トアール星にて。
『かわいい使者』
エリとメイとセイ。三人は仲良しの幼なじみです。きょうは、三人はトアール高原に星空を見にきたのです。エリとメイは女の子、セイは男の子です。
ここトアール高原はようやく緑におおわれ風もここちよく吹いています。セイは星空にくわしく、きょうは、エリとメイのおともです。
「あの北斗七星の柄のカーブにそって下のほうへたどっていくと、白く輝く星スピカが見えるでしょう。乙女座なんだ」
エリとメイは、セイがいう乙女座あたりを静かに見つめていました。
そう、メイがこのところなぜか元気がないので、エリが夜の星空散歩に誘ったのです。メイがぼんやりまたたく星空を眺めていると・・・。
「あれ、エリ。あの白い星の横のあたりから、こちらへ近づいてくるあの光のかたまりって、流れ星かしら・・・」
メイが突然、言いました。
メイたちは、その白い光の筋を追っていくと・・・、あれあれ、その光のかたまりは見る間に大きくなり、ここトアール高原のメイたちの前に到着したのです。
なんと、目の前の光のかたまりは、小さな宇宙船だったのです。あれあれ、不思議です。その小さな宇宙船から、銀色の服を着た銀色の髪のかわいい女の子が降りてきました。そのかわいい女の子は赤く輝く星○○星からやってきたのです。
でも、○○星人だというかわいい女の子はわたしたちトアール星人とそっくりだったのです・・・。
* * * * * *
半月ほど前のことです。それは、メイが見た夢でした。
夢のなかのメイはとても淋しかったのです。なぜって、夢のなかでメイは、ひとりぼっちだったのです。周りの人たちに話しかけても誰も返事をしてくれませんでした。メイは広い野原にポツと佇んでいたのです。なぜか、涙が溢れてきました。どれくらいたったのでしょう。夢のなかで見上げた星空でした。すると、ひとつの輝く光がスーッとメイの前を流れていったのです。その時メイはなぜか、とても懐かしい気持ちを覚えたのです。
みなさんは信じるでしょうか。この世界のどこかにもう一人の自分がいるということを・・・。トアール高原のメイの前に現れたかわいい女の子は、メイの魂から別れたもう一人のメイであったのです。
その銀色の服を着たかわいい女の子は言いました。
「メイさん、このトアール星にあなたが生まれたときに、わたしは別の星に生まれました。あなたたちはこのトアール星のほかにも、人が住んでいるとは夢にもおもわないでしょう。でも、わたしたちはいつも青い星、トアール星を見守っているのです」
メイたちは本当にびっくりしてしまいました。トアール星以外の星々にも、人がいるということ・・・。
エリがたずねました。
「かわいい宇宙人さん。もうひとりのわたしはどこにいるのですか」
「エリさん、それはわたしにもわかりません。でもいつか、もうひとりの自分に出会う時があるでしょう」
セイが言いました。
「この世にもうひとりの自分がいるって、なんだかうれしいですね・・・」
「かわいい宇宙人さん。もうひとりのわたしはどこにいるのですか」
「エリさん、それはわたしにもわかりません。でもいつか、もうひとりの自分に出会う時があるでしょう」
セイが言いました。
「この世にもうひとりの自分がいるって、なんだかうれしいですね・・・」
メイと双子のようなかわいい宇宙人の女の子は言いました。
「みなさん、宇宙船に乗って大空を飛んで見たいですか・・・」
そう、その小さな宇宙船は、室内に丸い操縦ボタンが幾つかあり、まんなかには椅子が四つありました。エリとメイとセイたちは宇宙空間へ飛び立ったのです。銀色の女の子は教えてくれました。宇宙船はある機械的操作によって大気を無にしてしまうのです。これによって、大気の干渉や抵抗から解放され、自由に宇宙空間を行ききするのです。この重力を支配することこそ、ある星に安全に近づいたり離れたりするために必要なことなのです。
丸窓からの宇宙の眺めはまるで夢のようでした。暗黒の背景に数知れぬ星々がまたたいているのです。銀色の瞳の女の子は言いました。
「あの、乳白色をおびた青い輝きの星がトアール星です」
三人はまるで夢でもみているのかと思いました。そして、どれくらいたったでしょう。いつしか、宇宙船は静かにトアール星の大気圏にはいり、ここトアール高原の野原に戻りました。エリとメイとセイはもうなんと言っていいのか、なかば放心状態でした。
セイが言いました。「宇宙船に乗って遊覧飛行をしてきたと言っても誰も信じないだろうな」
メイは思いました・・・。エリとセイはともかく誰がわたしたちの話を信じるだろう・・・・。
「この宇宙のどこかに、自分と同じ魂を持つもう一人の自分がいるということ。そう、この広い世界に、もう一人の自分がいるということを思えば、自分ってひとりぼっちではないんだ」
「この宇宙のどこかに、自分と同じ魂を持つもう一人の自分がいるということ。そう、この広い世界に、もう一人の自分がいるということを思えば、自分ってひとりぼっちではないんだ」
気がつけば、まもなく夜が明けようとしています・・・・。
夜空にまたたく星たちは、そっと、生きていることの意味をメイたちに教えているようでした。
夜空にまたたく星たちは、そっと、生きていることの意味をメイたちに教えているようでした。
・『トアール星と地球』のお話、続きは次回のお楽しみに・・・・。