今年33回目:残暑なのにちょっぴり涼しい
丹沢:塔ノ岳
(トドさんチーム)
2007年9月13日(木)
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■渋沢に集合
今日は,久々に「トドさんチーム」が塔ノ岳へ登る日である。前日までの天気予報では,この所,秋雨前線が停滞していて,スッキリしない天気の日が続いている。所が,偶然にも今日だけは雨ではなく曇りの予報である。
今回の同行者は,トドさん,カモメさん,星さん,それに湘南カラビナ隊でお馴染みのドッジさんの錚々たるメンバーで,何れも山旅スクール出身者である。ただ,ドッジさんは,車でご主人をゴルフ場まで送ってから参加するので,私達より1時間ほど遅れて,大倉を出発する予定である。
私達は,渋沢発7時16分大倉行のバスに乗車する。乗客は私達4人の他に,塔ノ岳登山のご常連が1人,合計5人だけである。
■大倉から歩き出し
簡単にストレッチ体操をしてから,7時45分に大倉(290m)を歩き出す。今日の目標は,大倉から塔ノ岳山頂までの往路は4時間30分で登って,復路は3時間30分で下ることである。そして,もし13時30分までに塔ノ岳山頂に到着しなければ,その地点から引き返すことにしている。
平素,私1人で登る場合は,今の夏の暑さを考慮しても,上り2時間40分,下り2時間少々あれば十分に往復できる。そのことを考えると,今日は何時もの半分程度の速度で山頂まで往復することになる。
■観音茶屋
歩き出してみると,今日はこの季節にしては,かなり涼しく,湿度も余り高くなさそうである。青空は望むべくもないが,まずまずの登山日和と言えそうである。
私達の前後に,登山者の姿は全く見当たらない。十分に自重しながら,登山道をユックリと上り始める。杉林に囲まれた薄暗い登山道を辿る。8時06分に丹沢ベース(395m)を通過する。次いで,8時17分に観音茶屋(455m)に到着する。ここで早くも水分補給のために5分ほど休憩を取る。
この季節にしては,今日の気温は多少暑いにしても,ジッとしていても汗が滴れ落ちるほどの暑さではない。そのためか,今日のトドさんは,前回の塔ノ岳登頂のときに比較すると随分と元気に歩いているように見える。
8時44分に見晴茶屋に到着する。今日は平日のためか観音茶屋は閉まったままである。ここで,再び5分ほど休憩を取る。大倉を出発してから,もう1時間ほど経過している。私は心の中で,
「やっぱり,今日は随分と遅いな・・・12時30前に塔ノ岳山頂まで登るのは無理かな」
と思い始める。
■見晴茶屋
8時25分に観音茶屋を出発する。いよいよ本日最初の長い登り坂に差し掛かる。参加者全員の足取りがやや重たいなと思えるほどに,もう疲労が貯まっているように見受けられる。8時40分に雑事場ノ平に到着する。ここで一休みしたそうな顔をしている人もいるが,もう少し我慢して,見晴茶屋(600m)で休憩を取ることにする。見晴茶屋までは平坦な尾根路が続く。そして,8時44分に見晴茶屋に到着する。あいにく,見晴茶屋も,今日は開店していない。
茶屋の前から,南東の方向に視界が開けている。多分,秦野市の市街地と思われる住宅地が,手に取るように近く見えている。

<見晴茶屋からの眺望>
■一本松
8時49分に見晴茶屋を出発する。ここから,このコース最初の急登が始まる。幅が広くて急坂の尾根路が立ちはだかっている。半ば朽ちかけた階段が延々と続いている。私は,同行者に,
「ユックリと登りましょう・・・」
と皆に声を掛ける。
私達の前後には,全く人影がない。
9時09分に,ようやく一本松(730m)を通過する。一本松から先へ,玉石を敷き詰めた登山道を少し登ると,平らな尾根路になる。何時もこの辺りまで来ると,少し「ほっ」とする。進行方向左手には,この季節には珍しく,クッキリと富士山が見えている。
■駒止茶屋
なだらかな尾根路は直ぐに終わり,再び登り坂になる。やがて薄暗い杉林の中に入ると,長くて急傾斜の階段が目の前に立ちはだかる。何時もこの辺りに来ると,長い階段にため息が出てしまう。私は,
「ユックリ,ユックリと登りましょう・・・」
と一同に声を掛ける。
漸く長い階段を登り終えて,9時28分に駒止茶屋(860m)に到着する。ここも閉店。小屋上のベンチで,7分ほど休憩を取る。

