中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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ウイルヘルム山登頂記(19):山頂を目指して(5)

2007年03月09日 07時51分43秒 | パプアニューギニア:ウイルヘルム山
             ウイルヘルム山登頂記(19):山頂を目指して(5)
                         ベティー小屋へ下る
                2007年2月10日(土)~17日(日)

第6日目 2007年2月15日(水)

■早朝のベースキャンプ

 夜中に雨の音が聞こえていたようだが,昨夜は良く眠ることができたので,スッキリと目覚める。
 早朝,4時30分頃である。殆どの仲間が,もう起きあがって,暗闇の中でゴソゴソとしている。私も起きあがって,シュラフを袋に仕舞い込む。外へ出て,トイレへ行く。汚いトイレだが,ここしかないので,仕方なく利用する。
 今日はピュンデ湖のベースキャンプ(標高3,550m)を出発して,ベティー小屋まで歩いて下る。そこから四輪駆動車でマウントハーゲンまで戻る予定である。
 5時30分から朝食である。私は,まだ,あまり食欲がない。多少無理をして,ゆで卵1個,少々のハムだけを食べる。折角出されたパンは,バサバサしていてどうしても食べられない。

■足りないペットボトル
 ケイがパラダイス観光の添乗員,ソロモンにペットボトルの水を,全員に2本ずつ配るように指示する。ところが,ペットボトルが3本しか残っていない。
 「・・・どうして3本しかないの・・・全員に2本ずつ配るだけのボトルがあるはずよ・・・」
とケイが糾問する。ソロモンは,
  「無いものは,無いよ・・・」
と,両手を開いてボデーランゲージで答える。無い水は無いので仕方がない。
 「じゃあ~,,,お湯を沸かして配りましょう・・・」
ということになる。
 6時20分頃,支度を済ませて外へ出る。勿論,悪路に備えて,長靴を履いている。トビアスを始め,殆どのガイドは裸足のままである。ただ,都会の住民であるソロモンは,私達と同じように立派な長靴を履いている。
 朝日を浴びて,ピュンデ湖周辺の山が燃えるような色に輝いている。

             <朝日に輝くピュンデ湖>

■いよいよピュンデ湖を出発
 6時25分,トビアスを先頭にして,ピュンデ湖ベースキャンプを出発する。私は成り行きで先頭から3番目で歩く。すぐにピュンデ湖畔を離れて,下り坂になる。それほど良い道とはいえないが,昨日の水浸しの道とは比較にならないほど歩きやすい。ただ至る所に泥濘があるので,長靴が大活躍である。でも,何人かは,泥濘に長靴がとられ,ドボンになってしまう。
 7時02分,標高3,190メートル地点で,最初の休憩を取る。ここは広場になっていて,大変見晴らしがよい。見上げると,もうピュンデ湖もベースキャンプも見えないが,ピュンデ湖を囲む山並みが良く見えている。そして,ピュンデ湖から流下するシンプルリバー(Simple R.)が進行方向左手に流れている。
 7時08分に出発。なだらかな下り坂を進む。

         <激しく流下するシンプル川>

■日本のイノクチさん
 歩きながら,トビアスと雑談をする。
 「・・・2年ほど前に,日本からイノグチという人がPNGに来たよ。そして,外国資本によるPNGの開発地域を視察したんだ。イノグチはPNGの自然を保護しなければダメだと,さかんに言っていたよ・・・俺もイノグチの考えに同感だよ・・・」
 私にはイノグチという人が誰だか分からないが,珍しくシリアスな面持ちで話すトビアスに同感する。
 私達は,相変わらず続く悪路を下り続けて,7時16分に標高3,060メートルの林に囲まれた空き地に到着する。ここで2回目の休憩を取る。この空き地では,何人かの私たちのポーターが休憩を取っている。ポーターには女性が多い。皆,小柄でほっそりとした体格である。しかし,皆,大変な力持ちである。全員がハダシである。
 7時56分に広場を出発する。そして,さらに下って,標高2,750メートル地点の空き地で,3回目の休憩を取る(8時41分)。大きな木立に囲まれた空き地である。何時の間にか私達は大きな木立が繁茂する熱帯林の中に居る。

■素敵なデザインの靴
 私はガイドの1人が,素敵な靴を履いているのを見つける。靴底に黄色のストライプが入っている素晴らしなデザインである。見るからに軽そうである。私が,
 「・・・素敵な靴ですね・・」
と話しかける。すると彼は,
 「この靴ですか? これPNG製ですよ・・・でも造りが悪くてすぐ壊れるよ」とボッソリ答える。
 ケイが私に話しかける。
 「flower-hillさんは,あまり食事を摂らないのに,良く歩けますね・・・」
 「この程度の高度になれば,多少,食べなくても,ドンドン歩けますよ・・」
 「私は食べないとダメ・・・すぐ歩けなくなりますよ・・・」

■ベティー小屋に到着
 8時46分,空き地を出発する。熱帯林の中を下り続ける。登山道はかなり歩きやすくなっている。
 登山道を下りながら,トビアスの雑談を続ける。
 「・・・ベティーさんは,ベティー小屋のある谷とは別に,もう一つの谷を所有しているよ。そちらの谷では鉱山を経営しているよ・・・」
どうやらベティーさんは大変な富豪のようである。
 やがて,ベティーさんの家が見えるところまで下る。この辺りからはベティーさんの敷地の境界に沿って坂道を下り続ける。

          <ベティーさんの所有する谷間>

 私達は,最後の坂を下り終えて,9時07分に,無事,ベティー小屋に到着する。
 たまたま,ベティー小屋のベランダに居たベティーさんが私達に向かって,
 「お帰りなさ~ぁい・・・皆,頂上まで登れましたか?」
と言いながら,大げさに両手を広げて迎え入れる。
 小屋の周辺には,沢山の現地人が集まっている。
                     (つづく)


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