診察室でのひとり言

日常の診察室で遭遇する疑問、難問、奇問を思いつくままに書き記したひとり言

最近目立つ B to B テレビCM

2024年01月26日 | ブログ

前回のブログにも記したように、最近は横文字による略語が増えてきた。文化や経済などの国際化が進むが故に、仕方のないことかもしれない。しかしながら、無理に横文字を使ったり、カタカナで表記したりするのには、時として大きな疑問を感じる時がある。本来の意味をはき違えて拡散されていることが多く、無理せずもっと日本語を大事にすればいいのにと感じる。最近、青少年が咳止め薬を大量に服用し、意識が低下するような状態を 『 オーバードーズをする行為 』 と言っている。医学用語でもあるが、ドーズ( dose ) とは服用量を意味し、それがオーバー( over ) である.。則ち『 オーバードーズ = 過剰服用量 』 のことであって、意識が低下するような意味合いは全く含まれない。正確に表現するなら、『 オーバードーズを摂取することによって意識が低下した 』 が正しい。また、SDGs ( エス・ディー・ジーズ )という用語を良く耳にするが、もはや不快音となって鬱陶しい。『 持続可能な開発目標 』 を意味するが、何のことか全く解らない。調べてみると、17 の目標を掲げられ、 2030 年迄に達成しようということらしく、『 貧困をなくそう、飢餓をゼロにしよう、全ての人に健康と福祉を、質の高い教育をみんなに、ジェンダー平等を実現しよう、エネルギーをみんなに、そしてクリーンに・・・ 』 など、要するに国際社会が貧困な後進国を無視せず、皆で協力していい社会を 2030 年迄に達成しましょうという目標のようである。当たり前といえば当たり前のことをわざわざ国際会議で提案されたようである。しかし、日本社会では SDGs という内容、意味をはき違えて使っていることが多い。唯、もったいないことは止めて節約しましょうというだけの理解になっているようで、これなら、わざわざ SDGs という用語を使うことなく、『 無駄をなくし節約しましょう!』 でいいのである。馬鹿馬鹿しい略語に翻弄され、踊らされている私を含む英語のできない日本人の哀れな姿である。何の知識も無く、薄学の芸能人が公共の電波を使って騒ぐものだから、コロナの時もそうであったが日本国民はおかしな方向を向いてしまっている。未だに、コロナワクチンを接種しているわけだから。

 さて、引き続いて本題に入るが、最近の TV 番組は非常に面白くないものが多い。薄学芸能人が何の知識もなく情報番組で偉そうにコメントしてみたり、お笑い芸人が自分たちでガヤガヤ騒ぎ立てて楽しんでいるところを番組にしたり、どうでもいいクイズを当てては自慢したりと出演者達の学芸会をわざわざお茶の間で見させられているようなものばかりである。しかるに、日の丸を背負って戦うスポーツ番組が非常に高価に思え、必死で観戦しようと視聴率が上がるのも無理はない。そこで気になるのが、テレビ視聴の中での CM がやたらと意味不明なものが増えてきていることである。皆さんはお気付きであろうか。いわゆる B to B 企業の CM なのである。B to B とは Business to Business の略で、企業が企業に対して行う事業を意味し、これに対し、企業が個人に対しての商取引を B to C Business to Customer ) という。これまた、横文字を使った略語表現である。これまでのテレビ CM といえば、お菓子であったり、洋服であったり、化粧品であったりと個人に対する衣食住的なものが中心であったが、最近のテレビ CM には企業から企業に対するアピールを目的とした B to B CM が増えてきた。例えば、ビズリーチ( 人材派遣 )、AGC ( 素材の会社 )、SCSK IT サービス )、SKY ( 業務系システム開発 )などが有名だが、どれも個人にアピールする CM でなく、関連性のある他企業への特に担当者へのアピールである。これまでは企業訪問などで担当者が担当者へ挨拶、宣伝をしていたが、効果的でなく、テレビ CM にすれば、多くの関連企業の人間にアポもなく何度でもアピールでき、かつ世間一般にも会社の知名度が上がるという大きなメリットがある。これも企業戦略によるアイデアなのであろうが、なんだかテレビの意味合いが変わっていくことに抵抗を感じる。B to B CM 益々増えていくものと思われる。


2024年 スタート

2024年01月01日 | 医療、健康

新年明けましておめでとうございます。只々月を跨ぐだけなのに、年が変わると世間は大騒動です。しかし、時が過ぎ行くのは早過ぎますね。兎に角、一週間が早過ぎる。当然一ヶ月が早く経ってしまう。人間が気付かないうちに地球の回転速度が変わって一日24時間が実は12時間ぐらいになっているのではと考えたくなる。全てが神の仕業で科学でも気付かないような変化が起こっているのではと疑いたくなる。2019 年の年末から始まった新型コロナ騒動が何もかもおかしくしてしまったのもその要因の一つなのかもしれない。新年早々、能登半島が震源地と思われる大きな地震が起こってしまった。5 Mほどの大きな津波が押し寄せてくるとの警報が出されている。被災地の方々には大変気の毒な災害であるが、元日からこの出来事では、今年も前途多難な一年になると覚悟したスタートである。今、このブログを書いている時点では詳細は不明なのでこれ以上のことは控えるとする。さて、今年はどんな年にしたいものかと考えてみるが、特に何も浮かばない。仕事柄、多くの患者さんの疾患が、上手くコントロールできるようにと努力しつつ祈るばかりである。高血圧、高脂血症、糖尿病など生活習慣や加齢によるこれらの疾患は比較的治療も容易であるが、治癒できるわけではない。如何に自己管理と薬を上手く調節しつつコントロールし、脳や心臓などの合併症を防ぐかである。自己管理だけに頼っても疾患のコントロールはできないし、薬だけに頼っても同じである。当院には他院に比べて多くの慢性心不全の患者さんがおられる。よく聞かれるが、『 心不全って、どんな病気ですか? 』と。心不全は病気(病名)ではありません。字の如く、心臓の状態が完全ではない状態を意味する用語である。要するに慢性心不全とは慢性的に心臓が悪い(正常ではない)というだけのことなのである。では、その心臓が悪い原因は? というところが病名になる。それが、心筋梗塞によるものであったり、弁膜症(僧帽弁や大動脈弁の逆流症、狭窄症など)や心筋症(拡張型心筋症や肥大型心筋症)であったりで、これらが原因で心臓が慢性的に悪くなっていく(慢性心不全)。この慢性心不全は、経年的に確実に悪化して行くのだが、先ほど記したように自己管理と薬の調節でできるだけ進行を遅らせようとするのが我々が行っている医療(治療)である。開業して 20 年以上経過するが、この間、凄く良い薬が次々と創り出され、新しい治療法が生まれてきている。20 年前の知識(医療)では疾患を持った患者さんに最良の治療を反映してあげることができない。我々も日々勉強である。診察中に多くの患者さんから『 先生、いつまでも元気で私たちを診察してくださいね!』なんて暖かい言葉を頂くが、自分の中では、年々きつくなってきた体力の限界か、知識の習得ができなくなる(勉強できなくなる)時が引退と思っている。80 歳、90 歳と高齢でありながら診療をされている大先輩の先生方には頭がさがるが、中には、十分かつ新鮮な知識を取り入れられず、首をかしげてしまうような処方もよく拝見する。責任重大な仕事だけに、患者さんとの信頼関係も重要である。今年も宜しくお願いします。