
<見張り小屋>
ペルー周遊記(20):第6日目(3):マチュピチュ遺跡見学(2)
2008年7月6日(月)(つづき)
<遺跡を一回り>
■入口から入場
10時09分に,ガイドのアレックスの後に続いて,マチュピチュ遺跡に入場する.
進行方向,左手は山,右手には段々畑が一面に広がっているのが見下ろせる.左手の山麓をまわり込むようにして先へ進む.程なく,写真で良く見るマチュピチュの石造構造物が沢山並んでいるのが見えるようになる.
まずは,左手の階段を登る.高い所に登るにつれて,マチュピチュ全体が,ますます良く見えるようになる.私達はアレックスの説明を伺いながら,だんだん高い所へと登っていく.
<マチュピチュ遺跡出入口>
■見張小屋
11時03分に,一段と高い所にある見張小屋に到着する.ここからの眺望は,とても素晴らしい.眼下にマチュピチュの全景が広がっている.尾根に位置している大広場の芝生の緑が鮮やかに見えている.広場の右手には庶民,技術者の居住区跡や段々畑が広がっている.その奥には,こんもりとしたワイナピチュ(標高2690m)が聳えている.眼下に大きな石造建造物が見えている.この建物は倉庫としてつかわれていたらしい.その先に天文台や聖なる広場が広がっている.
遺跡の手前には,城壁が張り巡らされているようである.
アレックスの説明によると,ワイナピチュは“若い峰”という意味だという.そして,私達が今立っている場所は,マチュピチュ山の山麓である.
<石造構造物の間を登る>
<見張小屋>
■生け贄の石
見張小屋から少し離れた所に,大きな石がある.横幅が3~4メートルほどもある平たい石である.この石は“生け贄の石”という.石には3段ほどの階段が刻まれている.そして,石の上は平らに削られている.
神事を行う際に,この石の上に生け贄を捧げたという.
<生け贄の石>
■城壁と門
生け贄の石の側で,2頭のビグーニャ(かな?)が,近くにいる観光客には目もくれずに,ノンビリと草を食べている.
11時21分,“城壁の門”に到着する.
アレックスが,門を開閉する仕組みを説明するが,どうも良く分からないので.私のノートに仕組みを書いて貰う.要するに,丸太組を,平素は地面に倒しておく.通行人は,この丸太組の上を歩く.門を閉じるときは,この丸太組を立てて門を閉鎖する.そして,閂(かんぬき)となる丸太を横に通すという仕組みである.
<2頭のビグーニャ> <門の閂>
<城壁と門>
■太陽の神殿
小さなピラミット状の構造物が連なる城壁のような石造物の間を進む.そして,11時35分,“太陽の神殿”に到着する.この神殿を,上から見ると半円形をしている.
アレックスの説明によると,太陽の神殿は,マチュピチュの中でも,特に精巧に作られた構造物だという.クスコのコリカンチャ神殿にある曲線状の壁に似ていることから,ビンガムは,インカで最高の神殿だろうと推測している(ホセミゲル,2005,p.67).
この神殿には三つの窓がある.その内,二つの窓は,夏至(12月21日)と冬至(6月21日)に太陽光が真っ直ぐ射し込むように作られている(ペルーは南半球なので,夏至と冬至の日付は日本と反対になる).もう一つの窓は,ヘビの通り道だと言われている.ヘビは,この窓を通って,部屋の中を出入りしていたとのことである.
太陽の神殿の直ぐ脇に,小さな長方形の部屋がある.ここは“巫女の部屋”である.
<太陽の神殿(左)と巫女の部屋(右)>
<城壁の中を歩く>
■自然石のベッド
11時37分,城壁に沿って進んで,大きな平たい石が置いてある部屋に入る.
この平たい石は,自然石でできたベッドだという.平らな部分はタタミ2枚分ぐらいだろうか.この平らな所に,敷き皮を敷いて,数人が寝たようである.
何となく,寝やすいような,寝にくいようなベッドである.
<自然石のベッド>
■コカインの草
アレックスが,
「・・・あそこの雑草を見てください・・・」
という.
すぐ側に,見慣れない雑草が繁茂している(名前を聞いたが忘れた).アレックスによれば,この雑草のようにみえる草から,良質なコカインが採れるという.この草はむしればむしるほど増えるという.
コロンビア人が,この草を栽培して,商売をしているという.
<コカインの葉>
■方位石
11時45分,私達は石垣に囲まれた小さな空間に到着する.この空間の中央に菱形の石置がかれている.
アレックスによると,この石は東西南北を表しているという.自然石を削って,菱形にしたものである.この石の南の方角には,南十字星が輝くという.
どうやら,祭事に関係のある石のようである.
<方位石>
■大祭壇
方位石を通り過ぎて,さらに奥へ進む.そして,11時47分,大祭壇に到着する.幅が10メートルほどもある大きな祭壇である.一番下には,幅が2~3メートルほどの巨石が置かれている.この巨石の上に,大きな石が積み重ねられている.最上段には6箇所の窪みが造られている.この窪みに何かを祀ったのだろうか.詳細は良く分からない.
<大祭壇>
■インティワタナ
11時59分,大祭壇の近くにある天文台,インティワタナ(Intihuatana)に到着する.この天文台は,とても大きな礎石の上に,日本の山で良く見掛ける三角点のような角柱が乗っている.ハッキリしたことは分からないが,どうやら,この角柱は,日時計のようである.大きな石を切り出して角柱にしているらしい.
アレックスの説明だと,この角柱,星座と時間を表現しているという.一説では,角柱の稜線を結ぶ対角線はインティライミ(冬至)に,太陽が通過するらしい(グループポピコ(編),2008,p.144).また,角柱の各角は東西南北を指している.
インティワタナは,単に月日の変化だけでなく,新しい生命に良い影響を与える超自然への信仰を示しているという.また,死は物事の終わりではなく,新しい生命の始まりであり,より良い来世があることを考えられていたらしい(ホセミゲル,2005,p.68).
<インティワタナ>
(つづく)
参考文献
ホセミゲル他(著):川又(訳),2005,『ペルー発見』イポカンポ出版
グループポピコ(編),2008,『ペルー・ボリビア・エクアドル・コロンビア』ダイヤモンド社
前回の記事
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