第四首
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田子の浦に うち出でて見れば 白妙の
富士の高嶺に 雪はふりつつ
やまべのあかひと
山部赤人
(生没年不詳)聖武天皇に仕えた宮廷歌人。自然の美しさを詠んだ叙景歌が特に優れる。三十六歌仙の一人。
部位 四季(冬) 出典 新古今集
主題
富士山の神聖な美しさへの感動
歌意
田子の浦の海岸に出て、はるか向こうを仰いで見ると、神々しいばかりの真っ白な富士山の頂に、今もしきりに雪は降り続いているよ。
今、田子の浦と呼ばれているのは富士市に属するが、古代はさった山の麓から由比・蒲原・岩淵あたりまでの海岸をさしたらしい。
山部赤人は、歌人としては柿本人麻呂と並び称される。長歌より短歌に秀作が多く、特に叙景歌にすぐれていた。
『万葉集』に長歌十三首、短歌三十四首を残す。