<塔ノ岳のシロヤシオ>
シロヤシオに魅せられて;丹沢:塔ノ岳(今年23回目)
単独山行)2011年5月31日(火) 曇
■梅雨と台風の悪天候が続く
関東地方は5月27日(金)から梅雨入りした.例年に比較して随分と早い梅雨入りである.その上,週末に襲来した台風2号の影響で,昨日まで各地に大雨や強風が吹き荒れていた.週間天気予報を見ていると,ここ1週間ばかりはぐずついたスッキリしない日が続くという.そんな毎日の中で,今日だけは晴れ間が出るマシな1日になるようである.
今,丹沢のシロヤシオは見頃だろう.そうなると,もう,何をさておいても,今日,丹沢へ出かけるしかないだろう.私は例によって,渋沢発大倉行の1番バスに間に合うように,早朝,5時10分に自宅を出発する.例によって小田原駅で猛烈駈けっこをして小田急電車に飛び乗る.これでもう随分と草臥れてしまう.
1番バスは,平日にもかかわらず数名の立ち席が出るほどの混雑である.韋駄天組のTさん,Sさん,カメラマンのMさん,N村さん,土曜日ご常連のK大Nさんなど多士済々.
7時少し前にバスは大倉に到着する.韋駄天組は間髪を入れずにソソクサと登山を開始する.やや遅れてカメラマンのMさん,K大Nさんが出発する.今日のカメラマンのMさんは20キログラムの荷物背負っているそうである.まさに驚異的である.
私はストレッチをしている内に,出発が随分と遅れて,7時14分に漸く歩き出す.このところの雨続きで,路面は少し濡れていて,敷石が滑りやすくなっている.
■心地良い新緑の登山道
今日はクラクラ病復帰から2回目の丹沢山行である.クラクラは治ったものの.まだまだ体力の復帰はままならない.従って,今日の目的は,とにかく絶対に無理をしないで,塔ノ岳山頂までを往復すること.それに,今が見頃に違いないシロヤシオを見て回ることである.
前回,塔ノ岳に登ったのが5月25日(水).従って1週間近く間が空いた登山である.これは慎重には慎重を期して登らないと途中でギブアップになる可能性がある.最近まで,塔ノ岳に登る途中でギブアップするなど考えたこともなかったが,これも寄る年波か.
歩き出してすぐに,今日はやや気温が高く,さらに湿度も高いことに気がつく.私は軽く汗ばむ程度以上の汗をかかないように,ことさらに慎重に歩き続ける.それでも,毎度のことだが,一見(いちげん)の登山客を次から次へと追い越させて貰う.
雑事場の平で尾根道に出る.途端に爽やかな海風が抜けていく.身体にまとわりついている生暖かい風を吹き飛ばしてくれる.実に気持ちがよい.
前回登ったときよりも,登山道周辺の新緑が一段と濃くなっている.林の中からホトトギスの啼き声が絶えず聞こえてくる.そして,遠くの谷間からツツドリの声がこだましている.私は新緑を深呼吸しながら,
「ああ,・・良いな~ぁ,・・気持ち良いな~」
を繰り返す.
急階段をユックリ,ユックリ登って,8時21分,駒止茶屋を通過する.歩き出してから1時間07分経過している.通常よりも5分ほど余計に時間が掛かっている.でも,今はリハビリ中.この程度の所要時間ならば,まあ,穏当と思いながら先へ進む.
<心地よい緑陰の登山道>
■堀山からの富士山
平坦な堀山の尾根に出る.上空を真っ黒な雲が覆っている.また山麓にも雲が棚引いている.その間に,真っ白な残雪が輝く富士山が見えている.何とも異様で美しい風景である.
私は,ここで1~2分,立ち止まって何枚かの写真を撮る.この風景は水彩画にしても良いなと思って,小さなノートに,ごく大雑把なスケッチ(というよりもメモ)を書き留める.
8時29分,堀山を通過して,緩やかな下り坂に入る.私の前後には誰も居ない.韋駄天組はとっくに通過しているし,私が追い越した1番バスの乗客は,まだ,まだ,後方である.前後に人の気配がないと落ち着いて登り続けることが出来る.
8時38分,堀山の家を通過する.小草平からも,まだ雲間の富士が見えている.