<堀山付近から富士山を望む>
■堀山
9時35分に駒止茶屋を出発する。ほんの少し坂を登ると,気持ちの良い尾根路に出る。なだらかな起伏はあるものの,尾根の両側の眺望が良いので,大倉尾根で最も気分が良く歩ける場所である。進行方向右手には三ノ塔,烏尾山,大日岳などの表尾根が連なっているのが見える。反対側の左手には富士山,越前山,箱根連山の神山,箱根駒ヶ岳,金時山,矢倉岳などの山々が見えている。
9時46分に堀山山頂(943m)の直下を通過する。ここに建っている案内板に「塔ノ岳山頂まで1時間30分」と書いてある。これを見たトドさんが,
「1時間半で山頂なんて,到底,無理・・・」
と独り言のように呟く。
ここから暫くの間,緩やかな下り坂になる。
そして,やや痩せた尾根路を通過すると,一寸急な登り坂になる。この坂を登って,9時56分に堀山ノ家(920m)に到着する。ここの小屋も閉まったままである。
小屋前のベンチから富士山が良く見えている。
■戸沢分岐と萱場平
9時59分に堀山ノ家を出発する。ヤセ尾根を登った後,ガレ場になる。どこが本当の路が分からないほど,散在する大きな石の間に沢山の踏み跡が残されている。故意にか,あるいは自然にか分からないが,先頭を行くトドさんが,人があまり通らないところを,グイグイ,ノソノソと登っていく。でも,前回ご一緒したときに比較すると,随分,シッカリと歩いている。
やがて長い階段が始まる。ここからが,大倉尾根最大の難所である。階段を,一段,一段,ユックリと登り続ける。そして,10時22分に戸沢分岐を通過する。ここで,花立山荘までの階段のやっと半分である。一同大分疲れているようである。お節介だが,私は,
「もう一寸登ると萱場平です・・・そこにベンチがありますから,そこまで頑張りましょう・・」
と励ます。
戸沢分岐から,数十段の短い階段を登り,10時24分に,広々とした萱場平(1,085m)に到着する。広場の片隅にあるベンチで,10分ほど休憩を取る・・・が,私はリュックも下ろさずに立ったままで待つ。蛇足ながら,往復ともに,皆さんが腰を下ろして休んでいる間,私は立ったまま待っていたのに,同行者は気が付いただろうか。
■花立山荘
萱場平を出発した私達は,ゆっくりしたペースで,露岩帯を抜けて,再び長い階段を登り続ける。ユックリとしたペースで登る。お陰様で,何時ももう少し速いペースで登っている私には,とても楽に登ることができる。その結果,ほとんど汗をかくこともない。トドさんが私の首筋を見て,
「あんまり汗をかいていないね」
と言いながら,自分の額の汗を拭う。
長い階段が続く。私は,皆さんを勇気づけるために,
「あの先で階段が左に少し曲がるでしょう。あの曲がり角から100段も登れば,もう花立山荘ですよ」
と励まず。

<花立山荘手前の階段を喘ぎながら登る>
私達は,11時04分に,漸く花立山荘に到着する。すると,星さんが,
「後100段と言ったところから,階段を数えたら164段ありましたよ・・・」
と私に報告する。私は内心で「バレたか」とニタニタする。
今日は,花立山荘もお休み。もし開いていたら,ここで氷水を食べるのも一興かと思っていたのに残念である。小屋前の広場にあるベンチに倒れ込むように座る(ただし,私は例により立ったまま)。広場からは,この時期には珍しく,富士山が良く見えている。

<花立山荘のベンチで休憩>
※参加者の写真を出すことをについて本人の承認を得ている。
■塔ノ岳山頂
11時12分に,花立山荘を出発する。ここまで来れば,塔ノ岳の山頂は,もう近い。まずは,比較的緩やかな階段を登り詰める。するとガレ場に出る。辺りの視界が開ける。ガレ場を登り詰めて尾根に出ると木道になる。この木道から富士山だけでなく,遠く南アルプスの山々も見えている。つい先日登った光岳や聖岳が見えているのか気になるが,確かめようがない。

