<手術の途中経過がDVDに記録されている>
閑話休題:白内障顛末記(12):左目の手術を終える
<手術当日>
2012年7月23日(月) やや蒸し暑い
■秀逸な張り紙に元気を貰う
ついに左目の白内障手術の日を迎える.すでに右眼の手術を経験しているとはいえ,ずいぶんと緊張する.
右眼の手術に引き続き,横浜伊勢佐木町にある某眼科クリニックから,11時05分に来院するように言われている.
今回も,クリニックから付添いの同伴を求められているので,近くに住んでいる娘に同伴をして貰う.JR根岸線関内駅で娘と待ち合わせる.
例によりせっかちの私は,約束の時間よりも30分ほど早く,関内駅に到着してしまう.
何時ものように,待合場所付近のコーヒーショップで,コーヒーでも賞味しながら時間待ちをしようかと,無意識のうちに思うが,
「・・・そうだ! 今日は手術日,朝食は抜きだった!!」
と危うく思い出す.多分,手術前に血糖値を計測するんだろう.
仕方なく,暫くの間,関内駅の近場をブラブラと散策する.
偶然,駅近くの焼き肉屋「ひょうたん」というお店のシャッターで,秀逸な張り紙を発見する(下の写真).
張り紙曰く,「誰にも内緒で,やっと大きく育てた腸内ポリープを,理不尽にも医者が没収すると申します.つきましては,7/19~21迄病院で休養させて頂きます.残念ながら胃癌退職ではない為 術後再雇用で,また女将にこき使われる予定です 店主」
私は,一瞥したときに,誰かに抗議しているのかと勘違いしたが,読んでいる内に,何ともエスプリの利いたユーモラスな文章に,思わず笑いこける.そして,心底,この文章に惚れ込んでしまった.
よく考えると,この文章の内容は,胃癌ではなかったとはいえ,結構深刻である.その深刻さを行間ににじませながらも,ユーモラスに明るく表現している.
「・・・この店の店主って,どんな方なのだろう・・・」
私は,機会があったら,是非,このお店を尋ねてみたいなと思っている.
なお,この文章で「・・また女将に・・」が追加されているが,私の想像では,この店のご常連が,面白がって勝手に書き加えたのではないかな?・・・ちょっと遠慮して小さな字で・・・と,想像しながら,思わずニタニタする.そして,何となくお店の情景が眼に浮かぶ.特に,
「・・理不尽にも・・・」
の下りは特に秀逸だ.
私も,白濁した水晶体を,これから行くクリニックで没収されるんだ.
このユーモラスな文章を読ませていただいて,手術直前で気分的に高ぶっている私も,随分とリラックスさせて貰える.有り難いことである.
自分の身に降りかかる災難を,ユーモアでさりげなくやり過ごしてしまうセンスの良さが羨ましい.私には,こんな秀逸な文章は,到底,書けないし,思いつきもしない.
まだ,お目に掛かったことのない「ひょうたん」のご主人に,深くお礼を申し上げたい.
<読めば読むほど味がある文章だ>
■短時間で終わる手術
指定された時間の10分前にクリニックに到着する.
手術は,右眼のときと同様に,10分ほどで終わる.
局所麻酔のために,白内障になった水晶体が,超音波で砕かれるまで,手術の様子が見えている.その後は,水晶体がなくなるので手術の様子は,見えなくなるが,ヤケに眩しい光が手術中終始見えている.
人工レンズが挿入されるときだけ,多少の圧迫感があるが,手術中,全く痛みはない.
手術は10分ほどで終わる.
終わると同時に,手術した眼はガーゼで覆われ,絆創膏でガッチリととめられる.
手術が済んで,会計を済ませようとすると,
「今月は規定の額を超えているので,無料です・・」
と有り難いお言葉である.
「ええ・?・・では,何時お支払いするんですか」
と会計窓口の方に伺ってみる.
窓口の説明では,後期高齢者の保険の仕組みが変わって,高額治療費の月当たりの支払額の上限が決まっていて,それを超えた分は全額保険で負担することになったとのこと.これは朗報.予定していた金額より,数万円支出が少なくて済むことになる.感謝! 感謝! である.
