を開始する前に軽く衣服調整をする.そうこうしている内に,10名ばかりが集まっているグループが到着する.このグループも女性が圧倒的に多い.皆さんの服装や歩き方を見ていると,どうやら山道になれていない方々のように見受けられるので,少々支度を急いで先に登山を開始させて貰う.
<湯坂道登山口>
■湯坂城趾
登山口から登山道に入ると,いきなり急勾配の登り坂になる.
今朝方までの雨のためか登山道はジメジメと塗れている.ジグザグの山道をユックリと登り続ける.私たちのすぐ後を,例のグループが追ってくる.どこかで先に行って貰おうかと思っている内に,今度は,このグループとの間が段々と開きはじめる.そのうちに,後ろのグループの姿は全く見えなくなる.
やがて,上り勾配が緩やかになり,尾根沿いの素晴らしい散策路になる.
高度が増すにつれて,次第に紅葉した木々が多くなる.
美しい林の中の尾根路が連続する.一同,梢を見上げたり,色付き始めた周囲の雑木林を眺めながら,良い気分で登り続ける.ただ,今日は季節外れの暖かさで,気温が20℃を越えている.どうしようもない暑さではないが,歩いているうつに,少しずつ汗ばんでくる.
10時15分,湯坂城趾に到着する.城趾と言っても案内板が立っているだけで,どこが城趾なのか,一見しただけでは良く分からない.
<湯坂城趾の案内板>
<素晴らしい紅葉>
■湯坂山
真っ直ぐに西へ延びる尾根路が連続する.勾配が極めて緩いので,高度は簡単には稼げないが,気楽な散策路である.私たちのグループは年配者ばかりだが,これでも北アルプスや南アルプスなどの主立った山を踏破している人たちばかりである.体力には充分余裕がある.足許の草花や珍しい木があると,すぐに立ち止まってあれこれと話がはずむ.ソンなことを繰り返しているので,なかなか先へ進まない.
11時頃,湯坂山を通過する.
辺りの紅葉が一段と綺麗になる.ついつい立ち止まって,紅葉の写真を撮りまくる.
ここで,撮りまくった写真の中から,何枚か紹介することにしよう.
■突如大部隊とすれ違う
頭上や路傍の美しい紅葉を眺めながら,
「ああ良いな,ああ綺麗だな・・」
を繰り返す.
珍しい草花があると,途端に歩行速度も遅くなる.
案内役の私は,
「まあ,いいや・・・どんなに遅くなっても.特に何処まで行かなければならないということもないし・・」
と鷹揚に構える.そして,決して急かせることはしない.
私は,心の中で,
“何も鷹巣山まで行かなくても,浅間山から,直接,千条の滝へ降りても良いし,いざとなれば大平山分岐から下山しちゃうさ.”
と思っている.
そのとき,突然,ガヤガヤと大部隊が下山してくる.先頭は初老の男性.
私たちは,反射的に,すれ違いのために道を空ける.このグループの大半は中年から初老のオバサンである.先頭の男性が私に話しかける.
「湯坂城趾はもうすぐでしょうか.食事をしたいんですが,30人ほど座れる広場はあるでしょうか・・・」
「えっ!・・・湯坂城趾ですか.まだまだ,大分ありますよ.それに特に広場はないですよ・・ただ,もう少し下ると,この辺りよりは幾分広いところはありますよ.」
それにしても,地図も持たずに,よくもまあ沢山の人を引き連れて歩けるなと,逆に私の方で感心してしまう.
■大平台分岐
ノンビリと歩いている内に,今,自分たちがどの辺りに居るのか分からなくなる.ここは一本道.これまで何回となく歩いているところだ,どうせ,その内に浅間山山頂に辿り着くに決まっているんだから・・・まあ,今どの辺りを歩いているにしても,独断,気に過掛けることもない.でも,そこは山旅スクール出身者である.絶えずうすらボンヤリと眺め続けている地図を改めて見直す.でも,いきなり地図を見ても,現在地がそう簡単に分かるわけがない.
改めて地形図をしげしげと眺める.辺りの地形は,今までのダラダラ登りがさらに緩やかな傾斜になっている.さらに,遙か前方の空に高圧線が横切っているのが見える.
「ああ,あそこに高圧線が見えますよ.あそこが標高700メートルの地点ですね・・」
一同地図を覗き込む.
私はGPSを取り出して,現在地と標高を確かめる.
「・・・そういえば,最近の地形図には高圧線は載っていないそうですよ・・」
と誰かが言う.
私は参加していなかったが,山旅スクール関連の山行の参加者から聞いたとのことである.高圧線は現在地を知る上で重要な手がかりになる.高圧線が地形図から消えると,山歩きをしている人間にとっては,重要な情報が得られないことになる.
