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また長い冬が過ぎ、山桜咲く頃になると、この廃墟を訪れる若者たちの姿をよく見るようになったのでした。この時のなかに忘れられた廃墟がなぜか、若者のロックやビジュアル系バンドのプロモーションビデオ撮影などに利用されたのです・・・。
この廃墟ですが、なぜ若者に好かれていたのかと言うと、洒落たホテルのように思われる廃墟にはステージがあり、そこで大きな音をたて演奏できること、林のなかの建物であることなどが良かったのでは。
それに昭和40年代の当時のとても洒落たカタツムリ型の螺旋を描くコンクリ-ト造りの建物が長い月日を経て廃墟となってしまったのですが、そのどこか退廃的な感じが若者の音楽のプロモーションビデオ撮影の場所として、適していたのでしょう。私はと言うと建物の内部に入ったことは、数えるほどしかなく、出会ってから解体されるまでの間、その外観を季節の移ろいのなかの風景として見ていたのです。それでも透明人間となった私は、その廃墟での演奏の履歴を調べて見ました。
2004年にリリースされたスピッツの「スターゲーザー」。ジャパハリネットの「哀愁交差点」。スキマスイッチの「冬の口笛」のプロモーションビデオからはじまり、ヴィジュアル系の2012年HEROの「to you...」、ガゼットの「体温」など・・・・・。
スピッツの「スターゲーザー」のプロモーションビデオを見ていただくと、アサマモーターロッジと呼ばれた建物の様子がよくわかるでしょう。
『廃墟とロック』
飛び跳ねて
体を波打たせ
爆発したかと
おもえば
せつない気持よ
きみに届けと
ギターやドラムや
きみの歌声は
廃墟の窓から
風に乗って
大空のなかに
そんな
熱い熱い
ロックやヴィジュアル
の撮影が
数多くあった廃墟も
今は消えてしまいました
でも その熱い熱い
歌声はいつでも
心のなかに
甦る 熱い熱い
地球の鼓動です
・続きは次回に・・・・。