相撲の本を整理していたところ、小説家の尾崎士郎が書いた随筆集「相撲を見る眼」が出てきた。昭和32年に書かれた本である。
目次を見ていると「能代潟」という項目で目が止まる。
能代潟は藤里町出身。正攻法の四つ相撲で大関に昇進。相撲をこよなく愛し、「今様実盛(=斎藤実盛)」と称された力士。2度大関を陥落するも相撲をとり続け、41歳で引退。その姿を賞賛した文が書かれてあった。
以下引用。
―全盛の花盛りに引退することが相撲の常習とされている。盛衰興亡の目まぐるしさもまたそこにあるが、しかし、とれるだけとって退こうという勇気も嘆賞すべきであろう。
とれるだけとるのは引き込み時を逸していやいやながら土俵にへばりついていることではない。
(中略)もし彼が花ざかりに引退することを欲したならば、大関たる位置をまもって引くことができたであろう。能代潟が土俵を踏んでいるのは義理のためでもなければ人情の故でもない。彼は唯相撲が好きなのだ。好きで好きでたまらぬのである。彼は力のつづくかぎり相撲をやめぬ決心であるという。
(中略)能代潟の正攻的態度は近代の相撲史上におけるもっとも美しい大力士の型を示すものであるといいたい。―
なるほどと考えていたら、今場所進退を賭ける千代大海とダブることに気がついた。
能代潟は35歳で大関から陥落するも、翌々場所には大関返り咲く。千代大海は現在34歳、年齢はほぼ一緒だ。
千代大海もこういった覚悟で場所に臨むのかと思ったら、先場所中に書いた文を思い出し、軽率な発言に恥じ入った。勉強になりました。
80年の時を越え、奇跡は起こるのか?と考えたら、ワクワクしてきた。
今場所は千代大海を応援してみよう。がんばれ、千代大海!(結構単純だな(^_^;))
写真は大関能代潟錦作之碑。元大関豊山の時津風理事長による筆。ゆとりあ藤里の向かいにあります。
ただ千代大海の師匠の引き際に、
男の美学の真髄を感じた自分です。
6敗したら潔く・・・って自分は思います。
語弊の無いように一言。
千代大海らしい相撲をもう一度見たい!!
6敗引退宣言しているので、そこは守るでしょう。
自分の見識が広がったのは、いい収穫でした。
千代の富士の引退は強烈でしたからね!
でももっと強烈な引退をしている人がいるんです、それはまた後日に(笑)