がま口を作った。
普通のがま口ではない。
極小サイズのがま口、である。
がま口の定義を、
「口金で開閉する財布」
と考えた時の、限界に近い小ささにしてみたものだ。がま口をもじって「ガマプチ」と命名してみた。
サイズはタテ6cm(突起部含む)、ヨコ4cmにすぎない。手の中にすっぽりと隠れてしまう大きさ。これ以上小さくしたらコインは入らなくなり、がま口のミニチュアにはなるかもしれないが「財布」のカテゴリからはずれてしまう。
ガマプチは底辺部分にパイピング(玉縁)を施して厚みを確保し、500円玉が最大5枚、計2500円入るようにしてある。極小の割にはなかなかの収容力になったと思う。
このくらいの金額を持っていればコンビニ等での買い物にはまったく支障はなく、なんなら映画館に入って映画を見るだけでなくポテトとドリンクも買える。これをポケットに放り込んでおくだけで大抵の商業施設にふらりと寄ることができるのだ。
とりあえず、週末恒例の早朝ウオーキングの時にでも使おうと思っている。
下膨れ状の普通のがま口のようなあそび部分を作らなかったため、動き回ってもジャラジャラと音が鳴らないのもポイントである。
本体は「じいちゃんのおけいこバッグ」で使った出所不詳の革の余りを使っている。
革はタダみたいなものなのだが、この作品のキモは口金につかった金具にある。
「こんな小さな口金が」とあなどるなかれ、定価は1200円というしろものだ。
なんとこれはドイツ製なのである。
よくみれば一般の金具より鋼が肉厚でかっちりした作りになっている。ちゃんと見れば1200円は伊達じゃないのがわかる。
しかし、いくら品質がよくたって1200円も出す人がいるのかという疑問も出てくるだろう。その疑問は当然だ。
そもそもこのような小さい口金の用途は限られる。一般に市販されている口金でこれとサイズが近いものに印鑑ケース用口金があるが、それは200円以下で買える。1200円の金具を使って印鑑ケースを作ろうと考える人がそうそういるとも思えない。
ネタばらしをしてしまうと、物好きを自認する私とて1200円出して購入したわけではない。昔、某大手手芸店のワゴンセールで破格値でGetしたのだ。
手芸店の仕入れ担当者が需要をよく考えなかったのか、実験的に仕入れたのか知らないが、そのおかげで処分品となり、買う気が起きたというわけ。
モノというものは最終的には収まるところに収まるものなのである。
なお、価格とは別の疑問点は残る。この金具、印鑑ケースに利用はできるものの、ドイツに印鑑文化があるって聞いたことはない。コストを考えたら印鑑ケース用に日本からドイツに製造を発注したものとも思えない。本当は何のためのパーツだったのだろうか。
もしかして、私が使ったように極小がま口用だったのか?
だとすると、世界には意外に極小のがま口が出回っているかもしれない。
以前製作したコインホルダーと比べてみる。
↓