中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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シロヤシロとミツバツツジが満開の塔ノ岳

2007年05月30日 10時07分17秒 | 丹沢の山旅
       シロヤシロとミツバツツジが満開の塔ノ岳
            (単独山行)
        2007年5月29日(火)
晴時々霧

         ※シロヤシロの写真は,別途掲載

■思いつきで山行

 天気予報は,今日から2~3日は曇か雨だという。
 早朝4時に起きる。東の空が眩しいほど明るくなっている。天気が悪くなるのが予報より大分遅れているようである。それならば,午前中に塔ノ岳を往復してしまおうと思い立つ。常用のリュックには,何時も登山に必要な用具一式を詰めてある。今日は暑くなりそうなので,1.5リットルと,いつもよりも多めに水を携行することにする。
 今日の丹沢山行は,今月に入って4回目,今年20回目の節目の山行になる。
 何時ものように,5時10分に家を出発する。渋沢からバスで大倉へ向かう。今日の7時16分発のバスには,7~8人の登山客が乗り合わせる。殆ど全員が単独山行のようである。顔なじみのご常連は乗り合わせていないようである。

■ニトログリセリンが手放せない
 7時37分に大倉バス停(標高300m)から大倉尾根を向けて歩き出す。大倉バス停で軽くストレッチをしている内に,例により出発が一番最後になる。多少雲が多いものの良く晴れている。少々暑いが登山日和である。

     <天気予報が外れて良い天気である:堀山付近からの眺望>

 7時57分に観音茶屋を通過する。そして,しばらく坂道を登ったところで,年輩の男性に追いつく。
 「こんにちは。今日は暑いですね・・・」
とこの男性(Bさん)に挨拶をする。男性が,
 「こんにちは。暑いですね。今日は1年ぶりにバカ尾根を登るんですよ・・・××歳を越えると,山登りも大変ですよ」
と話し出す。
 Bさんは尊仏山荘のご常連。もともと1日に塔ノ岳を2往復するほどの猛者だったようである。所が無理がたたったのか,1年前に心筋梗塞を患ってから,ずっとリハビリをしていた。そして,医師の許可を得て,やっと今日リハビリ後の初の登山をしている。
 「山登りは60才になってから始めたんですよ。山登りが面白くなって,無理をしたんでしょうね。昨年突然病気になりました・・・血液がドロドロということではなく,血管が細くなっているらしいんです・・・今日は大倉尾根を2時間30分で歩くことを目標にしています・・今日はニトログリセリンを持って,登っていますよ・・・調子に乗って,やっぱり無理をしたんですね」
 私はBさんの話を伺いながら,ひょっとしてBさんは動脈硬化なのではないかと心配する。年齢を伺うと私よりも若い。他人事ではないなと心の中で自戒する。

■気持ちよく登ろう
 私はBさんの話を聞きながら,暫くの間一緒に歩き続ける。そして,雑事場ノ平(600m)で彼とお別れをして先を急ぐ。
 今日の私の歩行テーマは「気持ちよく歩く」に絞りたいと思う。山を眺め,風を味わいながら気楽に歩こう。とはいえ,チェックポイントを通過する時間は記録するが,歩行中は高度計や登攀速度は一切見ないことにする。
 登山口から雑事場ノ平までは,風の通らない深い森林歩きが続く。蒸し暑くて堪らないが,見晴茶屋を越えて尾根道になると,風通しが良くなる。ここまで来ると,とても気分良く歩けるようになる。
 9時25分に花立山荘を通過する。山荘前の急坂も,今日は苦にならない。どうやら体調はよいようである。このままの調子で登れば,間違いなく10時前に塔ノ岳山頂に到着でくるような予感がする。
 山荘を通過してからやや急な階段道を登り詰めて尾根の岩稜に出る。快晴ならば,この辺りから富士山と南アルプスが良く見えるが,今日はあいにくの雲に覆われて見えない。ただ,近くの丹沢,箱根の山々がとても良く見える。風は全く吹いていない。暑くなく寒くなくとても心地よい気温である。

■Kさんと出会う
 稜線の木道を過ぎる頃,私と同年輩の男性(Kさん)が,何かを熱心に見詰めている。私が近付くと,
 「あそこに綺麗なミツバツツジが咲いていますよ」
と私に教えてくれる。「どれ,どれ・・・」と私も覗き込む。大倉尾根と大丸との間の谷間に,数本のミツバツツジか満開になっている。実に美しい。

         <花立山荘を過ぎた辺りで群生するミツバツツジ>

 花の写真を撮った後,Kさんには失礼をして先へ進む。
 9時39分に金冷しを通過する。私の前後には誰も居ない。私は穏やかな気分になってユックリ,気楽に登り続ける。そして,9時52分に塔ノ岳山頂に到着する。大倉バス停から塔ノ岳山頂までの所要時間は2時間15分であった。途中でお喋りしたり気楽に登ったりの割には満足できる良い記録である。
 そんなことを考えながら,つい先ほど「今日は気楽に登ろう」と言いながら,結局は登山の所要時間を気にしている自分に気が付き一人苦笑する。

