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『聖ルカ』
この絵ですが、聖ルカは、新約聖書の「ルカによる福音書」と「使徒列伝」の作者とされる聖人で、エル・グレコは、聖書内に聖母子を描き入れ、それを私達に見せている聖ルカを描いています。
また、聖ルカは医者や薬剤師の守護聖人とされています。そして、聖ルカは画家の守護聖人ともされており、彼が聖母マリアと幼子イエスの肖像画を描いている場面ばかりが作品として残されています。それはルカの職業が画家で、聖母マリアを始めて描いた者であるという伝承がある為ということです。
私は、年老いたグレコ自身の自画像(?)の解説で、これとよく似ている顔が『聖ルカ』である。という文に出会い、『聖ルカ』の顔は、グレコ自身の自画像でもあるというふうに思いたいです。
解説として。
この情熱的で東洋的な風貌の個性にあふれた顔は、まぎれもなくグレコだ。さらに、その眼が心もち斜視ないしやぶにらみなのは、グレコが描く人物の多くがこれと同じように視線があらぬ方を向いていることもあわせて、自己投影の結果だと考えたくもなると。
十六世紀の偉大な画家・エルグレコの絵に関して改めて思いをめぐらした自分でしたが、一枚の絵って、一篇の詩と同じく、いいなあと思うのです。
一枚の絵で、言葉であらわせないさまざまなおもいを受け取ることが出来るということ。言葉ではない、存在することの意義が表現されていること。絵だからこそ表現できるのだということ。過去、いろいろな画家が、いろいろな絵を残してくれました。それらの一枚の絵との出会い、また書けるときには書いていこうと思います。
優しい神秘な画家『エル・グレコ』については、ひとまず、筆を置きます。皆さんにも、素敵な絵との出会いがありますように・・・・。