タラナキロッジでのんびり
<<タラナキ山登頂>>
2006年2月2日(木) その1。
霧ときどき小雨
今日は待ちに待ったタナラキ山登頂の日である。
4:30,モーニングコールの電話で起こされる。昨夜はあまりよく眠れなかった。夜中にホテルのプール付近で騒いでいる人達がいて,それが気になって寝不足である。
5:30頃,私達の部屋にもブレックファーストボックスが届く。早速,ボックスを開ける。中からトマトとベーコンを挟んだパン,りんご1個,ミカン2個が出てくる。パンは暖かい。これら結構美味しいから,食べながら,何となく満ち足りた気分になってくる。
そそくさと朝食を済ませて,ロビーへ降りる。
6:10,昨日,私達をニュープリマスまで運んでくれた運転手が,私達を出迎えに来ている。早速バスに乗り込む。すぐに発車する。実は,私達が乗っているバスは,この運転手が,わざわざ日本へ行って,中古で購入した日産車である。彼は,この中古バスを元手にして,送迎バスを生業としている。
「・・・この中古バス,なかなか優れものだよ・・・」
とご満悦である。
どこをどう走っているのか定かではないが,平原の真っ直中を走っている2車線の道路をドンドンと飛ばす。地図を見ていると,どうやらエグモント国立公園の西側から北側まで回り込んでいるようである。車窓の両側には,例によって羊の牧場が次から次へと表れる。
6:45,テワイエグモント旅行センター(Te Wai Egmont Visitors Centre)の前の駐車場に到着する。標高975メートルである。芝生を挟んで小綺麗な建物た建っているが,閉まっていて,中には入れない。一同,ここで身支度を整える。
7:12,いよいよ歩き出しである。
上空はどんよりと曇っていて,あたりは霧に覆われている。
今日のガイドは,ジョンさん(John Jordan)と,ドンさん(Don Paterson)である。ジョンさんが先頭に立つ。ジョンさんによると,
「・・・今日の予報では,朝夕は曇り時々雨,所によって雷雨。日中は時々晴・・・」
要するに,現地の天候に熟達したガイドにも,この先どんな天候になるか,全く分からないそうである。
私達は山腹にある電波中継塔への運搬道路に沿って,南方向に,ただ黙々と歩き始める。やがて濃い霧に遮られて,視界は殆どない。運搬道路は未舗装だが,道幅が4~5メートルもある立派な道路である。しかし,勾配は見た目以上に結構厳しい。そこを,結構な速度でドンドンと登っていく。例によって,酋長さんが先頭に飛び出している。後ろの方から,
「・・・酋長さん,速いよ・・・」
と声が掛かる。酋長さんは,少し後ろを振り返りながら,
「・・・そんなに速いですか・・・?」
というような仕草をする。後ろの方では,
「・・まあ・・・もうすぐ,酋長さんのペースが落ちるから,放っておきますか・・・」
などと,ヒソヒソと悪口を言っている。
7:45,標高1085メートル付近で,ほんの2分ほど立ち休憩をとる。霧雨の雨足が強くなり始めたので雨具を着用する。辺りにはマウンテントタラやマウンテンスピンダー(杉の一種)が繁茂している。その傍らにコロミコが群生している。
8:19,標高1225メートル地点を通過する。ここは少し小高い丘になっていて,天候が良ければ,多分眺望が素晴らしそうな所である。ここでいくつかのトレッキングコースが交差している。
8:40から8:44まで,標高1380メートル地点で,いつの間にか一行から遅れている酋長さんとドッジさんが到着するのを待つ。
やがて,ほんの少しばかり霧が薄くなったような気がする。私達が登っている運搬道路の行く手が大きく左に回り込んで登っているのが見えはじめる。そして,右手の小高い丘の上に大きな電波塔が霧に霞んで見えてくる。
電波塔近くまで登ると,道が二手に分岐する。左を進むとすぐに電波塔である。登山道は右の道を進むことになる。分岐から200メートルほど離れたところを見上げると,片流れ屋根の2階建ての建物が見える。山岳会が運営するタラナキロッジ(Tahurangi Lodge)である。
8:56,タラナキロッジに到着する。
一般の登山客は,この建物の入口を入った玄関までにしか入れない。玄関には3人も座れば一杯になるベンチが置いてある。私達は,山岳ガイドの指揮下にあるので,このロッジの中まで入ることができる。ジョンさんがロッジ入口の鍵を開ける。中に入る。結構,広い。玄関を入ると右手に男女別のトイレ,その手前に事務室がある。左手は広間になっていて,ベンチが並べてある。ここで身支度を整えてから,靴を脱いで2階に上る。
2階は,階段の両側に祝発施設が整えられている。
さらに,3階まで上る。3階には台所,食堂,談話室が完備している。
私達はガイドのおごりで,コーヒー,紅茶などを頂戴する。いわゆるニュージーランド流のモーニングティーの時間である。広い食堂で,ノンビリとした時間を過ごす。
どうやら,私達のガイドは,今日の悪天候の中を,このまま山頂を目指すよりも,山麓をトレッキングする方に切り替えたかったのだろう。
