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             渋沢栄一

イラン裁判所、飲酒の2人に死刑判決 人権団体は反発(朝日新聞)>2012.6.28

2012年06月28日 | 過去記事

    




イラン裁判所、飲酒の2人に死刑判決 人権団体は反発(朝日新聞) - goo ニュース

<イラン北東部ホラサンラザビ州の裁判所が、酒を飲んだとされるイラン人2人に死刑を言い渡した。イラン学生通信が24日伝えた。飲酒を理由とした死刑がイランで執行されたケースはないが、最高裁が支持すれば刑は確定する。人権団体は反発している。

 イスラム教国のイランでは、飲酒は厳禁。法律は3度目に逮捕されれば死刑もあり得ると定める。ただ、国際社会の批判を考慮してか、罰金刑やむち打ち刑にとどめているのが現実だ。

 死刑判決について、ホラサンラザビ州の司法当局者は「2人は飲酒を繰り返し、逮捕は3度目となる」と正当化した。2人の性別や名前、逮捕日、一審判決日などはいっさい明らかにしていない>








最近のテレビには「おねえ系」と呼ばれる不気味なタレントがよく出る。オカマだ。私はオカマが嫌いではなく、飲みに行く店にいると面白いし、オカマバーなども好きだ。オカマの友人もいるし(恋人未満)、とくに偏見はない。我が倅がある日「ぱぱぁ~♪」とくればブチ殺すが、所詮は赤の他人、勝手にすればいいと思う。

「不気味な」と書くのは、それが公然とテレビに出ているからだ。いわゆる「市民権を得た」状態にあるのが「不気味」なのであり、さらには「それを売りにしている」というところに嫌悪感を覚える。だから「お花の先生」とか「マッサージのプロ」とか「モノマネタレント」がオカマでもいい。その分野で認められ、且つ、オカマだったから注目された、というのは理に適う。私が「不気味」とするのは、要するに「オカマを消費されている」だけのオカマのことである。変態性癖を売っているような不埒なモノに感ずる。

ま、それはともかく、それも日本だから許される。イランならば「名誉殺人」ということで殺されても罪に問われない。イスラム圏内では婚前での性交渉はアウト。不倫もアウト。強姦されてもアウト。その被害者女性は「家族の名誉を守るために」殺してもよいことになっている。同性愛者などが許されるはずもない。すぐにタリバンが飛んでくる。

方法は「家族会議」で決められる。銃殺もあるが火炙りもある。母親や姉妹を殺した父親や兄弟は英雄になる。そもそもが「妻は旦那の所有物」である。イスラム世界では初潮を迎えた女性は全部が大人になる。大人になれば旦那以外に顔も肌も髪もみせてはならない。ということは学校に行けない。男の子と机を並べると殺される。それに女性教師がいれば問題ないが、教師はぜんぶが男性になる。理由は簡単、女の子を教える女性教師を教える女がいない。オンナは一生、こっそりと洗濯したり、ヤギの乳を絞ったり、あとは家の中で引き籠っていることになる。

これに「あんまりだ」と言ったのがイランのバーレビー皇帝だった。こんなの国が滅ぶ、どうにかならないのか、と心配したらホメイニ師に追放された。イスラムの戒律を守らないならイラン最後の王朝もヘチマもない。イラクではサダム・フセインがやった。家族法を改正、一夫多妻制度を止めさせた。性別による雇用差別、賃金差別を禁止した。もちろん、女性の恋愛や結婚、離婚の自由と権利も認められた。女性の社会進出は積極的に行われ、女性の店番も許されなかった湾岸アラブ諸国の中では唯一、女性公務員が増えた。どころかイラク軍には女性兵士もいた。フセインは獄中、米軍の女性将校を見て「イラク軍にも女性の指揮官が欲しい」と言っている。

フセインは大きなダムも作る。公共事業だ。石油産業も国有化した。イラクの石油会社は外資系だった。せっかくの石油利益が海外に流れていた。これらの利益で通信網、電気網を整備した。イラクのど田舎にまで電気を通した。電気が通れば、貧困家庭に家電を無料で配布した。農業にも力を入れる。機械化し、最新の農機具を配布し、農地を分配し、国有地の70%を自営農家に与える。イラクの人口は35%増加する。イラクは近代化に向けて速度を増した。どこの国でもおよそ、国民の半分ほどは女性だ。これが一気に社会に出てきた。コレが大きい。