■お礼のディナー
手術した眼のガーゼが取れるのは明日.今日一日は右眼だけの「丹上左眼」状態で過ごさなければならない.
でも,今回は視力1.2に回復した右眼が使えるので,右眼の手術のときとは全然違う.右眼が良く見えているので,ほとんど不自由はない.
朝食抜きなので,少々空腹である.クリニックから,手術後1時間は昼食はダメと言われている.
そこで,右左の眼の手術に付き添って貰った娘に大船まで付き合って貰い,ルミネ7階の某グリルで,少々贅沢な昼食を共にする.そして,つい先日完成したばかりの神奈美展図録を1冊謹呈する.この程度が,甲斐性のない私ができるせめてものお礼である.
食事は,お店お薦めのコース料理にする.
手術を終えた開放感もあって,実に美味である.メインディッシュに付いているジャガイモが特に美味しい.ただ,ハンバーグがやけに大きいので,全部平らげるのが大変だ.この分だと,夕食は要らないなと思いながら,結局,全部平らげてしまう.
それに・・・内緒だが,左目の手術料が数万円掛かるかと思っていたのが,自己負担タダで済んだ.だから,お一人1500円余りの食事代は,今日に限って,まったく苦にならない.
<前菜の茹でたトマト;これが実に美味しい> <外カリカリ,中モチモチのパン>
<メインディッシュ>
<器が違う,やっぱり美味しい>
■最後の四苦八苦
また,FHは妙な図面を出したなと言われちゃうかも知れないが,両目の手術の結果は,下の図の通りである.
まず,手術前の私の裸眼視力は左右とも0.1程度の強度の近視.
手術直前の矯正視力は,右眼0.4程度,左目0.5程度しか見えなかった.これでは自動車免許証も更新できない.自動車など乗らなくて済むが,趣味としている山歩きでも足許が良く見えないので,特に下り坂で往生していた.
最初に右眼を手術した.これは既にこのブログでも記事にしている.その結果,下図で示すように,右眼の視力は手術の翌日0.8,そして4日後には1.2まで回復した.
そこで,これまで掛けていた眼鏡の右のレンズを外して,右眼だけ裸眼で見ることを試みた.前回レポートしたように,ごく短時間なら,まあ,まあ,何とかなるが,すぐに草臥れてしまいどうにもならない.下図のように「このギャップが辛い」.
それでも,左目の手術を受けるまでの約2週間,随分と色々なことをトライした・たとえば,100円ショップで老眼鏡を何本か買い求めて,左目凹レンズ,右眼凸レンズ,片方針穴覗きなど,どれもこれも一長一短.結局どうにもならない.
でも,色々試してみるのは,結構楽しかった.このトライの状況を記述し始めると長くなるので,今回は省略するが,いずれ機会を見て纏めておきたいと思う.
<手術翌日>
2012年7月24日(火) 蒸し暑い
■両目揃ってホイホイ;とにかく良く見える
丹上左眼の状態で,クリニックから指定された10時00分に,病院に出頭する(言い方が変かな).
看護師が,昨日手術した左目のガーゼを外す.そして眼の瞑らせたまま眼の周りの消毒やら清掃やらを4~5分掛けて済ませる.
「はい・・・ユックリ眼を開けて下さい・・・」
私はユックリと左目を開ける.
第1印象は,
「眩しいな・・・」
である.
辺りがヤケに明るく見える.そして,眼を開けた途端に,ちょっとクラクラと軽い目眩を感じるが,ほんの30秒ほどで,目眩はなくなる.
今まで,明るい所を見ると,蛙の卵のようなゴミのようなものがウヨウヨと見えていたが,ゴミは殆どなくなっている.そして,特に白い物が,真っ白に見える.
右眼だけの手術が終わったときも,片眼ながら良く見えることと,色が綺麗に見えることにビックリしたが,両眼の手術を終えてから眺める景色はまた格別である.いままで,物が良く見えないで苦労してきただけに,感慨一入である.
ガーゼを外してから,すぐに視力検査を受ける.視力は0.8である.これだけ見えれば私としては大満足.
「視力が安定するまでに,2~3週間掛かりますよ・・・」
と看護師が言う.
