霧の中の鹿と冬景色の
丹沢:塔ノ岳(大倉尾根)
(単独山行)
2007年1月18日(木)
昨日(1月18日)は,終日冷たい雨が降り続いていた。
天気予報によれば,今日は久々に晴天に恵まれる。そうなると,私は,とても家でジッとしていられなくなる。例によって,まだ暗い5時過ぎに家を出る。そして,バス停「大倉」へ7時27分に到着する。
7時39分に,塔ノ岳を目指して大倉バス停を出発する。乗り合わせた登山客は,同年齢の男性1人だけである。お互いに軽く会釈を交わし,同時刻に出発する。目指す山並みには雲が立ち込めている。日差しもなく,何となく寒い。
昨日までの雨で,登山道に敷き詰められた石が滑りやすい。転倒しないように注意しながら歩き続ける。観音茶屋を通過する頃,こんなに見通しの悪い日に無理して登ることはない。引き返そうかと何度も思う。私の前後には1人の登山客も居ない。霧で見通しの利かない道を1人で登るのは,どうもつまらない。
8時01分,観音茶屋を通過する。いつもより2分ほど遅いペースである。高原の家への分岐点を通過する。尾根の左側の斜面をトラバースする登山道を,いつもよりやや遅いペースで登っていく。突然,私の前方10メートルほどのところで,握り拳より少し大きな石が,ゴロゴロと音を立てながら落ちてきた。少々,ギョッとして,石が落ちてきた場所を見上げると,鹿の親子2頭が,ジッと私の方を見ている。多分,だれも居ない登山道に近付いた鹿が,私の姿に驚いて,崖の茂みに這い上がり,弾みで石をけ落としたのだろう。鹿は身じろぎもせずに2頭寄り添って,私を見下ろしている。私は,すかさずデジカメで鹿が茂みに隠れるまで写真を撮り続ける(残念ながら良く撮れなかった)。
8時17分,いつもより5分ほど遅れて,見晴茶屋を通過する。茶屋を通過して少し経った頃から,尾根沿いの長い急坂が続く。この辺りは登山道の道幅が広くなる。今日は霧が少し深く,見通しがあまり利かない。前方を見ると,頭に白いタオルを巻いた背の低い登山者が1人立ち止まってジッとしている。私は,
「それにしても,随分と背の低い方だな~ぁ・・・子供さんが1人で登っているのかな・・・」
と思いながら登り続ける。
<登山者のように見えた子鹿>
20メートルほどの距離に近付いたときに,突然,白いタオルが登山道を横切って,山の斜面に消えてしまった。白いタオルの主は子鹿であった。私は鹿を驚かさないように,登山道の端をユックリと登る。すると,斜面の茂みから親子らしい鹿が2頭,私の方を見下ろしている。霧で少し霞んだ茂みから,四つのつぶらな瞳が瞬きもせずに私を見詰めている。実に可愛い。私はまたもやデジカメを撮りだして,鹿の親子の写真を何枚も撮る。
<2頭の鹿が私を見詰める>
こんな可愛い鹿も,丹沢では増え過ぎてしまったという。途中で頭数調整のために鹿狩りをしているという案内板を読んだばかりである。林業に携わる方々は,鹿の食害で大変苦労されていると聞いている。鹿狩りも止むを得ない。でも,この可愛い姿を見てしまうと,なんとか共存できる方策がないものかとつくづく思う。
鹿を相手に,2回も道草をした私は,もう山行記録など気にしても仕方がないという気分になる。
9時06分に堀山の家を通過する。ここで,今日初めての登山客に会う。常連のカメラマンである。カメラの機材を沢山入れた重そうなリュックを背負っている。私は「お先に行きます」と挨拶して先へ進む。9時22分に戸沢分岐を通過する。この辺りから霧が一段と濃くなる。分岐上の広場は濃い霧に被われていて,全く見通しが利かない。
花立山荘を過ぎると,霧は薄くなりはじめるが,残雪が逆に増え始める。
金冷しから上は,一面の銀世界に変わる。白く雪化粧した枯れ木が素晴らしい。まだ早い時間帯なので,踏み跡もまばらな新雪を踏みしめながら,登り続ける。歩く度に,新雪のギュッ,ギュッ・・という感触が心地よく伝わってくる。
<新雪の登山道>
滑って転倒しないように注意しながら,10時16分に塔ノ岳山頂に到着する。山頂は新雪に被われているが,風は吹いていない。意外に暖かい。しかし,肝心の富士山は濃い雲の中である。
尊仏山荘に入り,300円也のお茶を所望する。山頂の気温は0.4℃である。この時期としては暖かい。尊仏山荘のネコ,ミー君は,コタツで丸くなっているのか,全く姿を表さない。
10時40分に尊仏山荘を出発する。入れ替わりに堀山の家で追い抜いたカメラマンが山荘に到着する。
雪に覆われた木道や階段が滑る。慎重に下山を続ける。堀山の家付近で,バスで一緒だった方とすれ違う。
「おや,もう山頂まで行って来られたんですか・・?」
と声を掛けられる。でも,私にしては,今回,山頂まで2時間38分も掛かってしまったので不本意である。そんな気分の時に「もう,,行って来られたんですか」と言われても,戸惑ってしまう。
「ええ,,,まあ,,,山頂付近は雪で綺麗でしたよ・・」
と曖昧な返事をする。
大倉付近に下ると,柔らかな冬の日差が暖かくて,のどかな気分になる。
[山行記録]
■ラップタイム
7:39 大倉歩き出し
↓
8:01 観音茶屋
↓
8:17 見晴茶屋
↓
8:49 駒止茶屋
↓
9:06 堀山の家
↓
9:46 花立小屋
↓
10:16 塔ノ岳山頂着
10:40 〃 発
↓
12:45 大倉着
■登攀高度 1202m
■登攀所要時間 2時間37分(2.62h)
登攀速度 458.4m/h
■下降所要時間 2時間05分(2.08h)
下降速度 577.4m/h
(おわり)
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