もちろん、フセインは暴力を使う。圧力をかける。例えば、フセインがせっかく全国に学校を作ったのに、シーア派はイスラムの戒律がなんとか~で子供を学校に行かせない。全国規模で「読み書き学校」を作ったが、そこにはやはり女子生徒がいない。フセインは「女の子も学校に通わせないと、その親は投獄する」と脅した。これを英米は「恐怖政治」とか「独裁政権」と言った。近代化が良いか悪いかはともかく、酒飲んだだけで死刑にする連中、話してわかる相手かどうか。また、日本のメディアは「宗教の自由」とかやった。

悪魔のような呑気さだが、もっと深刻なのはフセインが「恐怖」で抑えつけていたシーア派とかクルド人が息を吹き返したことだった。フセイン政権を滅ぼしたアメリカは、適当な占領政策でなんとかなると思っていた。そこには明確に「日本」というモデルがあった。日本を占領統治した際、米兵は襲われなかったし、基地に襲撃したりする日本人もいなかった。あれほどの戦意を示した恐怖の軍隊だったが、負けてしまえば大人しいモノ、それに多くは好意的に接してくる。イラクもたぶん、そうだろうと。

しかし、実際は戦闘行為よりも米兵は殺される。原因は治安の悪化だ。宗派対立で内戦状態になった。米兵は襲われるし、テロはなくならないし、傀儡政権のイラク政府もなにも出来なかった。ここでもアメリカは「壊してから気付く」わけだ。フセインは何と戦っていたのか、アメリカはやっとわかる。馬鹿は死ななきゃ治らないが、アメリカも兵隊が万人単位で死なないとわからない。朝鮮戦争もそうだった。日本を負かして数年後、また、米兵は数万人が死んだ。ベトナムでは勝てなかった。日本が何から何を護ろうとしていたのか、アメリカもイギリスもやっとわかった。

フセインは米軍に捕まり、なんで大量破壊兵器がないのに、あるようなふりをしたんだ?と問われ、正直に「核兵器を持ったイランが攻め込んでくるから」と答えている。アルカイダはフセイン政権にとって「脅威だった」と言い、ウサーマ・ビン=ラーディンのことは「狂信者」と嫌悪していた。処刑される少し前、フセインは「ところで米軍はなぜ、イラクに侵攻したのだ?」と質問したという。「国連の査察官は何も見つけなかっただろう」と。殺される直前、これは本音ではなかったか。つまり、アメリカはまたやったのだ。

フセインが目隠しもせず、堂々と吊るされてから2年後の2008年、イラクのバスラで占領軍兵士と仲良くしていたイラク人女性が、その父親と兄に絞殺される事件があった。父親は胸を張ってインタビューに答えている。

「イスラームの男として、父親として、自分と家族の信仰と名誉を守っただけであり、警察も地域の友人も自分を賞賛してくれた。さらに娘のような恥さらしは生まれてすぐ殺してしまうべきだった」

フセインはイランを嫌い、そして恐れていた。「過激派」と呼んでいた。そんなシーア派がイラク国内にもいた。フセインは「国連の制裁よりイランに弱みを見せるのが危険だと思った」と残している。「化学兵器使って黙らせた」のもわかる気がしないだろうか。テレビで「オカマ」をみて笑える国でも想像を巡らせる、くらいは出来る。




2 コメント

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Unknown (katoo)
2012-07-02 14:31:13
たまにしか読みに来ず、まとめて読んでる自分の無精を棚に上げて..

千代太郎さん、ブログを本にしてくれたらまとめて読めるのに。
思想の方向性は人それぞれでしょうけど
自分の頭で考え積み上げ、そして表現する。表現するだけの覚悟で自分を律する。
そんな千代太郎さんの文章が凄く身に積まされます。

それに比べて俺は、といつも気付かされます。
とか書く割に、やはりたまにしか来ないんですががが
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Unknown (久代千代太郎)
2012-07-03 22:49:19
>katooさん

たまに寄ってくれると嬉しいです。

また、きてくださいねががが
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