眼圧だの,何だかんだの測定を終えて,医師の診断を受ける.
「レンズはきちんと入っています.良く見えるでしょう.ただ,もともと乱視があったので,念のため金曜日にもう一度チェックに来て下さい・・・」
“また,横浜まで来るの・・・ヤレヤレ面倒だな・・・”
と思うが,自分のことなので仕方がない.
「近くを見るときの矯正眼鏡を作る場合は,視力が安定する2~3週間後にしてください・・・・眼鏡がなくて不安だったら,とりあえずは100円ショップのサングラスを使ったらどうですか・・」
と看護師がアドバイスしてくれる.
帰りしなに,手術の様子を撮ったビデオを頂戴する.
■大船Beck'sに立ち寄る
何だかんだでクリニックを出たときは12時を過ぎてしまう.
看護師から,
「昼食のときから,目薬を差し始めて下さい・・」
と言われている.したがって,あまり昼食が遅くなるのも困るし,手術直後から,毎食後,必ず服用するようにと言われている薬もある.どうやら抗生物質と鎮痛剤のようである.
当初,私は自宅に戻ってから昼食を摂るつもりだったが,早く投薬と点眼をすませたいこともあって,大船駅中のBeck'sに飛び込む.そして,照り焼きナントカのセットを摂る.
店内で2種類の薬を飲んだり,3分おきに3種類の目薬を差すなど,結構,神経を使う.
手術は比較的簡単に済んだけれども,術後のケアーがなかなか大変である.
<久々に1人だけで外食>
■DVDを見る
帰宅してから,クリニックで頂いたDVDを見る.
生々しい映像に,眼を背けたくなる方も居られるかも知れないので,画面を小さくして,恐くないところを一寸だけ披露する.
言うまでもないが,この映像は私の左目である.
<頂戴したDVD> <手術が始まる;この辺りは見えている> <超音波で砕かれた水晶体が吸引され,レンズが装着される>
■23型ディスプレィは正解
つい先日,苦し紛れに購入した23型ディスプレィをノートパソコンに繋いだが,この大きな画面だと,眼とディスプレィの距離を70センチメートルほどに離して使うことができる.
両眼がアンバランスのときは.この大型ディスプレィでも,両眼視は辛かった.でも,今日からは両眼が使える.そうなると良くしたもので,老眼鏡(凸レンズ)なしで,つまり裸眼のまま,十分にパソコンの作業が出来るようである.
…と,いうわけで,このブログ記事は,手術後の裸眼の両目で書いている.
でも,顔に何かが掛かっていないと,どうも落ち着かないので.当分はサングラス兼伊達眼鏡でも掛けていることにしよう.
とりあえずは,下の写真のような応急処置をした.
使用しているノートパソコンはPanasonicの取っ手の付いたヤツ.キーボードはなるべく簡単でキーピッチ19mmあるものを用意した.勿論,以前からバックアップ用に外付ディスクは使用している.
これで,まあ,まあ,デスクトップパソコンと同じような使い勝手になった.
画面は,眼から60~70センチメートルほど話したところにあるので,手術後の裸眼で凸レンズなしに楽に見ることが出来る.
良かった,良かった!
ここまで来たら,ついでに高性能なCPUを買っちゃおうかと思い始める.
「やれ,やれ,・・・また,オレの凝り性が始まった・・・」
と自分で苦笑している.
<応急増設したノートパソコン>
■まだまだこれからが大変
実は術後のケアーが,偉く大変である.
まずは手術後2種類の飲み薬を服用する.この内1種類は1日3回で1日だけ.もう1種類は1日3回で3日間.
目薬は3種類.内2種類は1日4回.1種類は1日2回.当分の間(多分2ヶ月ぐらい)は続けなければならない.さらに今後1年間にわたり定期検診を受けなければならない.その意味では,今後のケアーがますます大変である.
さて肝心の山歩きである.こちらは8月中旬まで御法度! と言われている.
そんなに長い間,山から遠ざかっていたら,リハビリが大変だなと,今から心配している.まあ,暫くは,堀山登山でもして,徐々に脚力を付けていくしかないな・・・
「閑話休題」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/0b08e3d8854672d867ca0128e7faf545
「閑話休題」の次回の記事
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