診察室でのひとり言

日常の診察室で遭遇する疑問、難問、奇問を思いつくままに書き記したひとり言

ワクチン接種は国民の義務

2021年02月23日 | 新型コロナウィルス

医療従事者のワクチン接種が始まりました。コロナ感染者を扱っている病院関係職員からの始まりです。どうもワクチンの調達数が少ないようで、3 週間後に同じ人間が 2 度目の接種をしていると、多くの人を接種するには時間がかかり過ぎてしまいます。これまでの報告では、1 回接種でもかなりの有効性があるようです。恐らく、欧州のいくつかの国が変更したように、日本でも 3 週間後の 2 度目接種は後回しになり、まずは全ての希望者に 1 回目を接種するのではないかと考えます。私ども開業医には今のところ接種日程や接種場所の連絡はありません。複数の大病院の関係者から聞いたところによると、コロナ感染者を積極的に扱っている病院従事者のワクチン接種希望者は多いようですが、そうでない病院の従事者の接種希望者は少ないようです。医療従事者である者が、週刊誌や SNS などの情報に左右され、一般人のような偏見を持って接種に消極的になるとは非常に情けない話です。御夫婦で内科クリニックを開業されているA先生ご夫妻も、様子をみてから一般(年齢別)で接種を検討すると言われていましたが、私から言えば医師の風上にも置けない情けない考えを持っていることには驚きました。ワクチン接種は、各々がコロナに罹らない為にということ以上に、皆さんがご存知の通り 国民の 6 ~ 7 割がワクチン接種をして抗体を持つことで、この新型コロナウィルスを収束することができる大事な国家戦略であるということを理解しなければなりません。収束できれば最早マスクを着用する必要もなくなり、2 年前の生活に戻れるということです。しかし、ワクチン接種に消極的な国民が多くなり、接種率が 6 ~7 割に達しなければ、この先 4 ~5 年はまだこの状態が続きます。接種した人は取り合えずは安心できるのですが、いつ抗体が消失して現在の状況に戻ってしまうかわかりません。そうなれば、またワクチン接種の順番待ちということになり、現状と変わらない生活が強いられます。ですから、このワクチン接種は国民の義務なのです。医療従事者が消極的になれば、そこに通っている患者の皆さんも消極的になってしまいます。このような医療従事者は、もっと、事の重大性を考えて欲しい限りです。医療従事者のワクチン接種が終了すれば、まずは 65 歳以上の高齢者の方々からの接種が始まります。堺市では全国に先駆けて大会場での集団接種以外に市の 1/4 程度のクリニックでも接種できることになりました。当院でも週 150 名の接種をすることになりました。詳細はこれからになりますのでもう暫くお待ち下さい。


新型コロナ感染症に罹る(かかる)のは難しい!

2021年02月07日 | 新型コロナウィルス

毎日TVに煽られた生活に鬱傾向になったりノイローゼ気味になっている患者さんに私の一言で皆、元気になって帰られる。新型コロナウィルス感染症に罹るのは非常に難しいということである。この感染症が拡がりだして約1年が経過したが、本日現在で日本人の感染者の総数は約 40 万人である。日本の人口は13千万人。その割合を計算すると感染者の人口に占める割合は 0.3 %である。つまり1000 人に 3 人程度である。1年以上経過して、この程度の数字である。すでに回復した人は36万人、死亡者は 6,300 人。今現在の罹患者は 34,000 人程度で人口の 0.03 %弱(1万人に3人)ほどである。無症状感染者が含まれての数であるが、PCR検査を受けず水面下に存在する無症状者はさらにいることは事実である。仮に水面下の無症状者が 23 倍いたとしても、人口の 0.060.09 %に過ぎない( 10 倍いたとしても 0.3 %)。感染する可能性が 0.060.09 %ということは、簡単な話、1 万人の人に出会って 69 人の感染者とすれ違った程度( 1,000 人に出会った程度では精々 1 人いるかいないか程度)である。クリニックには毎月約 1,300 人ほどの患者さんが来院される。1年間で 15,600 人の診察をしたことになる。単純計算すると 913 人がコロナに罹った人が通過して行った計算になるが、現時点で把握できている感染者数は 2 名である。ともに、診察日の 3 週間ほど後のことなので、診察中には感染されていなかったことになる。申告されていない人もいるであろうからもう少し数字は上がるかもしれない。常々言ってきたが、相手、周囲の人のマスクの確認と手洗いをしていれば罹らない。逆に言えば、何故罹る人がいるのか???である。ある意味、罹ってしまった人はそれなりの行動をしていたのだと思われる。可哀想なのは同居する家族である。皆がちゃんとしていれば、収束にさほど時間はかからないはずだが、ちゃんとしていない者がいるから拡がり続けるのである。どの世界も理想通りには行かない。このような人たちがいるから。


まもなく新型コロナワクチン接種が始まります

2021年02月03日 | 新型コロナウィルス

日々、窮屈な生活を余儀なくされ、変わりばえのしない生活を送っているからなのか、月日の流れが速いことをつくづく感じる。まだまだ先のことだと思っていたワクチン接種が、大病院の医療従事者を対象に今月末には行われることとなった。未知のワクチンだとして受ける受けないなど賛否両論の考えがあるようであるが、最終的には個人任せといったところである。現在、緊急事態宣言が発出されている最中であり、徐々には感染者数が減少傾向にあるものの、間違いなくこのまま収束することはあり得ず、再上昇することは必至と思われる。水面下でイギリスをはじめ、他国からの変異株コロナウイルスが拡散しだしており、少しの気の緩みで二次関数曲線的に上昇する可能性のあることも念頭に入れておかないといけない。現在の状況で接種を不要と判断することは時期尚早で、今後26ヶ月先を想像しておかないといけないと思われる。クリニックにも大阪府より接種希望職員の名簿を1週間以内に提出する旨の案内が先月下旬に届き、提出した。今後、高齢者、一般といった方々にも同じような案内が届くのではと思われる。迷っていてもYESNOの回答しかなく、NOと回答してしまうと、その後希望しても無効となる。逆にYESと回答した場合、直前に希望しないという選択肢は残される。

 さて、昨年1214日より米国で開始されたファイザー社のワクチンについての途中経過が16日に発表されたので紹介する。 10日間で約190万人に接種され、重度のアレルギー反応であるアナフィラキシーは 21例(10万人に1名程度)で、このうち過去にアナフィラキシーの既往があった例が 7例、何らかのアレルギーの既往があったものが 10例である。アドレナリンなどの昇圧剤等で処置をされ、4名は入院するもその後退院され死亡者はゼロである。この数字をもってしても、少なくとも接種による危険性は非常に低いと考えられる。そもそもワクチンの効果は感染しても発症しない効果、発症しても重症化しない効果がある。この感染しても発症しない効果が 95%程度と示されている。インフルエンザワクチンに比べれば、これらの効果は上回っていると考えられる。但し、長期成績は不明である。どの程度の期間有効であるのか?数か月後、数年後の副作用(副反応)はどうなのか?といったところは全くわからない(さほど神経質になるほどでもないと思われるが・・・)。RNAといった物質が体内に入った後、何らかの異常を将来起こさないのかといった不安を感じたが、専門家によればRNAは個々の体内の細胞で分解され、精々1週間で効力をなくすので心配ないとのことである。 これらのデーターを参考にして各自ワクチン接種の可否を判断されてはどうであろうか。