■尊仏山荘
 山頂からの景色は相変わらず素晴らしいが,残念ながら富士山は全く見えない。 山頂では,数名の登山客が日向ぼっこを楽しんでいる。
 尊仏山荘に入る。先客は誰も居ない。例により300円のお茶を所望する。ほんの5分ほどして,心筋梗塞のBさんが尊仏山荘に入ってくる。Bさんの登山所要時間は2時間20分。病み上がりにしては,驚嘆するほど素晴らしい記録である。
 そうこうしている内に,花が綺麗だと声を掛けてくれたKさんが尊仏山荘に入ってくる。初対面ながら,3人は入り口付近のテーブルに座って雑談を交わす。Kさんは,
 「私は皆さんより1本前のバスで来たのに,追い越されたんですから,30分以上の差が付いていることになりますね・・・」
と苦笑する。

■満開のシロヤシオ
 尊仏山荘の温度計を見ると,10時現在,山頂の気温は10.8℃。1週間前の火曜日は14.1℃だったので,今日の方が大分寒い。
 「・・・所でシロヤシオは咲いているようですか・・先週火曜日に来たときはまだ早すぎたようでしたが・・・」
とKさんが小屋番に伺う。
 先週火曜日といえば,私もほぼ同じ時刻に塔ノ岳へ登っている。多分,山荘近くですれ違っていることになる。
 小屋番によると,どうやら丹沢山へ向かう途中のシロヤシオが丁度見頃らしい。そこで,思いつきでリュックを山荘に預けて,シロヤシオを見物することにする。

        <満開のシロヤシオ:尊仏山荘付近>


          <清楚なシロヤシオの花>

 木道を少し下る。西の斜面に満開のシロヤシロとミツバツツジ数本見える。斜面の向こうには臼ヶ岳,さらにその先に檜洞丸が見えている。何とも素晴らしい風景である。私達は暫く休憩してこの風景を堪能する。Kさんが,
 「もう少し先にシロヤシロの群生地がありますよ・・」
と私達を促す。
 Aさんは,この辺りで尊仏山荘に戻るという。私はもう少し歩いてみようと思う。Kさんと一緒に,木製の急階段を下り続けて,10時40分頃,標高1,425メートルの鞍部に到着する。ここから丹沢山へ向かう急坂が続く。鞍部を中心に沢山のシロヤシオが咲き誇っている。今が丁度見頃である。
 シロヤシオは,4~5年ごとに綺麗に咲くそうである。今見ているシロヤシオも素晴らしく美しいが,さらに美しく咲くときは,全山が真っ白になるほどシロヤシロの花で一杯になるという。

        <シロヤシオとミツバツツジの競演>

■ツツドリ,ホトトギス,ウグイス
 10時50分頃,鞍部を出発して往路を引き返す。広葉樹の灌木の間から,塔ノ岳山頂が見える。さわやかな広葉樹の新緑は,私達の心を和ませる。やっぱり丹沢は素晴らしいところだなと心底から思う。

          <丹沢主稜遠望:檜洞丸が見えている>

 一旦尊仏山荘に戻ったKさんと私は,11時10分に下山を開始する。登山道は適当に湿り気があり,とても歩きやすい。花立山荘付近まで下った頃,辺り一面に濃い霧が突然涌いてきて見通しが悪くなる。山の天候はほんの数秒の間に激変することを実感させられる。しかし,この霧も数分の内に消えてしまう。そして柔らかな日差しの中に秦野平野が一望できるようになる。
 下りは,Kさんと雑談をしながら,快調に飛ばす。雑談をしている内に,Kさんが私よりも10才ほど若いことが分かる。Kさんは,
 「・・・まだ,まだ,歩けますね・・・flower-hillさんを目標にして,歩き続けますよ」
という。結構なことである。
 途中,ツツドリ,ホトトギス,ウグイスの啼き声が絶え間なく聞こえてくる。そして,12時52分にバス停大倉に到着する。下りの所要時間は1時間42分であった。 渋沢駅で,Kさんとの再会を約束してお別れする。

[ラップタイム]

 7:37  バス停大倉発
  ↓
 7:57  観音茶屋
  ↓   ※K氏と併歩。推定で2分ほど遅延。
 8:12  見晴茶屋
  ↓
 8:37  駒止茶屋
  ↓
 8:51  堀山の家
  ↓
 9:25  塔ノ岳山頂 着
10:20    〃   発
  ↓
10:40頃 丹沢方面の最初の鞍部着
10:50頃    〃      発
  ↓
11:07  塔ノ岳山頂 着
11:10   〃    発
  ↓
12:52  バス停大倉着

■登攀下降高度  1,200m+50m
   ※50mは山頂と鞍部間の標高差
■登攀所要時間  2時間15分(2.25h)
  ※途中,推定2~3分のロス時間あり。
■平均登攀速度  1,200m/2.25h=553.8m/h
■下降所要時間  1時間42分(1.70h)
■平均下降速度  1,200m/1.70h=706.5m/h
                       (おわり)


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