<塔ノ岳山頂からの眺望>
木道の先は水平に近い尾根路が続く。2回ほど小さな下りを通過するとヤセ尾根になる。そして,少し登り返して,11時33分に金冷シ(1,325m)を通過する。
暫くの間,水平に近い路が続く。途中小さな登りが2回ある。泥濘や木道を通過する。そして,最後の階段に差し掛かる。この階段の長さはそれ程ないが,このコースでは一番急な階段である。私は,
「一番急なところなので,ユックリ登りましょう」
と声を掛ける。
階段を登りきると,登山道は左折する。そして,目の前には木の板を組み合わせて作った立派な階段が現れる。この階段の所まで辿り着けば,山頂に到着したのと同じである。右手前方に日ノ出山荘の廃屋が見えている。この階段を一気に登って,11時57分,無事,塔ノ岳山頂(1,491m)に到着する。

<塔ノ岳山頂で記念写真>
※カメラアングルが悪くて,お一人の顔がギリギリ写っただけ
写真掲載については承認を得ている。
スケルトンさん以外の皆さん。
■尊仏山荘
山頂には先客が数人居る。尊仏山荘の温度計によると,12時現在の山頂の気温は23.4℃とかなり高い。
山頂で,登頂記念写真を取った後,とりあえずは尊仏山荘に入る。山荘には先客は誰も居ない。今日の小屋番は大野さんである。私は例によって,お茶を注文する。私は大野さんに,
「クラツリ山旅スクールのガイド,西方さんを知りませんか・・・ここに居られる方々は,西方ガイドの教え子です・・・」
と説明するが,大野さんは,
「ガイドさんと話をしたことはないので知らないよ・・・」
とつれない返事である。花立さんなら西方ガイドを良く知っているのに残念である。
「ところで,Kさんは登ってきていますか?」
「Kさん・・? Kという名字の方は女2人,男2人の4人居ますよ・・・どのKさんかな」
と話がかみ合わない。
■スケルトンさんにバッタリ
私達より1時間ばかり遅く大倉を出発したドッジさんが,そろそろ山頂に到着しても良い時間である。私達は山荘の中から外を見ながら,ドッジさんの到着を待っている。それらしい姿の方が,何人か現れるが,皆,別人である。
12時30分頃,小柄な女性が山頂に現れる。今度こそドッジさんかなと思ったら,意外にも山旅スクール5期のスケルトンさんである。早速,スケルトンさんを山荘に招き入れる。お互いに予期しない再会にビックリする。
12時40分頃,山頂にドッジさんが現れる。これで,図らずも山旅スクール卒業生6名が尊仏山荘に集まったことになる。これは大変なことだ。
そろそろ山荘を引き揚げようかと思っていると,どこからともなくこの山荘の営業部長,ネコの「ミー君」が現れる。ネコ好きの私は,ミー君に会えないと,どうも物足りない気分になる。早速,ミー君の写真を撮る。ミー君は相変わらず飄々としている。気儘に小屋を出たり入ったりしている。こうして,ミー君は立派に営業部長の職責を果たしているのである。