<堀山の尾根からの富士山>
■萱場平
ここから花立山荘まで連続する坂道がシンドイが,同時にいかにも山らしくて楽しい所でもある.私はユックリと山道を楽しみながら登り続ける.途中,何時の間にか近付いてきた若い男性2人に追い越される.
8時57分,萱場平を通過する.相変わらず私の前後には人の気配がない.
<静寂な萱場平>
■花立山荘
9時14分,後7分坂に到着する.調子が良いときならば,そろそろ金冷シに到着する時刻である.
「やっぱり,体力が大分落ちているな・・」
と思いながら登り始める.
9時18分,後7分坂を少し登った所で,下山してくるN村とすれ違う.ちょっとだけ立ち話.続いて,9時26分,韋駄天のSさんとすれ違う.お二人とも私と同じバスに乗り合わせた方々である.凄い!
Sさんと,3~4分,立ち話をする.
「・・・ブログを読んでいたら,午後から大船に出ると書いてあったので,私も大船に出ましたよ・・」
とSさんが言う.私は,そうとはつゆ知らない私は,以前,Sさんと入った喫茶店とは別の所に入っていた.失礼してしまった・・
Sさんは私の絵にも興味を持っておられるようである.嬉しいことである.次回の展覧会からは,事前にご案内することを約束する.
立ち話をしていたこともあって,後7分坂を12分もかけてしまう.そして,9時26分,やっと花立山荘に到着する.残念ながら富士山は雲の中に隠れてしまった.人の気配はなく静まりかえっている.
<花立山荘>
■冷たい霧の中
花立山荘を過ぎると,急に霧が出始める.多分,雲の中に入ったのだろう.途端に気温が急降下して,やたらに寒くなる.
9時34分,下山してくる韋駄天のTさんとすれ違う.
「寒いですね・・山頂の気温は+7℃でしたよ・・」
とTさんが教えてくれる.
ガレ場を冷たい風が吹き抜けている.半袖のまま登っていると,冷たい風で腕が赤くなりはじめる.山麓では蒸し暑かったのに,この激しい温度差は一体何だ!
辺りには濃い霧が立ちこめている.
<花立山から先は霧の中>
■見頃なツツジ
やがて,馬の背のヤセ尾根に入る.突然,見頃を迎えた登山道周辺のツツジが見え始める.深い霧の中で咲くツツジは実に綺麗である.
これはもう,ラップタイムなどどうでも良い.私は気が済むまで何十枚ものツツジの写真を撮りまくる.
■塔ノ岳山頂
9時43分,ようやく金冷シを通過する.ますます霧が深くなる.相変わらず見事なツツジが目を楽しませてくれる.写真を撮りながら,ユックリと歩き続ける.そして,10時丁度に塔ノ岳山頂に到着する.
山頂は濃い霧に覆われている.それでも,私は儀式として周囲の写真を一回り撮る.
ほんの3~4分,山頂で彷徨いているだけで,身体の心底から冷えてしまう.これはもう駄目.尊仏山荘に向かう.
<霧の塔ノ岳山頂>
■尊仏山荘
尊仏山荘に入る.先客にご常連と思われる方が何人か居られる.私とほぼ同じにK大Nさんも到着する。山頂の気温は+7.4℃.この時期にしては寒い.
今日の小屋番は猫の僕(しもべ)のOさんと,Wさんのお二人.
私が山荘に入った途端に,お二人が,
「ネコ,元気ですよ・・」
と私に挨拶する.この頃は,「こんにちは」の代わりに「ネコ元気ですか」が挨拶になっている.
例により,300円也のお茶を所望する.
お茶を飲みながら,雑談をしていると,Oさんがミー君を連れてくる.そして,
「わたし,今月5日で,尊仏山荘を辞めます・・ネコとのツーショットを今のうちに撮って下さい・・」
と衝撃的なことを言う.居合わせた常連が異口同音に,
「えっ!・・辞めるんですか? どうして?」
と質問する.Oさんはハッキリ理由を言わないが残念である.
「これから,どうするんですか?」
と誰かが質問する.
「専業主夫ですよ・・・」
とOさんが苦笑する.
