<塔ノ岳山頂から南アルプスが見える>
富士山と南アルプスが綺麗な丹沢:塔ノ岳(第62回目)
(単独山行)
2008年12月29日(月)
■年の瀬も迫った
冬至はもう過ぎたのに,この頃,ますます明るくなるのが遅くなっている.天気予報によると,今日の関東地方は天気が良く,風もそれほど強くなさそうである.私は,今年最後の62回目の塔ノ岳詣でをしようと思い立つ.
5時10分に家を出発する,外はそれほど寒くないが,真っ暗.道路を歩いている人も居ない.
大船駅から東海道本線の下り電車に乗る.年末が押し迫っているためか,電車は何時もよりも随分と空いている.
藤沢から小田急電鉄に乗り換える.相模大野を過ぎても,まだ,空は暗いままである.冬休みに入ったためか,小田急電鉄の電車も随分と空いている.
渋沢7時18分発のバスに乗車.乗客はわずかに8名.全員が男性である.私がバスに乗り込んだすぐ後に,ご常連のローギャー氏が乗り込んでくる.その他の乗客には,ご常連は居ないようである.
12月19日,金曜日に塔ノ岳に登ったときと比較すると,今日はずいぶんと暖かく,風もないので,楽しく登山ができそうである.
■リラックスして登るが,今日のテーマ
前回は,強風の中で,体中に力が入ったまま,終始,コチコチの状態で,登っていたので,今回は,意識的に,かなりノンビリとしたペースで.登ってみたいと思う.
今朝は割合に暖かいとはいえ,真冬なので,それなりに寒い.でも,歩き出すとすぐに暖かくなるので,クイックドライの半袖シャツに長袖のシャツを重ね着しただけの薄着になる,さらに,長袖のシャツの袖を,二の腕までまくり上げてしまう.これで準備完了.大倉を7時39分に歩き出す.
歩き出しはどうしてもオーバーペースになりやすいので,今回は,最初の歩行速度に,特に気をつかって歩き始める.
登山口から杉林に入る.この辺りの路面は乾いていて歩きやすい.克董窯から観音茶屋付近までに,同じバスに乗り合わせていたと思われる登山客,数名を追い越したが,そこから先は,暫くの間,私の前後には誰も居ない一人旅になる.
■「・・もう年だから・・」はイヤ
8時11分,雑事場ノ平を通過する.そのとき,ベンチで休憩を取っていた4人組の男性から声をかけられる.
「・・・あれ,貴方,何時のバスですか・・・」
私は,渋沢発7時18分のバスできましたと答える.この4人組は私より30分ほど前のバスで来たことが分かる.4人の内の1人が,
「・・・私は,もう年だから・・・」
と言い訳を始める.
この「もう年だから・・」という言い訳が,一番,私にカチンとくる.問われるまま,私が昭和×年生まれだと答えると,「えぇ~っ」とビックリする.
私は,塔ノ岳ご常連の中では,登頂回数も少ない方だし,歩行速度も遅い方である.でも,たまにしか歩かない方々よりは,余程速く歩けるのは当然のことである.だから,たまにしか歩かない方々に「速い」と言われても,全く嬉しくない.
■何だか調子が良いぞ
体中の力を抜いて,ユッタリとした気持で歩き続ける.見晴茶屋から一本松までの急坂も,急がずにぬっくりと登り続ける.ここでも,止まりそうな速度で,ハアハア言いながら登っている方々を3人ほど追い抜く.
8時37分に駒止茶屋を通過する.今日はユッタリとした気分で歩いていたにもかかわらず,急な階段道で,歩行速度が落ちなかったために,駒止茶屋までの所要時間は58分であった.1時間を,たった2分切っただけとはいえ,この2分は,とても嬉しい.それに,今日はリラックスして歩いていたので,全く疲労感がない.
■素晴らしい富士山
堀山の尾根に出る.気温が高いために,朝日が当たっている場所は,昨夜凍結した霜が融け始めている.そのために,日が当たる所は泥濘になり始めている.この辺りから上の,登山道の状態は,それほど良くなさそうである.
今日も相変わらず富士山がスッキリと見えている.私は定点で富士山の写真を数枚撮る.
<堀山の尾根から富士山がクッキリ(8:43頃)>
■泥が目立ち始めた萱場平
9時07分に戸沢分岐を通過する.分岐の上の萱場平は,良く日が当たるので,霜が溶け始めている.泥濘の彼方此方に滑った靴跡が残っている.靴に泥が付くと重くなるので,できるだけ泥が靴に付かないように,場所を選んで通過する.