<尊仏山荘のミー営業部長>
■大倉尾根を下山
13時20分に尊仏山荘を出発する。午前中に較べて,大分雲が多くなってきたが,相変わらず富士山が見えている。先を急ぐスケルトンさんは,私達を置いて,ドンドンと先に下り始める。私達は安全第一にユックリと下り続ける。
13時49分に,ようやく花立山荘まで下る。ここで給水のために5分ほど休憩を取る。例によって,私は休憩時間を立ちんぼのまま過ごす。
花立山荘から先の長い下り階段は,転倒しないように注意しながら,ユックリと降り続ける。岩稜帯に入ると,私の直ぐ前を歩いている星さんが何回も足を滑らせる。後に付いている私は,何回もハラハラする。
長い下り坂を下り続けて,14時33分に堀山ノ家に到着,数分小休止する。
どうせユックリ旅なので,登山道から少し離れて堀山山頂(920m)を経由して下山し続ける。ドッジさんのご要望で,雑事場ノ平から,枝道に入り,15時41分に「高原ノ家」に到着する。ここで希望者は1人20円也のお金を支払って,湧き水をペットボトルに汲む。
■高原ノ家経由で大倉へ
15時45分に「高原ノ家」を出発する。
このままダラダラと下っていたら,大倉発16時22分のバスに間に合わなくなる。別に間に合わなかったら,16時52分のバスに乗れば良いのだが・・・ 途中からトドさんが張り切り出す。観音茶屋,丹沢ベースを大急ぎで通り過ぎて,16時20分に大倉へ到着する。そして,無事,16時22分のバスに間に合った。
[山行記録]
7:45 大倉歩き出し(290m)
7:54 登山口(325m)
7:59 克童窯(350m)
8:06 丹沢ベース(390m)
8:17 観音茶屋着(445m)(8:19発)
8:25 高原の家分岐(495m)
8:40 雑事場ノ平(570m)
8:44 見晴茶屋着(580m)(8:49発)
9:09 一本松(725m)
9:28 駒止茶屋着(850m)(9:35発)
9:46 堀山(905m)
9:56 堀山の家着(915m)(9:59発)
10:22 戸沢分岐(1065m)
10:24 萱場平着(1080m)(10:32発)
11:04 花立山荘着(1245m)(11:12発)
11:32 金冷し(1315m)
11:57 塔ノ岳山頂 着(1465m)
13:20 〃 発(+20.3℃)
13:37 金冷し(1325m)
13:49 花立山荘着(1255m)(13:53発)
14:11 萱場平着(1075m)(14:15発)
14:17 戸沢分岐(1075m)
14:33 堀山の家着(930m)(14:35発)
14:46 堀山着(900m)(14:49発)
14:57 駒止茶屋(860m)
15:11 一本松(750m)
15:26 見晴茶屋着(605m)(15:31発)
15:34 雑事場ノ平(600m)
15:41 高原山の家着(600m)(15:45発)
15:58 高原の家分岐(505m)
16:02 観音茶屋(485m)
16:10 丹沢ベース(405m)
16:13 克亮童窯(380m)
16:16 登山口(355m)
16:20 大倉 着(290m)
[山行記録]
■登攀・下降高度
塔ノ岳山頂 1491(m)
大倉 290
(高度差 1201m)
■登攀所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7:45
塔ノ岳山頂着 11:57
(所要時間4時間12分(4.20h)
■登攀速度
1201(m)/4.20(h)=286.0(m/h)
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 13:20
大倉着 16:20
(所要時間 3時間00分(3.00h))
■下降速度
1201(m)/3.00(h)=400.3(m/h)
(おわり)
丹沢:塔ノ岳
(トドさんチーム)
2007年9月13日(木)
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■渋沢に集合
今日は,久々に「トドさんチーム」が塔ノ岳へ登る日である。前日までの天気予報では,この所,秋雨前線が停滞していて,スッキリしない天気の日が続いている。所が,偶然にも今日だけは雨ではなく曇りの予報である。
今回の同行者は,トドさん,カモメさん,星さん,それに湘南カラビナ隊でお馴染みのドッジさんの錚々たるメンバーで,何れも山旅スクール出身者である。ただ,ドッジさんは,車でご主人をゴルフ場まで送ってから参加するので,私達より1時間ほど遅れて,大倉を出発する予定である。
私達は,渋沢発7時16分大倉行のバスに乗車する。乗客は私達4人の他に,塔ノ岳登山のご常連が1人,合計5人だけである。
■大倉から歩き出し
簡単にストレッチ体操をしてから,7時45分に大倉(290m)を歩き出す。今日の目標は,大倉から塔ノ岳山頂までの往路は4時間30分で登って,復路は3時間30分で下ることである。そして,もし13時30分までに塔ノ岳山頂に到着しなければ,その地点から引き返すことにしている。
平素,私1人で登る場合は,今の夏の暑さを考慮しても,上り2時間40分,下り2時間少々あれば十分に往復できる。そのことを考えると,今日は何時もの半分程度の速度で山頂まで往復することになる。
■観音茶屋
歩き出してみると,今日はこの季節にしては,かなり涼しく,湿度も余り高くなさそうである。青空は望むべくもないが,まずまずの登山日和と言えそうである。
私達の前後に,登山者の姿は全く見当たらない。十分に自重しながら,登山道をユックリと上り始める。杉林に囲まれた薄暗い登山道を辿る。8時06分に丹沢ベース(395m)を通過する。次いで,8時17分に観音茶屋(455m)に到着する。ここで早くも水分補給のために5分ほど休憩を取る。
この季節にしては,今日の気温は多少暑いにしても,ジッとしていても汗が滴れ落ちるほどの暑さではない。そのためか,今日のトドさんは,前回の塔ノ岳登頂のときに比較すると随分と元気に歩いているように見える。
8時44分に見晴茶屋に到着する。今日は平日のためか観音茶屋は閉まったままである。ここで,再び5分ほど休憩を取る。大倉を出発してから,もう1時間ほど経過している。私は心の中で,
「やっぱり,今日は随分と遅いな・・・12時30前に塔ノ岳山頂まで登るのは無理かな」
と思い始める。
■見晴茶屋
8時25分に観音茶屋を出発する。いよいよ本日最初の長い登り坂に差し掛かる。参加者全員の足取りがやや重たいなと思えるほどに,もう疲労が貯まっているように見受けられる。8時40分に雑事場ノ平に到着する。ここで一休みしたそうな顔をしている人もいるが,もう少し我慢して,見晴茶屋(600m)で休憩を取ることにする。見晴茶屋までは平坦な尾根路が続く。そして,8時44分に見晴茶屋に到着する。あいにく,見晴茶屋も,今日は開店していない。
茶屋の前から,南東の方向に視界が開けている。多分,秦野市の市街地と思われる住宅地が,手に取るように近く見えている。

