「筆箱採集帳」を見て、今度自分が作る筆箱は文具の収納場所を固定する仕組みにしたいと思った。使うとき、探しやすいし、収納された姿が美しいからだ。
収納場所の固定という用件を満たす筆箱としてはロールペンケースというのがある。巻物のようにぐるっと巻いて使うアレだ。筆箱採集帳でもいくつか紹介されていて興味を引いた。
しかし、ロールペンケースは収納場所が固定されるものの、出し入れが機動的ではないのが玉にキズ。1本だけ使って戻すような時は別に問題はないが、複数の道具を使うときは出したり戻したりするのが面倒なので、出しっぱなしになる。
出しっぱなしにしている場合、こんどは出した文具が他の道具類や机上の小物、ノートの陰に隠れてしまったりして、探さなければならなくなったりすることが往々にしてある。
そのため、使用中の複数の文具をいったん置いておくためのペントレーのような機能があればいいと考えた。
こうして「ペントレー機能つきロールペンケース」という基本構想が形作られた。しかし、具体的な収納物を考えはじめてすぐに壁にぶつかった。
ひととおりの文具を欲張ってひとまとめに入れようとすると、収納物が多すぎるのだ。そのままではすごい太さのロールペンケースになってしまう。
ロールの幅より直径の方が太い「ガムテープのような形状のロールペンケース」というあほらしい図が思い浮かぶ。
それはそれで面白いではないかという考えと、使いにくくて実用的でないという貧乏性気質が頭の中で葛藤する状況に陥った。
実は私のもの作りにおいては、このような脳内のバカな葛藤に時間を費やすことが多いのだ。
結局、貧乏性気質が勝利したのだが、「ペントレー機能つきロールペンケース」というアイディアの実現はあきらめきれなかった。
そこで用途を絞ったペンケースにすれば、収納物は限られ、適度な大きさになるだろうと考えた。
私はレザークラフトの型紙作りなど、普通の人よりは刃物を使うことが多いので、カッター類を一括して収納するのがいいと思いついた。ロールペンケースならぬ、ロールブレイドケースというわけだ。
まあこれも「筆箱採集帳」的に言えば、「筆箱」の部類に入れていいのかもしれない。
で、このたび完成したというわけ。
収納形状は以下のとおり。
収納しているのは右から
・NT円カッター(C600G)
・Tajimaツール カーブカッター
・OLFAカッター(Limitedシリーズ FA) ただし搭載刃は貝印刃物の職専刃
・NT細工用カッター(AD2)
・ペナントナイフ
・マイクロカッター4種
普通のロールペンケースとあきらかに違う部分が2箇所ある。
一箇所は写真の右上方にある透明なケース、もう一箇所は左にあるスナップである。
透明なケースの正体は使用済みの刃を入れるケース。これはカッターナイフ用のケースなので、折った刃の保管場所が必要なのである。理科実験用製品を売っているところで購入したキャップ付きミニ試験管を転用している。
スナップがあるのはマイクロカッターをスムーズに収納するためである。
マイクロカッターは非常に細かい切断作業用なので、ほとんど針といっていいほどの太さ。
先端からケースに突っ込むと革に刺さる可能性が高い。それで横から入れられるような構造にした。
トレーは以下のように使うことになる。