<今日の萱場平(9:07頃)>
■チャンピョンは凄い!
やがて,花立山荘手前の大きな岩のある場所に到着する.前方には大きな荷物を背負ったチャンピョンの姿が見える.今日の荷物はかなり重いようである.荷物に振られて足許がふらついている.チャンピョンを追い越してはまずいなと思うが,チャンピョンとの距離が徐々に縮まる.
花立山荘の直ぐ手前の階段で,ついに追いついてしまう.
「・・・今日は,ご苦労様です.済みませんが,先に行かせて貰います・・」
とチャンピョンに挨拶する.
今日のチャンピョンは,44キログラムの荷物を背負っているという.荷物の重さはともかく,重さのバランスが悪くて,極端なボトムヘビーになっている.それで,荷物に振られてしまい,とても歩きにくいという.
「俺も,空身になって,走って登りたいよ・・・」
と,こぼす.
<重い荷物を背負ってチャンピョンが行く(9:20頃)>
■ご常連のTさん
金冷シ手前の馬の背で,下ってくるご常連,Tさんとすれ違う.Tさんは12月31日まで,後,2回登ると,今年の登頂回数は274回(276回かな? 忘れた)になるという.とにかく凄い!
Tさんは,私とほぼ同じ年齢である.それにもかかわらず,大倉から塔ノ岳山頂まで,2時間を切る驚異的な速さで歩かれる.
「・・今年はお世話になりました.来年も宜しく・・・」
と握手してからお別れする.
<下界から雲が湧いてくる:山頂直下(9:43頃)>
■穏やかな塔ノ岳山頂
9時53分に塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は,2時間14分.頑張らずに,汗もかかずに登ったにしては,まあ,まあのラップタイムである.Tさんには遠く及ばないものの,私にとっては,こんなものだろう.
今日の山頂は,ほとんど風もなく,穏やかである.数名の先客が,山頂の広場で休憩を取っている.
私は,少し時間をかけて,山頂からの眺望をカメラに収める.富士山,南アルプス,八ヶ岳連峰が手に取るように綺麗に見えている.
眼下には,地表が暖められて発生したと思われる雲海が,一面に広がっている.午後になると,この雲海が立ち上って曇になると思われる.
<山頂からの眺望:南アルプスが良く見える(9:52頃)>
■尊仏山荘の営業部長
尊仏山荘に入る.ご常連の女性2人,男性1人が先客である.今日の小屋番はOさん.山頂の10時現在の気温は+4.2℃.随分と暖かい.12月26日,金曜日のマイナス8.4℃と比較すると,雲泥の差である.12.6℃も高い.
例によって,300円也のお茶を所望する.お茶を啜りながら,早い昼食を食べる.
私が山荘に入ってから,15分ほどして,チャンピョンが到着する.先客を見回して,
「・・おや,今日はご常連ばかりだな・・・」
とおどける.
年末を控えて,チャンピョンには,随分沢山の荷揚げ作業があるようである.
私は,Oさんに,
「今日は,営業部長,欠勤ですか?」
と伺う.今日は今年の締めくくり塔ノ岳なので,できれば営業部長にご挨拶をしたい.
Oさんが猫なで声で,
「ミイや~,ミーや~・・・こっちへおいで・・・」
と1オクターブ高くミー君を呼ぶが,反応がない.
「あれ~・・・どこへ行ったんだろう・・」
と言いながら,Oさんは山荘の2階を探すが,2階にも居ない.
「・・きっと,向こうの小屋にいますよ・・」
と真向かいの小屋の2階の窓を見上げるが,いつも昼寝をしているミー君が居ない.Oさんは,
「・・声をかければ,出てきますよ・・・」
と言いながら,わざわざ隣の小屋まで行く.そして,小屋の扉を開けて,
「ミーや・・・出ておいで・・・」
と優しく声をかける.多分,奥さんに話しかけるよりも優しい声なんだろうなと,私は勝手に想像する.
すると,小屋の中から,営業部長が,期待通りに,ノッソリと姿を表す.そして,Oさんの後を付けて,ノソノソと,山荘に入ってくる.私は,そんなミー君を見て,やっぱり可愛いなと思う.
チャンピョンが,ペットフードを,営業部長に与える.グルメの営業部長は,客の差し出す食べ物は,匂いを嗅ぐだけで,まず食べない,所が,ペットフードだけは,モソモソと食べるようである.そういえば,ネコ好きのご常連,Sさんにも,随分,長い間会っていない.それに,営業部長名付け親,K大Nさんにも,ここ数ヶ月会っていない.