<見晴茶屋からの眺望>
■一本松
8時49分に見晴茶屋を出発する。ここから,このコース最初の急登が始まる。幅が広くて急坂の尾根路が立ちはだかっている。半ば朽ちかけた階段が延々と続いている。私は,同行者に,
「ユックリと登りましょう・・・」
と皆に声を掛ける。
私達の前後には,全く人影がない。
9時09分に,ようやく一本松(730m)を通過する。一本松から先へ,玉石を敷き詰めた登山道を少し登ると,平らな尾根路になる。何時もこの辺りまで来ると,少し「ほっ」とする。進行方向左手には,この季節には珍しく,クッキリと富士山が見えている。
■駒止茶屋
なだらかな尾根路は直ぐに終わり,再び登り坂になる。やがて薄暗い杉林の中に入ると,長くて急傾斜の階段が目の前に立ちはだかる。何時もこの辺りに来ると,長い階段にため息が出てしまう。私は,
「ユックリ,ユックリと登りましょう・・・」
と一同に声を掛ける。
漸く長い階段を登り終えて,9時28分に駒止茶屋(860m)に到着する。ここも閉店。小屋上のベンチで,7分ほど休憩を取る。

<堀山付近から富士山を望む>
■堀山
9時35分に駒止茶屋を出発する。ほんの少し坂を登ると,気持ちの良い尾根路に出る。なだらかな起伏はあるものの,尾根の両側の眺望が良いので,大倉尾根で最も気分が良く歩ける場所である。進行方向右手には三ノ塔,烏尾山,大日岳などの表尾根が連なっているのが見える。反対側の左手には富士山,越前山,箱根連山の神山,箱根駒ヶ岳,金時山,矢倉岳などの山々が見えている。
9時46分に堀山山頂(943m)の直下を通過する。ここに建っている案内板に「塔ノ岳山頂まで1時間30分」と書いてある。これを見たトドさんが,
「1時間半で山頂なんて,到底,無理・・・」
と独り言のように呟く。
ここから暫くの間,緩やかな下り坂になる。
そして,やや痩せた尾根路を通過すると,一寸急な登り坂になる。この坂を登って,9時56分に堀山ノ家(920m)に到着する。ここの小屋も閉まったままである。
小屋前のベンチから富士山が良く見えている。
■戸沢分岐と萱場平
9時59分に堀山ノ家を出発する。ヤセ尾根を登った後,ガレ場になる。どこが本当の路が分からないほど,散在する大きな石の間に沢山の踏み跡が残されている。故意にか,あるいは自然にか分からないが,先頭を行くトドさんが,人があまり通らないところを,グイグイ,ノソノソと登っていく。でも,前回ご一緒したときに比較すると,随分,シッカリと歩いている。
やがて長い階段が始まる。ここからが,大倉尾根最大の難所である。階段を,一段,一段,ユックリと登り続ける。そして,10時22分に戸沢分岐を通過する。ここで,花立山荘までの階段のやっと半分である。一同大分疲れているようである。お節介だが,私は,
「もう一寸登ると萱場平です・・・そこにベンチがありますから,そこまで頑張りましょう・・」
と励ます。
戸沢分岐から,数十段の短い階段を登り,10時24分に,広々とした萱場平(1,085m)に到着する。広場の片隅にあるベンチで,10分ほど休憩を取る・・・が,私はリュックも下ろさずに立ったままで待つ。蛇足ながら,往復ともに,皆さんが腰を下ろして休んでいる間,私は立ったまま待っていたのに,同行者は気が付いただろうか。
■花立山荘
萱場平を出発した私達は,ゆっくりしたペースで,露岩帯を抜けて,再び長い階段を登り続ける。ユックリとしたペースで登る。お陰様で,何時ももう少し速いペースで登っている私には,とても楽に登ることができる。その結果,ほとんど汗をかくこともない。トドさんが私の首筋を見て,
「あんまり汗をかいていないね」
と言いながら,自分の額の汗を拭う。
長い階段が続く。私は,皆さんを勇気づけるために,
「あの先で階段が左に少し曲がるでしょう。あの曲がり角から100段も登れば,もう花立山荘ですよ」
と励まず。

