<2012年3月20日のミー君>
丹沢:山猫“ミャ~”との交友録(5);実際にあった嘘のような話
2012年3月某日
■我が輩は元気だ!
我が輩は,尊仏山荘の山猫ミーである.
先週の3月14日,幾ら元気な山猫でも,少々,身体がだるい感じがしていた.それに当日の小屋番は,我が輩が一番苦手としているオーナーのHさんである.そうなると,堂々とストーブの前に座り込んで暖を取るのも気が引けるので,土間に座り込んだままジッとしていた.すると心優しいご常連のT田さんが,
「そんなところじゃ寒いでしょう・・・」
と言いながら,我が輩を抱き上げて,ストーブの前に,そっと置いてくれる.T田さんに大いに感謝しながら,我が輩はストーブの前に座り込む.ストーブの暖かさがとても心地がよい.
そんな我が輩の様子を見ていた常連の一人,FH氏が,我が輩を見ながら,
「こいつ,一寸元気がないな・・・・お前も年だがら,気をつけないと・・・」
と余計なお節介を言う.
実のところ,この日の我が輩は,多少気分が悪かったが,すぐに元気を取り戻している.
そして,その後,少々天気が悪い日が続いていたが,3月某日は,とても良い天気になった.天気の良い日にしか現れないFH氏が,案の定,我が山荘に現れた.
もちろん,我が輩は,折角だから元気な姿を,FH氏にも見せてやろうと思って,座敷の日当たりの良いところでポーズをとった.FH氏は大変喜んで,我が輩の写真を何枚も撮っていた.
今日も何時ものようにご常連が何人も集まって雑談をしている.我が輩も,それとなく,ご常連の雑談を伺っていると,FH氏が“本当にあった嘘のような話”を披露している.
…で,ここから先は,FH氏にバトンタッチ,直接,FH氏から話を伺うことにしよう.
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2012年3月20日(火) 春分の日
FHです.
ネコのミー君からバトンタッチして,実際にあった少々信じられない話を披露させて頂きます.
その前に,この話題に関連する大倉尾根の概要を説明したいと思います.もちろん,大倉尾根をご存じの方は,スキップ,スキップ・・・
<大倉尾根の概要>
まずは,大倉尾根の地図とプロフィールマップを示すことにしよう.
地図には,バス停大倉から塔ノ岳山頂までにある山小屋や主要な目印を記入してある.このブログでしばしば登場する地名も,この地図で明らかだろう(勝手に付けた地名を含む).
大倉尾根から歩き出すと,まず登山口.ここから克董窯,丹沢ベース,観音茶屋,雑事場ノ平を経由して,今回の話題の舞台となる見晴茶屋に到着する.さらに,一本松,駒止茶屋,堀山の家,萱場平を経由して花立山荘に到着する.ここから先,花立山,金冷シを通過して,やっと塔ノ岳山頂に到着する.
カシミールというソフトウエアを使って,バス停大倉から塔ノ岳山頂までの沿面距離を測定すると6.5キロメートルである.ただし,公表では7.0キロメートルになっている.そして,累積標高は約1261メートルである.登山技術的に見れば,特段に難しい所や危険箇所はないが,標高差は1200メートルを超えているので,まあまあ歩き甲斐のあるコースと言えよう.
FHのブログでしばしば登場する小草平,萱場平,後7分坂(これは勝手に付けた名前)などの位置もこの地図を見れば明らかになるだろう.
次にプロフィールマップを見て頂きたい.
歩き出しのバス停大倉の標高は約290メートルである.ここから,標高差で約300メートルほど登ったところに,今回の話の舞台になる見晴山荘がある.
大倉尾根全体から見ると,見晴山荘は,まだまだ山麓.ここから塔ノ岳山頂はまだまだずっと遠くて高いところである.
さて,前置きはこの程度にして,本題に入ることにしよう.
<大倉尾根概念図>
<大倉尾根プロフィールマップ>
<こんな方も居られるんだ・・!>
■ご常連のT中さんと一緒に下山
実は,この日,私は体調がやや不良なのを承知で,塔ノ岳を往復しました.往路の登りは,大倉から堀山の家まで,ご常連のT中さんとご一緒しました.そこから先は,自分の体調を考えながら,ごく,ごく,ゆっくりと登りました.そして,復路の下山は,終始,T中さんにご一緒させて頂きました.
もともと,私は下山には時間が掛かる方ですし,何よりも年齢とともにバランス感覚も悪くなっているので,随分とゆっくりした速度でしか歩けません.そんなことから,辛抱強く私のペースに合わせて歩いて頂いたT中さんには,この場を借りて,深く感謝の意を表したいと思います.
T中さんは元々エンジニア,それに私も技術系出身者なので,山登りの途中で,パソコンやカメラのことなど,ややマニアックな雑談がとても楽しいんです.
■見晴山荘で出会った男性にビックリ仰天
この日も,どうせ大倉で乗車するバスは,13時11分発に決まっているし,時間があるのに急いで下山しても勿体ないので,雑談をしながら下り続けました.そして,見晴階段をもう少しで下り終えるところまで来ました.
そのとき,下から50歳代と思われる男性が,どこかで拾ったと思われる木の枝を杖代わりにして,登って来ました.そして,私たちに,
「山頂は,未だ先ですか・・?」
と聞く.
一瞬,私たちは,この男性,何を聞いているのか理解できません.そこで,
「山頂って・・・どこの山頂ですか?」
と伺いました.
どうやら,この男性,これから塔ノ岳まで登る積もりのようです.しかし,リュックを持っていないだけでなく,水も食べ物も何も持っていないんです.しかも,普通の運動靴を履いています.雪道になったらどうするんでしょうか.着衣は木綿の長袖と木綿のズボンだけ.聞かれた私たちが,逆にあっけにとられてしまう.
「塔ノ岳・・って言っても・・・まだここは山麓に近いですよ.これから先,大変ですよ.それに山頂付近には,まだ残雪がありますよ.馴れていないとアイゼンなしでは登れませんよ・・」
と,この男性に登山を思いとどまらせるのに必死になりました.
「もう少し登ると,平らな尾根に出ます.今日は,そこまでにして,下山したほうが良いですよ・・」
と真剣にお話ししました.
「すぐその先で,心臓麻痺で死んだ人も居ますよ・・・くれぐれも注意して下さい・・・」
その後,この男性がどうしたかは分かりませんが,世の中には凄い人が居る者だなと,驚くやら,ハラハラするやら・・・・
■もっと山に対して謙虚でありたい
このブログで,以前にも書いたが,願わくは,誰しもがスマートトレッカーであってもらいたいと思います.
私も,山については全くの素人なので,口幅ったいことは言えた義理ではありませんが,登る山について全くの予備知識なしに安易かつ不用意に登ることだけは絶対にあってはならないと思います.
山への愛着を持つ一方で,山への畏怖の念も持ち続けなければならないでしょう.それに,山と謙虚にお付き合いして頂きたいなと,つくづく思います.
自分の体力や技術を過信せず,余所様と競争もせず,唯我独尊,分相応の登り方で,健康の許す限り,何時までも山を楽しみたいですね.
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ea691315ef859c2a63a86aefc2b34587
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/8aa4b1288e827be498044983abb89498
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