第七首
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天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも
あべのなかまろ
安倍仲麿
(698-770)留学生として唐に渡り、李白らと交流した。船の難破により帰国に失敗し、唐で没した。
部位 羈旅 出典 古今集
主題
異国で見る月によって催された望郷の念
歌意
大空を仰いで見ると、こうこうと月が照り輝いている。かつて奈良の春日にある三笠山の上に昇っていたあの月が、今ここに同じように出ているのだなあ。
安倍仲麿呂が、遺唐使清河に従って帰国を志し、蘇州江上にて、折りからの満月を異郷の空に眺め、望郷のおもいにひたってよんだ歌とされている。
安倍仲麿呂は、奈良時代に遺唐留学生として唐に渡り長く暮らし、その後、日本に帰国しようとしたが、帰国船が難破し、日本に帰ることはできませんでした。在唐五十四年、帰国できぬまま唐土で亡くなったのです。