<花立山荘手前の階段を喘ぎながら登る>
私達は,11時04分に,漸く花立山荘に到着する。すると,星さんが,
「後100段と言ったところから,階段を数えたら164段ありましたよ・・・」
と私に報告する。私は内心で「バレたか」とニタニタする。
今日は,花立山荘もお休み。もし開いていたら,ここで氷水を食べるのも一興かと思っていたのに残念である。小屋前の広場にあるベンチに倒れ込むように座る(ただし,私は例により立ったまま)。広場からは,この時期には珍しく,富士山が良く見えている。

<花立山荘のベンチで休憩>
※参加者の写真を出すことをについて本人の承認を得ている。
■塔ノ岳山頂
11時12分に,花立山荘を出発する。ここまで来れば,塔ノ岳の山頂は,もう近い。まずは,比較的緩やかな階段を登り詰める。するとガレ場に出る。辺りの視界が開ける。ガレ場を登り詰めて尾根に出ると木道になる。この木道から富士山だけでなく,遠く南アルプスの山々も見えている。つい先日登った光岳や聖岳が見えているのか気になるが,確かめようがない。

<塔ノ岳山頂からの眺望>
木道の先は水平に近い尾根路が続く。2回ほど小さな下りを通過するとヤセ尾根になる。そして,少し登り返して,11時33分に金冷シ(1,325m)を通過する。
暫くの間,水平に近い路が続く。途中小さな登りが2回ある。泥濘や木道を通過する。そして,最後の階段に差し掛かる。この階段の長さはそれ程ないが,このコースでは一番急な階段である。私は,
「一番急なところなので,ユックリ登りましょう」
と声を掛ける。
階段を登りきると,登山道は左折する。そして,目の前には木の板を組み合わせて作った立派な階段が現れる。この階段の所まで辿り着けば,山頂に到着したのと同じである。右手前方に日ノ出山荘の廃屋が見えている。この階段を一気に登って,11時57分,無事,塔ノ岳山頂(1,491m)に到着する。

<塔ノ岳山頂で記念写真>
※カメラアングルが悪くて,お一人の顔がギリギリ写っただけ
写真掲載については承認を得ている。
スケルトンさん以外の皆さん。
■尊仏山荘
山頂には先客が数人居る。尊仏山荘の温度計によると,12時現在の山頂の気温は23.4℃とかなり高い。
山頂で,登頂記念写真を取った後,とりあえずは尊仏山荘に入る。山荘には先客は誰も居ない。今日の小屋番は大野さんである。私は例によって,お茶を注文する。私は大野さんに,
「クラツリ山旅スクールのガイド,西方さんを知りませんか・・・ここに居られる方々は,西方ガイドの教え子です・・・」
と説明するが,大野さんは,
「ガイドさんと話をしたことはないので知らないよ・・・」
とつれない返事である。花立さんなら西方ガイドを良く知っているのに残念である。
「ところで,Kさんは登ってきていますか?」
「Kさん・・? Kという名字の方は女2人,男2人の4人居ますよ・・・どのKさんかな」
と話がかみ合わない。
■スケルトンさんにバッタリ
私達より1時間ばかり遅く大倉を出発したドッジさんが,そろそろ山頂に到着しても良い時間である。私達は山荘の中から外を見ながら,ドッジさんの到着を待っている。それらしい姿の方が,何人か現れるが,皆,別人である。
12時30分頃,小柄な女性が山頂に現れる。今度こそドッジさんかなと思ったら,意外にも山旅スクール5期のスケルトンさんである。早速,スケルトンさんを山荘に招き入れる。お互いに予期しない再会にビックリする。
12時40分頃,山頂にドッジさんが現れる。これで,図らずも山旅スクール卒業生6名が尊仏山荘に集まったことになる。これは大変なことだ。
そろそろ山荘を引き揚げようかと思っていると,どこからともなくこの山荘の営業部長,ネコの「ミー君」が現れる。ネコ好きの私は,ミー君に会えないと,どうも物足りない気分になる。早速,ミー君の写真を撮る。ミー君は相変わらず飄々としている。気儘に小屋を出たり入ったりしている。こうして,ミー君は立派に営業部長の職責を果たしているのである。