(第27回おわり)
<<タラナキ山登頂>>
2006年2月2日(木) その1。
霧ときどき小雨
今日は待ちに待ったタナラキ山登頂の日である。
4:30,モーニングコールの電話で起こされる。昨夜はあまりよく眠れなかった。夜中にホテルのプール付近で騒いでいる人達がいて,それが気になって寝不足である。
5:30頃,私達の部屋にもブレックファーストボックスが届く。早速,ボックスを開ける。中からトマトとベーコンを挟んだパン,りんご1個,ミカン2個が出てくる。パンは暖かい。これら結構美味しいから,食べながら,何となく満ち足りた気分になってくる。
そそくさと朝食を済ませて,ロビーへ降りる。
6:10,昨日,私達をニュープリマスまで運んでくれた運転手が,私達を出迎えに来ている。早速バスに乗り込む。すぐに発車する。実は,私達が乗っているバスは,この運転手が,わざわざ日本へ行って,中古で購入した日産車である。彼は,この中古バスを元手にして,送迎バスを生業としている。
「・・・この中古バス,なかなか優れものだよ・・・」
とご満悦である。
どこをどう走っているのか定かではないが,平原の真っ直中を走っている2車線の道路をドンドンと飛ばす。地図を見ていると,どうやらエグモント国立公園の西側から北側まで回り込んでいるようである。車窓の両側には,例によって羊の牧場が次から次へと表れる。
6:45,テワイエグモント旅行センター(Te Wai Egmont Visitors Centre)の前の駐車場に到着する。標高975メートルである。芝生を挟んで小綺麗な建物た建っているが,閉まっていて,中には入れない。一同,ここで身支度を整える。
7:12,いよいよ歩き出しである。
上空はどんよりと曇っていて,あたりは霧に覆われている。
今日のガイドは,ジョンさん(John Jordan)と,ドンさん(Don Paterson)である。ジョンさんが先頭に立つ。ジョンさんによると,
「・・・今日の予報では,朝夕は曇り時々雨,所によって雷雨。日中は時々晴・・・」
要するに,現地の天候に熟達したガイドにも,この先どんな天候になるか,全く分からないそうである。
私達は山腹にある電波中継塔への運搬道路に沿って,南方向に,ただ黙々と歩き始める。やがて濃い霧に遮られて,視界は殆どない。運搬道路は未舗装だが,道幅が4~5メートルもある立派な道路である。しかし,勾配は見た目以上に結構厳しい。そこを,結構な速度でドンドンと登っていく。例によって,酋長さんが先頭に飛び出している。後ろの方から,
「・・・酋長さん,速いよ・・・」
と声が掛かる。酋長さんは,少し後ろを振り返りながら,
「・・・そんなに速いですか・・・?」
というような仕草をする。後ろの方では,
「・・まあ・・・もうすぐ,酋長さんのペースが落ちるから,放っておきますか・・・」
などと,ヒソヒソと悪口を言っている。
7:45,標高1085メートル付近で,ほんの2分ほど立ち休憩をとる。霧雨の雨足が強くなり始めたので雨具を着用する。辺りにはマウンテントタラやマウンテンスピンダー(杉の一種)が繁茂している。その傍らにコロミコが群生している。
8:19,標高1225メートル地点を通過する。ここは少し小高い丘になっていて,天候が良ければ,多分眺望が素晴らしそうな所である。ここでいくつかのトレッキングコースが交差している。
8:40から8:44まで,標高1380メートル地点で,いつの間にか一行から遅れている酋長さんとドッジさんが到着するのを待つ。
やがて,ほんの少しばかり霧が薄くなったような気がする。私達が登っている運搬道路の行く手が大きく左に回り込んで登っているのが見えはじめる。そして,右手の小高い丘の上に大きな電波塔が霧に霞んで見えてくる。
電波塔近くまで登ると,道が二手に分岐する。左を進むとすぐに電波塔である。登山道は右の道を進むことになる。分岐から200メートルほど離れたところを見上げると,片流れ屋根の2階建ての建物が見える。山岳会が運営するタラナキロッジ(Tahurangi Lodge)である。
8:56,タラナキロッジに到着する。
一般の登山客は,この建物の入口を入った玄関までにしか入れない。玄関には3人も座れば一杯になるベンチが置いてある。私達は,山岳ガイドの指揮下にあるので,このロッジの中まで入ることができる。ジョンさんがロッジ入口の鍵を開ける。中に入る。結構,広い。玄関を入ると右手に男女別のトイレ,その手前に事務室がある。左手は広間になっていて,ベンチが並べてある。ここで身支度を整えてから,靴を脱いで2階に上る。
2階は,階段の両側に祝発施設が整えられている。
さらに,3階まで上る。3階には台所,食堂,談話室が完備している。
私達はガイドのおごりで,コーヒー,紅茶などを頂戴する。いわゆるニュージーランド流のモーニングティーの時間である。広い食堂で,ノンビリとした時間を過ごす。
どうやら,私達のガイドは,今日の悪天候の中を,このまま山頂を目指すよりも,山麓をトレッキングする方に切り替えたかったのだろう。
(第27回おわり)