営業部長を抱きかかえてみる.ずっしりと重い.なかなか良い毛並みである.
<今日の営業部長(10:13頃)>
■ユックリと下山
10時20分,年末の挨拶をしてから,尊仏山荘を出発して下山を開始する.雲が大分湧いてきて,富士山も半分ほど雲に隠れている.
次から次へと登ってくる登山客と擦れ違いながら下り続ける.山頂から2番目の階段を下っているときに,ヤマカガシ氏とすれ違う.彼は,顔を真っ赤にして,喘ぐように登ってくる.
「・・やあ,暫く振りです・・・」
お互いに手短に近況を話し合ってからお別れする.
「そういえばkiyomaさんとは,この頃,会いませんね」
とヤマカガシ氏が言う.
1人登山の気儘さで,下山速度を速めたり,遅くしたりしながら,下り続ける.
花立場付近で,雑事場ノ平で追い越した「もう年寄りだから」のグループとすれ違う.
「・・塔ノ岳山頂まで行かれたんですか・・・」
と,私にトンチンカンな質問をしてくる.
堀山ノ家に下る岩稜帯で,小草平さんとすれ違う.
「やあ,暫くでした・・」
と私が小草平さんに声をかける.彼女は,一瞬,私のことを思い出せなかったようだが,
「・・あの小草平論争をしたflower-hillですよ・・・」
「ああ,・・その節は勉強させて頂きました・・・」
と立ち話.彼女は,これまで通算300回ほど,塔ノ岳に登っているそうである.
11時32分,堀山ノ家を通過する.
単独登山の男性に,
「山頂まで,後,何時間ぐらいですか?」と質問される.答えようがない.
■ローギャー氏と雑談しながら・・・
11時52分に見晴茶屋を通過する.この分だと大倉12時22分発のバスの間に合いそうである.私は,歩行速度を上げて,半ば駆け足のようにして下り続ける.
丹沢ベースに近付く頃,長身の登山者に追いつく.ローギャー氏である.「困ったな,追い越すか,それとも後をつけるか」と迷う.すると,私の足音が聞こえたのか,ローギャー氏が私に道を譲る.
「今から急げば,22分のバスに間に合いますよ・・・」
とローギャー氏に進言する.
「きょうは休日ダイヤですよ・・・」
とローギャー氏.な~んだ! ならば,22分ではなく40分発である.
私は急ぐのをやめる.ローギャー氏と雑談しながら,一緒に下る.ローギャー氏は,今年,70数回,塔ノ岳を往復したという.それだけでなく,年間,100回ほど登山をしているという.凄い!
ローギャー氏から,ゴーギオピークの素晴らしさを拝聴する.私もゴーギオピークに行ってみたいなと思い始める.
12時20分,大倉バス停に到着.下りの所要時間は2時間00分.
今年,私の塔ノ岳登頂は,62回で終わった.私の知っているご常連の中では,最低記録である.
[ラップタイム]
7:39 大倉歩き出し
7:43 登山口
7:51 丹沢ベース
7:58 観音茶屋
8:01 分岐
8:11 雑事場ノ平
8:13 見晴茶屋
8:25 一本松
8:37 駒止茶屋
8:46 堀山
8:52 堀山ノ家
9:07 戸沢分岐
9:09 萱場平
9:27 花立山荘
9:40 金冷シ
9:53 塔ノ岳山頂 着
=======================================
10:20 塔ノ岳 発(+4.2℃)
10:31 金冷シ
10:43 花立山荘
11:00 萱場平
11:02 戸沢分岐
11:17 堀山ノ家
11:22 堀山
11:32 駒止茶屋
11:42 一本松
11:52 見晴茶屋
11:54 雑事場ノ平
12:00 分岐
12:03 観音茶屋
12:08 丹沢ベース
12:18 登山口
12:20 大倉 着
[山行記録]
■登攀・下降高度 1201m
■水平移動距離 7.0km(片道)
■登攀所要時間
大倉発 7:39
塔ノ岳山頂着 9:53
(所要時間) 2時間14分(2.23h)
登攀速度 1,201m/2.23h=538.6m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:20
大倉着 12:20
(所要時間) 2時間00分(2.00h)
下降速度
1,201m/2.00h=600.5m/h
(おわり)
[加除修正]
2008/12/31 誤記訂正
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/776ce5d1c0a5ab79a022c5c750afd874
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/e595d157d5e06a79c18276213da107e6
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