<尊仏山荘のミー営業部長>
■大倉尾根を下山
13時20分に尊仏山荘を出発する。午前中に較べて,大分雲が多くなってきたが,相変わらず富士山が見えている。先を急ぐスケルトンさんは,私達を置いて,ドンドンと先に下り始める。私達は安全第一にユックリと下り続ける。
13時49分に,ようやく花立山荘まで下る。ここで給水のために5分ほど休憩を取る。例によって,私は休憩時間を立ちんぼのまま過ごす。
花立山荘から先の長い下り階段は,転倒しないように注意しながら,ユックリと降り続ける。岩稜帯に入ると,私の直ぐ前を歩いている星さんが何回も足を滑らせる。後に付いている私は,何回もハラハラする。
長い下り坂を下り続けて,14時33分に堀山ノ家に到着,数分小休止する。
どうせユックリ旅なので,登山道から少し離れて堀山山頂(920m)を経由して下山し続ける。ドッジさんのご要望で,雑事場ノ平から,枝道に入り,15時41分に「高原ノ家」に到着する。ここで希望者は1人20円也のお金を支払って,湧き水をペットボトルに汲む。
■高原ノ家経由で大倉へ
15時45分に「高原ノ家」を出発する。
このままダラダラと下っていたら,大倉発16時22分のバスに間に合わなくなる。別に間に合わなかったら,16時52分のバスに乗れば良いのだが・・・ 途中からトドさんが張り切り出す。観音茶屋,丹沢ベースを大急ぎで通り過ぎて,16時20分に大倉へ到着する。そして,無事,16時22分のバスに間に合った。
[山行記録]
7:45 大倉歩き出し(290m)
7:54 登山口(325m)
7:59 克童窯(350m)
8:06 丹沢ベース(390m)
8:17 観音茶屋着(445m)(8:19発)
8:25 高原の家分岐(495m)
8:40 雑事場ノ平(570m)
8:44 見晴茶屋着(580m)(8:49発)
9:09 一本松(725m)
9:28 駒止茶屋着(850m)(9:35発)
9:46 堀山(905m)
9:56 堀山の家着(915m)(9:59発)
10:22 戸沢分岐(1065m)
10:24 萱場平着(1080m)(10:32発)
11:04 花立山荘着(1245m)(11:12発)
11:32 金冷し(1315m)
11:57 塔ノ岳山頂 着(1465m)
13:20 〃 発(+20.3℃)
13:37 金冷し(1325m)
13:49 花立山荘着(1255m)(13:53発)
14:11 萱場平着(1075m)(14:15発)
14:17 戸沢分岐(1075m)
14:33 堀山の家着(930m)(14:35発)
14:46 堀山着(900m)(14:49発)
14:57 駒止茶屋(860m)
15:11 一本松(750m)
15:26 見晴茶屋着(605m)(15:31発)
15:34 雑事場ノ平(600m)
15:41 高原山の家着(600m)(15:45発)
15:58 高原の家分岐(505m)
16:02 観音茶屋(485m)
16:10 丹沢ベース(405m)
16:13 克亮童窯(380m)
16:16 登山口(355m)
16:20 大倉 着(290m)
[山行記録]
■登攀・下降高度
塔ノ岳山頂 1491(m)
大倉 290
(高度差 1201m)
■登攀所要時間(休憩時間込み)
大倉発 7:45
塔ノ岳山頂着 11:57
(所要時間4時間12分(4.20h)
■登攀速度
1201(m)/4.20(h)=286.0(m/h)
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 13:20
大倉着 16:20
(所要時間 3時間00分(3.00h))
■下降速度
1201(m)/3.00(h)=400.3(m/h)
(おわり)