ブログ名にちなんで
「独り」の体験をたまにご紹介します♪
では・・(全て実話)
「独り暮らし」
もう遥か昔になってしまったが、21歳で私は家を出た。
理由は借家暮らしで自分の部屋がなかったこと。
もう必然的に出る運命にあったのだろう。
かわいい女性向けのアパートが建ち始めた頃で
理想はワンルームだったのだが、
お金もなかったので木造モルタルの古いアパートで妥協した。
2千円値切って2万8千円にしてもらった。
名前は「寿美礼(すみれ)荘」
素晴らしい名前のボロアパートである。
1階の真ん中の部屋しかあいていなかったが即決。
若かったあの頃、何も怖くなかった・・(どこかで聴いた・・?)
隣は管理人さんの部屋。
初めは老夫婦だった。 いろいろお世話になった。
古いアパートだったので、ねずみが出たりして(今じゃ考えられない)
管理人さんにSOSを求めた事もあった。
次に若い夫婦に変わった。
壁の音が筒抜けだったので、これには苦笑い・・。
そして反対の隣の部屋には「詩吟男」。
お風呂に入ると必ず詩吟を唄いだすのだ。
見かけは苦学生のようであったが、最後まで正体不明だった。
「お茶でも飲みにきませんか・・?」
と、ある日突然訪問を受けたが、友人が数人来ていたので丁寧にお断りした。
本当は悪い気もしなかったが、どこか危険なかおり?がした。
女性の独り暮らしは油断は大敵なのだ。
現在独り暮らしをされている方も、戸締りには十分お気をつけて・・。
上の階ではドスンドスンとすごい音がよく響いていた。
小学生の男の子らしき子供の泣き声が今も記憶にある・・。
今思うと虐待ではなかったのだろうか・・。
当時は若かったし、今のように児童虐待なんて言葉が表に出ていなかったから
想像する事すらしなかった。
ある日、上の階の窓から荷物を降ろしている所を目撃し
そこに不動産屋さんがいた。
聞くと夜逃げをした部屋の荷物を下ろしているのだと言う。
あの子供の部屋だ。
本当に夜逃げってあるんだと、現実の厳しさを初めて知った。
今だったら、絶対に通報していたと思う。(虐待かは断言できないけど)
どうか幸せに暮らしていますように・・。
ボロアパートのわりに、お風呂と水洗トイレがついていて
まあまあ困る事はなかった。
ただ、やはり壁が薄いのが難点。
ラジカセで音楽を聴いていたら、ある夜苦情を言われてしまった。
隣の管理人の若旦那に・・。
「好きな音楽ならまだいいんだけどさあ~~」
と嫌味交じりに言われたが
「すみません・・」と素直に謝った。
こっちも我慢してるんですけど・・、と心で思いながら。
ここには書けないようなあり得ない体験も数あれど
気弱な私が、少しだけ強く生きていかれるようになったのも
この時の「独り」の経験が大きな源になっているように思う。
「独り」は自分を強くしてくれる。
「独り」はいろんな可能性を教えてくれる。
「独り」は大きなチャンスである。
エピソードを書けばきりがないのだが
初めて独り暮らしをする私にとって
驚きの体験は多かった。
やはり若かったあの頃、
何も怖くなかった・・のかもしれない。 (おわり)