私たちの恩師であるサンダーN方さんも,
「高圧線が地図から消えると,山谷は困りますね・・」
と言っていたとか・・・
この話が切っ掛けになって,山旅スクールの思い出話で,暫くの間,盛り上がる.
12時01分,ようやく大平台分岐を通過する.
この辺りまで来ると,登山者の姿がチラホラと見え始める.多分,大半のハイカーは,大平台分岐から箱根登山鉄道の大平台に下山するのだろう.
<大平台分岐>
<浅間山>
■浅間山山頂に到着
大平台分岐を過ぎると,登山道の勾配が幾分きつくなる.
美しい紅葉のトンネルを潜りながら,相変わらずノンビリペースで登る.そして,山頂直前で,場所取りのために,私1人が,半ば駆け足で登り続ける.そして,12時10分,浅間山山頂(標高802m)に到着する.
山頂は予想に反して,沢山のハイカーで賑わっている.
山頂近くにベンチに座っている人たちが,もう少しで出掛けるようだったので,早速相席で座らせて貰う.この方々も,これから大平台に下山するとのことである.
問われるままに,私たちは箱根湯本から登ってきたというと,
「長くて,随分,大変だったでしょう・・・」
と尊敬されてしまう.
こんなことを言うと嫌らしいかもしれないが,正直なところ,実は,湯坂道程度は軽いハイキング.到底,登山だなどとは思っていない.同じ山に対しても色々な感じ方があるんだなと改めて思う.
2~3分の内に全員が山頂に到着する.
<浅間山山頂>
<ハイカーで賑わう浅間山山頂>
■楽しい昼食
少々広いテーブルを私たち4人で占有する.
早速,野菜漬物さんが,ご自慢のお手製料理を広げる.ここまで運んでくるのは,随分と重かっただろうと感謝する.一同,美味しく頂戴する.
「・・この頃,日が短くて仕方がないよ・・・」
と野菜漬物さんがぼやく.
「この間もよ・・・暗くなってからも畠で仕事をしていたんだ・・・そしたら,暗くなっても道端に自動車に私が戻らないって,心配した近所の人が,わざわざ私を探しに来てくれたんだよ・・」
「へえ~・・・」
「自分では平気なつもりでも,周りの人は,年寄りだからって気に掛けてくれているんだね・・・もう少し気を遣って,ご近所の人に心配掛けないようにしないといけないよね・・」
この話に私も同感である.自分では若いつもりでも,端から見たら,十分に“老いぼれ”なんだから,周囲に心配を掛けないようにしなければ・・・
<野菜漬物さんの田舎料理>
<鷹巣山>
■アジサイと椿の群生地を行く
昼食を終えて,13時丁度に,浅間山山頂を出発する.山頂の草地で食事を摂っている人たちの間を抜けるようにして,鷹巣山へ向かう.
暫くの間,なだらかな下り坂が続く.浅間山から少し離れると,もう登山客は疎らである.
道の両側にはアジサイと椿が沢山植え込まれている.椿の葉が初冬の日光を反射してきらきらと光っている.周囲の紅葉と椿を眺めながら,
「綺麗だね,綺麗だね・・」
を繰り返しながら歩き続ける.
<アジサイと椿の尾根路>
■林道と交差
13時16分,浅間山と鷹巣山の間にある鞍部を通過する.ここで林道と交差する.
いよいよ,鷹巣山へ向かう急勾配の登り坂である.ここは古い石畳の道で,何時も塗れていて,石は苔だらけで歩きにくいところである.特に下りは滑って怖い.
ところが,最近,石畳沿いに木の階段が取り付けられていて,随分と歩きやすくなっている.これならば安全.
つづら折りの登り坂が連続する.高度が増すにつれて視界も良くなる.やがて,紅葉の木々の向こうに相模湾が見え始める.
「ほら,相模湾が見えている・・・」
「うわ~ぁ!・・・綺麗だ!」
今日は箱根湯本を歩き出してから,「綺麗だ・・」を,一体何回叫んだのだろうか.とにかく,紅葉の眺望が見事である.
<鷹巣山への急坂>
■鷹巣山山頂に到着
13時30分頃,急坂が終わる,そして,ほんの少し上り勾配の尾根路になる.木々の間から小田和方面の海が見えている.反対側には随分と高い山が聳えている.地図で確かめたわけではないが,多分,明星ヶ岳だろう.
13時35分,鷹巣山山頂(標高約820m)に到着する.
座ろうと思っていた山頂のベンチには,先客が居る.その脇には10名ほどのグループが車座になって休憩している.
鷹巣山にこんなに沢山の方が居るとは思わなかった.
私たちも,立ったまましばらく休憩.