途端に,
「ミー君を養子にしたら・・」
と悪い冗談を言いそうになるが,危うく口の中に飲み込む.Oさんの個人的なことなので,これ以上の詮索は止めておこう.
<Oさんとミー君>
■見頃を迎えたシロヤシオ
下山する前に,シロヤシオを見ておこうと思う.
10時28分に尊仏山荘を出発,丹沢方面に急坂を暫く下る.この辺りも登山道の整備が進んで随分と歩きやすくなっている.キレット手前辺りまで群生しているシロヤシオがまさに見頃である.今年は花付きも良くて,大当たりの年のようである.
残念ながら霧が出ているので遠目は利かないが,霧は逆に幽玄な印象を与えるので,霧は霧で素晴らしい.何だか立ち去るのが勿体ないような気分になり,随分と沢山の写真を撮る.
晴れていれば丹沢山まで足を延ばしても良いかなと思ったが,今日は見通しが利かないので,キレット付近から塔ノ岳へ引き返す.
■知人とすれ違いながら下山
再び,塔ノ岳に立ち寄る.
私がシロヤシオを見に行っている間に,カメラマンのM氏が山荘に到着している.先ほどより客が増えているようである.Oさんが,
「5日までに,また,登ってきますね・・」
と私に言う.私も当然5日前に,もう一度,塔ノ岳に登る積もりでいる.
10時45分,塔ノ岳山頂から下山を開始する.相変わらず寒い.
10時56分,金冷シを通過して,馬の背のヤセ尾根に入る.そのとき,前方から近付いてくる女性に,いきなり,
「FHさん・・」
と声をかけられる.
突然のことで,ビックリするが.この女性は五十三次洛遊会のA元女史である。伺うとご主人と一緒に塔ノ岳に来たが,ご主人は途中で登山を中止して,奥さんだけ登ってこられたとのことである.暫く雑談.
その後,数名の顔見知りとすれ違いながら,バスの時間にあわせて,ユックリ下山し続ける.
花立山荘を過ぎてからは気温も上昇して,寒さは和らぐ.見晴山荘から下では,やや蒸し暑くなる.
13時20分,予定通りの時間に大倉に到着する.
何とか無事に大倉尾根を往復できたので,気分は爽快である.15時頃,無事帰宅.早速熱い風呂に入って,疲れを癒す.
まだまだ,本調子ではないが,ひとまず良かった,良かった.
<沢山の登山者とすれ違う金冷シ>
<山腹まで下ると見通しが良くなる>
<ラップタイム>
7:14 大倉歩き出し
7:34 観音茶屋
7:44 見晴茶屋
8:21 駒止茶屋
8:38 堀山の家
9:26 花立山荘
9:43 金冷シ
10:00 塔ノ岳山頂着
========================================
10:28 塔ノ岳山頂発(16.8℃)
10:34 (キレットまで往復)
10:43 塔ノ岳山頂着
========================================
10:45 塔ノ岳山頂発
10:56 金冷シ
11:17 花立山荘
11:55 堀山の家
12:14 駒止茶屋
12:42 見晴茶屋
12:58 観音茶屋
13:20 大倉 着
[山行記録]
■水平距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1269m
■登攀所要時間(雑談時間を含む)
大倉 発 7:14
塔ノ岳 着 10:00
(所要時間) 2時間46分(2.77h)
水平歩行速度 7km/2.77h=2.52km/h
登攀速度 269m/2.77h=458.1m/h
■下降所要時間
塔ノ岳 発 10:45
大倉 着 13:20
(所要時間) 2時間35 分(2.58h)
水平歩行速度 7.0km/2.58h=2.71km/h
下降速度 1269m/2.71h=648.3m/h
(おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/fc61e7731283d1cf6f290627172b2ead
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ed5b353fb8378a821bf74c65871a2870
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昨日の朝はたいした事は無かった足の筋肉痛が段々強くなり今日は階段をチャッチャット上れない状態です。1年のブランクは厳しいです。
宮元 和子
コメント,有り難うございました.
当日はご苦労様でした.
今年のシロヤシオは,当たり年のようです.綺麗ですね.
また機会がありましたら,塔ノ岳でお会いしましょう.
別件ですが・・・
神奈川美術協会公募展にお越し頂き有り難うございました.