「さぁ~てっと!・・・・当初の計画では,一応,千条の滝へ戻ることになっていますが,ここから飛龍ノ滝を眺めてから畑宿に出ても良いですね・・・どうしますか? ただ,今日は日曜日.畑宿からのバスが混雑して乗れないかもしれません.そのときは,旧東海道を箱根湯本まで,トボトボ歩くしかないですね・・」
…というわけで,当初予定通り,千条の滝を目指して下山することにする.
<鷹巣山山頂>
<木の間から金時山が見える>
<千条の滝>
■荒れた下り坂
13時43分,鷹巣山から下山開始.往路辿った急坂を一気に下る.階段道ができたので,下りも容易である.
13時57分,先ほどの鞍部まで下山する.ここから左折して,千条の滝までのショートカット路に入る.
ショートカット路に入ってから,ほんの少しの間,路が整備されていて歩きやすかったが,すぐに,荒れた登山道になる.途中,何処が路なのか分からないようなところや,木の根が複雑に交差して,大きな段差を飛び降りるような所も随所にあって,結構大変である.
ただ,沿道の紅葉は正に見頃.足許ばかりに気を取られて,周囲の美しい紅葉を見落としそうになる.ときどき足を止めて,周囲の紅葉を眺めながら,
「ああ~・・凄いね,美しいね・・」
を繰り返す.
さらに悪路の連続である.しかし,そこは山旅スクールの出身者である.
「変化があって面白いね・・」
と子どもみたいなことを言う.とはいっても,私自身も面白いなと思っているので世話がない.
<悪路の周辺は素晴らしい紅葉だ>
■千条の滝
谷の右岸沿いの悪路を下り続けている内に,下の方から聞こえてきた川の音が段々と近付いてくる.やがて悪路の急坂が終わって,川沿いの穏やかな登山道になる.こうなると気分的にも余裕がでてくるので,前後左右頭上の紅葉を楽しみながら,ユックリと歩き続ける.
14時24分,浅間山から千条の滝へ下山する路と合流する.
すぐに蛇骨川に架かる木道を渡って,14時25分に千条の滝へ到着する.
ここでしばらく休憩を取る.
私たちが到着すると,居合わせた初老の夫婦が,
「この上に登ると紅葉が美しいんでしょうね・・・」
と話しかけてくる.お二人は立派な一眼レフカメラを持参している.
「ええ・・・まあ,30分ぐらいですか・・」
私たちは半ば気の毒そうに答える.
千条の滝は,前回来たときと少し変わったように思えるが気のせいだろうか.
<千条の滝>
<箱根登山鉄道で下山>
■別荘地を抜けて小涌谷駅
14時35分,千条の滝を出発する.
千条の滝をお目当てに,平服で登ってくる観光客と,次々にすれ違う.金型ナントカという大きな建物を通過すると,街中の自動車道路となる.でも結構な急坂である.
喘ぎながら登ってくる観光客とすれ違いながら,急坂を下って,14時55分に箱根登山鉄道小涌谷駅に到着する.
■無事帰宅
箱根登山鉄道の電車は,予想以上の大混雑.やっと乗車する.箱根湯本駅まで,途中駅はそれほどないのに,信号所で停車したり,スイッチバックをしたりで,15時31分,ようやく箱根湯本駅に到着する.
余りの混雑振りに,どこかで懇親会を開く気にもなれず,そのまま小田急電鉄,東海道本線の電車を乗り継いで,17時頃,やっと帰宅する.
登山そのものでは全く疲れなかったが,混雑する帰りの電車ですっかり疲れてしまった.
昨日(11月19日)は,鎌倉美術家協会研究会で終日,今日は浅間山・鷹巣山軽ハイキング.明日はヤボ用で東京の聖蹟桜ヶ丘まで行かなければならない.結構,行事が多くて,目を白黒させている.
<ラップタイム>
9:28 箱根湯本歩き出し
9:42 湯坂道入口
10:15 湯坂城趾
12:01 大平台分岐
12:10 浅間山山頂(13:00まで昼食)
13:16 鞍部分岐
13:35 鷹巣山山頂(13:43まで休憩)
14:25 千条の滝(14:35まで休憩)
14:55 小涌谷 着
[山行記録]
■水平歩行距離 8.5km
■累積登攀高度 870m
■累積下降高度 439m
■所要時間(休憩時間込み)
箱根湯本発 9:28
小涌谷 着 14:55
(所要時間) 5時間27分(5.45h)
水平歩行速度 8.5km/5.45h =1.56km/h
(つづく)
「伊豆・箱根の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/51f7ef167b66d2bf724e70dd5a1511f2
「伊豆・箱根の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/aad3d97bf60dde8720d231ff216b1e6a